同じ方向に進むために必要なコンテキストの理解

同じ方向に進むために必要なコンテキストの理解

この記事では、コンテキストの理解についてまとめます。
Clock Icon2025.05.30

こんにちは。人事グループ・組織開発室に所属し、組織開発を担当しているてぃーびーです。

「え、それって今やるべきことだった?」

チームで進めているプロジェクトでも、文脈の食い違いがあると、思わぬズレが生じます。背景や状況をどれだけ理解できているか。つまり、コンテキストの理解が鍵を握っています。また、マネージャーやリーダーなど主体的な行動を広い範囲で任せられる役割になってくると、コンテキストの理解がより重要になります。メンバーの頃よりも抽象度の高い曖昧なメッセージを受け取り、その意図を理解し、不足があれば確認した上で意図に沿った対応を自主的に行う必要があります。ここで状況とズレた意思決定をしていると広くなった責任範囲の分だけ大きなロスが発生します。

この記事では、コンテキストの理解についてまとめます。

コンテキストの理解とは?

コンテキストの理解とは、状況や文脈を正確に読み取り、その意味を適切に把握することです。たとえば、発言の背景、関係者の立場、場所やタイミングなどを踏まえて、言葉や行動の意図を理解する能力です。これにより、的確な対応や判断が可能になります。

コンテキストの理解に関わる要素

コンテキストの理解には以下のような要素があります。

分類 内容 具体例
人間関係 関係者の立場・関係性 上下関係、良好な関係、敵対関係、浅い関係など
時間 過去・現在・未来などの時間的背景 過去の経緯、未来の構想など
場所 物理的・社会的な場の情報 オンライン、オフライン、会議中、雑談、業務外等
組織文化 暗黙のルールや価値観 計画的で慎重な社風、スピード重視で試行錯誤する社風、上下関係が強い社風、フラットな社風
会話の流れ 前後のやりとり 「それは違うと思う」との発言が、何に対してかは前の発言を踏まえないと分からない
非言語情報 表情・声のトーン・沈黙など 無言だが賛同を表す頷きをしていたり、「はい」といっているが不満そうだったりなど
経験・知識 共通の経験や専門知識の有無 専門用語や知識が伝わる相手にはそれでよいが、伝わらない相手には一般的な説明にする必要がある

コンテキストを理解する重要性

コンテキストの理解が重要な理由には以下のような観点があります。

観点 説明 具体例
誤解の防止 文脈を踏まえずに言葉や行動を受け取ると、意図と違う解釈をしやすくなる 「検討します」と言われたが、実際は事実上の却下だった
適切な対応 状況や相手の立場を理解することで、より適切な行動や判断ができる 忙しそうな相手に報告する際、要点を絞って簡潔に伝える
信頼関係の構築 文脈を理解したうえで共感や配慮を示すことで、信頼を得やすくなる チームメンバーの背景を理解し、負荷の高い時期にはサポートを申し出る
意思決定の質 状況を捉えることで、より納得感のある判断ができる 単なる数値だけでなく、顧客や現場の状況も加味して改善策を提案する
コミュニケーション力の向上 会話や報告の意図を正しく理解し、やりとりがスムーズになる 要望の裏にある「本当に困っていること」を察知して提案できる

コンテキストの理解力を高めるための取り組み

自分のコンテキストの理解を強化するための取り組みを紹介します。

取り組み 内容 具体例
相手に関心を持つ 相手の立場・背景・価値観を知ろうとする姿勢 相手がなぜその発言をしたのかを考える、過去のやりとりを振り返る
確認を習慣化する 曖昧な部分は想像で判断せず、適切に聞く 「この"対応"というのは具体的にどういうことを想定されていますか?」
前提・背景情報を集める 会話や依頼の前に状況や目的を調べておく 提案する前に、部署のミッション・最近のトピック・過去の経緯を確認する
視座・視点を切り替える 自分の視点だけでなく、相手・第三者・上位者の立場でも考える 「この報告は上司が意思決定するには十分な情報か?」と自問する
フィードバックをもらう 自分の解釈が正しかったかを検証する 「さっきのやりとり、認識合ってましたか?」と確認してズレを修正する
過去の事例から学ぶ 成功・失敗したやりとりの背景や文脈を振り返り、パターンをつかむ 過去に提案が通った、通らなかった理由を事後分析する

コンテキストの理解を支える取り組みの具体例

人事グループや組織開発室や私個人で行っている以下のような取り組みは自分のコンテキスト理解の強化やチームのコンテキストの共有に役立っています。

取り組み 内容 コンテキスト理解に役立つ部分
デイリーミーティング 共有事項のお知らせ、タスクの進捗状況の確認、担当タスクに関わる相談をする場 組織の状況の変化や各自の状況を共有できる
週次レビュー 1週間の取り組みの成果をチームで確認している。メンバーだけではなく、マネージャーの取り組みも共有している マネージャーはメンバーの状況を把握し、メンバーはマネージャーの状況を把握できる
週次レトロスペクティブ 週次のふりかえりをKPT形式で実施している チームメンバーそれぞれの取り組みのうまくいった部分や課題を共有できる
チームの Value Talk チームでValueとして掲げている要素について、輪番でエピソードを話し合う チーム文化に対する理解度を揃える
人事グループマネージャーの Value Talk 人事マネージャーの定例で人事グループ全体の方針について、輪番でエピソードを話し合う 人事マネージャーとしての重要な目線を揃える
輪読会 チームの業務に関わる書籍の輪読会をしている 共通で把握しておきたい知識を一緒に学び、共有できる
定期1on1 メンバーの目標に向けた取り組み、キャリアや成長の支援や壁打ち メンバーの課題感や進展を把握できる
他部門交流 毎週必ず他部門の人とのやりとりを設定する 部外と情報を交換できる。社内の状況を把握できる範囲が広がる
人事月報会 人事グループの各3部門の1ヶ月の取り組みをそれぞれ共有し、質疑応答をする 普段一緒に仕事をしていない人事の他部門の状況を共有できる
人事室長1on1 人事グループの3部門の室長それぞれがお互いの1on1を定期的に実施している 人事グループの部門をまたいだ状況について継続的に共有できる
隔月の人事コンサル相談 経営陣の一部と人事室長で組織課題について社外の人事コンサルタントに相談をする 組織課題の整理や解決に向けた相談をしつつ、課題について経営と人事で共有できる

関連情報

Share this article

facebook logohatena logotwitter logo

© Classmethod, Inc. All rights reserved.