従業員エンゲージメントを支える10個の要素 – 5. 自律・裁量

従業員エンゲージメントを支える10個の要素 – 5. 自律・裁量

Clock Icon2023.04.15

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こんにちわ。従業員体験( EX )の向上がミッションのエンジニアリング統括室に所属しているてぃーびーです。
従業員エンゲージメント(Employee Engagement)は、従業員が組織についてポジティブに捉え、共感し、強くコミットして働くような状態です。従業員エンゲージメントが高いと、事業成果に向けたパフォーマンスが高まるとされています。
従業員エンゲージメントに関する代表的な10個の要素を1記事につき、1項目ずつ紹介していきます。
他の要素が気になる方はまとめ記事をどうぞ。
今回は「自律・裁量」です。

「自律・裁量」とは?

仕事をする上で、裁量が大きく、自律的に業務を進めることができるとエンゲージメントが高まりやすくなります。
言われるがままではなく、自分で考えた通りに取り組んでいるので当然といえば当然です。
自律・裁量の対象としては
  • 取り組む対象(What)の自由度
  • 取り組む方法(How)の自由度
  • 取り組む時間(When)の自由度
  • 取り組む場所(Where)の自由度
  • 取り組む相手(Who)の自由度
などがあります。

「自律・裁量」が不足しているとどうなるか?

自律・裁量が不足していると、言われるがままに仕事をするしかありません。
いわゆるマイクロマネジメントの状態です。
自分で考えて仕事を進める範囲が狭まり、自分ごとで仕事を捉えにくくなります。特に、受け持った業務内容や指示された進め方に納得感が無かった場合、不満が募っていくことになります
結果として、エンゲージメントが低下しやすくなります

「自律・裁量」をどの程度提供するかの判断軸

裁量はいつでも誰にでも大きくすればよいものではありません。
チーム・個人それぞれの状態に対して裁量をあえて小さくする場合もあります
そして、必要に応じて裁量を小さくする場合、なぜ小さくする必要があるのかをメンバーにも伝え「マイクロマネジメントをされている」という認識にならないようにする必要があります。
裁量を大きくする方がエンゲージメントは高まりやすいですが、それはあくまで「チーム・個人の状況を踏まえた中での最大限の裁量」ということになります。

対チーム

チームの状況次第では、自律的な業務遂行よりも指示統制型のリーダーシップが求められる場合もあります。
書籍「エラスティックリーダーシップ ―自己組織化チームの育て方」で、このような状況とリーダーシップの関係性に関して紹介されています。
  • サバイバルモード - 指揮統制
  • 学習モード - コーチング
  • 自己組織化モード - ファシリテーター
サバイバルモードはチームが学習する余力が十分にない状態です。
この場合、まずチームにゆとりを作る場合に指揮統制型のリーダーシップスタイルを選びます。
学習モードはチームが学習するゆとりがある状態です。
この場合、チームが自ら考え、失敗から経験を得ながら学ぶことができるため、コーチング型のリーダーシップでメンバーの自律・裁量を広げることができます。
自己組織化モードは、リーダーがいなくてもチームメンバーだけで業務を進められる状態です。
この場合、チームはほぼすべての仕事を自分たちで考えて進めることができるため、ファシリテーター型サーヴァント型のリーダーシップで自律・裁量をさらに広げることになります。

対個人 - 状況対応型リーダーシップ

個人の状況次第では、自律的な業務遂行よりも指示統制型のリーダーシップが求められる場合もあります。
個人の状況に合わせたリーダーシップの切り替えについて「状況対応型リーダーシップ(SL理論)」という考え方があります。
状況対応型リーダーシップでは、メンバーの意欲・自信と能力のバランスに応じてリーダーシップスタイルを切り替えます。
例えば、
  • 意欲があるが未熟なビギナーに対しては指揮統制型のリーダーシップスタイルを選ぶ
  • 程々の能力があるが、まだまだ不足がある中堅の場合、コーチング型のリーダーシップを選ぶ
  • 十分に業務を遂行する能力があるが、自信が不足している上級者の場合、サポート型のリーダーシップを選ぶ
  • 十分に業務を遂行する能力があり、自信もあり、責任を持ってい仕事に取り組むマインドがある熟練者の場合、委譲型のリーダーシップを選ぶ
のように切り替えます。

従業員に自律・裁量を与えるために必要なこと

発展途上の担当者について、力量に応じて可能な範囲で担当業務の進め方を本人に任せている

状況対応型リーダーシップで説明した観点を踏まえつつ、個人の力量やマインドに応じて提供できる最大限の裁量を与えます。
逆に、本人の能力やマインドでこなしきれない裁量を提供すると、
  • 本人が抱えきれない失敗をして、失敗体験から自信喪失につながる
  • リカバーが難しいレベルの業務遅延や損失の発生につながる
という結果に陥るリスクもあります。
シニアな従業員に仕事をまるごと任せるような感覚でジュニアな従業員に仕事を任せると、こういった影響がでてしまいます。

個別の業務遂行が一人前の担当者について、担当業務の進め方は本人に任せている

個別の業務の遂行が十分に実施できる従業員には、仕事の進め方の自由を提供しましょう。

責任範囲の意思決定が一人前の責任者について、担当業務の進め方は本人に任せている

責任範囲の意思決定が十分に実施できるリーダーを担当する従業員には、何に取り組むかに関する自由を提供しましょう。

従業員が自律して仕事を進めるための前提を整える

従業員が自律して業務を遂行するためには、以下のような前提が必要です。
  • 従業員が意思決定をする指針となる部門の方針を明示している
  • 従業員が意思決定をする指針となるチームの方針を明示している
  • 従業員に任せる個別業務のWhyを常に明示している
  • 従業員に任せる業務のゴールを常に明示している
これらを提供しましょう。

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