[アップデート] Amazon Redshift の rg.large インスタンスがシングルノードクラスターをサポートしました
クラウド事業統括本部の石川です。AWS Graviton プロセッサを搭載した Amazon Redshift の rg.large インスタンスが、シングルノードクラスターに対応しました。
これまで RG インスタンスは 2 ノード以上の構成が必要でしたが、1 ノードでクラスターを作成できるようになったため、高可用性を必要としない検証環境や PoC(概念実証)をより低コストで用意できます。
Amazon Redshift RG インスタンスとは
2026 年 5 月に一般提供が開始された、AWS Graviton プロセッサベースの Amazon Redshift プロビジョンドクラスター向けノードタイプです。前世代の RA3 インスタンスと比較して、データウェアハウスとデータレイクのワークロードを最大 2.4 倍高速に処理し、vCPU あたりの価格は 30% 低く抑えられています。
RG インスタンスの大きな特徴は、Amazon Redshift が独自に構築したベクトル化データレイククエリエンジン(vectorized data lake query engine)を内蔵している点です。Apache Iceberg や Parquet のデータをクラスターのコンピュートノード上で直接処理するため、データウェアハウスとデータレイクにまたがる SQL 分析を単一のエンジンで実行できます。
アップデート内容
主な変更点は以下のとおりです。
- rg.large インスタンスでシングルノード(1 ノード)のクラスターを作成できるようになりました
- シングルノードの rg.large は、P204 以降のパッチバージョンで利用できます
- 高可用性を必要としない小規模ワークロード向けに、コスト効率の高い選択肢が加わりました
- PoC やテストを短時間で立ち上げられます
RG インスタンスのノードタイプ一覧
シングルノード対応にともない、rg.large にはシングルノード用とマルチノード用の 2 つのスペックが定義されています。
| ノードタイプ | vCPU | メモリ (GiB) | ノードあたりのマネージドストレージ上限 | ノード数の範囲 |
|---|---|---|---|---|
| rg.large(シングルノード) | 2 | 16 | 1 TB | 1 |
| rg.large(マルチノード) | 2 | 16 | 8 TB | 2〜16 |
| rg.xlarge(マルチノード) | 4 | 32 | 32 TB | 2〜16 |
| rg.4xlarge | 16 | 128 | 128 TB | 2〜32 |
| rg.12xlarge | 48 | 384 | 128 TB | 2〜128 |
シングルノードのマネージドストレージ上限は 1 TB で、マルチノード時の 8 TB より小さく設定されている点に注意が必要です。
シングルノード構成とマルチノード構成の違い
Amazon Redshift は、コンピュートノードを 2 つ以上で実行した場合に、各ノードのデータを別ノードのディスクにミラーリングしてデータ損失リスクを低減します。シングルノード構成ではこのミラーリングが働かないため、高可用性が求められる本番ワークロードには向きません。
データレイククエリの実行場所の違い
RA3 のプロビジョンドクラスターでは、データレイクへのクエリはクラスターとは独立した Redshift Spectrum のフリート上で実行されます。一方 RG クラスターでは、クラスター自身のコンピュートリソースでデータレイククエリを処理します。
RG クラスターでは、RA3 で Redshift Spectrum を利用する際にあった「同一リージョンの Amazon S3 バケットのみ」という制限がなくなり、別リージョンの Amazon S3 バケットに対してもクエリを実行できます。ただし、クロスリージョンのクエリには追加のデータ転送料金が発生します。
対応リージョン
シングルノードの rg.large は、以下のリージョンで利用できます。
- 米国東部(バージニア北部、オハイオ)
- 米国西部(北カリフォルニア、オレゴン)
- アフリカ(ケープタウン)
- アジアパシフィック(香港、東京、ソウル、大阪、ムンバイ、ハイデラバード、シンガポール、シドニー、ジャカルタ、メルボルン、マレーシア、台北、タイ)
- カナダ(中部)
- 欧州(フランクフルト、ストックホルム、スペイン、アイルランド、ロンドン、パリ)
- 南米(サンパウロ)
- メキシコ(中部)
- AWS GovCloud(米国東部、米国西部)
東京リージョンと大阪リージョンの両方が対象に含まれています。
料金への影響
RG インスタンスは RA3 インスタンスと比較して vCPU あたりの価格が 30% 低く設定されています。また RG クラスターではデータレイククエリをクラスター内のエンジンで処理するため、Redshift Spectrum のスキャン量に応じた課金(1 TB あたり 5 USD)が発生しません。
ただし、Redshift Spectrum のスキャン課金がなくなる一方で、クラスター自体の稼働料金やクロスリージョンアクセス時のデータ転送料金は別途発生します。総コストはワークロード全体で見積もってください。最新の料金は Amazon Redshift の料金ページをご確認ください。
利用方法
AWS マネジメントコンソールから、以下の手順でシングルノードクラスターを作成できます。
- AWS マネジメントコンソールにサインインし、Amazon Redshift コンソール(
https://console.aws.amazon.com/redshiftv2/)を開きます - ナビゲーションメニューから「クラスター」を選択します
- 「クラスターを作成」を選択します
- クラスター設定で「自分で選択する」を選び、「ノードの種類」に
rg.large、「ノード数」に1を指定します(「ノード数」に1を指定してもエラーにならない) - データベース設定、ネットワークとセキュリティの設定を入力し、「クラスターを作成」を選択します
なお、サイズの見当がつかない場合は、手順 4 で「選択のヘルプ」を選ぶとサイジング計算ツールが起動します。
利用上の注意
シングルノード構成を採用する際は、以下の点を考慮してください。
- マネージドストレージの上限がノードあたり 1 TB です。マルチノード時の 8 TB より小さいため、データ量の見積もりが必要です
- コンピュートノードが 1 つのためデータのミラーリングが行われません。高可用性が求められるワークロードにはマルチノード構成を選択してください。シングルノードで運用する場合は、許容できる RTO / RPO とスナップショットからの復旧手順をあらかじめ確認しておくことをおすすめします
- パッチバージョンの要件は、新規作成時と既存クラスターからの移行時で確認する対象が異なります。RA3 クラスターからシングルノードの rg.large へ移行する場合は、移行元クラスターのパッチバージョンが P204 以降である必要があります(DC2 クラスターからの移行はパッチバージョンを問いません)
- Redshift Spectrum を多用しているワークロードは、RG への移行後にクエリ性能が低下する場合があります。その場合はノード数を増やすか、より大きな RG ノードタイプへの移行を検討してください
最後に
Amazon Redshift の rg.large インスタンスがシングルノードクラスターに対応し、1 ノードから RG インスタンスを利用できるようになりました。マネージドストレージ上限が 1 TB になる点とデータのミラーリングが行われない点には注意が必要ですが、高可用性を必要としない検証環境であれば十分に実用的な構成です。
RG インスタンスを試したいがマルチノード構成ではコストが見合わなかった方や、Apache Iceberg・Parquet に対するベクトル化データレイククエリエンジンの性能を評価したい方は、シングルノードの rg.large クラスターで PoC を始めてみてはいかがでしょうか。
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