Amazon Connectで「リアルタイムおよび通話後の分析」設定時、「通話後分析」の精度でのトランスクリプトは実施されません

Amazon Connectで「リアルタイムおよび通話後の分析」設定時、「通話後分析」の精度でのトランスクリプトは実施されません

2025.12.02

困っていること

Amazon ConnectのContact Lens音声分析において、フローブロック「記録と分析の動作を設定」では、以下の2つの選択肢があります。

  • 「リアルタイムおよび通話後の分析」
  • 「通話後の分析」

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公式ドキュメントによると、「通話後分析」のみに設定した場合、トランスクリプションの精度が最も高くなるとされています。

では、「リアルタイムおよび通話後の分析」を選択した場合、以下はどちらの精度が適用されるのでしょうか。

  1. S3バケットに保存されるトランスクリプト
  2. コンタクト詳細ページに表示されるトランスクリプト

以下のような動作を期待しています。

  • S3バケット:最初はリアルタイムトランスクリプトファイルがアップロードされ、その後、通話後分析の結果で更新される
  • コンタクト詳細ページ:最初はリアルタイムトランスクリプトが表示され、その後、通話後分析の結果に更新される
    cm-hirai-screenshot 2025-12-02 8.57.06

回答

結論として、「リアルタイムおよび通話後の分析」設定時のトランスクリプトは、リアルタイム分析の精度のみが適用されます。通話後に精度の高いトランスクリプトへの更新は行われません。

公式ドキュメントの記載

以下の公式ドキュメントには各設定の違いが記載されていますが、「リアルタイムおよび通話後の分析」を設定した場合、トランスクリプトの精度がどちらで決まるかについての明確な説明はありません。

通話後分析: 会話と問い合わせ作業 (ACW) の完了後に通話録音をContact Lensで分析します。このオプションでは、トランスクリプションの精度が最も高くなります。

リアルタイム分析: は、通話中のリアルタイムのインサイトと、会話が終了して問い合わせ作業 (ACW) が完了した後の通話後分析の両方をContact Lensで提供します。

https://docs.aws.amazon.com/ja_jp/connect/latest/adminguide/enable-analytics.html#enable-callrecording-speechanalytics

検証内容

検証環境で以下を確認しました。

「リアルタイムおよび通話後の分析」設定時、以下の3つのトランスクリプトがすべて同一でした。

  • ListRealtimeContactAnalysisSegments APIにより取得したトランスクリプト
  • S3バケットに保存されたトランスクリプトファイル
  • コンタクト詳細ページに表示されるトランスクリプト

通常、「通話後の分析」のみを有効化した場合、S3バケットに保存されたトランスクリプトファイルやコンタクト詳細ページに表示されるトランスクリプトには5~10分程度のラグがあります。

今回、リアルタイム精度で上記を確認後、数十分待ちましたが、通話後の分析でのトランスクリプト生成は実施されず、更新されることはありませんでした。

https://docs.aws.amazon.com/connect/latest/APIReference/API_connect-contact-lens_ListRealtimeContactAnalysisSegments.html

S3バケットに保存されるトランスクリプト

S3に保存されるトランスクリプトは、リアルタイム分析の精度が適用されます。

リアルタイム分析によってトランスクリプトファイルがS3バケットに保存された後、通話後分析によってトランスクリプトファイルが更新されることはありません。

なお、同一の録音データを用いて「通話後分析」と「リアルタイムおよび通話後の分析」の両方のトランスクリプションを比較した結果、前者のS3トランスクリプトファイルの精度が比較的高いことが確認できました。

これは、「リアルタイムおよび通話後の分析」設定では、リアルタイム処理の制約により、トランスクリプションの精度が「通話後分析」のみの設定と比較して低くなるためです。

コンタクト詳細ページに表示されるトランスクリプト

コンタクト詳細ページに表示されるトランスクリプトも、後から更新されることはありません。

検証により、「リアルタイムおよび通話後の分析」設定時において、通話中に表示されるリアルタイムのトランスクリプトと、最終的にS3に保存されるトランスクリプトファイルの内容が一致していることを確認しました。

つまり、リアルタイムで生成されたトランスクリプトが、そのまま最終的な結果として保存・表示されます。

最後に

フローブロック「記録と分析の動作を設定」の「リアルタイムおよび通話後の分析」という名称は分かりにくいですが、トランスクリプトはリアルタイムでのみ生成され、精度の高い通話後分析では再生成されない仕様です。

高精度なトランスクリプトが必要な場合は、「通話後の分析」のみを選択しましょう。

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