Echoデバイス(AVS)のアクセシビリティ機能の概要とスキルのガイドライン

「Webじゃないアクセシビリティ Advent Calendar 2018」をふりかえり、次にAmazon Echo Spot、Amazon Echo Showのアクセシビリティ機能を概観し、次にドキュメントを元に、Alexaスキルを開発する上で、アクセシビリティ上で配慮すべき点を確認します。
2018.12.25

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はじめに

これは、Webじゃないアクセシビリティ Advent Calendar 2018およびAlexa Advent Calendar 2018の25日目の記事です。

この記事では「Webじゃないアクセシビリティ Advent Calendar 2018」をふりかえり、次にAmazon Echo Spot、Amazon Echo Showのアクセシビリティ機能を概観し、次にドキュメントを元に、Alexaスキルを開発する上で、アクセシビリティ上で配慮すべき点を確認します。

Webじゃないアクセシビリティ Advent Calendar 2018

17日にTweetしたような想いで「Webじゃないアクセシビリティ」 Advent Calendarを立ち上げました。例年のように「Webアクセシビリティ」Advent Calendarができるものと思ってたらそうでもなかったりした経過はありましたが、このブログでもカレンダーを紹介いただいたこともあってか、今日に到るまで、多くの方々のご尽力をいただいて、無事にカレンダーが埋められたことを嬉しく思います。

当初、歴史と伝統のある「Webアクセシビリティ」カレンダーの方の初速の速さに圧倒され、やっぱり違うなぁと感心していた時期もありました。しかし終わってみれば、「Webじゃない」というやや乱暴なテーマながら、実に様々なジャンルについて取り上げていただきました。

来年のカレンダーをどうするのかという課題はありつつ、今後も続けていければと思っています。

Amazon Echo端末のアクセシビリティ機能

いよいよ本題です。

日本では2017年11月にスタートした日本語Alexaですが、今年に入ってデバイス面で大きな変化がありました。7月にEcho Spotが、12月に入ってEcho Showが発売され、画面つきのEcho端末が登場したことです。

以前のAmazon Echo端末はGUIといえばスキルカードのみでした。そのため、Alexaスキル開発時に考慮すべき点もシンプルでした。この点については、(クラスメソッド入社前の)5月にLTで発表しています:

その後発売された、前述の画面付きEcho端末では、「ユーザー補助」として、各種のアクセシビリティ機能が備えられています。

EchoおよびAlexaのヘルプにも掲載されています。

Echo Spot、Echo Showとも、実機を確認したところ、以下のような状況です。

  • 画面を読み上げられるVoiceViewというスクリーンリーダーがある。画面拡大もできる。
  • Alexaやスキル、動画の発話内容は字幕に出すことができる。
  • 運動や発話が困難なユーザー向けに、画面をタップすることで、GUIとスクリーンキーボードでAlexaに指示できる画面が出る。
  • Alexaユーザー同志で利用可能な通話機能を、文字で行える機能がある

以上のように、かなりの充実ぶりです。

スクリーンリーダーとスクリーンキーボードがあるということになると、日本のユーザーとして気になるのは「詳細読み」ができるかという点ですが、こちらも対応されていました。

また、Echo Showでは、Amazon SilkまたはFirefox for Echo Showが利用できますが、このブラウザもVoiceViewを使って操作することができました。

Alexa互換デバイスのアクセシビリティ

Amazon Alexaの機能は、Amazon Echoシリーズの端末だけでなく、Alexaを搭載する互換デバイスでも利用することができます。そのような端末の中には、障害当事者の利用をアピールポイントとするものがあるようです。

例えばkickstarterに出ているFrenbyは、世界最小を謳うデバイスですが、スマートフォンの利用が難しい高齢者や視覚障害者が代わりに持ち歩いて利用できることをアピールしています。

関連資料

全ての人にAlexaを。Echo Showの新機能「Alexa Captioning」「Tap to Alexa」を試してみた。 #Alexa

Alexaスキル開発上のアクセシビリティ面での配慮

前述したような、Echo端末にタッチパネルが付加されたことに伴い、Alexaスキルの開発面でも検討項目が増えています。

Amazonのドキュメントでは、従来の音声デザインガイドに加えて、Alexaデザインガイドが公開されており、後者は「音声指向のマルチモーダルデザイン」が掲げられています。

このドキュメントにはアクセシビリティに関する項目があり、視覚に頼らずスキルを利用できること、色のコントラストや閃光など、いくつかの項目について言及されています。

ただ、Echo Showの実機でVoice Viewを利用していたところ、例えば天気のスキルでカーソルのフォーカス順序が論理的でないなど、いくつかの点で気づきがありましたが、このドキュメントには掲載がないなど、これからも調査と項目の追加が必要と思われます。

また、現在ガイドに掲載されている内容であっても、Alexaスキル開発者が従うべきコードのガイドラインに落とし込むにも、もう少し調査が必要そうです。

このあたりについては、引き続き調査してブログに掲載していこうと思います。

Echo端末のあるべき姿

Echo端末とAlexaスキルのアクセシビリティを考えるとき、絶対に外してはいけないと考えるのが、"Saturday Night Live"の動画"The Amazon Echo Silver"です。

AmazonとAARP(American Association of Retired Persons)が高齢者向けのAmazon Echoを作ったら...というパロディーですが、間違いなくAmazon Echoにもアクセシビリティの問題があることが分かるのと同時に、どう進んでいくべきなのかを指し示しているように思えます。

個人的には、"The phone is in your right hand."の前のため息が毎回ツボです(笑)

来年も、よりよいAlexaスキルの開発方法を調べて共有できればと思います!