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ハッカソンで最優秀賞を取ったAlexaスキルをリリースしました

2018.12.25

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これまでの経緯

アイデアソン

このイベント(わたし達の未来をつくる「アイデアソン・ハッカソン」~世の中を変える商品開発【視覚障害を持つ方編】~)は、障害のある当事者の方々が自らの直面する課題をエンジニアに共有し、その解決を図るプロダクトやサービスを実際に開発するイベントです。

今年の8月18日にアイディア出しのイベントがありました。

わたし達の未来をつくる「アイデアソン・ハッカソン」~世の中を変える商品開発【視覚障害を持つ方編】~に参加しました

私たちのグループでは、京都福祉情報ネットワーク 園様のお話を伺いました。その中で、普段の生活で困っておられることの一つとして「必要だと思った時にサッとメモが取れないこと」を挙げておられました。

普段、健常者なら気にしないポイントですが、視覚に障害があるとメモができないということは新たな気づきでした。

では、視覚に障害があっても、サッとメモできるソリューションはないだろうか、ということで検討を進め、園さん自身が、スマートスピーカーを16台も使いこなすヘビーユーザーであることもあって、Alexaスキルを作って解決する方向で検討しました。

検討した結果、「メモして!」と名付けたソリューションを提案しました。

「メモして!」アイデアの概要

ハッカソンで最優秀賞!

その後、8月24日にハッカソンが開催されました。アイデアソンから一週間しかない中でしたが、以下の2つのデモを開発して臨みました。

  • 音声でメモができるAlexaスキル
  • iOSアプリから音声でメモができるシステム

3名の審査員による審査の結果、なんと最優秀賞をいただきました!

ハッカソンで開発中の様子の写真

プレゼンしているところの写真

最優秀賞を受賞して記念撮影

最優秀賞のトロフィーの写真

レビュー会

前回のハッカソンから3ヶ月ほど経過した12月14日に、ハッカソンで開発したものの事業化・製品化の進捗を発表するレビュー会が開催されました。

私たちのグループは、京都福祉情報ネットワーク 園様のお困りごとを解消する「チーム園」として、レビュー会に向けて準備を進めました。

もともと「メモして!」と読んでいたソリューションを「メモメール」と名付けました。これは、音声でメモした内容をメールで自分にも送り、視覚に障害のある方が普段お使いのメーラーでも過去のメモを検索できるようにするものです。

もともとのアイデアでは、Alexaスキル、Google Homeスキルなど、音声アシスタント相互でメモを同期するクラウドサービスを検討していましたが、このレビュー会ではいったん、単独で動作するAlexaスキルのリリースを目標としました。

このような経緯で開発、リリースしたのがメモメールです。Alexaスキルについては、園様と仕様をご相談しながら、私の方で開発を行いました。

Alexaスキル: メモメール

メモメール

投稿者 園 順一

レビュー会では、メディアの方々が取材に来てくださいました。

Alexaスキルに関する取材を受けているところ(1)

Alexaスキルに関する取材を受けているところ(2)

また、NHK 神戸放送局様では当日夕方のニュースでレビュー会の模様を放映していただきました。

視覚障害者が開発した商品発表|NHK 兵庫県のニュース

視覚に障害のある人たちの暮らしを便利にしようと、障害者自身がメーカーと共同で開発した商品の試作品が、神戸市で発表されました。

イベントを終えて

このイベントを通じて、レビュー会までにアイデアをAlexaスキルという形でリリースすることができました。

私自身、高齢者や障害者のWeb利用について考える「Webアクセシビリティ」に取り組みはじめて20年近く経っていますが、やはり障害のある当事者の方のお話を聞くのは、毎回気づきが多いと感じます。

今回リリースしたスキルに関しては、園さんを通じて視覚障害のある方々のグループにご紹介いただいているので、その方々のフィードバックを得ながら、今後も改良を続けていければと考えています。

また、当初想定していた、複数の音声アシスタントやデバイス間でのメモの同期についても、共同で開発している企業様も含めて、実現して行ければと考えています。