
【セッションレポート】『Relink』を拡張せよ - 『GRANBLUE FANTASY: Relink - Endless Ragnarok』の開発速度と品質を守るCI運用 #CEDEC2026
はじめに
CEDEC2026 で聴講したセッションのレポートです。『GRANBLUE FANTASY: Relink - Endless Ragnarok』の開発で、開発速度と品質を両立させた CI 運用が、株式会社 Cygames の 3 名のエンジニアから紹介されました。
セッションの概要は次の通りです。
- タイトル: 『Relink』を拡張せよ - 『GRANBLUE FANTASY: Relink - Endless Ragnarok』の開発速度と品質を守るCI運用
- 登壇者: 藤井 章暢 氏、德松 航大 氏、朝重 宏紀 氏 (いずれも株式会社 Cygames 大阪コンシューマー ゲームエンジニア)
- 日時: 2026 年 7 月 24 日 13:40 から 14:40
- 会場: 第 8 会場

本作の『Endless Ragnarok』は、前作『Relink』の大型拡張です。新規プラットフォームへの対応や要素の追加により、ソースコードやアセット、製品データの物量が大幅に増えました。これに伴い、ビルド時間の増加、既存データの不整合、意図しない見た目の変化という 3 つの課題が生じます。これらに対して、Datadog による CI 環境の可視化、静的解析、画像比較自動テストという 3 つのアプローチがとられました。
Datadog による CI 環境の可視化
まず、ビルドが遅くなる原因の可視化です。ビルドマシンは約 50 台、ビルド関連の Jenkins ジョブは約 500 に及び、構成が常に変化するため、ボトルネックの特定は困難でした。
そこで Datadog を導入し、各ビルドマシンのインフラメトリクスと、CI Visibility による Jenkins の実行結果を記録しました。マシンの状態とビルド結果を時系列で対応づけて見られるようにしたことで、想定を超えるプルリクエストの集中や、ビルドキャッシュの逼迫といった原因を突き止め、マシンの割り当て見直しにつなげています。

開発中には Jenkins コントローラーで大きな障害も 2 度発生しました。1 度目はディスクの入出力障害、2 度目は NIC が原因の応答不能です。いずれも記録されたメトリクスから原因を特定し、メトリクスの送信が途絶えた場合やログの警告を検知した場合にアラートを出す監視を追加して、再発防止につなげました。
静的解析によるデータ品質の担保
次に、増え続けるアセットの品質をどう保つかです。アセットは単体の重さだけでは良し悪しを判断できず、他のアセットとの比較や設定のばらつきまで見る必要があります。
そこで、解析用のファイルと解析ツールを CI に組み込み、データの不備や傾向を機械的に検出する仕組みを作りました。メッシュの命名規則違反や LOD の未設定といった不備を一覧化するツールや、テクスチャ解像度や設定の分布を集計して平均より重いデータを見つけるツールなどで、最終的に 35 個の解析ツールを開発・運用したとのことです。

具体的な事例として、キャラクターに意図しないシェーダーが設定され見た目が崩れる問題や、LOD ごとのメッシュの大きさが不自然にずれる問題が挙げられました。こうした問題も、同種のアセットを一括で検出して修正し、検出条件に加えて早期発見につなげています。
画像比較自動テスト
最後は、見た目が意図せず変わっていないかの確認です。人の目による確認は、確認コスト、網羅性、継続性の 3 点で、開発規模の拡大に追いつかなくなります。
そこで、実機の描画結果をスナップショットとして撮影し、正解画像と比較する SnapshotQA という仕組みが作られました。撮影、評価、保管、可視化の流れを Jenkins や SQLite、Kibana などで構成し、再現する条件を入力にすることで、意味のある差分だけを扱えるようにしています。

これにより、差分の検知から原因特定、修正までを回せるようになりました。むしろ、どこがいつから変わっていないかが記録として残ることに価値があり、リファクタリングや最終確認の後押しにも使えると述べられました。製品として届く画に対するブラックボックステストとして機能する、という位置づけです。
感想
物量の増加という避けられない課題に対して、可視化、静的解析、画像比較という 3 つの角度から地道に手を打っていく様子が具体的で、大規模開発の実情が伝わる発表でした。特に、変わっていないことを記録して価値に変えるという発想は、品質を守る考え方として印象に残りました。







