
【スタートアップブース訪問】面白そうなセンサー情報 #HM26
概要
こんにちは、クラスメソッド製造ビジネステクノロジー部の田中聖也です。
HANNOVER MESSE 2026のスタートアップエリア(ホール11)で、設備保全に効きそうな尖ったセンサーを出している2社を訪問してきました!
スタートアップエリアには200社超の新興企業が出展していて、その中でも特に「これはユースケース広そう」と感じた HCPSense と altosens の2社についてレポートします。
- HCPSense:ベアリングの潤滑状態を見るセンサー(振動センサーよりさらに一歩手前)
- altosens:ワッシャー型のセンサー(ボルトの軸力・温度・振動・速度を計測)
- 共通点:どちらも"設備保全の現場で実際に使える形"に落とし込まれている

HCPSense:振動センサーの"一歩手前"を狙うベアリング保全センサー
最初に立ち寄ったのは HCPSense のブース。
何をやっている会社なのか聞いていくと、ベアリング(軸受)の潤滑状態をモニタリングするセンサーを作っているスタートアップとのことでした。
なぜ"潤滑"を見るのか
設備保全の世界では、ベアリングの異常検知に 振動センサー(バイブレーションセンサー) を使うのが一般的です。ただ、振動センサーが反応するということは「すでにベアリングの表面にダメージが入っている」ということでもあります。
スタッフの方の説明だと、ベアリング故障の原因の 80%は潤滑不良 から始まるそうで、HCPSenseはこの**振動が出るより前の段階(潤滑状態の悪化)**を捉えにいくのがコンセプトなんですね。
潤滑が悪い段階で気づければ、潤滑を直すだけで済むので、ベアリング交換よりはるかに安く済みます。
これは確かに刺さるユースケースだなと感じました!!
計測の仕組みと取り付けパターン
仕組みとしては、微小な交流電流(AC current)を流して**インピーダンス(分かりやすく言うと抵抗)**を測ることで潤滑膜の状態を見る、というもの。直接接触があれば抵抗値、潤滑膜があればキャパシタンス成分が出るので、その合成で潤滑状態を判定します。
取り付け方は3パターンあると説明してくれました↓
- 直接接触型(ベアリング外輪に接点ピンを当てる):単一ベアリングを精密に見たい場合
- シャフトのブラシ接触型:シャフト上の全ベアリングをまとめて見たい場合
- 誘導(インダクティブ)型:シャフトに巻き付けるコイルで非接触計測する場合

ハードウェアと接続性
データの吐き出し方も柔軟で、
- クラウド送信
- イーサネット出力
- SDカード保存(社外にデータを出したくないお客さん向け)
このあたりが選べるとのこと。アナログの温度信号なども一緒に取り込めるので、既存のPLCに繋ぐパターンも問題なく対応できそうでした。
風力発電向けのデモデータ
ブースで見せてもらったデモデータがかなり印象的で、風力発電の単段渦巻きポンプのRun-to-Failureベンチマークの画面でした↓

- HCP Senseはダメージが起きる3週間前に原因(潤滑不良)を検知
- HCP Senseは他システムより24時間早くダメージを検知
「予兆保全(プレディクティブメンテナンス)」というワードはどのブースでも見かけるんですが、ここまで明確に時間軸での優位を打ち出している展示は珍しいなと感じました。
仕組みもサイズや潤滑剤の種類(グリース・オイル・ペースト等)に依存しないし、すべり軸受でも転がり軸受でも使える、という点も非常にいいなと思いました。
altosens:ボルト・ナットの保全を変えるワッシャー型センサー
次に訪問したのが altosens のブース。こちらはまさに直球で「力を測れるワッシャー(force measuring washers)」を作っている会社です。
ワッシャーの中にセンサーが入っている
最初パッと見た感じは普通のリング状の金属で、「これがセンサーなんですか?」と聞いたところ、ワッシャーの内部にセンサーが組み込まれているとのこと。隣にある小さな箱はコンピューター部分で、ワッシャー側はあくまでセンシング素子という構成です。

計測できるのは↓のラインナップ。
- 軸力(force)
- 温度(temperature)
- 振動(vibrations)
- 速度(velocity)
最小サイズは現状 M20 で、それより大きいサイズもDIN規格のラインナップに沿って用意されています。カスタマイズ対応もしてくれるそうで、お客さんの図面に合わせて作るパターンも普通にあるとのこと。
製品ラインナップとダッシュボード
ブースには .disc .edge といった製品ラインナップが並んでいて、センサー側(.disc)とゲートウェイ・処理側(.edge)で役割が分かれている構成でした。ダッシュボードもライブで見せてもらえて、軸力・温度・加速度などの値がリアルタイムで取得できているのが確認できました↓

このあたり、「ハードウェアだけ作って終わり」ではなく、データ収集〜可視化まで含めて提供しているのがいいですね。
ユースケース:ボルトで締結される"安全クリティカル"な部位すべて
スタッフの方が挙げていた現状のユースケースは↓
- 風力タービン(オンショア)
- オフショア風力タービン(温度変化が激しいのでヘビーデューティ仕様)
- 橋梁
- 鉄道システム
要は 「ボルトで締結されていて、緩んだら大事故になる部位」 はどこでも刺さるという話でした。
設備保全の現場では「ネジの緩みを目視・トルクレンチで点検」という工数のかかる作業がまだまだ残っています。
これがワッシャーを置き換えるだけで常時モニタリングになるなら、保全の工数削減とトラブル予防の両方に効きそうかなと思いました。
単品でも全体パッケージでも買える
販売モデルが柔軟だったのも好印象でした。
- ワッシャー単体で購入 → 自社の既存システムに繋いでデータ処理は自分でやる
- システム全体(ワッシャー+ダッシュボードまで)パッケージ購入
PLCにも直接繋げるとのことなので、既存の工場ITに無理なく組み込める形になっていました。
2社を回ってみて感じたこと
HCPSenseもaltosensも、「センサー単体を売る」というより「設備保全の特定の困りごとに対する解」を持ち込んできているスタートアップだなと感じました。
- HCPSense → ベアリング異常の80%の原因である潤滑不良を見にいく
- altosens → 締結部のボルト軸力を見にいく
と、現場の困りごと → 物理量 → 取り付け位置まで一直線で設計されているので、現場説明がしやすいのが良いですね。
シャフトに巻くインダクティブ型のHCPSenseもワッシャー型のaltosensも、既存設備への後付け取り付けがしやすい形をしているのもポイントで、いわゆるブラウンフィールド(既存工場)の保全にもそのまま入っていけそうだと感じました!!
まとめ
スタートアップエリアには「これは現場で刺さる」と感じるセンサー系の出展が多くあって、その中でもHCPSenseとaltosensは特に印象に残りました!










