ChatGPTを活用して合格!UX検定基礎試験の攻略法
こんにちは。デザイナーのスギヤマです。普段はモバイル・LINEアプリケーションのプロジェクトに従事しています。
UXジェネラリスト向けの「UX検定 基礎(https://www.uxia.or.jp/certification/)」試験というものがあります。
UX検定の公式サイト
今回、私は合格を目指し学習方法を模索していました。その中で出会ったのがChatGPTです。今回は、ChatGPTとの協力で迎えたUX検定基礎試験への挑戦についてご紹介します。
UX検定の概要については、他のデザイナーが執筆したこちらの記事もご参照ください。
目指せUXジェネラリスト!UX検定基礎を受験してみました
https://dev.classmethod.jp/articles/uxia_certificate/
なぜやるのか
日々の業務の中で、UX(ユーザーエクスペリエンス)の実施を進める中、体系的な知識の獲得が欠かせないと感じました。雑多な知識が散らばっている状態で、それを結びつける手段として、試験を利用しようと考えました。
やってみてどうだったか?
とてもよかったです!試験範囲となる本を集中して読み、ノートを取ることで、ただの読書にとどまらない学習をすすめることができました。試験問題を通じて、それぞれの情報の結びつきを確認し、実際の現場での使用を想定しました。したがって、より深く内容を理解することができました。
学習した内容
この試験では4冊の課題図書と80あまりの重要ワード(シラバス)が存在します
課題推薦図書
アフターデジタル2 UXと自由
- 著者:藤井 保文 出版社:日経BP社
- https://amzn.asia/d/3DAj3kv
UXグロースモデル アフターデジタルを生き抜く実践方法論
- 著者:藤井 保文 ほか 出版社:日経BP社
- https://amzn.asia/d/jcsK8Uu
人間中心設計入門(HCDライブラリー第0巻)
- 著者:山崎 和彦 ほか 出版社:近代科学社
- https://amzn.asia/d/i7emUJ8
ユーザビリティエンジニアリング: ユーザエクスペリエンスのための調査、設計、評価手法
- 著者:樽本 徹也 出版社:オーム社
- https://amzn.asia/d/havXh7E
(UX検定「学習推奨図書」より引用)
課題図書は、直接日々の業務に繋がる内容でした。基礎的なものが中心ですが、全体の大きな流れや知識ごとの構造を把握ができ、非常に興味深く読み進めることができました。
重要ワード(シラバス)
課題図書の内容とともに、「出題範囲(シラバス)」と第され80の重要ワードの理解が必須となっています。
重要ワード(シラバス)(UX検定より引用)
これは特に各キーワードが明確に定義された「単語帳」のようなものが存在するわけではありません。この上記4冊の本にさまざまな言及の形を取って散らばっているのです。
そのため、ただ漠然と楽しく読んでいるだけでは知識の定着は難しいのでは、と感じました。
問題集がないという問題
UX検定基礎試験を受験する際、立ちはだかる課題は「過去問題集が存在しないこと」です。
これまで、自分が行ってきた資格試験の勉強方法は
①過去問に挑む
②間違えた問題を抽出し、自分の弱点ポイントを把握する
③弱点分野から学習を始める。ある程度教本を読み込んだら①に戻る。
この①〜③を繰り返す方法をとっていました。しかし、UX検定基礎には問題集がありません。これまでの勉強法が使えない事態になりました。
そこでChatGPTにサポートをしてもらうことにしたのです。
ChatGPTを使った学習プロセス
1.課題図書の読み込みとexcelでのノート作成
課題図書の読み込み
最初にやったことはもちろん課題図書の読み込みです。週末にはカフェに移動し、読書の時間をしっかりと確保しました。それなりにボリュームがあるので、しおりを2つ用意し、AのしおりからBのしおりまでをこの時間で読み切る、といった形でゴールを決めながら進んでいく方法をとりました。これにより達成感を得つつ進めていくことができました。
ノートの作成
読書を進めると同時に「重要ワード」に留意しながらノートをとっていきます。
この時に本の内容を自分なりに要約し、わかりやすいように箇条書きでまとめます。必要な場合は挿絵の図なども撮影し、貼り付けておきます。
本を読みながら作成したノート
2.ChatGPTを使って必須単語の概要を取得
次に重要ワードを一覧にした表を用意し、各単語の概要を作成していきます。
これまでに読んできた課題図書の内容の要約とともに、Chat GPTの定義も参考にし、自分なりに言葉を説明し、まとめていきます。
重要単語の概要をリスト化
●命令文
あなたは世界的に活躍するUXデザイナーです。以下の単語をHCDやUXの観点から短く簡潔に説明してください
#単語
・ハッセンツァール・モデル
●回答(Chat GPT 3.5)
ハッセンツァール・モデルは、UXデザインにおける人間中心設計(HCD)の手法の一つです。このモデルでは、理解、構築、テストの3つのフェーズを経て、ユーザーのニーズを重視した製品やサービスの開発が行われます。
●回答(Chat GPT 4.0)
ハッセンツァール・モデルは、ユーザーエクスペリエンス(UX)を構成する要因を分析するためのフレームワークです。このモデルはマーク・ハッセンツァールによって提案され、ユーザーの製品やサービスに対する認知や感情の側面を理解するのに使われます。ハッセンツァール・モデルでは、ユーザーエクスペリエンスを「実用的な側面(プラグマティック)」と「感情的な側面(ヘドニック)」の二つに大きく区分し、さらにそれぞれの側面が「目的指向の使用(目標達成)」と「自己指向の使用(自己表現や情緒の喜び)」に分かれるとしています。実用的な側面は製品やサービスの機能性や使いやすさを、感情的な側面は美しさや新しさなど、ユーザーの感情に訴える要素を指します。ハッセンツァール・モデルは、全体的なユーザーエクスペリエンスを多面的に評価するための有効な手法とみなされています。
3.ChatGPTに知識を読み込ませて問題を作成
定義リストが完成したら、後はChat GPTに問題を作ってもらいます。何度もくりかえし回答することで、記憶を定着させていきます。
●命令文
あなたは世界的に活躍するUXデザイナーとして振る舞ってください。 わたしはUXデザイナーとしてUXやHCDの理解を深めたいと思っています。 以下の議題・知識を使用し記述問題を1問ずつ出題してください。 必ず私が答えてから回答してください。
#議題
- 代表的なUXの定義
- UXインテリジェンス協会の考えるUXの定義
- UXの構成要素
- UXと混同されやすい語句の定義及びUXとの関係性
#記憶したい単語
ニールセン・ノーマンによる定義
●回答(Chat GPT 3.5)
では、最初の質問です。
1. 代表的なUXの定義は何ですか?
●回答(Chat GPT 4.0)
議題1: 代表的なUXの定義に関する記述問題「UX」、すなわちユーザーエクスペリエンスは、ユーザーがある製品やサービス、システムを利用する際の全体的な体験を指します。有名なUXの専門家グループ、ニールセン・ノーマンが提唱する定義に基づき、UXが何を包含しているかを説明してください。また、UXがどのようにユーザーによって異なる経験をもたらすかも触れてください。
●命令文
あなたは世界的に活躍するUXデザイナーとして振る舞ってください。 わたしはUXデザイナーとしてUXやHCDの理解を深めたいと思っています。 以下の議題・知識を使用し4択問題を1問ずつ出題してください。 必ず私が答えてから回答してください。
#議題
代表的なUXの定義 UXインテリジェンス協会の考えるUXの定義 UXの構成要素 UXと混同されやすい語句の定義及びUXとの関係性
#記憶したい単語
ニールセン・ノーマンによる定義
大きく2種類「記述式問題」と「4択問題」を交互に出題させ、ひたすら答えていきます。
ご覧の通り、3.5と4.0では理解の詳細度に差があります。したがって4.0の使用をおすすめしますが、3.5でも覚えている単語の確認という観点で使用することはできました。
Chat GPTに正しい答えを要求するのではなく、出てきた答えに対して本当にあっている?と自身で確認するようなイメージで、学習を進めることができました。
ChatGPTを活用した学習法の利点
やってみてどうだったか?
1. ChatGPTでも十分に問題集の代わりにすることができました!
問題を即座に次から次へと出題してくれるので、スピーディに学習を進めることができました。間違った場合はなぜだめだったのかを深掘りしたり、その場で質問を返すなどのリクエストにも柔軟に応えてくれました。
△気になったポイント:4択問題だけでは心もとない(簡単すぎる!)。自分の言葉で重要ワードを説明する記述問題を繰り返すことで定着を進められた実感があります。
2. 最初にノートを作っておくのがおすすめ。
課題図書を読む時にしっかりとノートを作っておいたのが後々で助かりました。
△気になったポイント: ノートなしで、いきなりAIに問題を作ってもらっても良かったかもしれません。しかし間違った知識で定着してしまう恐れがあるため、しっかりと課題図書を読み、ノートを作るべきだと感じます。
△気になったポイント:UXは比較的インターネット上に知識がしっかりとある領域ですが、更に細かい領域の資格や、インターネット上に十分な情報がない知識、誤解が生まれやすい知識などは最初に記憶させるノートが肝要になりそうです。
さいごに
合格証明書
ChatGPTを活用して問題を出題してもらい、繰り返し回答することで知識の定着を図る方法が、なんとも素晴らしい経験でした。結局オンデマンド講座などは受講せず、4冊の課題図書、Chat GPT、Excel、の使用のみで合格しました。
このアプローチは資格勉強や様々な学習にも適用できる可能性があります。ChatGPTの力を借りて、知識のループを回すことで、より深い理解が得られそうです。
これからも、注意深く学びの可能性を追求し、学習に挑戦していきます。