AWS Direct Connect SLAからDXロケーションのリージョン紐付け要件がなくなりました
はじめに
2026年7月24日付で AWS Direct Connect の SLA が更新されていました。Multi-Site SLA から、Endpoint のリージョンに紐付く DX ロケーションを少なくとも1つ含める要件が削除されています。
公式ブログなどでのアナウンスは見当たりませんでした。更新されているのは SLA ページの記載と Last Updated の日付のみです。この更新は菊池氏のポストで知りました。
削除の対象は Multi-Site Non-Redundant Deployment(99.9%)と Multi-Site Redundant Deployment(99.99%)の両方です。要件数の多い Multi-Site Redundant(99.99%)の要件差分は次のとおりです。
| 要件 | 旧SLA (2022/05/19) | 新SLA (2026/07/24) |
|---|---|---|
| 少なくとも1つのDXロケーションがEndpointのリージョンに紐付いていること | あり | 削除 |
| 4本以上のConnectionを異なる2ロケーションに各2本以上 | あり | あり |
| 各ConnectionがユニークなAWSデバイス | あり | あり |
| Enterprise Support | あり | あり |
| Well-Architected Review | あり | あり |
| プライベートEndpointは2AZ以上 | あり | あり |
Multi-Site Non-Redundant(99.9%)は異なる2ロケーションに計2本以上の Connection を求める構成ですが、こちらからも同じ1行が削除されています。
検証内容
旧SLAと新SLAの差分
現行SLAページ(Last Updated: July 24, 2026)と旧SLAページ(Last Updated: May 19, 2022)を比較しました。いずれも2026年7月30日時点の記載で、定義文と Minimum Configuration Requirements 表を確認しました。
旧SLA:
Multi-Site Redundant Deployment is a Deployment that comprises at least four Connections deployed across a minimum of two different Direct Connect locations, each of which is configured to access the same Endpoint, where no fewer than two Connections are deployed in each of the two Direct Connection locations, at least one of the Direct Connection locations is associated with the AWS Region in which the Endpoint is hosted, each Connection is on a unique AWS device, and, with respect to private Endpoints, the Endpoint is deployed in two or more Availability Zones.
新SLA:
Multi-Site Redundant Deployment is a Deployment that comprises at least four Connections deployed across a minimum of two different Direct Connect locations, each of which is configured to access the same Endpoint, where no fewer than two Connections are deployed in each of the two Direct Connection locations, each Connection is on a unique AWS device, and, with respect to private Endpoints, the Endpoint is deployed in two or more Availability Zones.
削除された句は次の1点です。
at least one of the Direct Connection locations is associated with the AWS Region in which the Endpoint is hosted
(少なくとも1つの Direct Connect ロケーションが、Endpoint がホストされている AWS リージョンに紐付いていること)
同じ句は Multi-Site Non-Redundant Deployment(99.9%)の定義文にもあり、定義文2箇所と Minimum Configuration Requirements 表の2行、計4箇所から削除されていました。2本構成・4本構成のいずれも、紐付けリージョンの制約はなくなっています。それ以外の要件・数値は新旧で同一でした。
なお、上の引用は定義文のうち構成条件の部分までです。Enterprise Support と Well-Architected Review の要求は、定義文の後続の一文と要件表に記載があります。
DXロケーションの Associated AWS Region
DXロケーション一覧に記載の日本国内5ロケーションを見ると、紐付けは東京リージョンに偏っていました(2026年7月30日時点)。
| ロケーション | Associated AWS Region |
|---|---|
| Equinix TY2(東京) | Asia Pacific (Tokyo) |
| AT Tokyo CC1(東京) | Asia Pacific (Tokyo) |
| NEC Inzai(印西) | Asia Pacific (Tokyo) |
| Equinix OS1(大阪) | Asia Pacific (Tokyo) |
| Telehouse Osaka 2(大阪) | Asia Pacific (Osaka) |
大阪リージョン紐付けは Telehouse Osaka 2 の1箇所のみで、大阪所在の Equinix OS1 は東京リージョン紐付けでした。なお Associated AWS Region はあくまで紐付け上のリージョンで、それ以外のリージョンにもプライベート Endpoint なら Direct Connect Gateway 経由、パブリック Endpoint なら Public VIF 経由で到達できます。
大阪リージョンで 99.99% を狙う構成
影響が大きいのは、4本の Connection を東京と大阪の DX ロケーションに各2本置き、大阪リージョン(ap-northeast-3)の Endpoint に対して 99.99% を狙う構成です。組み合わせごとの可否は次のとおりです。
| 構成 | 旧SLA | 新SLA |
|---|---|---|
| Telehouse Osaka 2 に2本 × Equinix TY2 に2本 | ✅ 対象(Telehouse Osaka 2 が大阪リージョン紐付け) | ✅ 対象 |
| Equinix TY2 に2本 × Equinix OS1 に2本 | ❌ 対象外(大阪リージョン紐付けのロケーションを含まない) | ✅ 対象 |
| Equinix TY2 に2本 × AT Tokyo CC1 に2本 | ❌ 対象外 | ✅ 対象 |
| Equinix OS1 に2本 × NEC Inzai に2本 | ❌ 対象外 | ✅ 対象 |
大阪リージョン紐付けが1箇所のみのため、旧SLAでは「Telehouse Osaka 2 に2本 + 東京リージョン紐付けロケーションに2本」しか選べませんでした。東京の Equinix TY2 に2本 + 大阪の Equinix OS1 に2本という地理的に離れた構成でも、大阪リージョンの Endpoint に対しては 99.99% の対象外でした。
2本構成で 99.9%(Multi-Site Non-Redundant)を狙う場合も判定は同じです。Equinix TY2 に1本 + Equinix OS1 に1本の構成は、旧SLAでは大阪リージョンの Endpoint に対して対象外で、新SLAでは対象になります。
一方、Endpoint が東京リージョン(ap-northeast-1)にある場合は事情が異なります。国内5ロケーションのうち、Telehouse Osaka 2 以外の4つはすべて東京リージョン紐付けです。異なる2ロケーションを選べば少なくとも1つは東京リージョン紐付けになるため、国内ロケーションのみで構成するなら旧SLAでもこの要件が制約になることはなく、今回の撤廃による変化はありません。
なお、SLA ページの適用除外の記載にあるとおり、SLA の対象は自社アカウントが所有する Dedicated Connection のみです。APN パートナー経由のホステッド接続とホステッド仮想インターフェースは対象外です。
北米での例
紐付けリージョンと所在地のずれは北米でも起こります。DXロケーション一覧では、Equinix DA2(Dallas)と Equinix MI1(Miami)はいずれも US East (Virginia) 紐付けです。
この2ロケーションに各2本を置く構成は、旧SLAでは US East (Ohio) の Endpoint に対して対象外でしたが、新SLAでは他の要件を満たせば対象になります。
まとめ
Multi-Site SLA から Associated AWS Region の紐付け要件がなくなり、DXロケーションを柔軟に選べるようになりました。DX接続の引き込みにあたって検討・調整する事項が減る、うれしいアップデートです。
DX接続の回線選定や構成を検討中の方は、新しいSLAの確認をおすすめします。







