これからは「データリーダー」がビジネスリーダーとして指揮を執る時代に – Looker: BEACON Japan 2020 基調講演レポート #BeaconJapan

2020.09.07

Looker社によるロードマップ、顧客事例、パートナー企業によるセッションが堪能出来るデジタルイベント『BEACON Japan 2020』が2020年09月03日から2020年09月24日までの毎週木曜日、計4日間に渡り開催されています。

当エントリでは、その中から2020年09月03日に発表された「基調講演」のレポートをお届けします。

目次

 

セッション概要

公式ページで紹介されているセッションの概要情報は以下の通りです。

基調講演

登壇者:
・Pedro Arellano - Product Marketing Director, Looker/Google Cloud

 

セッションレポート

ここからは、当日に公開されたセッションの内容についてレポートします。


※イベントのセッション動画については、当日発表後の資料についてはメール経由で情報にアクセスすることが可能です。イベント登録がまだ済んでいないという場合でも、下記サイトから登録することでイベントの発表済セッションの動画を閲覧する事が可能です。見たいセッションが含まれている回を選択(というか全て選択してしまいましょう!)し、登録を済ませてください。


 

Looker社の世界展開状況

Lookerの理念はスマートなデータの活用で人々をサポートすること、です。これはGoogleの掲げるミッションと完全に一致します。更にLookerとGCPは「マルチクラウドへの投資」にも取り組んでいます。

Looker製品の現在の状況。5000人以上の開発者がLookerプラットフォームで開発を行い、世界中で2000を超える企業がLookerを利用しています。企業の規模や属性は問いません。ここで大事なのは利用されているお客様の半数が、従来のBIを超えたデータ処理を行っているという点です。

 

Lookerの成功トレンド その1: 「誰もがデータを必要としている」状況である

ここからは、現在の変化とLookerの成功に大きく関わっている「3つのトレンド」について取り上げたいと思います。

まず1つめのトレンドは「誰もがデータを必要としている」ということ。組織のあらゆる人々が、データからメリットを得ています。

下記はIDCの調査報告書です。世界中のデータは2025年までに175ゼタバイトにまで増える見込みとなっています。この様なデータの急増にはデータ需要の高まりも影響しています。

データの需要を生み出しているのは、「データを必要としている社員の存在」です。以下のような職種は、10年前には存在していませんでした。これら職務の目的は「データを処理し、組織内に提供する」ことです。データなしには機能し得ない職種も多くあります。定量的なマーケティング、DevOpsエンジニア、データドリブンなプロジェクトマネージャーなどです。10年前であればデータの重要性やデータがどれほど革新をもたらすかについて役員を説得しなければなりませんでした。

しかし今は、データの需要が非常に大きくなり、以下のような職種が登場する時代となっています。デジタルマーケターは自動化されたBotを使ってオンライン広告の予算を広告パフォーマンスによって調整し、予算をより効果的に管理出来るようになりました。プロダクトマネージャーは製品の利用状況を詳細に把握することで時間を掛けて開発すべき部分を理解し、ビジネスチャンスの拡大を狙うことが出来ます。

データの需要は高まってきているとはいえ、現在でも未だに66%の企業がスプレッドシートを使ってのデータ分析を行っている状況でもあります。これは組織の人々にデータを提供する最善の方法なのでしょうか?

 

Lookerの成功トレンド その2: 「SaaSビジネスと一般消費者向けアプリケーションの急増」

2つ目のトレンドは「SaaSビジネスと一般消費者向けアプリケーションが急増した」という点。これによりデータ量が大幅に増加し、人々にデータを提供するための新たな方法も生み出されていきました。我々は1日の仕事を朝のGmailとGoogleカレンダーの確認から始め、Google Chatでチームにメッセージを送信、プレゼンやメモをGoogleドキュメントやGoogleスライドで作成・確認...という形でSaaSとは切っても切れない形で過ごしています。全てのアプリケーションはデータを生成し、処理し、提供してくれます。

Lookerチームでは、40個以上のSaaSアプリケーションを業務で扱います。またエンタープライズ企業では平均して1000個以上のSaaSアプリケーションを使い、毎年その数は増えています。これらのアプリケーションはユーザーの操作を減らしデータ分析や洞察を得る際にデータの処理操作を快適かつ容易にしてくれますが、一方でアプリケーションそれぞれは「1つの用途にだけ特化した」製品が多いという問題もあります。それぞれの用途には便利ですが、それぞれが孤立した形になっているのです。これは、データそれぞれを連結して見ることで得られる洞察やチャンスを逃してしまうことにもなります。

あらゆる部署が独自のSaaSアプリケーションを使うことで、部署毎に孤立したデータが組織に散在してしまいます。各部署に孤立した「データサイロ」があり、それぞれが分断してしまっています。本来は組織全体で共有すべき重要なビジネス指標やKPIについての理解がバラバラになってしまう可能性も増すことでしょう。これは大きな問題です。データを結びつけることで業務の運用状況をより深く理解し、全体像を俯瞰することが出来るようになります。

この問題は今後ますます厳しく・難しくなってきます。IDCによると、今後3年で5億もの新しいビジネスアプリが作成されるとの予測が立っています。現時点でデータを整理するのが難しいというのであれば、この問題は更に深刻化し、スピードも加速してしまうことでしょう。

ではどうすれば良いのでしょうか。変化が必要です。Forresterによると、構造化データの8割以上が分析されていないのだそうです。これは実に深刻な状況です。これでは貴重なインサイトを逃し、データを結びつけることで得られるメリットを失う事になります。

 

Lookerの成功トレンド その3: 「データインフラの急速な進化」

しかしながら望みはあります。それが3つ目のトレンド「データインフラの急速な進化」です。

データエンジニアリング技術はここ数年で劇的に進歩しました。また分析のレベルや達成可能な分析の技術に関しても、合わせて向上しています。

このような変化には3つの「柱」が関係しています。1つ目の柱は「最新のクラウドデータベース」。BigQueryやSnowflake、Redshiftなどです。大規模かつ高速のデータベースであり、大量のデータを保存、低コストでクエリを実行出来ます。パフォーマンスも向上し、機械学習サービス等との連携でインサイトを生成、データベースと連携します。

2つ目は、最新のクラウドデータベースにデータを保存し、そのデータを新しいアプローチで統合・準備・管理することが出来ます。このアプローチは従来の物理的なデータ抽出に依存せずデータをすぐに変換出来ます。ELTと呼ばれるこのアプローチではデータのエコシステムの管理をシンプルかつ柔軟・アジャイルに行えます。重要な点として、新しいELTのアプローチをデータエンジニアリングで実現するのはますます重要になっているモデル化されたデータです。これはどういう意味でしょうか?セマンティックモデルを利用して企業データ全てを記述し、全てのビジネスロジックを定義するのです。

LookerではLookMLと呼ばれる技術を使いセマンティック(正しく意味付けがなされた)モデリングを行います。LookMLの強みは共同作業に適していることです。数十から数百人のデータエンジニアが連携し、同じセマンティックモデルを処理出来ます。まさに「データチーム」が実現し、データエンジニアが大規模に共同作業を行えるようになります。

これらのクラウドテクノロジーはすぐに導入可能です。下記の図はLookerの顧客ベースでの様々なデータベース技術の成長を示しています。従来のデータベース技術としてはPostgreSQLやMySQLなどがあり、最新のデータプラットフォームのBigQueryやSnowflakeなどには著しい成長が見られています。ガートナーによると、今後3年以内に既存データベースの75%がクラウド上でホストされるようになります。

クラウドの驚異的成長の主な理由としては、現在の規模のデータを活用し管理出来る点にあります。これら3つのトレンドを念頭に置きつつ、このセクションをまとめ、データにおける成功について考えてみましょう。

まず、データについては包括的で信頼出来るものでなければなりません。データプラットフォームが提供するデータは信頼出来るものでなければならないのです。社員が毎日使う大量のワークブックに一貫したビジネスロジックが無ければ社員はデータを信用出来ません。その結果、社員はデータの分析結果に納得できず、データについて生産的な話し合いをすることは出来なくなります。信頼を取り戻すには、一元化されたセマンティックな層が必要です。LookerのMLがその役割を果たします。LookMLを使うことで、主要なビジネスロジックを同じ定義で扱えます。

また、データは「ほぼリアルタイム」であるべきです。最新のクラウドデータベースはこれを実現しており、ほぼリアルタイム現状を分析可能です。そして、データは分析だけでなく運用目的でも活用する必要があります。行動を促す可能性をインサイトから引き出せるのです。現在の企業はデータを理解するだけでなく、何かを行うために行動を起こすため、データを活用しようとします。最終的に私達は、データからレポートや分析以上のものを得る必要があります。データを他のシステムや機器に活用することで社員の仕事を支援し、ビジネスを前進させるべきなのです。

 

データリーダー(Data Leader)が指揮を執る

前述3つのデータに関するトレンドにより、お客様が様々なデータエクスペリエンスを体験する多くの機会が生み出されています。また、データリーダーが企業の方向付けを行う機会も生まれています。

データリーダーの役割は何でしょうか?

データリーダーには様々な職種が含まれます。最高データ責任者、アナリスト責任者、ビジネス・インテリジェンスVP、データアナリスト、データエンジニア等です。

しかし"データ"や"分析"という言葉が付かない職種もあります。事業部門の管理者などです。組織のデータ戦略を作成する人は皆「データリーダー」なのです。肩書はともあれ、データの文化を創り上げ、これまでに無い方法で私生活や仕事にデータを取り入れる職務を行う人です。現代の企業では、先程挙げた様な職種の人達が企業や社員をリードしているのです。つまり現在のデータのリーダーシップはビジネスのリーダーシップであることを意味します。

ここで鍵となるのが「新しいデータ活用法を見つけること」。従来のビジネスインテリジェンスの概念に収まらない活用方法です。下記Forresterの言葉は成長をもたらす新しい経験や製品・サービスを生み出すため、トップ企業がどのようにデータについて考え、どのようにデータを活用しているかを示す言葉です。

"Insights-driven business haerness and implement digital insights strategically and at scale to drive growth and create differentiating experiences, products, and servives."
(インサイト主導のビジネスを展開し、デジタルインサイトを戦略的かつ規模的に実装することで、成長を促進し、差別化された体験、製品、サービスを生み出す。)

この言葉で注目すべきは、データの持つ価値について語っているものの、分析・レポート・ダッシュボード等に言及していない点です。なぜでしょうか。それは、データは単にレポートに表示するだけのものではないということです。チャートやグラフで分析するだけのものではないのです。データはあらゆる日常業務に取り込むことが出来ます。製品制作やマーケティングに利用したり、人々をスマートにして運用を最適化したり、新しい収入源を生み出したり出来ます。

お伝えしたいのは、従来のBIの幅を広げて新しい時代に活用しよう、ということです。現代は「データによって体験を作り出す時代」なのです。

では、データリーダーはどのようにすれば組織にこの変化を起こせるのでしょうか。まず、最新のデータ技術と現在利用している技術について考えます。提供している分析情報は社員に信頼されているか、ほぼリアルタイムに提供出来ているか。これが重要なのは、データ技術の状況を理解する事はデータリーダーに不可欠だからです。単に技術のレベルを維持するだけでなく、技術革新や最先端のソリューションを導入するためです。比較的新しい組織であれば、既にデジタル化やクラウド化が行われているかも知れません。長く運営されてきた企業で新しい技術の導入にやや消極的であるならば、デジタル変革に向けて動き出す必要があるでしょう。

どこからはじめたら良いでしょうか?まず1つの部署やチーム、プロジェクトを選んで技術や人材を投入しましょう。重要なのは、適切な活用法を見つけて進めていくことです。

次に、データを使った新しい体験をイメージします。データはもう分析するだけのものではありません。データを活用することでユーザーのストレスを減らし、業務のワークフローを加速し、優れた体験を顧客や社員に提供します。Looker創業者のLloyd Tabbは「優れたソフトウェアとは、共感を体現したものである」という強力な指針を掲げています。つまり、社員や顧客の仕事環境の現状に合わせること、信頼できるデータを既に利用され、信頼されているツールに取り込むことです。

最後に、皆さんの新しい役割について考えましょう。データリーダーは組織を方向付ける大きな影響力を持っています。デジタル変革を進める組織のどんな部分も、データを活用します。有能なデータ専門家は技術的な問題だけでなくビジネスの問題も解決します。データを使って新しい製品や新しい価値観を生み出し、大きな役割を果たします。これはLookerでもLookerの顧客にも当てはまることです。データリーダーはこの時代のビジネスリーダーであると言えます。

 

これからは「データオタク・データ通」が鍵を握る

これはつまり、ポジティブな意味で「データオタクの勝利」なのです。

データは様々な場面で生活、仕事、家庭に浸透しています。これらのデータエクスペリエンスを実現させたのは"データリーダー"です。エンジニアやアナリスト、データに詳しいマーケティングやセールス、製品担当、いわば「データオタク」です。

この傾向は、お客様の間にも見られています。多数の事例で「データ通」の人達が急速にキャリアアップしています。彼等が組織や顧客のために価値を生み出しているからです。こうした人達は、ほんの数年前までデータアナリストでしたが、今では雇用需要が高まり別の組織でビジネスリーダーとして重要な役目を担っています。

皆さんの前には今、大きな可能性が広がっています。会社と個人のキャリア、両方における可能性です。データはますます重要なものになっており、データの活用をリード出来る人材の需要は益々高まっていきます。

改めてまとめます。成功のための要素は以下3つです。

  • 1. データを必要とする社員や顧客基盤からの需要がかつてなく高まっていること、
  • 2. SaaSビジネスアプリケーションの増加によりデータが増え続けていること、
  • 3. データインフラが進化し、少し前まで想像出来なかったチャンスが生み出されていること

本日はご視聴頂き、ありがとうございました。

 

まとめ

という訳で、Looker: BEACON Japan 2020の基調講演レポートでした。

この話を聞くと、Lookerは昨今のデータ分析を取り巻く環境・流れに上手く合わせて進化発展してきているなぁ...というところを感じます。やはり「データガバナンス」に関する部分をLookMLで上手く対応してきているのは強みであるなぁ、とも改めて思いました。

また、イベント2日目となる2020年09月10日には、弊社クラスメソッドより玉井励 a.k.a.たまちゃんSnowflake社 松下正之氏と共に『DXに最適な分析ソリューション』というタイトルで登壇致します。当日は是非ともこちらのセッションをチェックして頂けますと幸いです。

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