ドメインのRoute 53での取得、SESでの承認、SESでのメール送信上限の緩和およびSandbox制限の解除をしてみた
こんにちは、CX事業本部の若槻です。
AWSのメール送受信機能であるAmazon SESでは、利用を開始した時点ではメール送信に関して次のような制限が適用されています。
- Sandbox制限:E メールの送信先は、検証済み E メールアドレスおよびドメイン、または Amazon SES メールボックスシミュレーターのみ
- 送信クォータ:最大で 24 時間あたり 200 メッセージ
- 送信レート:最大で 1 秒あたり 1 メッセージ
これらの制限は、AWSサポートへの申請を行うことにより、1.のSandbox制限を解除し、2.および3.の上限を緩和することが可能です。
そこで今回は、AWSでドメインのRoute 53での取得、SESへの登録した上で、SESでのメール送信上限の緩和およびSandbox制限の解除を実際に行ってみました。
やってみた
ドメインのRoute 53への登録
今回はRoute 53でドメインを新規取得して登録します。
Route 53のコンソールを開き、[ドメイン登録]をクリック。
テキスト入力と選択ボックスにより取得したいドメイン名を指定。
ドメイン名を指定したら[チェック]をクリック。
指定したドメインの使用可否が示される。ステータスが利用可能
であれば[カートに入れる]をクリック。
ショッピングカートの内容を確認し、[続行]をクリック。
ドメインの連絡先を入力して、[続行]をクリック。(既定で登録者
、管理者
、技術担当者
の連絡先はすべて同じとなる)
ドメインの登録期間、自動更新の可否を指定し、規約の同意をチェックしたら、[注文を完了]をクリック。
ドメインの注文が送信された旨のダイアログが表示されました。
[ドメインに移動]をクリック。
ドメインの登録の完了にはメールアドレスによる連絡先の承認が必要のため、保留中のリクエストの一覧にドメインの登録 が進行中
というステータスで登録されています。
登録申請から間もなくして、連絡先に指定したメールアドレス宛にRoute 53からVerification of your contact data
というタイトルで次のようなメールが届きます。文中のURLリンクを開きます。
次のようなページが開けば連絡先が承認されたため、ドメインの登録は完了です。
[登録済みドメイン]一覧に登録したドメインが表示されています。
[ホストゾーン]の一覧には登録したドメインのホストゾーンが確認できます。[ドメイン名]をクリックします。
必須となるNSレコードとSOAレコードの2つが登録されています。
これでRoute 53でのドメインの登録ができました。
ドメインのSESでの承認
次にRoute 53に登録したドメインをSESで承認してメールの送受信に利用できるようにします。
SESのコンソールを開き、[Domains]で[Verify a New Domain]をクリック。
ダイアログで[Domain:]にRoute 53で登録したドメインを指定し、[Verify This Domain]をクリック。
SESがドメインを承認するためのTXTレコードと、メールを受信するためのMXレコードのDNSへの登録を求められます。今回はRoute 53に登録したドメインおよびホストゾーンを使うので[Use Route 53]をクリック。
[Dpmain Veritifization Record]、[Email Receiving Record]、[Hosted Zones]にチェックが入っていることを確認し、[Create Record Sets]をクリック。
[Domains]にドメインが、[Verification Status]がpending verification
、[Enabled for Sending]がNo
で登録された状態となります。
Route 53側で該当ドメインのホストゾーン詳細を見ると、先ほどのTXTおよびMXレコードが登録されています。
数分すると、SES側で当該ドメインの[Verification Status]がverified
、[Enabled for Sending]がYes
となりました。
現在のSESアカウントの状況の確認
ここで現在のSESアカウントの状況の確認のために、SESからのメール送信の検証をしてみます。
ドメインを選択し、[Send a Test Email]をクリック。
ダイアログで[From]と[To]に当該ドメインの任意のメールアドレスを指定し、[Subject]と[Body]を適当に指定して[Send Test Email]をクリック。
ダイアログが何もなく閉じれば送信は正常に完了しています。
次に、[From]は先ほどと同じ当該ドメインの任意のアドレスのまま、[To]に外部ドメインのメールアドレスを指定します。[Send Test Email]をクリック。
するとEmail address is not verified. The following identities failed the check in region <リージョン名>
という警告が表示されて送信が失敗します。これは現在のSESアカウントにSandbox
制限が適用されていることによる動作となります。
[Sending Statistics]を開くと、現在の[Production Access]がSandbox
であり、かつ、[Sending Quota]がsend 200 emails per 24 hour period
、[Max Send Rate]が1 email/second
と送信上限も低くなっていることが分かります。
ちなみに、この[Sending Statistics]からはメールの送信数上限や送受信のメトリクスを確認することもできます。送信成功した場合は[Your Amazon SES Sending Limits]と[Deliveries]に送信数が記録されます。送信失敗した場合は[Bounces]に反映されます。
詳細はドキュメントを参照ください。
SESのメール送信上限緩和およびSandbox制限の解除
SESの送信上限緩和およびSandbox制限の解除の申請を行います。
[Sending Statistics]ページで[Additional Information]の[Request Increased Sending Limits]をクリックします。
AWSのサポートセンターのページで、サポート種類にService limit increase
、Limit typeにSES 送信制限
が選択された状態でケース作成画面が開きます。
今回はケースの申請フォームを次のように入力しました。
- Case description
- メールの種類:
トランザクション
- 他には
その他
、サブスクリプション
、システム通知
、マーケティング
が選択可能
- 他には
- ウェブサイトのURL:今回登録したドメイン名
- AWSサービス条件とAUPを遵守しますか?:
はい
- メールの種類:
- Requests(Request 1)
- リージョン:
Asia Pacific(Tokyo)
- Limit:
希望する一日あたりの送信クォータ
- 他には
希望する最大送信レート
が選択可能
- 他には
- New limit value:
1000
- リージョン:
- Case description
- Use case description:
WEBサービスでSESによるトランザクションメールの送信を実装するために制限解除を申請いたします。
- Use case description:
- Contact options
- Preferred contact language:
日本語
- Preferred contact language:
フォームを入力したら[Submit]をクリックしてケースを作成します。
ケースが作成されました。
翌日には次のような送信制限がメールがAWSサポートから届きました。送信制限が1日あたり50000件、最大送信レートが1秒あたり14メッセージまで緩和され、SESアカウントがSandboxから移動されたとのことです。
SESコンソールの[Sending Statistics]ページにアクセスすると、[Production Access]はEnabled
となり、[Sending Quota]と[Max Send Rate]ものサポートメールの通りに緩和されています。
外部ドメインのアドレスに対してテストメールを送信してみます。
今度は宛先のアドレスでメールが受信できました。
これでSESの送信上限緩和およびSandbox制限の解除ができました。
おわりに
AWSでドメインのRoute 53での取得、SESへの登録した上で、SESでのメール送信上限の緩和およびSandbox制限の解除を実際に行ってみました。
システムでSESによるメール送信を行うことが決まっている場合は早めに行っておきたいですね。
参考
以上