#tc18 [レポート] Tableau Serverのクラウド移行ベストプラクティス – Tableau Conference 2018 at New Orleans

Tableauにもクラウドの波が押し寄せる
2018.11.08

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目次

セッション概要

当セッションの概要は以下の通りです。

<セッションタイトル> Best Practices for Migrating to the Cloud (Tableau Serverのクラウド移行ベストプラクティス)</br/> <講師> Vaidy Krishnan, Tableau Riley Maris, Tableau Rob Walker, Iowa Department of Public Health

<レベル> Advanced

<セッション概要> Are you considering migrating your data to the public cloud? Have you wondered about the implications for your business intelligence strategy? In this session, we will cover best practices from creating a foundation, all the way up to optimizing for performance and scale. We will also present several customer examples that demonstrate a successful transition to the cloud. (データをパブリッククラウドに移行することを検討していますか? あなたのビジネスインテリジェンス戦略への影響について疑問に思いましたか? このセッションでは、パフォーマンスと規模の最適化まで、ベストプラクティスを基盤の作成部分から取り上げます。 また、クラウドへの移行が成功した例をいくつか紹介します。)

セッションレポート

「クラウド」の今日の状況を理解する

パブリッククラウド

  • モルガン・スタンレーの調査
  • 75人のCIOにインタビュー
  • アプリケーションを実行している環境について
  • アメリカとヨーロッパの企業25社
  • オンプレは減少傾向
  • パブリッククラウドは増加傾向

2021年にはパブリッククラウド環境が今の2倍以上になると予想されています。

Tableau Serverとパブリッククラウド

現在、(すべての)導入されているTableau Serverのうち、26%がパブリッククラウドで動いています。

組織がクラウドに移行する理由

  • 運用コスト
  • 社員の生産性
  • スケーラビリティ
  • 操作上の復元力
  • ビジネスの敏捷性

Tableau Serverをパブリッシュクラウド上に導入している企業の一部です(名だたる企業が勢揃いしていますね)。

移行のフレームワーク

6つのR

マイグレートの移行戦略として「6つのR」というものがあります。6つの移行戦略には対応するクリエイティブがあります。ビジネスの複雑さのレベルを考えると、プロジェクトにはそれなりの時間が必要です。ビジネスリスクのポートフォリオと、判断を下す速さに応じて、プロジェクトを実行するコスト及び関連するコストを考慮します。

(「6つのR」の詳細な説明は下記にあります。)

再ホスト

  • 大規模なレガシー移行に最適
  • 最小限の変換作業
  • 費用効果が高いが、クラウドネイティブ機能を活用していない

再プラットフォーム化

  • 「リフト、手直し、シフト」
  • Tableauとそのサポート環境の最適化が必要

再購入

  • アップグレード(別製品への移行)
  • クラウドネイティブのテクノロジを採用する

リファクタリング/再設計

  • クラウドネイティブ機能を活用するための再構築
  • モノリシック/レガシーな環境からサーバーレス環境に移行
  • リソースと時間を要する

  • 保持

  • クラウドが適切なものではないと判断された場合、オンプレでの運用に最適化する

  • リタイア

下記に該当する場合はマイグレーション自体を取り止めることになります。

  • マイグレーションに値するものではない、と判断した場合
  • コストの削減にならない、と判断した場合
  • 貴重なリソースを削ることになる場合
  • そもそもシステムを閉鎖する場合

そもそもマイグレートとは何か

コンテンツをマイグレートするツール

Tabcmdが一番簡単ですが、マイグレートするものによってはREST APIを用いてスクリプトを開発したり、その他ツールを活用する必要があります。

どのように目標を最適化するか

マイグレートの予行練習をする時には、回帰テストが必要です。これまで使用していたものはすべて、作業の継続や改善が必要です。これらには、アクセスの保護と管理、データの品質と信頼性、一貫したユーザーエクスペリエンス、パフォーマンス、スケーラビリティなどが含まれます。また、マイグレートを行う前にQAプロセスを実行する必要があることを忘れないでください。

  • アクセスの保護と管理
  • 適切なデータを安全に統制された運用モデルで適切なユーザーに提供する
  • データの品質と信頼性
  • ファクトベースの決定は、良質なデータで行われる
  • 一貫したユーザーエクスペリエンス
  • 容易に参照できる形式でプロセスを文書化する(透明性を保ち、すべてが理解できるように)
  • パフォーマンスとスケーラビリティ
  • ガバナンスプロセスを通じてデータとコンテンツの拡散を削減する。

アイオワ州保健局のベストプラクティス

TableauとAWSを使っている場所

移行前のTableau Serverまわりの環境はこのようになっています。事務所の地下にあるデータセンターにサーバーがあります。これらをAWSにマイグレーションしました。

AWSプレマイグレーション

Tableau Serverだけでなく、アイオワ州保健局のポータルサイトも一緒に移行する計画でした。

現行で動いているアプリケーションは情報管理されていませんでした。そのため、約50ある稼働中のアプリケーションを、移行難易度別に色分けしました。レッドに指定されているものは、移行前にアップグレード又は交換する必要があるものです。80年代半ばに開発されたDOSベースのアプリケーション等があり、これの移行には時間と費用がかかります。イエローに指定されたものは、アップグレードさえすれば移行可能と判断されたものです。例として「毒」に関するDB(実体はMS Access)がありましたが、これはアップグレードして「グリーン」となりました。グリーンのものはそのまま移行できるアプリケーションです。

独立レビュー

次はデータサーバーとアプリケーションを独立してレビューしました。各アプリケーションのメモリ使用量や入出力要件を調べました。

ここまで順調に進捗していたので、プロジェクトのさらなるスピードアップのために、外注業者を使用しました。しかし、コミュニケーションがなかなか思うようにいきませんでした。

導入

導入作業の最も重要なフェーズは、土台の構築(インフラストラクチャ、ネットワーク、セキュリティ)です。土台の構築が終われば、後はコンテンツの移行を行います。26のデータ接続、242のワークブック(964のワークシート)を移行しました。私たちは、SAS、SPSS、Rを扱うデータマートを持っており、さまざまなデータ分析と統計計算を行うため、それらを使用するシステムを優先的に移行しました。

この環境では、機密医療情報(PHI)を扱っています。懸念事項は、AWSに移行することでクラウド内のすべての情報をどのように処理するかです。すべてのデータを継続的にスキャンし、PHIを確認して、通常のプロセスで取得した場合は、アプリ内で暗号化されるか、またはCJIS認定を取得したAWSに保存されるようにしています。

クラウドへ移行したことの重要なメリットの1つは、ダウンタイムがないことです。我々はもう物理的なマシンを維持する必要はありません。サーバーを再起動する必要はありません。これにより、時間と費用が節約されます。私たちはもうインフラストラクチャを置き換える必要はありません。これまで、ハードウェアを維持するために3〜5年ごとに大幅なコストを支払っていました。今は、私たちは通常、毎年一律の資金を支払っています。

このプロジェクトは2年前から始まりました。CIOとの手続きや承認で時間がかかったのは確かです、私達は今、少しづつ社内コミュニケーションを改善していっています。部署単独でTableauとAWSを契約したりしています。

リソース

「移行」プロジェクトの時に押さえるべきポイントのまとめです。

まとめ

オンプレ環境にあるTableau Serverを、クラウド環境へ移行する時のベストプラクティスに関する話でした。内容にあった通り、各アプリケーションのパブリッククラウドへの移行は年々進んできており、Tableau Serverも例外ではありません。もし移行を検討している場合、このセッションのベストプラクティスを参考に、スムーズなマイグレーションができるよう早期計画をしておきたいところですね。

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