自他の力を引き出し、ロスを減らす強い武器としての質問する力

こんにちは。人事グループ・組織開発室に所属し、組織開発を担当しているてぃーびーです。

仕事において、質問は様々な場面で必要となります。曖昧な表現や分からない用語を含んだ説明を受けたとき。意図や目的を確認したいとき。気づきを促したいとき。

この記事では、質問する力とその重要性、質問の種類についてまとめます。

質問する力

質問力とは、状況に応じて適切な問いを立て、相手の思考を引き出し、対話を深める力です。質問する力は課題解決・情報収集・相互理解・意思決定・創造的思考・学習支援・関係構築など、あらゆるビジネスシーンで重要な基礎スキルです。

質問する力の重要性

質問する力は以下のような点において重要です。

重要な点	内容
情報を引き出す	相手の考え、意図、詳細など、こちらから引き出さないと得られなかった情報を得ることができます
気づきを促す	質問を通して相手が自分だけでは気づかなかった視点や考え方に気づくことを促すことができます
状況を把握する	仕事でやりとりする関係者と齟齬なくやりとりすることで、状況を正しく把握することができます
信頼関係	相手に対する興味や関心を示す問いかけは、信頼関係の構築に寄与します

質問が具体的な成果につながる例

追加の情報を引き出す例

Aさんが「このシステムは使いにくいです」と話したとき、Bさんは「どの画面のどの部分ですか？」と質問し、場所が分かったら今度は「どのように使いにくいのでしょうか？」と質問したとします。これによって、使いにくくなっている具体的な場所とその理由を知ることができます。

質問をしなかった場合、システムが使いにくいという大まかな情報だけで、どこのことなのか分かりませんし、本当に問題なのかどうかもわからないままになります。

相手の気づきを促す例

Aさんがチーム内に同じ専門領域について相談できる相手がいないことに困っているときに、Bさんが「チームにはいそうですか？」と質問することで、相手により広い選択肢を促すことができます。結果として、チーム外や社外の相談相手を思いつくかもしれません。

質問をしなかった場合、「相談相手といえばチーム内」という固定の視点から抜け出せず、チーム外や社外の相談相手の存在を見逃すかもしれません。

質問の種類

質問には以下のような種類があります。

質問の種類	内容	例
オープンクエスチョン	「はい／いいえ」で答えられない、自由に答えられる質問	「なぜそう考えましたか？」
クローズドクエスチョン	「はい／いいえ」や選択肢で答えられる質問	「これは完了しましたか？」
チャンクアップを促す質問	抽象度を上げる質問	「それはそもそも何のため？」
チャンクダウンを促す質問	具体度を上げる質問	「具体的にはどのような場面ですか？」
事実質問	5W1Hなど事実を引き出す質問	「それはいつの話ですか？」
確認会話	相手の話した意味を確認するような質問	「あの人というのは田中さんことですよね」

なお、質問をする上でリフレーミングを考慮すると円滑なやりとりにつながりやすくなります。質問の仕方によって、相手の考え方や感じ方が変わるためです。たとえば、「なぜ失敗したのか？」ではなく「どうすれば次はうまくいくか？」と問う方法です。これは、相手との関係性や相手の性格にもよります。直接的に失敗について聞いても大丈夫な相手もいれば、あくまで次に向けた発展的な内容として確認したほうが相手の感情を揺さぶらずに必要な情報を引き出せる場合もあります。

質問する力の補助効果。

質問する力が高まることで、他者の質問の意図を理解する力も向上します。

理由として2つのポイントがあります。

1. 会話の要素への理解が深まる
2. 文脈と目的を読む習慣がつく

1. 会話の要素への理解が深まる

自分が良い質問をするためには、目的・意図・ゴール・登場人物・時間など、会話の要素を意識する必要があります。質問を繰り返す経験を通して他者の質問にも「なぜこの聞き方をしたのか？」「何を引き出そうとしているのか？」という視点で向き合う力を育てます。

2. 文脈を読む習慣がつく

質問する力が強い人は、表面的な言葉よりも「目的・背景・関係性・状況」といった文脈を踏まえ、伝えたい内容やその背景を推測します。文脈を踏まえた質問を繰り返すことで、自分が質問される場合も「この質問は本当に情報を聞きたいのか？確認か？誘導か？」といった意図や目的を察する力が強化されます。

問いを立てる力

良い質問をするには問いを立てる力が必要です。

問いを立てる力	内容	例
目的意識	問いの目的を明確にする力	なし
論理的思考力	因果関係・前提・仮説をもとに問いを構成する力	「この前提が正しいなら、次に問うべきは何か？」
視点の切り替え	相手や第三者、未来や全体など、視点を変えて問う力	「施策Aを実施した場合、どのような結果になると思いますか？」
抽象化と具体化の往復	抽象度を上げ下げしながら、適切な粒度で問う力	「それって、より上位の目的にすると何？」「具体例は？」
仮説思考	前提を置き、仮にこうならどうか？と探る力	「もし、あなたが責任者だったらどのように業務を進めますか？」
好奇心・探究心	もっと知りたい、根本を見たい、なぜにこだわる姿勢	「なぜそれが重要なのか？」「それはどこから始まったのか？」

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