【レポート】これから機械学習を学びたい方向け『AWSで始める機械学習』 #AWSSummit
2020年9月8日から9月30日までオンラインで視聴可能なクラウドカンファレンス、AWS Summit Online 2020が開催中です!
本エントリでは、ライブセッション「AWS-42:AWS で始める機械学習」のレポートをお届けします。
概要
スピーカー
アマゾン ウェブ サービス ジャパン株式会社 技術統括本部 西日本ソリューション部 ソリューションアーキテクト 桶谷 拓也氏
セッション概要
機械学習(ML)は、デジタルトランスフォーメーションでますます普及しています。ほとんどの皆さんは AI / ML を活用して競争上の優位性を獲得することの重要性を理解していますが、必ずしもどこから始めればよいかを理解できているわけではありません。本セッションでは AWS を使うことでどのように機械学習を学べるのか、どのように機械学習を始めれるのかをご紹介します。
動画・資料
アーカイブ動画と資料は以下リンクよりご覧いただけます。動画につきましては2020/9/30までの限定公開となります。
セッションレポート
機械学習を活用する意味
- これから機械学習を始めるユーザーにとって「機械学習をどう始めればいいのか?」がポイントとなる。
- 押さえておくべきポイント:機械学習の基本的な流れである以下の3つのループを回すことで、モデルの精度向上や新しいモデルを作ることができる
- データを蓄積
- 未来・未知を予測
- 意思決定
- 機械学習もまずはビジネス課題からスタートすることが大切(機械学習自体は手段の1つであり目的ではない)
- 課題の解決に機械学習が適しているかどうか判断するため、機械学習で解ける(解けそうな)問題を理解する
- 100%結果が出せるわけではないことを認識することも大切
- 注力する技術領域を決めることも大切
- クラウドサービスやアルゴリズム・モデルの公開が進んでいることで機械学習利用の難易度は下がっており、失敗してもやり直しがしやすくなっている
- どの部分に機械学習を活用するのか、どこまで自社で行うのか、活用した結果はどうなったのか試行錯誤し、計測を実施することを繰り返す
AWSが提供する機械学習サービス
AWSが提供する機械学習サービスは3つのレイヤー(スタック)に分かれています。
- AI services
- ML services
- ML flameworks & Infrastructure
- AWSのマネージドサービスを利用するメリット
- インフラストラクチャ、機械学習プロセスをAWSのマネージドサービスに任せることで、自社で用意する時間やリソースを削減し、アイデアをいち早く実現可能となる
- オンデマンドで利用する場合、コスト削減につながる
AI Services
ここからは、AWSが提供する機械学習系サービスをピックアップして紹介します。
Amazon Transcribe
- 音声データから文字起こしをするサービス
- 画面からアドホックに利用できる他、APIが用意されているため、アプリケーション内に文字起こしの機能を組み込むことも可能
- ユースケース(コールセンターの接客評価)
- 録音された通話記録をAmazon Transcribeで文字起こし
- Amazon Comprehendで感情分析して接客の良し悪しの指標とする
Amazon Comprehend
- テキストからエンティティ、キーフレーズ、感情の検出をするサービス
- ニュース記事やSNSの投稿の分析によく使われる
- ユースケース(コールセンターの接客評価)
- Amazon Transcribeで文字起こしした内容を感情分析して接客の良し悪しを判断
- どこのホテルでいつ何泊するか、部屋の種類や空き状況も検出可能
- 予約成立・不成立にいたるまでにどのようなやり取りがあったのかの中身を検出可能
Amazon Kendra
- 機械学習を使って実現される高精度で使いやすいエンタープライズ検索サービス
- 自然言語で検索可能
- 単に単語の文字列検索ではなく、文章の内容を理解して関連する回答を検索可能
- クリック率、ユーザーからのフィードバックをモデルに反映して検索の精度を向上させることも可能
- Kendraからサービスに接続するコネクタが用意されている
- ユースケース(カスタマーサポート)
- 顧客からの問い合わせ内容をKendraを使って検索することにより、即座に該当のナレッジベースにアクセス可能
- 顧客が製品情報サイトを検索する際にもKendraを使うことで該当の情報にアクセスしやすくなる
その他AIサービス
上記以外にも様々な分野をカバーする13種類のAIサービスが提供されています。詳細は以下リンクよりご確認いただけます。
ML Services
Amazon SageMaker
- 機械学習プロジェクトの課題を解決するためのサービス
- 数分で環境起動し、学習・推論環境を柔軟にスケール可能
- APIで他サービスと連携可能
- SageMakerは複数のサービス群から構成され、機械学習プロジェクトの多くのフェーズで活用できる
- 利用したい部分のみ使用可能なので既存のリソースを無駄なく使える
- SageMakerを使用する場合は機械学習の深い知識(アルゴリズムに関する知識、機械学習や深層学習の知識)が必要
- AIサービスで対応しきれない案件はSageMakerを利用した開発が候補となる
AWSが提供する「学ぶ」ためのリソースとサービス
「学ぶ」ためのリソース
- AWSトレーニング(AWS トレーニングと認定 – 機械学習 (ML) コース)
- 無償のオンデマンドトレーニング
- ロールに合わせた4つのラーニングパス(意思決定者、データプラットフォームエンジニア、データサイエンティスト、開発者)
- Amazonの開発者やデータサイエンティストが使用しているのと同じ機械学習トレーニングコースが提供されている
- 機械学習や深層学習の基礎、データサイエンスの要素、機械学習を使用した問題解決の手法などをカバー
- 日本語字幕付きコンテンツもあり
- AWS認定資格(AWS 認定 機械学習 – 専門知識)
- AWS Certified Machine Learning - Specialty
- モデルの構築と調節に必要なスキルを身に着けているか検証可能
- オンラインで受験可能
「学ぶ」ためのサービス
Amazon SageMakerを使用して機械学習を楽しみながら学べるサービスが提供されています。利用には機械学習の基礎知識が求められるため、まずはトレーニングリソースで知識を習得し、以下にご紹介するサービスで楽しみながら理解を深めて実践的にSageMakerを利用することでビジネス課題にも応用していく…というステップを踏むことができます。
- AWS DeepLens
- ニューラルネットワークを使ったコンピュータービジョンを学べるカメラ付きデバイス
- カメラで撮影した画像や動画の分析が可能
- Amazon Rekognitionと食い合わせて画像解析を実施可能
- Amazon SageMakerを統合してモデルをトレーニング
- AWS DeepRacer
- 自動運転という課題を通して強化学習を学ぶ
- 開発用のSDK、シミュレータ、ラジコンカーをまとめたパッケージ
- Amazon SageMaker RLを使用した強化学習とAWS RoboMakerによる3Dシミュレーションが可能
- 自動運転の強化学習モデルで競うDeepRacer Leagueも開催
- AWS DeepComposer
- Amazon SageMakerを使って敵対的生成ネットワーク(GAN:Generative Adversarial Network)を構築して作曲が可能
- 機械学習や音楽のバックグラウンドは不要
- DeepComposerを使って作曲した楽曲のコンテストであるAWS DeepComposer Chartbustersも開催
まとめ
- 機械学習を目的にせず、常にビジネス課題からスタートする
- メンバーのスキルやロールに合わせて機械学習サービスを選択する
- 機械学習を学ぶことも大切
機械学習関連セッション
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最後に
AWSを使ってこれから機械学習を学んでいきたい方にぴったりなセッション、「AWSで始める機械学習」のレポートでした。
昨今では機械学習のバックグラウンドが無くても利用できるサービスがあり、実際に機械学習を活用するハードルはかなり下がっています。だからこそ、いち早くビジネス課題の解決に適用できるように適切なサービスを選択すること、それと同時により複雑な課題にも対応するために機械学習そのものを学ぶ必要があります。そんな機械学習を無償で学べるリソースがあるのはありがたいですね。データ分析に携わっていれば耳にしない日はない機械学習について学ぶ一歩を踏み出す後押しになるセッションでした。