開発 / デザインを効率化するパレートの法則とユーザーストーリーマッピング

2017.07.07

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パレートの法則とは

  • ビジネスにおいて、売上の8割は全顧客の2割が生み出している。よって売上を伸ばすには顧客全員を対象としたサービスを行うよりも、2割の顧客に的を絞ったサービスを行う方が効率的である。
  • 商品の売上の8割は、全商品銘柄のうちの2割で生み出している。→ロングテール
  • 売上の8割は、全従業員のうちの2割で生み出している。
  • 仕事の成果の8割は、費やした時間全体のうちの2割の時間で生み出している。
  • 故障の8割は、全部品のうち2割に原因がある。
  • 所得税の8割は、課税対象者の2割が担っている。
  • プログラムの処理にかかる時間の80%はコード全体の20%の部分が占める。
    全体の20%が優れた設計ならば実用上80%の状況で優れた能力を発揮する。

(Wikipediaより抜粋)

平たく言えば、無駄なことはしないで、重要なことだけやれば成果は上がる、ということです。

あまり重要でないことをいかに効率的にやったところで、成果は乏しい
重要なことを効率的にやると、十分な成果が期待できる(効果的)

成果というものは、「頑張っている感」とか「やっている感」をアピールすることで計られるものではありません。重要な事実です。
組織内での立ち振る舞いとしてそれが必要であっても、それが直接成果につながる訳ではないです。
やりきって成果が上がらないのは最悪で、やり切らないで成果があがるのが最高です。
特に日本の社会だと儒教の影響で勤労に対する意識やモラルは高いですが、形式的で無駄な長時間労働を筆頭とする問題として裏目に出て、社会的生産性を低下させていると言わざるを得ない状況です。

働くべき時に短時間に集中して効果的にがっつり働いて、オフの時は一月くらいバカンスに行ってしまう人たちと、
気合いと根性を基本心情として長時間労働に晒されて常に疲弊している人たちが戦った場合、長期的に見てどちらに軍配があがるでしょうか。

デザイン手法や開発におけるパレートの法則

ここ数年でデザイン手法として取り入られるようになったユーザーストーリーマッピングですが、この手法はパレートの法則と非常に相性がいいです。
この手法の中で、MVPやMVSという単語が登場しますが、

 MVP(Minimum Viable Product)は、
望まれる成果を実現できる最小の製品のリリースであり、

MVS(Minimum Viable Solution)は
望まれる成果を実現できる最小のソリューションリリース、です。

どうでしょうか。パレートの法則と似てないでしょうか。
要するに、より少ない労力でより多くの成果を出すためのフレームワークだと言えます。

最小限の機能とは言え、どう絞り込んでいいかわからない。
その場合、UXデザイン的観点で言えばそのサービスのキーとなる体験という視点で絞り込みましょう。
キーとなる体験とはその製品が競争優位を保つための存在価値となるものです。
これを定義しておけば、その後の開発が実に楽になります。
なぜなら、開発途上で判断が必要になったら、そこに立ち返ってそれを起点として判断すればいいからです。
そうすると、いちいち相談せずともメンバーがゴールに向かって自律的に動けるようになります。
いいことだらけです。

ビジュアルデザインの傾向に見る淘汰

フラットデザインという潮流が出現して以来、ビジュアルデザイン(少し語弊がありますが)は端的に言えばシンプルになりました。
キラキラするボタンやステッチ入りのヘッダーは消えました。
なぜなら、誰もそれを欲していないので淘汰されたからです。(欲しているとしても、少数派)
そして今現在も特にそれによる大きな問題もなく世の中は回っています。

要するに、必要のないことに時間をかけるなら、重要なことに時間をかけろ、ということです。
そういった淘汰の中でデザインが見た目よりもサービスを通したユーザーの感情を扱う方向に重きを置くようになったのは自然な流れと言えるでしょう。

その重要度やサービス規模、一貫性の考慮は必要ですが、2時間かけてこだわって100%美しいボタンを作るより、ちゃんと成果を出せる30%美しいボタンを作って余りの時間を他の重要な事項に回したりプライベートを楽しんだ方がいいかもしれません。
なぜならそのボタンによる成果はどちらであっても大して変わらない可能性が高いので。

備考

80:20の話は遥か昔に横田社長が朝礼のスピーチで取り上げていました(^^)