【Center Stage】農業機械メーカーCLAASに学ぶ、戦略・ビジネス・工場が"横断的に"DXを進める方法 #HM26

【Center Stage】農業機械メーカーCLAASに学ぶ、戦略・ビジネス・工場が"横断的に"DXを進める方法 #HM26

HANNOVER MESSE 2026のDay4、Center StageでCLAAS(ドイツの農業機械メーカー)のDXセッションを聴いてきました。8カ国9工場をまたぐグローバル製造ネットワークで、戦略・ビジネス・工場の現場をどう横断的につなぐか。ボブスレーで例える「タンデム体制」、S/4HANA・EWM・MES・3Dxを束ねる1つのデジタルコア、AI特化プロジェクトより"退屈な"普通のデジタル化の方がコスト削減できたという率直な告白まで、グローバル製造業のDXのリアルが詰まったセッションでした。
2026.05.20

概要

こんにちは、クラスメソッド製造ビジネステクノロジー部の田中聖也です。
HANNOVER MESSE 2026のDay4、Center Stageで行われたCLAASのDigital Business Transformation: The CLAAS approachというセッションを聴いてきました!
登壇者はCLAASのJan Godesaer氏(VP Digitalization)とEdwin Verkaik氏(VP Manufacturing Solutions)のお二人で、 ビジネス側とIT側がペアで登壇するスタイル自体が、セッション内で語られる「タンデム体制」を体現していて印象的でした!!

この記事では以下のことに触れていきます。

  • CLAASとは(8カ国9工場+2合弁会社のグローバル製造ネットワーク)
  • CLAASの製造業としての5つの特徴(低ボリューム・高バリエーション・高シーズナリティ等)
  • 「タンデム体制」によるDX推進(ボブスレーで例えるビジネスとITの関係)
  • デジタル製造ロードマップの4つの入力要素
  • デジタルワーカーアシスタンスシステムの実例
  • プリプロダクションでのAR活用(2D溶接図面 → iPad + LiDAR)
  • プラットフォーム戦略(S/4HANA・EWM・MES・3Dxを1つのデジタルコアに)
  • 産業AIに取り組む製造業へのアドバイス3つ
  • CLAASが提示した4つのKey Success Take Aways

CLAASとは

CLAASは、ドイツのハスヴィンケル(Harsewinkel)に本社を置く農業機械メーカーです。 コンバインハーベスタ(LEXION・TRION)、トラクター(XERION・AXION)、フォレージハーベスター(JAGUAR)、ベイラーなどを製造していて、 売上は約50億ユーロ規模、100カ国以上で事業を展開しているグローバル企業です。

特徴的なのは、8カ国に9つの生産工場と2つの合弁会社を持つマルチサイト構造で、 それぞれの拠点が異なる製品レンジを担当している点。 ↓主な拠点はこんな感じです。

拠点 役割
Harsewinkel (ドイツ) コンバインRange A+B、JAGUAR・XERIONトラクター。リード工場
Paderborn (ドイツ) 駆動系・油圧コンポーネント
Bad Saulgau (ドイツ) ハイ&フォレッジ製品、SPFH(自走式フォレージハーベスター)用フロントアタッチメント
Le Mans (フランス) 全世界向け小中大型トラクター組立
Metz (フランス) 大型角型・丸型ベイラー(主に欧州市場向け)
Törökszentmiklós (ハンガリー) コンバインヘッダーのリード工場
Omaha (アメリカ) 北米向けSKDハブ、Range A組立のみ
Gaomi (中国) 中国・アジア向けRange D〜F
Krasnodar (ロシア) ロシア向けRange B(現在稼働停止)
Petropavl (カザフスタン・JV) コンバインBR B等の組立
Tashkent (ウズベキスタン・JV) コンバインBR D等の組立

ほぼすべての生産拠点がそれぞれ異なる製品を持っているので、 生産プロセスの効率化を全拠点で共有しにくい」とJan氏が話していて、 農業機械メーカー特有の難しさだなと感じました。
農業機械メーカーは完ぺきに多品種少量生産に属するので個人的には非常に気になっているセッションでした。

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CLAASの製造業としての特徴

セッションの冒頭、Edwin氏が「私たちのデジタル化の話をする前に、 私たちのビジネス特性を理解してほしい」と前置きされていて、ここはかなり重要なポイントでした。

CLAASは↓5つのビジネス特性を持っていて、これらが組み合わさってデジタル化の難易度を上げていると整理されていました。

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特性 内容
Complex Products プレミアム製品、高い技術・品質基準
Low Volume 大型機械にトレンドあり、地域別、オプション・バリアントが豊富
High Seasonality 1〜5・6月がピーク、夏はほぼ生産しない
Global Networking SKD(セミノックダウン、現地組立用部品輸出)、貿易障壁
Technical Spread 高品質製品 vs. シンプルな技術の両立

この5つが合わさった結果が、スライドにあった結論↓ですね。

Complex logistics – Low automation – High flexibility – Premium quality expectation

(複雑な物流 - 低オートメーション - 高い柔軟性 - プレミアム品質期待)

特にシーズナリティの高さピーク時に600人以上の臨時労働者を抱えるという事実は、 製造業の中でもかなり個性的な特性だなと感じました。 機器は世界中の畑で使われるので、農繁期に間に合うように1〜6月で集中生産する。 そのため臨時労働者の育成や情報提供が大きな課題になる、と。

正直、自動車メーカーのDX事例ばかり聞いてきた身としては、 こういう**「自動車とは違う製造業」のDXストーリー**は新鮮で、 日本の食品・農機具・建設機械あたりのお客様にも刺さる話だなと感じました。

「タンデム体制」によるDX推進

CLAASのDX組織構造で一番印象的だったのが、ビジネスとITのタンデム(Tandem)体制でした。

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  • 'Pilot'(操縦士) = ビジネス: 進む方向を決める
  • 'Brakeman'(ブレーキ役) = IT: 時に押し進め、時にペースをコントロールする

「私たちはビジネスとITが強く連携してこそデジタル化が機能すると確信しています。 ビジネスが"何をするか"の方向を示し、ITが"どうするか"に答える」(Edwin氏)

そして、このタンデムは複数のレイヤーで貫かれているのがポイントでした↓。

レイヤー ビジネス側 IT側
ポートフォリオ層 Portfolio Owner (Business) Portfolio Owner (Global IT)
プロダクト/ソリューション層 SU Manufacturing Product Owner Global IT Solution Owner
現場層 Sites Key User (各拠点でデジタルネットワークに参加)

トップだけでなくチームレベルでもこのペア構造を維持する、 さらに各生産拠点の主役もデジタルネットワークの一員として参加しているとのこと。 スライドのスローガンが**「Build a trusted and professional partnership on eye level!」**(対等な立場で信頼あるプロのパートナーシップを築く)で、 これはDXを進めるうえで本当に重要だなと感じました。

このタンデム構造を本当に機能させたのは、**2023年に導入した「グローバル組織(Global Metrics Organization)」**でした。 それまでは事業部ごとに「うちはこのプロセスがいい」「いやうちは別のプロセスがいい」と妥協点を探すばかりで、 グローバルなアラインメントが取れなかった、とEdwin氏は率直に話していました。

「結局は人と変化の問題。各サイトの製造担当VPからのコミットメントが必要で、 誰もが自分で決定する権利を持っていたら絶対に実現できない」

この**「グローバル組織なしに調和は不可能」**というメッセージは、 日本の複数工場を持つ製造業にとっても普遍的に効くポイントだなと感じました。

製造デジタル化の全体像を「透明化」する

タンデム体制を機能させるうえで、CLAASが重視しているのが製造業のデジタル化の全体像を組織で共有することでした。 スライドでは**「IT Portfolio Manufacturing Landscape」**として、 手描き風の工場俯瞰イラストにデジタル製品を配置した1枚絵が紹介されていました。

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このランドスケープはDemand(需要) → Manufacture(製造) → Handover(引き渡し)の全工程をカバーしていて、 受入検品、生産計画、ショップフロアのアクティビティ、OT接続、IIoT(産業用IoT、Industrial Internet of Things、工場の機器をネットワークに接続する技術)といったCLAASのチームが取り組んでいる領域が一望できる作りになっています。

CLAASがこのランドスケープから得ようとしているのは↓の5つでした。

1: All Processes covered and usage quantified — 全プロセスをカバーし、使用状況を定量化する
2: Responsibles for global Digitalization Network — グローバルなデジタル化ネットワークの責任者を明確にする
3: Strategic Initiatives visible and in focus — 戦略的取り組みを可視化し、フォーカスし続ける
4: Identification with Digitalization — デジタル化への共感・一体感を生む
5: Basis for continuous Communication — 継続的なコミュニケーションの基盤にする

デジタル製造ロードマップの4つの入力要素

CLAASがどのようにデジタル製造のロードマップを描いているか、 スライドでは↓4つの入力要素としてまとめられていました。

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1: Technological advancements(技術の進展) — AIをはじめとする技術革新
2: Global IT strategy(グローバルIT戦略) — クラウド移行などのIT戦略変更
3: User-driven innovations(ユーザー起点のイノベーション) — キーユーザーからのボトムアップ提案
4: Plant strategy initiatives(工場戦略の取り組み) — 新組立ライン・倉庫設置など、プラントマネージャー起点のトップダウン要件

ここで重要なのは、トップダウン(2, 4)とボトムアップ(3)、外部技術トレンド(1)を1つのロードマップに統合する責任がプロダクトオーナーとソリューションオーナーにある、という設計です。 「すべての要件をどう扱うかを見つけ、効率的なデジタル製造ロードマップを作る」とJan氏が話されていました。

デジタルワーカーアシスタンスシステム

CLAASがDartmouth NIV(2021〜2024年、ノルトライン=ヴェストファーレン州政府の補助金プロジェクト)で取り組んだ事例のひとつが、 **デジタルワーカーアシスタンスシステム(Digital Worker Assistance System)**でした。 対象はTRION・XERION・LEXION・JAGUARといった主力製品のラインです。

ハスヴィンケル工場ではコンバインを**AGV(無人搬送車、Automated Guided Vehicle)**ライン上で組み立てているのですが、 そこで作業者に↓のような情報をリアルタイムで提供する仕組みになっていました。

  • 今日生産する必要があるバリアントの一覧
  • 半年に1度しか生産しない特殊バリアントの3Dモデル表示
  • バランシングソフトウェア「Tactic」からの作業手順
  • 過去2年間の製品監査での品質問題(赤い感嘆符で警告)
  • 年間1,000件以上発生する技術変更の情報
  • 大規模言語モデル(LLM、ChatGPTのような自然言語AI)による補足情報 (「このステッカーを正しい位置に貼る方法」など)

特に「半年に1度しか作らないバリアントの作業手順なんて誰も覚えていられない」という現実から出発しているのが、 かなり実務に根ざしていて良いですね。 600人以上の臨時労働者が毎年入れ替わる環境では、作業者を信頼するのではなく、システムで情報をプッシュするという設計思想が確実に効くと感じました。

そして、このシステムはドロップダウンメニューで他の拠点を選ぶだけで他の生産拠点に展開できる作りになっていました。 「最初は自分たちのためだけに開発したけど、統一されたITアーキテクチャとデータ構造のおかげで、 ものすごく速く他拠点に展開できた」と。 ここはかなり大きいポイントですね。 ローカル要件に振り回されず、最初から横展開できる作りで作ることの重要性が現場の言葉で語られていました。

プリプロダクションでのAR活用(AR-Weld Seam Check)

もうひとつの事例が、プリプロダクション(本生産前の準備工程)でのAR(拡張現実)による溶接シームチェックでした。 スライドのキャッチコピーは「Keep reality in view(現実を視界に保つ)」。

CLAASのような農業機械の溶接工程では、2D溶接図面のサイズがとにかく巨大で、 情報量が多すぎて読み解くのに時間がかかるそうです。 「100%カバーすることはできない」とEdwin氏も率直に話していました。 スライドでは複雑な2D溶接図面と、それを3D・色付きで再現したAR表示の比較が並べて表示されていて、情報量の違いが一目瞭然でした。

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そこで彼らが導入したのが、LiDAR(Light Detection and Ranging、光で距離を測るセンサー)搭載のiPadで動くARアプリ。 Trim社というスタートアップのソフトウェアで、↓のようなことができます。

1: 製造する溶接シーム(つなぎ目)を現物の周りを歩きながらAR表示で確認できる
2: 金属にテキストマーカーでマーキングして生産準備に活用できる
3: 利用可能な溶接スキル(溶接資格)を確認できる
4: 部品の中から
正しいものをチェック
できる
5: 確認したい項目をすべて満たしたか自動チェックして自動レポート生成できる

スライドではこのユースケースが**「Manage Complexity & Seasonality(複雑さと季節性をマネジメントする)」「User-Driven Innovation(ユーザー起点のイノベーション)」**の象徴として紹介されていて、 これはなかなかインパクトのあるユースケースでした。 「2D図面 → AR現物表示」という置き換えそのものよりも、 そのまま品質管理プロセスにつなげて自動レポートまで生成するところまで設計されているのが効いていますね。

「Trim社は非常に機敏で柔軟な会社で、私たちの現場で適切な品質で使えるように調整してくれた。 プロジェクト終了後も、全プリプロダクションエリアに直接スケールしていく」

スタートアップとの協業をプロジェクト終了後の本番展開まで見据えて選定しているのも、 グローバル製造業らしい判断だなと感じました。

プラットフォーム戦略(Worker Assistance System | globally scaled by a standard architecture)

CLAASのIT戦略のもう一つの特徴が、プラットフォーム戦略でした。 スライドでは具体的なシステム構成まで明示されていて、ここはかなり実装の参考になりました。

アーキテクチャの基本思想↓:

  • 上層: 各プラント(Plant A, B, C...)のローカル要件・ユースケース固有のカスタマイズ(High flexibility, 早い試行)
  • 中層: 統一データ構造 & 標準化されたインターフェース(共通データモデル、API、OData)
  • 下層: Unified Platforms(統一プラットフォーム) - 1つの安定したデジタルコア

そして、そのUnified Platformsの具体的な中身が↓これでした。

システム 役割
S/4HANA ERP(統合基幹業務、SAPの最新版)
EWM Extended Warehouse Management(倉庫管理)
MES Manufacturing Execution System(製造実行システム)
3Dx 3DEXPERIENCE(Dassault SystèmesのPLM・CAD統合プラットフォーム)

これらを「1つずつ」に集約し、その上に統一データ構造を被せ、 さらにその上で各工場が柔軟にカスタマイズできるという3層構造です。

そして役割分担は↓こうなっていました。

  • Product Owner(ビジネス側): High flexibility(piloting, fast adoptions)を担当
  • Solution Owner(IT側): High stability, reusability, transparency, securityを担当

この**「現場の柔軟性 vs. グローバルの安定性」という典型的な対立構造を、ペア構造で吸収する**設計はかなり参考になりますね。 マスターデータ管理について、Edwin氏が「本当に苦痛のプロセスだけど、 イノベーションをスケールするためにはこれが基盤になる」と話されていたのも納得です。

産業AIに取り組む製造業へのアドバイス3つ

Q&Aで「すでにグローバル展開している製造業が産業AI分野に進出する際、 最も早く成果を上げるためのトップ3は?」という質問が飛んで、 これがかなり実務的な内容だったので、↓にまとめます。

1: 専任リソースをIT・ビジネス双方に置く

「通常業務の合間にできるテーマではない。IT部門にもビジネス部門にも専任の人材が必須。 そして彼らはショップフロア(現場)に非常に近い場所にいて、 プロセスを理解し、将来AIアプリケーションを運用する人たちをサポートする」

ここで強調されていたのが**「信頼の構築」**でした。 AIを実際に使う現場の人たちが、AIへの理解と信頼を築けるかどうか。 これは最も重要なことの一つだ、と。

2: 正しいAIユースケースを選ぶ(ビジュアル検査がトップノッチ)

「業界によって正しいAIユースケースは違う。 PCB基板(プリント基板)を1時間に1000枚生産しているなら、 ビジュアル検査・品質確保・AIベースのカメラシステムが間違いなく最も収益性の高いユースケース」

CLAAS自身もOCR(光学的文字認識)によるラベル読み取り→SAPへの自動入力で受入検品工数を削減したり、 溶接シームのビジュアル品質検査を進めていたりするとのこと。 「結局のところ機械学習なので、新しい話題ではないけど効果は確実」というのが率直で良いですね。

3: 「速く実装する」より「速くロールアウトする」

「最も重要なのは、 できるだけ速く実装する方法ではなく、できるだけ速くロールアウトする方法。 つまりパイロット導入の段階からターゲットアーキテクチャを考慮する必要がある」

これは前述のデジタルワーカーアシスタンスの「他拠点にドロップダウンメニューで展開できた」話と地続きで、 最初から横展開を前提に作ることの重要性ですね。 1拠点で動くPoCは作れても、9拠点に同じ品質で展開できるアーキテクチャを最初から設計するのは別物、というのは確かに大きいですね。

CLAASが提示した4つのKey Success Take Aways

セッションの締めとして、CLAASからの4つの成功要因がまとめられていました。
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これがかなり凝縮されていたので、↓に整理します。

1: Responsibility on Eye-Level(対等な責任関係)

Strong partnership between Business and IT enables Standards, Speed and Innovation

(ビジネスとITの強固なパートナーシップが、標準・スピード・イノベーションを可能にする)

タンデム体制の本質。 「サプライヤーと顧客の関係」ではなく、対等な責任を持つパートナー関係を作ることが出発点、というメッセージですね。

2: Lay the Foundation(基盤を整える)

"Basics" are mandatory to enable and scale (AI) Innovation (Harmonization, MDM, Data)

("基礎"こそが(AI)イノベーションを実現しスケールするために不可欠 - ハーモナイゼーション、MDM、データ)

**MDM(Master Data Management、マスターデータ管理)**やデータのハーモナイゼーションといった地味な基盤整備こそがAI活用の鍵、という話。 「最もコスト削減できたのは退屈な普通のデジタル化プロジェクトだった」発言とまさに地続きですね。

3: "D" in Digitalization - DO IT(デジタル化の"D"は「やる」のD)

Gain experience with Innovation Teams, clear targets and dedicated capacities

(イノベーションチーム、明確な目標、専任のリソースを使って経験を積む)

これは個人的にすごく好きなメッセージで、 「Digitalization」の頭文字"D"は実は**"DO IT(やる)"のD**だ、という言葉遊びがめちゃくちゃ刺さりました。 100%完璧なデータを待つのではなく、安全な環境で失敗できる体制を作って始めることが重要、と。

4: Put AI in your toolbox(AIをツールボックスに入れておく)

Define AI usage by strategy, give room for exploration and knowledge gain by ROI in focus

(戦略でAIの使い道を定義し、ROIを意識しながら探索と知識獲得の余地を残す)

「AIを全く気にしないとは絶対に言えない。 でも、AIのペースについていくのは正直難しい。 だから、ツールボックスに入れておくことが必要」というメッセージでした。 これはAIに対する現実的でバランスのとれた姿勢で、製造業の方にとってリアルな指針になりそうです。

ちなみに、スライドの右側には**「WHERE COMPLEXITY MEETS INNOVATION」という看板を背景に、 ビジネス担当とIT担当の2人がCollaboration / Foundation / DO IT / Toolboxの4つにチェックを入れているイラストが描かれていました。 そこに「Solution is not only use-cases but also building the organization around it(ソリューションはユースケースだけではなく、その周りに組織を作ることでもある)」**という吹き出しがついていて、 これがCLAASの一番伝えたいメッセージだったんだろうなと感じました。

セッション全体の印象

このセッション、Center Stageの中でもかなり地に足のついた内容でした。 同じDay4の他のキーノートでは「産業AIの未来」みたいな話がメインでしたが、 CLAASのお二人は**「AI特化プロジェクトより退屈な普通のデジタル化プロジェクトの方が一番コスト削減できた」**と率直に話していて、 これは現場感覚としてめっちゃリアルだなと感じました。

「AIのペースについていくのは正直難しい。 でも、AIを全く気にしないとは絶対に言えない。 だからツールボックスに入れておく必要がある

「デジタル化とは"DO IT(やる)"だ。 100%完璧なマスターデータを待つことはできない。 安全でリスクの少ない環境で経験を積み、失敗できる環境を作ることが必要」

ビジネス側のJan氏と、IT側のEdwin氏が、同じ言葉で「タンデム」を語っているのを聞いていて、 ビジネスとITが対等に組まないとDXは進まないという当たり前のようで難しいことを、 ちゃんと組織として実装しているのがCLAASの強みなんだろうなと感じました。

まとめ

CLAASのCenter Stageセッションでは、 グローバル製造業のDXの**「現場のリアル」を聴くことができました!
ボブスレーで例えるビジネスとITの「タンデム体制」、 S/4HANA・EWM・MES・3Dxという1つのデジタルコアと現場の柔軟性の両立、 そして
「Digitalizationの"D"はDO ITのD」**という率直なメッセージが、 製造業のDXを考えるうえでかなり印象に残るセッションでした。


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