[レポート] ”アレクサ、うるのんを開いて” ~お客様の生活に欠かせない存在を目指して~ #alexaday2018 #jawsug
はじめに
本ブログは、2018年2月11日(日)に開催されたAlexa Day 2018のセッション、
「”アレクサ、うるのんを開いて” ~お客様の生活に欠かせない存在を目指して~」
のレポートです。スピーカーは、 株式会社TOKAIコミュニケーションズの小栁津麗欧さんです。
レポート
なぜアレクサに取り組むのか
- 個人的には、最初に世に出てからまだ三歳のAlexaが、どんどん成長していく過程と、三歳児の自分の子供がAlexaに触れてAIネイティブになっていく過程が面白くて取り組んでいる
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B2C事業会社としては、ウォーターサーバー事業「うるのん」の課題解決のために取り組んだ
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ウォーターサーバー事業の課題(ユーザーの不満)
- 追加の注文が面倒
- 好きな時に水をオーダーしたい
- ウォーターボトルが重い
- 毎月宅配してもらうときの受取が面倒
- 若干料金が高い?
- 水は美味しいけど天然水でなくても良かったかも?
- カップ麺にお湯入れている途中でお湯が切れた時の悲しさ
- 「追加の注文が面倒」「好きな時に水をオーダーしたい」をAlexaスキルで解決することにした
- 家庭用ウォーターサーバーの水を声で注文できるスキル「TOKAIうるのんスキル」として昨年11月のAlexa日本ローンチ時に公開
- 解決案
- コールセンターの24/365対応
- 電話注文は実施しているので、できればこれをやりたかったがコストが高い
- WebのUI改善
- スマホアプリ導入(検討時点ではアプリは無し)
- チャットボット導入
- ダッシュボタン
- 手軽で良いが、日時指定できない
- 音声注文(Alexa)
- コールセンターの24/365とダッシュボタンの中間として採用
- コールセンターの24/365対応
スキル開発の注意点
- 音だけだと、迷子になりやすい
- 特に思い通り動いてくれなかった時、操作方法がわからなくなった時
- 使用方法だけでなく、終了の仕方もユーザーに示してあげないといけない
- 絵があると、文脈(状況)がわかりやすい
- チャットと音声でも、違いがある
- 音声インターフェイスのデザインガイドラインに従うこと
- ユーザーに今何ができるのかを示す
- 今どこにいるのか
- 発話の例を示す
- 提示する情報の量を制限する
- 視覚的なフィードバックを使う
- とにかくユーザーに使ってもらい、地味な改善をひたすらやってできる限りシンプルなユーザ(Voice)インターフェースにすること
- これをどれくらいやったかで、対話の自然さに大きな差が出る
- 元々、スキルは以下のようなフローを想定していたが、
- 本数を聞いて
- 配送日を聞いて
- 何時頃届けるかを聞く
- ユーザーテストの結果、以下のような単純なフローになった
- 本数を聞くだけで完了、日時はデフォルトを設定
- 日時指定はしたい人だけが言えばよい
スキル開発で苦労した点
- 漢字を正しく読んでくれない場合があった
- 想定されるものを全てひらがなで補正した(Lambdaで対応)
- 利用者の発話の認識が悪く、ゆらぎに対応する必要があった
- 想定されるスロット・サンプル発話ものを3000件以上登録した
- 日付・時間(午前/午後)の発話を認識してくれなかった
- Lambdaで対応した(AlexaのAI側が少しずつ改善されるはずで、
- バックエンドシステムとの通信にDirectConnectを経由する必要があった
- VPC内でLambdaを起動することで対応した
- VPC内でLambdaの起動に時間がかかった
- 定期的に起動することで回避した
- コマース系スキルの審査は、かなり厳しかった
取り組むなら今
- USスキルは今約3万、一方でJPスキルはまだ約500くらい
- 卵が先か鶏が先かという話が出だしたら、黄色信号
- 現時点で、直ちにこれでお金がもうかる、というのは難しい、まず取り組むのが重要、まずは、アイデアを形に
- ウォーターサーバー事業の顧客は14万件だが、現時点のスキルからの注文は二桁くらい
- スマホ向けアプリをAlexaスキルに置き換えるのは容易
- ランニングコストは、ほぼかからない
余談
- 一人の人間が1日あたりに浴びる情報量は新聞換算で1986年では40部、2006年では174部
- 「アテンション」という本から
- これのことか?
- 必要な情報にたどり着くのが難しくなっている
- 「アテンション」という本から
- 2005年と2013年のローマ法皇の就任時の群衆の写真
- 2013年は皆がスマホで写真を撮っていたが、2005年には誰も撮っていなかった
- iOSの歴史との比較
- 最初はコピペもない、プッシュ通知もなかった
- 最初は単純な野良アプリが多かったが、時間が経つにつれて洗練されていき、大規模で複雑なアプリが増えてきた
- Alexaスキルも似たような道をたどるのでは
- The Clapper
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- The Clapper - Wikipedia
- 20年くらい前から米国で売られている拍手で家電のOn/Off等の操作ができる商品
- スマホに費やす時間が、コネクテッド・カーやスマートスピーカーに食われている
おわりに
TOKAIさんが、自社の事業上の課題に対してAlexaをどのように使って解決したのか、ということをお聞きすることができて勉強になりました。 セッションの動画が公開されていますので、興味を持たれたらぜひご覧になってみてはいかがでしょうか?