ドイツの日系SMEが Personio を導入してみた ― 【第2回】勤怠・休暇管理

ドイツの日系SMEが Personio を導入してみた ― 【第2回】勤怠・休暇管理

Personio 導入記の第2回は、日々の運用の中心となる勤怠管理機能を、ドイツの労働法や旧システム Timetac との違いも交えて紹介。入力前のルール警告、承認ワークフロー、病欠の証明提出、Workation の活用や Outlook / Slack 連携まで、実際の画面つきで解説します。
2026.07.17

ベルリンから伊藤です。

ドイツ法人のクラスメソッド・ヨーロッパでは、従業員16名となったのを機に、今年勤怠・人事システムを Personio へ乗り換えました。このシリーズでは、その導入で得た知見を機能ごとに「やってみた」として紹介しています。

第1回では、乗り換えの背景と、ドイツ法人にとって最重要ともいえる DATEV(給与計算ツール)の連携を取り上げました。勤怠・人事・給与のデータを一元管理し、一つの画面から数クリックで会計事務所と連携できる点が、乗り換えの大きな決め手でした。

https://dev.classmethod.jp/articles/personio-datev-payroll-integration/

第2回となる本記事では、日々の運用の中心となる勤怠(Attendance)と休暇(Time off)の管理機能を、ドイツの労働法や旧勤怠システム Timetac との違いも交えて見ていきます。

勤怠管理

Personio の勤怠入力は「Attendance」画面を開くか、トップページのウィジェットから入力します。追加で開始/終了ボタンによるライブ入力機能を有効にすることもできます。

personio_homepage

Attendance 画面は視覚的にわかりやすく、休憩や1日の最大労働時間にルール違反があると入力前に警告させることもできます。現在の残業時間も同じ画面内で見えるのが便利です。

personio_attendance

各ユーザには Work schedule を作成して適用します。就労時間だけでなく、それぞれに休憩や残業などの就労ルールを設定できるため、国や契約形態に応じて柔軟に適用できます。

attendance_work_schedule_first

attendance_work_schedule_last

居住国・州に応じた祝日も Timetac 同様に設定可能です。規定またはカスタムの祝日カレンダーを選択して、Workplace を通じて社員に紐付けます。

休暇管理

Personio の休暇管理は「Time Off」画面でカレンダー形式の表示です。入力はシンプルで、有休以外にも日数上限のある休暇タイプを柔軟に作成でき、その残り日数も見れて分かりやすいです。

personio_calendar

ただし以下のユースケースでは Personio の UI の制約があります。

  • 半休を入力する ⇒ 勤怠管理画面側では半休と全休の区別がすぐにつかない
  • 残業時間を消費した代休を入力する ⇒ 勤怠管理画面側では引き続き「勤怠入力漏れ」警告が出る(明示的に0時間の勤怠を入力することで警告は消せる)

personio_missing_work_time

これらは Timetac では統合されていましたが、Personio では勤怠管理と休暇申請の機能を独立して設計しているように見えます。

承認ワークフローと勤怠の「締め」

勤怠で重要なのが、記録の正しさをどう担保するかです。入力ミスや ArbZG(労働時間法)上のルール違反、確定後の改ざんをどう防ぐかは、監査対応の観点でも軽視できません。

この点で Timetac と Personio は設計思想が少し異なります。

承認ワークフロー

特定の勤務記録や休みに対して、承認ワークフローを適用できます。

Timetac では「リクエスト一覧画面に権限者がアクセスして承認」するフローでしたが、Personio ではリクエストが承認者に届くフローです。

Timetac(プル型:承認者が一覧を見に行く)

Personio(プッシュ型:申請が承認者に届く)

Personio にもリクエスト一覧画面はありますが、そこからは進捗を見れるだけで承認処理を行うことはできません。ただ、見に行く必要がない分、取りこぼしが減りました。

承認の詳しい機能は、第3回で取り上げます。

勤怠の「締め」とロック

確定した勤怠をどう締めるかは、両者で大きく異なります。

  • Timetac
    • 入力時の警告はなく、ルール違反は勤怠レポートで提示。
    • 社員・マネージャはそれぞれ任意期間をクローズでき、クローズ済み勤怠は編集ロック。
    • 再編集にはクローズを外す必要あり。
    • クローズ前でも、設定した指定日数を過ぎた過去の勤怠入力・変更は承認リクエスト制。

timetac_report_warning

  • Personio
    • 入力時にルール違反を本人へ警告でき、違反は承認・通知制にも設定可。
    • 勤怠をロックする概念はなく、編集権限を持つ管理者やマネージャは過去のどの期間でもいつでも直接編集できる。
    • 逆に社員が指定日数を過ぎた後に直すにはシステム外での依頼が必要。
    • なお、給与レポートの承認処理以降に加えた休暇は、次回給与レポートに「変更データ」としてハイライト表示される ― ロックではなく、事後の可視化で担保する設計。

personio_entry_warning

入力前の警告や「違反を承認制にできる」点は Personio が優れています。

一方で、過去の記録を不用意に変えさせない“締め”の仕組みは Timetac が便利でした。明示的に解除しない限り編集できず、締切後の変更は承認を経る Timetac に対し、Personio は権限次第で過去を直接編集できてしまいます。

💡 ただし、Personio では、細やかな権限設定が可能で、誰が誰の過去データを編集できるかの権限設計と、締めの運用ルールで補うことは可能です。
第1回で触れたように、弊社では月に一回チームリーダーが勤怠レビューを担い、チームメンバーのみへの必要な権限が割り当てられています。

休暇の承認と病欠の提出(eAU 対応)

休暇の承認では、種別・条件ごとに承認者やルートを分けられます。特に運用で助かっているのは病欠リクエストでの証明提出です。

  • ファイル添付:就労不能診断書(Arbeitsunfähigkeitsbescheinigung)などのファイルをシステム上で添付でき、勤怠・人事データと同じ場所で管理できます。
  • eAU 対応:第1回で紹介した DATEV 連携設定がされていると、ドイツの電子証明(eAU)での提出も可能です。医療機関から健康保険経由で発行される休職証明を電子的に扱えるため、紙の診断書のやり取りを減らせます。ドイツ運用ならではの利点です。

チームカレンダー

社員同士の不在を確認するのにとても見やすく便利です。Timetac にも同様の機能はありましたが、Personio では「誰が誰のどの休暇タイプを見られるか」までを細かく権限指定できる点が素晴らしいです。

personio-team-calendar

Time off でリモートワークという種別も作成でき、弊社で活用しています。

弊社は自宅勤務が基本ですが、通常の勤務地と異なる都市で働くことも認められています。以前は社員が Slack でリモートワークを報告していましたが、「Workation」というこの Time off 種別を用意したことで、休暇扱いにはせず通常どおり勤怠を入力しながら、チームカレンダーに反映できるようになりました。

後述の Slack ステータスにも反映されるので、チームへの共有もスムーズです。

休み連携(Outlook / Slack)

Marketplace integrations で Office 365と連携することで、入力した休暇は Outlook カレンダーに「Out of office」として自動同期できます。

休みをカレンダーや Slack で重複して入力する必要がなくなりました。

outlook-calendar-with-personio-leaves

MTG 招待を送る際には Schedule Assistant を確認するだけで済み、Personio や Slack へ確認しに行く必要もなくなりました。これで社内のスケジュール調整が格段に楽になりました。

outlook-schedule-assistant

Slack 連携では休みに応じてステータスを自動更新させることができます。休暇タイプに応じて🌴 有休 / 🤒 病欠 / ❌ その他 / 🏡 リモートワークが連携されます。(ステータステキストは Personio の固定)

slack-status-remote-work

ただし Slack / Outlook ユーザであれば、こちらの連携設定をすることで Personio で自動的にカレンダーに入った Out of office が Slack ステータスにも反映されるようになります。

Slack 連携では、社員の休みや記念日を毎日特定のチャンネルへ通知することも可能です。

まとめ

勤怠・休暇まわりは、Personio へ乗り換えて「入力前のルール警告」「柔軟な承認フロー」「休暇のチーム共有・外部連携」がとても良くなりました。

一方で、締め(過去変更の防ぎやすさ)や半休・代休の扱いなど、Timetac の方が優れていた点も正直にあります。

自社の運用で何を重視するかで評価が分かれる部分ですが、弊社としては Personio の不足部分は運用で賄えており、細々とした手動作業が激減していることのメリットの方が強く感じています。

次回(第3回)は、この承認フローや通知をどう自動化しているかを掘り下げます。


クラスメソッド・ヨーロッパでは、欧州拠点のバックオフィス運用・システム選定を、自社の実運用知見をもとにご支援しています。お気軽にご相談ください。

https://www.classmethod.de

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