ハノーバーメッセ2026 シーメンスブース訪問レポート - 「データのサイロを崩す」から「足型スキャンでソールが自動設計〜製造される工場」まで  #HM26

ハノーバーメッセ2026 シーメンスブース訪問レポート - 「データのサイロを崩す」から「足型スキャンでソールが自動設計〜製造される工場」まで #HM26

ハノーバーメッセ2026のシーメンスCPGブースツアー(約45分)に参加。データ統合からエージェンティックAIまで、製造業全体に通用する「データ統合→標準化→ソフトウェアディファインド→AI」の縦串シナリオを、ツアーで見聞きした順にレポートします。
2026.05.18

「去年も大きいと思ったけれど、去年以上に今年もでかいな!!」

今年のハノーバーメッセでシーメンスブースを訪問した時の一番最初の印象です。本当に大きい。

そんな大きなブースで、シーメンスのガイドツアーに参加してきました。約45分にわたって、シーメンスが今年のフォーカス業界に据える消費財(CPG: Consumer Packaged Goods)を入口に、データ統合・デジタルツインからバーチャルPLC、エージェンティックAIによるカスタマイズシューズの自動設計まで、ブース全体を縦串で見せてくれる密度の濃いツアーでした。

ツアー前半はCPGをショーケースに「データのサイロをどう崩すか」を、後半はテクノロジーディープダイブと未来像(Innovation Hub)まで一気通貫で。CPGはあくまで切り口で、見せ方は明らかに製造業全体に向いていました。

「サイロ化したデータを束ねる」というスタートから「足型をスキャンしてその場でソールを自動設計する」未来像まで、ありえるユースケースが連続で並んでいて、最後まで「いやこれ全部つながっているのか…」と感心しっぱなしでした。

本記事では、現場で見聞きした流れに沿って、その内容を紹介していきます。

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ブースの入り口がこちら。今年シーメンスがフォーカス業界として打ち出していたのが消費財(CPG)業界です。

CPG業界のチャレンジ — バリエーション、トレンド、規制

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ツアーガイドの方が真っ先に整理してくれたのが、消費財業界に特有の3つのチャレンジです。

  • バリエーションの多さ — 製品種類が膨大で、SKUが極端に増えやすい
  • トレンドが変わりやすい — 消費者の嗜好が短いサイクルで変化する
  • 各国の規制対応 — 国ごとに異なる規制要件への適合が必須

このチャレンジに対して、シーメンスが繰り返し強調していたのが「データをどう使うか」というテーマです。SNSの声、営業のインプット、生産ライン、サプライチェーン。社内外に散らばった情報をどう一元化して、製品開発と生産にフィードバックするか。CPGの世界はまさにこの戦いの最前線、というのが冒頭のメッセージでした。

データのサイロを崩す — RapidMinerとTeamcenter

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ブース最初のパネルで紹介されたのが、Altair社のRapidMiner(ラピッドマイナー)。社内外の散らばったデータを取り込み、ナレッジグラフでリンクさせて「意味あるデータ」に変換していくツールです。データアナリストでなくても扱えるよう設計されているのがポイントで、ブース内のいたるところで使われていました。

ガイドの方が挙げていたユースケースは以下のとおり。

  • SNSや顧客の声から、次に売れそうな製品アイデアを抽出
  • 生産設備のデータからアノマリー検出
  • サプライチェーン上で発生した事象に対する改善策の探索

裏側にあるのは、CPG業界に独特の「ステークホルダーの多さ」です。マーケティングマネージャー、プロジェクトマネージャー、プロダクトマーケティングアナリスト…製造現場が消費者の声を聞きたいと思っても、複数の部門を経由しないと届かない。しかもそれぞれが別々のデータを持っていて、同じ問いに対して違う答えが返ってくる。CPGに限らず、製造業の永遠のテーマです。

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ここに対するシーメンスの回答が Teamcenter。いわゆるPLMのデータバックボーンとして機能する、データの一元管理基盤です。

各部門が持っているツール・システムをTeamcenterに接続し、「みんなが同じ1つのデータを見て話す」状態を作る。プロセスや権限管理もTeamcenter側で標準化することで、アイデア → デザイン仕様 → マニュファクチャリング要件 → クオリティコントロール → レシピ、というアウトプットを早く正確に積み上げていく、というアプローチです。

このパートを聞いていて、自分はDEX-Tokyoで聞いた「データをつなげる」というシーメンスのコアメッセージと完全に同じ流れだと感じました。CPGに限らず、シーメンスがあらゆる業界に提案しているテーマの中心は、結局のところ「サイロを崩すこと」に集約されている印象です。

ラボから生産への加速 — デジタルツインで時間を圧縮

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レシピが完成して、いざラボから本番のプロダクションラインに乗せようとすると、ここでまた時間がかかる。これがCPGのもう一つのボトルネックです。

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ここでシーメンスが組んでいるパートナーが、スイスのミキサーメーカー Bühler(ビューラー)。Bühlerのミキサーをデジタルツイン化し、中の挙動をシミュレーションで再現することで、マシンパラメータを最適化していくデモが展示されていました。

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従来のミキサーでは、パラメータを変える → 出てきたものを評価 → またパラメータを変える、というトライ&エラーを繰り返すしかなく、時間も廃棄物もかかります。これに対してデジタルツインなら、内部の温度変化や混合状態を可視化しながら、AIで最適化を回せる。物理マシンがない段階でもパラメータを詰められるのが大きなメリットです。

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続いて目に入ったのが、 TIA Portal × Industrial Copilotのデモ。シーメンスのPLCエンジニアリング環境であるTIA PortalのAPIを通じて、Copilotがコードを自動生成してくれます。

  • PLCラダーの自動生成
  • 画面(HMI)の自動生成
  • 仕様書をコピー&ペーストしてプログラム雛形を生成、コンパイルエラーをCopilotにフィードバックして再生成

さらに、3DモデルやシミュレーションソフトとPLCを接続して、実機がない状態でコミッショニング(試運転)を済ませるバーチャルコミッショニングのデモも併設されていました。手戻りを大幅に減らし、立ち上げ時間とコストを圧縮するアプローチです。

「マシンができる前にコミッショニングを終わらせておく」というアイデアそのものは何度も聞いてきていますが、実際にCopilotが横で動いている画面を見ると、「ここまで来たか…」という生々しさを感じます。

マルチベンダーをつなぐPLC統合制御

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ガイドツアーの中盤で大きなインパクトがあったのが、ピックアンドプレイスのデモエリア。ロボットがオレンジ(みかん)を掴んでピックする様子を、インラインのビジュアルインスペクションを使って制御していました。

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ここで強調されていたのが、 「シーメンスのPLCがマルチベンダーのロボットを束ねる」 という思想です。

工場の現場には、三菱電機、Universal Robots、その他いろいろなロボットメーカーの機器が混在しているのが当たり前です。それぞれにティーチングペンダントの使い方があり、運用が部屋ごとにバラバラ……というのは、製造業のあるあるです。

シーメンスのPLCはロボットコントローラに対するAPIのような仕組みを持っていて、PLC側からティーチングやポジショニングを直接指示できます。ベースになっているのはPROFINET協会が定めるロボットコントロール規格で、PROFINET経由で特定のコマンドを叩くと、メーカーが違っても同じ枠組みで動かせる、と。

リニアコンベア(他社製)やカメラもシーメンスPLCで同期制御されていて、エンジニアリングが1つのプラットフォーム上で済む形になっていました。タイム・トゥ・マーケットを縮めるための、地味だが効く打ち手だと感じます。

ポップアップファクトリー — 需要に追従する小さな工場

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次に紹介されたのが「ポップアップファクトリー」というコンセプト。これはまだ実装に至ったソリューションではなく、デジタルツインの応用例として展示されていました。

語られたシナリオは、ワールドカップや音楽フェスといった、特定のスタジアムでジュースの需要が一時的に跳ね上がるケース。

  • 既存工場から配送するか、それともスタジアム近くにコンテナサイズの小さい工場を建てるか
  • 需要予測をAIで解析(例: 米国スタジアムでブラジル対スペイン戦を想定し、1日に何本売れるかを推定)
  • シーメンスのサプライチェーンスイートで、両者のコスト試算を実施
  • メタバース/デジタルツインでラインの能力計算と機器配置を確認

判断ロジックとしては、「コスト効率がよい方を選ぶ」というシンプルな比較。ただし、ここでAGV、ロボット、コンベアの組み合わせがすぐに動かせるかどうかは、工場の標準化がどこまで進んでいるかに完全に依存する、とガイドの方が念を押していました。標準化はこの後の「バーチャルPLC」「3点セット標準化」にも一貫して効いてくるテーマです。

顧客事例3連発 — Natura/ポテトチップス/PepsiCo

ここからは、これまでに紹介された技術が実際にどう成果につながっているか、3つの事例を立て続けに紹介してもらいました。

Natura(ブラジル)— エッセンシャルオイル抽出の改善

ブラジルの化粧品メーカーNatura(ナチュラ)の事例。エッセンシャルオイルを抽出するプロセスにバラつきがあり、それが最終製品の品質に直結していたという課題を抱えていました。

  • 改善対象: ミキサーでの抽出工程
  • 結果: 動作圧力(パワー)を50%削減

抽出時のエネルギーコストとプロセス安定性を一気に改善した格好です。

ポテトチップス事例 — 原料バラつきを生地のデジタルツインで吸収

天然由来である芋は、産地によって品質にバラつきが出やすい。これがそのまま最終製品の品質バラつきになるのが、ポテトチップス製造の典型的な悩みです。

  • 改善: 生地のデジタルツインを作成し、製造ラインのパラメータをIndustrial Copilotで最適化
  • 結果: 生産能力10%向上/エネルギー効率7%向上/廃棄物13%削減

数字の組み合わせが渋く、製造現場の人ほど「これは効くな…」と感じるはず。原料バラつきへの対応をデジタル側で吸収する発想は、ポテトチップスに限らず、農産物を扱う食品工程に幅広く応用できそうな型だと感じました。

PepsiCo(米国ノーステキサス)— 既存工場アップグレードの意思決定

ノーステキサス地域での製品需要増に対して、新工場を建てるか既存工場をアップグレードするかという、典型的な投資判断の事例です。

  • アプローチ: 既存工場のデジタルツイン上で、Industrial AIによるWhat-if分析を多数試行
  • 判断: コスト効率も含め、既存工場のアップグレードを選択
  • 結果: バーチャル段階で潜在的問題の90%を特定/スループット20%向上/設備投資10〜15%削減

「投資判断にデジタルツインを使う」というのが、もはやコンセプトではなく実用フェーズに入っていることを示す、強めの事例だと思います。

テクノロジーディープダイブ — バーチャルPLC

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ここまでがCPGをショーケースにした前半パート。ツアーの後半はガラッと色合いが変わり、シーメンスが推す「テクノロジーディープダイブ」エリアに入っていきます。業界を問わず今すぐ使えるソリューションを集めたゾーンで、その中から特にピックアップされたのが バーチャルPLC です。

バーチャルPLCは、Software-Defined Automationのキーコンポーネント。VMwareなどの仮想環境上にPLCを配置できる仕組みで、ハードウェア依存からの脱却を実現します。

  • ラップトップやデータセンター内のVMでPLCを動かせる
  • 1台の仮想環境に複数のPLCインスタンスを乗せられる(拡張・縮小が容易)
  • ハードのスペアパーツが不要、トラブル時はバックアップからリストアでOK
  • 機能追加もインターネット経由で「iPhoneのように」アップデート可能

事例として紹介されていたのが、Audi(アウディ)。Audiは自社のデータセンター内にバーチャルPLCを配置し、コントロール層から上を完全にショップフロアと分離させているとのこと。標準化された生産ラインがあれば、そのコントロール層を別工場・別国にコピー&ペーストするだけで展開できる、という未来像も語られていました。

製造現場のAI — Industrial Edge × NVIDIA × コクリエーション

続けてAIブースエリアでは、シーメンスのIndustrial Edge Ecosystemと、NVIDIAとの協業の話。GPU内蔵のエッジデバイスを、シーメンスがオーナーシップを持ってソフトウェアアップデートまで提供する形です。

AIエキスパートの方が強調していたのが、 「POCは簡単、再現性のあるスケールが難しい」 という点。

Making POCs especially in the field of AI is easy but it's not repeatable.

製造現場でAIを活用するには、自動化ペルソナ(必ずしもデータサイエンティストではない人)でも扱える形にすることが重要で、シーメンスはそのためのブループリントとアーキテクチャを提供している、というメッセージでした。日本国内でもAIモデルそのもののコクリエーション(共同開発)案件がいくつか動いている、という話も聞けました。

スマートマニュファクチャリング事例 — 台湾Quanta社のPCBボード

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ここで紹介されたのが、台湾Quanta社の事例。展示されていたのは、自動運転車の頭脳となるPCBボード(中央にNVIDIAチップ、両側にインバータ)。命に直結する部品なので、品質要件が極めて厳しい領域です。

Quanta社では、PCBボードの設計からオートメーションの製造まで、シーメンスのソリューションで一気通貫させています。

  • 設計: シーメンスのCAD系設計ツールで実施。1,000以上のシステムが吐き出すデータをTeamcenterで統合
  • 製造: 設計工程から吐き出されるPOPデータを使って、バーチャルコミッショニングを実施
  • ファクトリー立ち上げ: バーチャルでの検証を経て、ファーストタイムライト(最初の製造バッチから正常品が出てくる、プロトタイプ製作なし)を実現

ショップフロアのエンジニアリングも特徴的で、PCBボードの設計変更にオートメーションが追従する仕組みが組まれていました。具体的には、ファンクションブロック単位でオートメーションを標準化し、ローコードのように「ブロック同士を線でつないでいく」プログラミング環境をシーメンスが提供しているとのこと。

ピックアンドプレイスなら「ピック→上昇→スライド→下降→落下」をブロックの組み合わせで表現し、クラウド連携もファンクションブロックを並べて実現する。この発想自体は珍しくありませんが、シーメンス標準で揃っているという事実が、現場運用で効いてくるポイントだと感じました。

アドバンスドマシンエンジニアリング — メカ・エレキ・ソフトの3点セット標準化

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ハードウェアの世界に戻って、最後の見どころが「アドバンスドマシンエンジニアリング」エリア。

ピックアンドプレイスのロボットそのものは見慣れた機材ですが、ここでデモされていたのは メカ(MCAD)・エレキ(ECAD)・ソフト(PLCプログラム)の3点セットを標準化し、リンクさせる という思想です。

  • ロボット用の3点セット、コンベア用の3点セット、ビジュアルインスペクション用の3点セット…とパターン化
  • 「ロボット2台、コンベア3台」のように指示するだけで、各3点セットが自動生成される
  • 自動化率は60〜70%。残りはエンジニアの付加価値領域として残す

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設計プロセスのフロントローディングを、ツールレベルで担保するアプローチです。仕上がりをバーチャルコミッショニングと組み合わせれば、実機がなくてもラインを立ち上げられる。マシンOEMにとっての「デジタルスレッド」の使い方として整理されていて、説得力がありました。

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最後に紹介されていたのが、中国マシンOEMの事例。TIA Portal × Industrial Copilotで、マシン組み上げのプロセスをすでに実運用に乗せているデモでした。仕様書をCopilotに渡してプログラム生成 → TIA Portalにロード → コンパイルエラーをCopilotにフィードバック → 修正版を生成、という反復ループが、現実の開発手段になりつつあるのを実感します。

未来の姿 — エージェンティックAIとInnovation Hub

ガイドツアーの締めくくりが、Innovation Hub。ここでは「自律型AI(エージェンティックAI)」をテーマに、未来の工場像をデモで見せてくれました。

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主役はカスタマイズシューズの生産ライン。来場者が黒い台の上に立つと、足の形状と圧力分布がスキャンされます。

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このデータをエージェンティックAIが受け取り、CADソフトNXに対して「この人のソールを設計して」と指示を投げる。NXに組み込まれているCopilotが、足の形状にフィットするようソール形状を自動的に変更していく、という流れです。

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実演されていた一連のフローは、おおむね以下のとおり。

  1. 足型・足圧をスキャン
  2. エージェンティックAIがNX上のCopilotにデータを渡す
  3. CopilotがNX内でソール形状を自動調整
  4. ソール形状が確定 → 製造工程に投入

ちなみに足型スキャン → 個別ソール製造の部分はすでに実用フェーズに入っていて、ガイドの方が履いていた靴がまさにそのカスタマイズソールでした。

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その隣のデモが、従来は自動化が難しかった「ファブリック(柔らかい生地)の梱包」をロボットでこなす展示。形状が定まらない素材を相手にするロボットハンドリングは、AI×ビジョン×制御の合わせ技でようやく実用域に入ってきている、という象徴的な展示でした。

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最後はManufacturing Process Planning, Tooling & Part Manufacturingのパネル。製造プロセス計画 → 治具・工具 → 部品製造、というエンジニアリングチェーン全体をデータドリブンに作り込むコンセプトを示すものでした。

ここまで45分。「データのサイロを崩す」から始まり、「足型から自動でソールが出てくる工場」まで、一気通貫で見せてくれた密度のあるツアーでした。

シーメンスブース訪問所感

シーメンスのブースツアーを通して感じたことを、まとめておきます。

1. CPGは「全業種の課題」の縮図

サイロ化したデータ、ステークホルダーの多さ、需要変動への追従、規制対応……今回CPGの課題として整理されていたものは、ほとんどの製造業に共通する課題です。CPGをショーケースに使っているのはわかりやすさのためであって、提案されているソリューション群は、自動車・装置・化学・医薬といった他業種にもそのまま転用できる構造になっていると感じました。実際、ツアー後半の事例(Audi、Quanta、シューズのカスタマイズ)はいずれもCPG外で、CPGは入口に過ぎないことが明確に伝わってきました。

2. PLCの「API化」と仮想化が効く

シーメンスPLCがマルチベンダーロボットを束ねるくだりと、バーチャルPLCの仮想化のくだりは、個人的にいちばん刺さりました。「PLCはハードに張り付くもの」という前提を取り払うと、工場のソフトウェアアーキテクチャは一気に自由になる。Audiのデータセンター事例は、その先取り例として強烈です。

3. 「自律型工場」の現実解はエージェンティックAI

Innovation Hubで見せていた、足型スキャン → エージェンティックAI → NX × Copilot → 自動設計 → 製造、という流れは、シーメンスが描くオートノマスファクトリーへの具体的な道筋として、非常に納得感がありました。POCの寄せ集めではなく、「スケール可能で再現可能」を設計思想として徹底しているのが伝わってくる構成です。

総じて、シーメンスがハノーバーメッセ2026のブースツアーで打ち出したストーリーは、CPGを入口に「データ統合 → 標準化 → ソフトウェアディファインド → AI」という4つのレイヤーを縦串で貫いた一気通貫の提案でした。データから始まり、データに帰着する。製造業のデジタル化は、結局これに尽きるのかもしれない、と改めて感じる45分でした。

最後となりますが、ブース訪問の調整をいただいたアルファコンパス 代表CEO 福本 勲さん、改めてこの場をお借りして御礼申し上げます。

入口はCPGでも、見せられたのは製造業すべてに通じるシーメンスの縦串ストーリー。来年ハノーバーメッセに訪れる方は、シーメンスのガイドツアーを要チェックです。

それでは今日はこのへんで。濱田孝治(ハマコー)でした。

参考資料

紹介されたシーメンスの主要ソリューション

パートナー・関連企業

  • Altair RapidMiner — データ統合・ナレッジグラフ・分析基盤
  • Bühler — ミキサーをデジタルツイン化したパートナー企業

関連標準


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