Zendesk Talk を利用して爆速でコールセンターを立ち上げてみた
弊社(クラスメソッド)メンバーズの AWS サポートでは外部の電話受付代行サービスを利用し 24x365 障害受付用途の緊急電話窓口を顧客へ提供しております。これを、Zendesk Talk と Amazon Polly を利用することで自分たちの要望に沿ったサービスが構築できないか検証してみました。なお、要件は以下のとおりです。
- 利用者の電話番号が記録されること
- 顧客の用件(音声)が録音できること
- 音声ガイダンスを差し替え可能なこと
- フリーダイヤルの電話番号を1つ発行できること
既に弊社ではヘルプデスクシステムとして Zendesk Support を利用しているため、Zendesk Talk というサービスの Lite プラン($0 1エージェント/月額)を追加することにより月々電話の使用料のみで要件を満たせることが分かりました。Zendesk の価格体系については、下記をご参照ください。
コールセンターを立ち上げてみた
まずはじめに、音声ガイダンスの音声ファイルを作成します。ここでは、Amazon Polly のテキスト読み上げ機能を利用し、音声ファイル(MP3)をダウンロードします。ダウンロードしたファイルは、後ほど利用します。
- Amazon Polly のコンソールにアクセスします - Amazon Polly - AWS Console
- プレーンテキストのテキストエリアにトークスクリプトを入力します
- 「音声を聴く」ボタンで試し聞きができます
- 「ダウンロード MP3」ボタンから、音声ファイルをダウンロードします
次に、Zendesk Talk 側の設定を行います。なお、この設定を実施するには Zendesk の管理者権限が必要です。そのため、実際に検証する場合は Zendesk 管理者に相談しましょう。
- 管理画面から チャネル > Talk を選択します。
-
Talkを有効にします
-
保存ボタンをクリックします
-
番号タブメニューから「番号を追加」ボタンをクリックします
-
電話番号を発行する国を選択します
-
電話番号の種類を選択し、利用可能な電話番号から希望する番号を選びます
(050 番号や 0800 番号が選択できるようです) -
選択した番号の確認画面が表示されます
-
利用者の住所情報を記入します
-
電話番号が発行されました
-
番号メニューで発行された電話番号が確認できます
-
メッセージタブメニューから「メッセージを追加」ボタンをクリックします
各項目の入力例や選択項目、作業概要は以下の表を参照してください。
項目 | 入力例や選択項目、作業概要 |
---|---|
メッセージ名 | 例)クラスメソッド緊急受付(Polly) |
メッセージのタイプ | ボイスメールを選択 |
メッセージの録音 | アップロードボタンをクリックして Amazon Polly で作成した音声ファイルをアップロード |
使用する電話番号 | 払い出された電話番号のトグルスイッチを有効化 |
最後に保存ボタンをクリックします
仕上げに、全ての電話をボイスメールとして受け付けるため下記の設定を行います。
- 設定タブメニューから「キューの最大サイズ」を 0 に変更し、設定を保存します。
準備完了です。Zendesk Talk で払い出された電話番号に対して電話してみると、先程 Amazon Polly で作成した音声ガイダンスが流れ、発信音の後にメッセージを残せることが確認できました。Zendesk Talk では、電話の受付を契機にチケットが自動で生成されます。
画像のモザイク部分は、発信元の電話番号になります。また、録音された音声データは、そのチケットの添付資料として自動付与されるため、この音声データをサポート担当者が確認しつつ、対応を進めていくことになります。
なお、履歴タブメニューを確認すると Zendesk Talk の利用実績データが確認できるようです。
運用を開始しデータが蓄積されれば、Zendesk Explore で解析できそうな気がします。
さいごに
Zendesk Talk と Amazon Polly を組み合わせることで、1時間も掛からずにコールセンターが開設できました。実際に電話オペレーターを用意することが可能であれば、ヘルプデスク(Zendesk Support)システム上で顧客と電話を利用したコミュニケーションが可能になります。本番運用を開始するためには、他にも色々な設定作業を実施する必要はありますが、スモールスタートのコールセンターとして必要十分な機能を有するサービスだなぁと感じました。次回は、「Amazon Connect と Lambda を利用した Alerting System を雑に作ってみた」という題材で記事にする予定です。
ではでは
P.S. 記事内に登場するフリーダイヤルの電話番号は、既に無効化されています。お電話をいただいても繋がりませんので、予めご了承ください。