内製化支援の事業を中の人視点で振り返る(2021年版)

2021.12.10

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CX事業本部 MAD事業部 内製化支援チームの阿部です。

内製化支援チームの発足から1年経ちました。事業としての初年度ということもあり、イベントが盛り沢山の一年となりました。うまくいったことばかりではありませんが楽しんで取り組んでいます。来年もやることは盛り沢山になるとは思いますが。

さて、2022年からもこの事業を良いものにしていくために、一度ここで事業を進めるためにやってきたことを振り返っておきましょう。私は今までのキャリアで事業の推進をメインにやってきたわけではないので手探りで進めている部分もありますが、何かの参考になれば幸いです。事業推進を専門にされている方はご笑覧ください。

内製化支援事業について

本題に移る前に、今回対象にしている事業を説明しておきましょう。今、私が担当しているのはこのサービスを展開する事業です。

内製化支援サービス

内製化支援サービスは、ITが事業のコアになる時代に合わせて技術のハンドリングをどうしていくか模索しているお客様のためのプロフェッショナルサービスです。技術組織づくりを中心に、目の前のプロジェクトだけではなく、今後の計画策定からお手伝いさせていただきます。

このサービスの立ち上げについては以下のブログや各種イベントでの登壇などでお話しました。

内製化支援サービスのコンセプトについて

内製化支援サービスの企画の発端からプレスリリースまででやったこと

内製化支援チーム18期所信表明

事業を進めるためにやったこと

立ち上げ期から考えるとちょうど一年が経過した今までの間で、事業を進めるために取り組んだことは以下です。

  • 事業目標を作る
  • 値付けをする
  • 数値を取得できるようにする
  • 登壇やセミナーで認知を広げる
  • 四半期ごとの振り返り

一つ一つ取り組んでいく上で思っていたことは、「とりあえず熱意」で事業を進めない、ということです。そのために、さまざまなアクションとその効果を可視化したいと思いました。

事業を進めるとなると金も人も、つまり経営リソースが動きます。他の事業でもバリューを出せる優秀なメンバーの時間を、まだ事業規模が見込めるかどうかもわからない領域に投資してもらうことになります。その投資に対して判断基準や健全性を示さずに熱意で押し切っていくのは少なくとも誠実な態度ではないと思いました。

ただし、裏付けに自信があるわけではなかったので、基本的には小さく見直す前提で進めました。わからないなりに言語化してみる、わからないところはわかるようにするために何を試すか仮置きしてみる、というスタンスで望んでいます。書き出してみてわかりましたが、事業ってわからないことが多すぎですね。始める前から怖くなりました。それをわかるようにしながら、なおかつ価値を届けて利益が出るようにする、というのは非常にタフな仕事だと思います。事業の責任を持たれている方々を尊敬します。

それでは一つ一つ何をやったか説明していきたいと思います。なお、具体的な数字に関わる部分についてはぼかして書きますので、その点についてはご了承いただきたく。

事業の数値目標を作る

最終的には売り上げ目標って話ですが、はじまったばかりの事業なので、達成することにコミットするというよりは運営上健全だと思われる状態を想定した数字をまず仮で計算しました。ビジネスモデルとしては人の稼働数でスタートしています。そのため、具体的には以下の二つの数字を想定して、それを一年というスパンで積み上げました。

  • 1案件あたりの稼働率
  • 一人当たりの同時支援数

一年というスパンでの積み上げは、事業の拡大の可能性(ここまで行きたい、という期待も含めて)を考慮してからチーム体制を逆算しました。どうしても採用ベースになってくるため、ジョインしてすぐに上記のパフォーマンスになることは想定していません。そのため、少しバッファを持った状態で積み上げをしています。

売り上げの具体的な数字は、これで出てきた数字に値付けの単価をかけることで算出できます。

値付けをする

さて、この数値目標が決まったら、あとはそれをベースに売り上げがどこまでいけるかを確認してみます。そのためには単価の値付けをする必要があります。値付けについては、年次の売り上げ目標からではなく以下のアプローチで決めました。

  • チームややり方の投資に使いたい稼働率を決める
  • 残りの稼働率でCX事業本部の開発単価と同じくらいになるようにする

このようにしたのは、まだ内製化支援というビジネスにおけるツール類がまだ整っているというわけではなく、我々としても今までの経験からまだまだ積み上げなければならないものがあるからです。それを積み上げて我々自身の仕事を洗練させつつ、実際の支援現場を通じた知見を得る必要があります。ただ、何に対して投資すべきか、というのも全てクリアになっているわけではありません。そして、両立を個人の頑張りに寄せるのではなく、チームのルールとしてまず投資幅を決めておいてその中で活動していきましょう、という流れで決めました。

また、CX事業本部の開発単価を意識したのは、現在この金額がCXで健全な事業推進の目安となっているからです。なので、想定した稼働率で一人当たり一月この額を売り上げることができるということを内製化支援事業としても目安としました。

そうやって単価を出してみた上で、クラスメソッド全体の他のサービスの価格とも比べてみて、サービスに感じていただける価値との乖離がないかどうかを確認して最終的に決めました。

数値を取得できるようにする

さて、最初の一年でどれだけ積み上げたいかが決まりました。目標は立てただけでは意味がありません。実際の事業活動とその結果を通じて、振り返りをしていくことで事業を成長させていくことで初めて意味がでてきます。そのためには、現在地がどうで、どれだけ目標に近づいているか、今後の見込みはどうなのかを計測する必要があります。

営業も含めた事業全体で行う活動を考えて、ある程度フェーズわけをして進んだお客様の数やリードタイムなどが計算できるようにしていきました。これはNotionのデータベースを利用しています。まずは基本的なビジネスの流れがスムーズなのかどうかを把握できるようにしよう、ということです。フェーズについては以下のように分けています。

  • プリセールス前
  • プリセールス中
  • 受注 or 失注
  • 案件対応中
  • 案件対応完了

これらの他に、サービスページなどのマスな資料説明だけでなく、お客様個別に提案する機会をいただけたかどうかを管理しています。

これからこの事業固有のものというのも出て来るかと思いますが、現状ではまだそこまでこの事業に対する知見を得られていません。なので、どの事業でもやるであろうベーシックなところにとどめています。その他の情報に関しては、Notionの各案件のページにまとめられるようにテンプレートを用意しました。

登壇やセミナーで認知を広げる

サービスについては3月23日にプレスリリースをして、その直後からありがたいことに様々なお問い合わせをいただきましたが、これだけで認知活動が十分だったと思ってはいません。それで仕事に困らないとなるほど甘くはないですね。プレスリリースとサービスページだけでは以下のように届かない、伝わらないということが出てきます。

  • そもそもメッセージ自体が届いていない
  • 私たちからのメッセージがうまく伝わらない

私たちからのメッセージが想定した課題を持っているお客様に伝わり、解決に取り組んでいけるようにしていくためにはサービスのコンセプトや背景を一緒に伝えていくことも必要だと思いました。そのため、今年は責務として登壇やコンセプトのブログの発信、セミナーなどの企画・実施を意識的に行いました。

  • Developers Summit Summer
  • DevelopersIO Decade
  • 日経XTech EXPO(スポンサーセッションとして)
  • Classmethod Showcase
  • SORACOM Tech Days
  • 自社セミナー3回
  • コンセプトのブログ3本

私から機会を取りに行ったものと、ありがたいことに機会をいただいたものの両方があります。個人としては、同じテーマについて繰り返しブラッシュアップして話していく、という点で新しい試みでした。

反省点としては、ちょっと闇雲にやりすぎた感があるところです。効果検証やメッセージに対するレスポンスなど仮説を持って取り組むべきだったのかな、とも思います。

四半期ごとの振り返り

目標を立てて活動をしたら、定期的なチェックをしましょう。というわけで四半期ごとに振り返りをしていくことにしました。ここについてはまだ私たち自身のフォーマットが固まっていないところです。9月の時点での振り返りは、先述の数値を見ながら所感を出し合い、次の四半期で何を変えていくかについて話をしました。

振り返りについてはまだまだ改善をする余地はあります。少しずつまとめていきたいと思ってます。

まとめと来年に向けて

改めて一年を振り返ってみると、様々な施策が「わからないからこその手探り」につきますね。もう少し無駄ない動きができなかったのかな、という後悔に近い反省もあります。事業を推進するという自分のミッションとそれに対する自身の専門性のなさに不甲斐なさを味わった一年でもありました。少なくとも学習はしたので、来年は今年よりも効率よく様々な施策を打てればと思います。

また、不満としては、事業に対する仮説検証のスピードが四半期スパンになってしまったことです。もっと仮説検証して事業に対する学びを得たかったです。ただ、私だけでこれに取り組む必要はない(事業進める人が一緒にやるべき)ので、来年はチームで仮説検証をもっと早いスパンで取り組むやり方を整えていきたいと思います。

私個人は非常に良い経験を高い密度でつめた一年でした。来年も内製化支援事業を進めていきますのでよろしくお願いいたします。