産後3ヶ月で復職して夫婦で時短&テレワーク育児してみた
Guten Tag! ベルリンから伊藤です。
私事ですが、この度、第一子が産まれました。
ドイツで出産して、夫婦二人で育休、時短&リモート勤務をやっています。
男性の育休取得がまだまだ一般的ではありませんが、今回母親である私も3ヶ月で復職と、これまたレアケースではないかと思いますので、本ブログではその様子についてお話しします。
産後3ヶ月の仕事復帰
私は11月初めに娘を出産してから丸3ヶ月の2月に復職しました。
そう言うと
「ドイツにあるといえど日本の会社だからブラックなんだね…」
と勘違いされてしまいがちです。しかし、法律上は全く問題なくて、私は自らこのように希望しました。
そもそも産休制度では、ドイツも日本も産後2ヶ月が働いてはいけない期間です。
日本 | ドイツ | |
---|---|---|
産前 (任意) | 6週間(双子なら14週間) | 6週間 |
産後 (義務) | 8週間 (希望すれば医師の診断で短縮可能) | 8週間 (双子や未熟児なら12週間) |
この産休期間が終わったら、その後は任意で育休を取得できます。
一般的には、このまま母親が1年の育休を取って家事育児に専念することが多いでしょう。
この「育休」とは解雇保護のある休業を指します。
当然ながら母親だけの制度ではないので、どっちが取っても、どっちも取っても、はたまた取らなくても良いのです。(※日本では制度は会社によるようです)
私は、業務上休めないというより、自分があまり長期で仕事から離れたくないという思いで、産休と育休は3ヶ月にする代わりにしばらく時短勤務することにしました。
夫も時短勤務
なるべく夫婦で平等に育児に参画したく、夫もそれを尊重してくれたので、育休と時短勤務の取り方は以下を話し合って決めました。
前提:コロナ禍の海外生活につき、里帰り出産はせず両親の支援はなし。二人とも 100% 在宅勤務可。
- 子供に提供したい親の稼働時間
- 産後4週間は2人分、保育園に入れる予定の1歳頃までは1人分
- 世帯収入の考慮
- 夫の方が収入が多いので、夫が多めに働き、私が少なめに働いて育休手当を受給する
- 育休期間でも働ける労働時間
- ドイツでは育休期間でも時短勤務が可能(つまり、この範囲なら期間中は解雇保護があり、収入分の減額はあるものの育休手当ももらえる)なので、育休対象の期間は最大でも規定の週32時間まで。
その結果、夫も1ヶ月半休んで3ヶ月目からは時短勤務で働くこととしました。
私たちの勤務/休暇バランス
図でまとめてみました。各月の上段(オレンジ)が私、下段(青)が夫でして、塗布部が休暇です。
夫は1ヶ月半休んだと書きましたが、厳密には12月はフルタイム契約のまま有休を消化することで、半月休み・半月時短で働きました。
同様のことを私も2月にやっており、こうすることでその月はフルタイム分の収入を得ることができます。
育休手当を申請する場合には、ボーナスもこの月に受け取れると有利に受給できるでしょう。
二人で育休&時短を実際にやってみて
少し順を追って私たちの経験を共有したいと思います。
- 生後2週間まで(2人とも休業中)
脆弱性の塊をド素人が生かすためには、2人とも全力で24/7で協力し続けないと回らなかった覚えがあります。スマホを見る余裕もほぼなし。1
- 生後3ヶ月まで(1ヶ月半から父親は時短勤務)
赤ちゃんの安定した体重増加が見られて、少しずつ余裕が出てきました。夫の時短勤務が始まっても大丈夫でした。
昼夜の眠りが安定する2ヶ月目までは、私が授乳を中心に特に子どもにかかりきりになるので、その他の育児と家事全般は夫に率先してもらって分担しました。
- それ以降(2人とも時短勤務)
お互いの仕事や予定を把握するのはとても大事で、二人とも時短勤務になってからは、始業・休憩・退勤を二人で適宜ずらしながら家事と育児を分担しました。
最初の2週間ほどは、「意外と仕事・育児・家事回ってるな」と思っていたけど、途中から哺乳瓶&ミルク拒否で夫が代わりに授乳できなくなったり、睡眠退行で寝てくれなくなったり、ママじゃないとダメ期がきたり、産後アドレナリンが切れて前より楽になってることも大変に感じたりと…
赤ちゃんというのは日々3歩進んで2歩下がる形式で成長していくもので、なかなか仕事をする時間が作れず睡眠を削ることもありました。
まだネムネムで大人しかった頃は、抱っこ紐で担ぎながらミーティングしたり(子どもにも後頭部だけ参加してもらい)もしましたが、生後5ヶ月など起床時間が長くなり動けるようになるにつれ、暴れたり騒いだりするのでそれも難しくなりました。
生後6ヶ月2経った今は、ようやくルーティン作りによってうまく事が運ぶようになりました。
(朝型の夫が早朝に少し仕事や早く起きた娘の世話、機嫌の良い午前中に夫が娘を連れ出して私が仕事、午後は夫が仕事をして私が家事・育児)
まとめると
「夫婦で平等に育児に参画」とは言ったものの、やはり授乳など母親がやらざるを得ない作業が一定量ありました。
さらに、子どもが人を認識できるようになると「ママがいい」ことが増えていきました。
確かに、私の方が夫より上手に、要領良く娘を扱えますが、それを差し引いても、母親のにおいや、抱かれ心地の良いふっくらした身体など、赤ちゃんがより母親を求めるのは本能的のように感じられました。
(※もしかしたら、ミルク育児でならここまで母親に依存しなかったかも?)
というわけで、思いのほか平等に分担するのは難しかったですが、夫婦で育休を取って本当に良かったと思います。
メリットは、なんといっても一緒に成長を見守って気持ちを共有したり、ストレスを分散したりできること。それから長期間休職せずに済み、仕事感覚をある程度維持できること。
一方で、デメリットは片方が専念する場合と違って、家事・育児タスクの責任範囲が曖昧になり、片方に皺寄せがいったり、多少非効率になるとは感じました。
父親も2ヶ月は育休取るといい
「パパママ育休プラス」という制度をご存知でしょうか?
ドイツでも同様なもので Partnerschaftsbonus があります。
これは、両親ともに育休を取ればさらに2ヶ月延長でき、その分の育休手当も申請できるという仕組みです。
ドイツの2020年のデータでは、父親の72%が2ヶ月の育休手当、母親のほとんど(62%)が10-12ヶ月の育休手当を申請しているようです。
つまり、まだまだ母親の育児が一般的なドイツですが、この制度を活用して父親も2ヶ月は育休を取っているということが分かります。
Die meisten Väter haben 2020 jedoch nur eine vergleichsweise kurze Auszeit vom Beruf geplant: Knapp drei von vier Vätern (72 %) planten 2020 mit der minimalen Elterngeldbezugsdauer von 2 Monaten. Zum Vergleich: Die meisten Mütter (62 %) beantragten das Elterngeld für einen Zeitraum von 10 bis 12 Monaten. Männer planten beim Elterngeldbezug mit einer durchschnittlichen Dauer von 3,7 Monaten, Frauen mit 14,5 Monaten. - https://www.destatis.de/DE
かくいう我が家も、夫が育休手当を2ヶ月申請しました。
ドイツの場合は、週32時間までの労働であれば、育休手当を申請できます!
日本でも1ヶ月80時間以内であれば育休手当を受給できるようです。
何かとお金の必要になる出産後に育児休暇を取って収入が減るのは辛いかもしれませんが、それを支援する制度はあるのです。
- 産休手当
- 日本:給与の2/3または企業制度による
- ドイツ:手取り給与100%
- 育休手当
- 日本:最初の6ヶ月は給与の67%、それ以降は50%(1歳未満まで)
- ドイツ:給与の約67%(夫婦あわせて14ヶ月)、働く場合は産前給与67%と受け取る給与の差額
あるべき働き方は一つではないと思います。
生まれてくる赤ちゃんによっても楽さ・手強さは全然違って、正解は一つにはなりえません。
だから、会社は様々な制度を提供して、社員たちは制度を(悪用せず)うまく活用したり支援したりして、より働きやすい環境ができていけば良いと思います。
今回は私たちの例をご紹介しましたが、このような働き方の形もあるんだと参考にしてもらえると嬉しいです。