[レポート]dbt Wizard:データ開発における AI チームメイト #dbtWTTokyo

[レポート]dbt Wizard:データ開発における AI チームメイト #dbtWTTokyo

dbt World Tour Tokyo 2026で発表された「dbt Wizard」について、AI がコード生成の先にある検証や文脈をどう扱うのか、そして3つの利用形態とDesktopデモを紹介するセッションレポートです。
2026.10.23

かわばたです。

2026年10月20日に、アンダーズ 東京で「dbt World Tour Tokyo 2026」が開催されました。

https://www.getdbt.com/events/roadshow/dbt-world-tour-tokyo

本記事はセッション「dbt Wizard:データ開発における AI チームメイト」のレポートブログとなります。dbt 専用の AI エージェント dbt Wizard について、3 つの利用形態と Wizard Desktop の録画デモを紹介するセッションでした。

※本記事は筆者のメモをもとに要約しています。
※提供ステータスは講演時点の内容と、2026年9月16日公開の dbt Summit 2026 公式ブログに基づきます。

登壇者

  • 伊藤 俊廷 氏
    • dbt Labs
    • Staff Solutions Architect

アジェンダ

AI でコードは書けるが、検証と文脈が課題

  • 会場の挙手では、ほとんどの参加者が AI を使っていた。スライドのアンケートでも 72% が利用という結果

  • AI でコードはどんどん書けるが、それが本当に正しいのかが課題
    • unit test を導入して検証しても、その unit test 自体が正しいか、何をもって良しとするかが難しい
    • AI に書かせたコードでも、責任は pull request の担当者である人間にある
  • 汎用的な AI エージェントはどうしてもコード重視になる。アナリティクスエンジニアが追加で文脈を渡す必要がある
    • プロジェクトの文脈。dbt モデルの変換にどんな意味があるのか
    • 影響範囲。あるモデルを修正したとき、下流のモデルにどう影響するか
    • データの検証。コード変更によって結果データが変わった部分が本当に正しいか

  • 結局、人間がいろいろなツールや文脈を自分で取りに行くことになり、AI 単独では完結しないのが現状

dbt Wizard とは

  • dbt 専用の AI エージェント。自然言語でコードを作成し、モデルを開発できる
  • モデルの作成、セマンティックレイヤーの定義、テストの作成など、dbt に関する活動を AI が担う
  • テストを自動生成するだけでなく、データを比較してどんな影響があるかを確認した上でリリースまで持っていく。この一連の流れが重要

  • dbt Wizard のメリット
    • dbt プロジェクト専用。モデル間の依存関係と、変更がどう影響するかを理解している
    • LLM の選択。dbt managed のモデルを使えば、オープンウェイトモデルや主要ベンダーのモデルを dbt 側で提供する。ホストの管理は不要
    • ツールの呼び出し。テストの生成と実行、pull request の作成など、各工程で必要なツールを適切に呼び出す
    • ロジックの可視化。最終的に人間がレビューするため、ソースコードの差分だけでなくリネージなどの画像で判断しやすくする
    • 効率的なコンテキスト。トークンコストを抑えるため、毎回全ファイルを渡さず必要な部分だけを効率よく渡す
    • 作業しながら検証。ウェアハウスの実データを見ながらデータの比較を提示し、本番に安全に持っていける
  • 個々のメリットよりも、一連の流れとして dbt の開発を強くできる点が価値

3 つの利用形態

利用形態 提供ステータス 概要
dbt platform 上の dbt Wizard Public Preview Web ブラウザで完結。dbt platform ユーザーならすぐ使える
Wizard CLI Public Beta 2026年6月発表。ターミナルや IDE から使う。dbt v1 のローカルプロジェクトでも使える
Wizard Desktop Private Beta 専用デスクトップアプリ。複雑なタスクと開発サイクル全体を支援

dbt platform 上の dbt Wizard

  • dbt platform の Studio にタブとして組み込まれており、チャットで使える
  • 他の利用形態と同様に、ファイルの参照やビルドができる
  • リネージや画像の可視化もできる。CLI と違い、作ったものの見え方をその場で確認できる
  • 他のツールを使わずに Web で完結するのが最大の利点
  • ビジネスユーザー専用のタブもあり、開発はしないがデータを見たい人も使える

Explore Mode

  • dbt platform 上の dbt Wizard の新しいモード。ビジネスユーザーやアナリスト向けのデータ探索とグラフ作成に使う
  • 閲覧専用で、開発環境や本番環境のスキーマにデータを書き込まない。BI ツールの代わりに使える
  • read-only のライセンス形態の利用者も使える
  • ウェアハウスの認証情報は開発者が一度設定すればよい
  • dbt platform を触ったことがないビジネスユーザーでも、アカウントを作るだけでチャットを使い始められる

Wizard CLI

  • ターミナルを使うユーザーや、IDE のターミナルから dbt Wizard を使いたい場合にすぐ使える
  • dbt v1 でも使える。ローカルのプロジェクトで使うため、セルフマネージドの dbt v1 を使っている人には最適

Wizard Desktop

  • より複雑なタスクや、開発サイクル全体を支援することを想定した専用アプリ
  • 複数のスレッドを並行して進められる。スレッドごとに分離した環境で実行するため、互いに干渉しない
  • 実行、検証、テスト、データの検証、pull request の作成までを一貫して支援する

ロードマップ

  • 利用コストの可視化と管理。AI のトークンコストについて、現状はシンプルな機能しかないため強化する
  • アクセスと導入。どのユーザーがどこまで使えるかという、より細かいパーミッション設定
  • dbt Charts との連携
    • dbt はすべての変換ロジックをコード化し、セマンティックレイヤーはメトリクスをコード化する
    • dbt Charts は、BI や AI エージェントが表示するグラフをコード化する。どのツールや AI が表示しても同じグラフになる
    • 2026年9月にリリース済み。dbt Wizard とのより密な連携を検討している

AI を使ったモデル開発の流れとボトルネック

  • モデル開発は、実装、作成(ビルド)、テスト、レビューのサイクル
  • これまでは人間が数日から数週間かけて 1 サイクルを回していた。エージェントを使うと、途中で人間が介入しなければ数分で終わる
  • ループは 1 つではなく、複数のスレッドが同時に回る。それを支えるにはどうするかを dbt は考えている

  • 工程ごとのボトルネックと対策
    • 実装。dbt Wizard が、dbt プロジェクトや履歴からより正確なコンテキストを持ってきて、正確な実装とテストを作る
    • ビルドとテスト。dbt State により、同じモデルの実行をより速くできる
    • 人間の関与。人間なしで全部回せる組織はまだ少ない。人間が判断するために、AI と dbt がどう情報を提示するかが最大のポイント

デモ

Wizard Desktop の画面構成の説明がありました。

  • 左にチャット(スレッド)の一覧、中央にチャット、右に開発に必要な情報のパネル
  • プロジェクトごとにセットアップし、ローカルのプロジェクトでも dbt platform のプロジェクトでも使える。接続設定もここで行う
  • 右のパネルにはスキル、リネージ、画像、メトリクスなどが表示される
  • 見たい情報を毎回自然言語で問い合わせるのは大変なので、よく使う情報はタブとして用意されている

デモプロジェクト

  • jaffle_shop のゲーム会社版「Jaffle Games」。顧客エンゲージメントを分析する dbt プロジェクト
  • メトリクスはセマンティックレイヤーで定義されている

  • 関係者はアナリティクスエンジニアとデータエンジニアに加え、ゲームデザイナーとビジネスユーザー

  • 「アクティブなプレイヤー」の捉え方が立場で違う
    • ビジネスユーザーは月間のプレイヤー数を見たい。プレイ時間はあまり気にしない
    • ゲームデザイナーは実際に何時間プレイしたかを分析したい

現状の把握と、割り込み依頼のフォーク

  • まず、現状どのメトリクスでプレイヤーのエンゲージメントを測っているかを把握する
    • スキルを使って問い合わせると、dbt で定義されているメトリクスが一覧で返る
    • 人間はメトリクスの前後関係を見たくなるので、リネージも含めて全体を表示する
    • 右側の Metrics タブには measure とラベルがあり、ラベルは日本語化している。クリックすると中身のデータを確認できる
    • 「8 月に少し下がっている」といったコメントも付く
  • ここでビジネスユーザーから割り込みの依頼が入る。アクティブプレイヤーとリテンションの関係を見たい
    • 1 つ目のチャットのコンテキストを保ったままフォークして、別のチャットを作る
    • 元のチャットはゲームデザイナー向けの開発を続けるので、壊さずに済む
    • フォーク先で編集が発生した場合は、branch も dbt の開発スキーマも分かれる。最初のチャットとは独立して開発できる
    • 今回は開発は発生せず、2 つのグラフから相関関係が分かったので、その結果を送る
  • 右側のパネルで、これまで出したグラフをまとめてレビューできる
  • ポイント
    • dbt 専用なので、既存の資産をすぐ把握できる。セマンティックレイヤーの参照も簡単
    • フォークは重要な概念。別のことをやりたくなったとき、コンテキストを引き継ぎつつ別環境で進められる
    • テキストだけの回答ではなく、リネージやグラフも見せる

メトリクスの追加からバリデーション、pull request まで

  • 1 つ前のチャットに戻り、ゲームデザイナーの修正依頼に対応する。1 時間以上プレイしたプレイヤーをメトリクスとして追加したい
  • dbt Wizard は現状のメタデータを確認し、このメトリクスをどう作るかを提案する
    • 実装結果だけでなく、前提と期待する結果も提示する。右側にはリネージの差分が出る
  • 途中で判定が分かりづらい箇所があったので、その部分にコメントを付けて追加のチャットを送る
    • 結果、既存の crash フラグが使われていないことが分かり、フラグを使うようにモデルの SQL が修正された
  • Validate ボタンでバリデーションを実行する
    • 通常のビルドとテストに加え、特別な要件を追加している。本番環境と比べてフラグの利用で 5% 以上の差が出たら失敗とする
    • すべて成功し、今回の変更で結果に大きな変化がないことを確認できた。実行したコマンドも表示される
  • Create pull request ボタンで push と pull request の作成まで行う
    • GitHub に行かなくても、CI の状況などを Desktop で確認できる
    • pull request のテンプレートは Desktop で設定する。毎回同じ形式でレビューしてもらえるので重要
    • CI では変更したモデルだけが部分的に実行され、どのタイミングでモデルが実行されたかも分かる
  • ポイント
    • すぐにレビューできる。レビューの内容には前提と期待する結果が含まれる
    • バリデーションはカスタマイズできる
    • コミットや CI ジョブの状況も Desktop で見られる

伊藤氏のまとめ

  • dbt Wizard は 3 つの方法で利用できる
  • dbt 専用なので、単にコードを生成するだけでなく、dbt プロジェクト開発の一連の流れを理解している
  • 必要な情報はチャットに表示するだけでなく、タブとして用意されているので使いやすい
  • 最初に使い始めるためのオンボーディングガイドも作っている

関連リンク

https://docs.getdbt.com/docs/platform/wizard-overview

https://docs.getdbt.com/docs/dbt-ai/wizard-desktop

https://docs.getdbt.com/docs/dbt-ai/wizard-cli

https://docs.getdbt.com/docs/platform/wizard-read-only-users

所感

dbt World Tour Tokyo 2026 のセッション「dbt Wizard:データ開発における AI チームメイト」に参加しました。

個人的にWizard Desktopの開発体験が良さそうだなと感じたので、ぜひ試したいです。
Explore Modeでビジネスユーザーも利用できるとのことでしたので期待値高いです!

この記事が何かの参考になれば幸いです!


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