
主体的な動きを促す前提となるビジネス理解
こんにちは。人事グループ・組織開発室に所属し、組織開発を担当しているてぃーびーです。
顧客価値の提供に向けて主体的に動くためには、前提としてビジネス理解が必要です。
必要な情報や経験を通して理解する機会が整備されていないと、メンバーの自主性や情報を探し出す嗅覚に依存することになります。運に任せず意図的に理解を促す取り組みが必要です。
ここでは、主体的な動きを促す前提となるビジネス理解についてまとめます。
主体的な動きとビジネス理解の関係
顧客への価値提供に向けて主体的な動きをするには、自分の業務がビジネス全体の中でどのような意味を持ち、誰にどんな価値を届けているのかを理解していることが不可欠です。そうした理解があるからこそ、指示待ちではなく目的に即した判断や工夫が可能になります。
また、担当範囲に閉じずに主体的に動くためには、ビジネスプロセス全体においてどのような部門・チーム・担当者が各工程を担当し、どのような役割をしているかを理解する必要があります。
ビジネス理解に必要な情報
ビジネス理解に必要な情報として、以下のようなものがあります。
種類 | 内容 |
---|---|
ビジネスプロセスの全体像 | マーケ→営業→受注→開発→納品→運用保守 等 |
ビジネスプロセスに対する役割 | どのプロセスをどの部門・チーム・担当者が受け持っているか |
ビジネスモデル | ターゲット、提供価値、販売経路等、競争力の源泉、コスト構造等 |
製品・サービス仕様 | 担当業務に関わる製品・サービスの仕様、機能、価格等 |
関連製品・サービス | 複数の製品やサービスがある場合、その関連やクロスセルの状況など |
顧客理解 | 顧客の目的、顧客の課題、業務ドメイン 等 |
方針理解 | 関わっているビジネスにおけるミッション、中長期目標、短期目標等 |
役割理解 | ビジネスの全体像における自分の部門、チーム、担当業務の役割に対する理解 |
ビジネス理解を促す方法
マネージャーやリーダーはメンバーのビジネス理解が進むようにインプットの機会を作ったり、経験を通して学ぶ機会を意図的に作る必要があります。
ビジネス理解を促す方法としては以下のようなものがあります。
取り組み | 概要 | 主な効果・目的 |
---|---|---|
ビジネス理解のための情報の文書化 | 事業構造、プロセス、提供価値、顧客像などを資料化し共有する | 全体像や前提知識をスムーズに理解できる土台づくり |
オンボーディングでのビジネス理解の支援 | 新規メンバー向けに、事業の背景・プロセス・用語などを説明 | 初期段階から目的意識を持ちやすくし、主体性を引き出す |
他チーム・他職種との交流(カジュアル) | チーム外の関係者とのランチ会、雑談会など | 視野拡大/関係性構築により、目的意識や他者視点が育まれる |
他チーム・他職種との協働(業務) | 連携プロジェクト・合同企画・クロスファンクショナルな業務 | 流れ全体の理解/自チームの役割と影響範囲の明確化 |
顧客とのコミュニケーション | 商談の同席、ユーザーインタビューなど | 顧客視点の理解が深まり、提供価値や目的への解像度が上がる |
事業責任者による定期的な方針共有 | 月次・四半期などで、事業戦略や背景を責任者が伝える | 事業全体の方向性と日常業務との接続を促進する |
目的の伝達 | 単なる作業依頼ではなく、目的を添えて伝えること | 単なる作業ではなく、目的を踏まえて価値を生み出すための一部をになっていることの理解を促す |
ポイント
ビジネス理解を促す際に、すべての関係者にすべてをインプットする必要はありません。
より大きな役割・責務を担う人により広い範囲の理解を促すのが費用対効果がよく、関係者の関心や動機に沿った促し方になります。
インプットが必要な情報と部門・チームにおける役割・立場ごとの関係を整理しておけるとよいでしょう。
取り組みの例
たとえば、現在人事としてサポートに入っている業務において、ビジネスプロセスの概要資料を作成したり、顧客価値の全体像に関する資料を作成し、説明する準備をしているところです。資料の仕上げの過程で一部の関係者に共有しつつ進めています。
また、自部門に関しては事業関連の部門ではありませんが、人事における組織開発が関わる業務の全体像の理解に向けて、オンボーディングで以下のような要素を組み込んでいます。
- 部門の Mission / Vision
- 業務の全体像
- 他部門との関わり
- 部内の役割と業務
- 現状の課題