登壇資料「製造業AIはここまで来た〜ハノーバーメッセ2026現地報告と今すぐ始めるべき理由〜」 #HM26

登壇資料「製造業AIはここまで来た〜ハノーバーメッセ2026現地報告と今すぐ始めるべき理由〜」 #HM26

ハノーバーメッセ2026で見たAWS・Microsoft・Siemens・SAPの4大ベンダーが描く製造業AIの最前線と、日本の現場で進めるべきAI活用の現実的な方向性を、関西製造業祭り2026春の登壇資料と合わせて紹介します。
2026.05.18

「ハノーバーメッセ2026で得た製造業におけるAI活用の今を、なんとかして日本に持って帰りたい」

そう思いながら準備したのが、今回の登壇でした。

先日、クラスメソッド主催の関西製造業祭り2026春に登壇しました。タイトルは 「製造業AIはここまで来た〜ハノーバーメッセ2026現地報告と、今すぐ始めるべき理由〜」 30分の枠で、ハノーバーメッセ2026で見てきた製造業AIの最前線と、そこから日本の製造業の現場で進めるべきAI活用の方向性について、お話ししました。

本記事では、資料と合わせて登壇内容のハイライトを紹介していきます。

登壇概要

  • イベント名: 【大阪】関西製造業祭り2026春〜最新技術をキャッチアップして工場DXを進めよう〜
  • 開催日: 2026年5月13日(水)
  • 会場: クラスメソッド株式会社 大阪オフィス
  • セッション: 18:20〜18:50(30分)最終セッション

イベント公式ページ
https://classmethod.jp/seminar/260513-kansai-manufacturing-festival/

登壇資料

自己紹介

濱田孝治(ハマコー)

クラスメソッド株式会社 製造ビジネステクノロジー部 スマートファクトリーチーム マネージャー
製造業向けAI・クラウドソリューションの企画・導入支援

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本日お伝えしたいこと

2回目の参加で感じた、ハノーバーメッセの魅力と、AI活用への取組の方向性。

私自身は今回が2回目のハノーバーメッセ現地参加で、田中聖也と2名で、5日間張り付いて視察してきました。1回目の参加は現地2日間ということもあり「規模に圧倒される」で終わってしまった部分も、2回目になると「何が変わったか」「どこに向かっているか」が立体的に見えてきました。

本セッションでは、その2回目だからこそ見えてきた景色を、関西の製造業の皆様にお伝えしたいと考えました。

Agendaは大きく3つに分けています。

  • ハノーバーメッセとは
  • 現地でみた製造業AIの最前線
  • AI活用の現実的な方向性

ハノーバーメッセとは

私の中での率直な答えは、「製造業の森羅万象が集まっている場所」 です。

  • オープニングセレモニーの政治色の強さ(首相演説や産業政策レベルのテーマが正面に出てくる)
  • 世界を代表するプレイヤーの超大規模かつ異常に数が多い展示
  • 各国が「国代表」として出展しているナショナルブースの多さ
  • Manufacturing-X・OPC UA Foundation・Open Data Spaceといった標準化団体の展示規模

このスケール感は、日本国内のどの展示会とも別物です。各国の産業政策、巨大ベンダーのショーケース、標準化団体の最新動向、そしてそれを支えるサプライチェーン側の各国代表企業まで、製造業に関わるあらゆる要素がワンフロアに凝縮されています。

何より私が現地で強く感じたのは、「そこに行けば、未来がある」 ということでした。これは大袈裟ではなく、現場で1日歩き回ると、製造業の3年後・5年後の姿が断片的に見えてきます。

現地でみた製造業AIの最前線

ここからが本題。本セッションでは、特にAI活用の文脈で、以下のキープレイヤー4社のブース内容を紹介しました。

  • AWS
  • Microsoft
  • Siemens
  • SAP

それぞれ別々のブースで、それぞれの強みを起点にしながらも、最終的に向かっている未来は驚くほど重なっていました。順番に見ていきます。

AWS

AWSブースの全体テーマは「Built for Industrial AI」。製造業フィジカルAIを実装するための「5つの柱」と、それを束ねるエージェントの役割が、ブース全体のリファレンスアーキテクチャとして示されていました。

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5つの柱は、下から順番に「現場データの収集・エッジ処理」「モデル学習&シミュレーション」「実機展開(Sim2Real)」「全体制御&オーケストレーション」「アプリケーション&価値創出」というスタック構造です。NVIDIAのIsaac Sim/LabやIoT Greengrass、Bedrock AgentCore+Strands Agentsまで、AWSが製造業フィジカルAIに必要なピースを5層に整理して見せてくれていました。

ブース規模は1,400㎡。25のパートナーキオスクと9のAmazonキオスクが入り、会期中は50を超えるセッションが連続開催されていました。製造業へのコミットの大きさが、ブースのスケール感そのものから伝わってきます。

特に印象に残ったのが、ブースの真ん中に「実際に動く製造ライン」をドンと置いていたことです。

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AI-Powered Production Lineと呼ばれる体験型デモで、ドリンクコースターを実演で製造する内容。来場者がデザインを発注すると、AMR(自律移動ロボット)が原材料を運び、協働ロボットがレーザー彫刻機に積み込み、AIカメラが品質検査をして、最後にヒューマノイドが完成品を手渡してくれる、というフローを1本のラインで完結させていました。フィジカルAIとAgentic AIを「動く現物」として見せる、作り込みの強い展示です。

エージェント周りで個人的にいちばん刺さったのが、既存システムを「置き換える」のではなく「上から束ねる」というアプローチでした。中央エージェントがMCP(Model Context Protocol)経由で疎結合に接続して、MES・MOM・PDM・在庫管理を既存のまま叩く構造です。日本の製造業のお客様にはレガシー資産がたくさんあって、「全部置き換え」は現実的ではありません。AWSが提示しているこの「束ねる」考え方は、そのまま日本のお客様に持っていける考え方だと感じました。

Smart Products領域では、AWSのコーディングエージェントKiroを使って、HVAC(空調機器)のコントロールパネルを想定したミニデバイス向けの組み込みアプリを開発するデモも展示されていました。仕様書 → 設計 → テストを意識した仕様駆動型の開発を、エージェントと一緒に進めていく流れです。産業機器の組み込み開発は、テストやデバッグの自由度が低くてしんどい領域なのですが、ここにKiroが入ってくる絵姿は、今後の現場感を大きく変えそうな予感がありました。

事例として印象的だったのが、中国の建機メーカーZoomlion(中聯重科)のブースです。

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Zoomlionは自社の製造工場でロボットを多用していて、そのAI開発環境としてAWSを採用しています。面白いのは、自社で構築した製造管理システムをAWS Marketplaceに乗せて、他社がワンクリックで導入・スモールスタートできる流通モデルに仕立てているところでした。「自社で全部作る」でも「SIerに丸投げする」でもない、自社AIをパッケージとして流通させる第三の選択肢として、今後の広がりを感じさせる事例です。

Microsoft

Microsoftブースのテーマは「産業インテリジェンスの解放」。Microsoft IQという3層構造のアーキテクチャで、製造業AIの全体像を提示していました。

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中央にあるのが「Microsoft IQ」の3層構造(Work IQ・Fabric IQ・Foundry IQ)で、左側にフィジカルAIによる工場の自律化、右側に現場主導のAIエージェント、下にKrones社の事例(4時間→30分)、そして外部シグナルによる需給最適化まで、ブース全体のソリューションが一枚絵に整理されています。

3層のIQアーキテクチャは、

  • Work IQ: エンジニア・オペレーターの協働を理解
  • Fabric IQ: 製品・設備・サプライチェーン・財務を理解
  • Foundry IQ: 運用手順・暗黙知・組織知識を理解

という分担で、AIサイロを跨いだ「共有インテリジェンス層」を作る設計思想でした。LLMをそのまま製造現場に持ち込んでも専門知識がないからハルシネーションを起こす、という現実認識から、オントロジーとデジタルツインで補強していく組み立てがブース全体を貫いています。

ブースで一番混雑していたのが、フィジカルAIのエリアです。

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Siemens NXで設計したワークを、エージェントがCAMに展開し、ヒューマノイドがCNCにワークを運搬、Hexagonの検査ロボが良/不良判定をする、という自律加工セルです。ポイントは、クラウドから指令を出しているのではなく、エッジ側に学習済みモデルが入って自律的に判断・動作していること。コンテナにモデルを固めてエッジに配布する、という今の製造業AIの標準パターンが、そのまま実装されていました。

シフト引き継ぎのデモも印象的でした。Microsoft IQ for ManufacturingがCopilot Studio(ローコード)上で動いていて、前シフトが「歩留まり低下」「メンテ必要」をCopilotに引き継ぎ、次シフトが「シフトブリーフ」を依頼するとサマリーが自動生成されます。さらに「振動が大きい」アラートに対しては、Copilotが根本原因分析まで踏み込んでくる。M365スタックの強みがそのまま製造業に降りてきている感じです。

ツアーの締めにあったのが、ボトリング機械メーカーKronesのIndustrial Copilotデモでした。

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ボトリングのチェンジオーバー(品種を切り替えるときの段取り替え)の時間が、従来4時間かかっていたものを30分に短縮した、という事例です。Ansysのシミュレーションをバックエンドで動かして、エンジニアはCADデータとパラメータをCopilotに渡すだけ。「シミュレータの複雑さをAIエージェントが継承する」という設計思想は、製造業AIの次の世代を象徴するキーワードだと感じました。

Siemens

Siemensは今年、CPG(消費財)業界をショーケースとしてブースを構成していました。

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ブース全体の構造は大きく2つ。左側が「基盤: データのサイロ化解消と制御の標準化」、右側が「革新: AIとデジタルツインによる生産の高速化」です。マルチベンダー環境の統合制御から、バーチャル試運転、ハードウェアからの脱却(バーチャルPLC)、エージェンティックAIによる自律設計まで、CPG業界の課題を起点に一気通貫のデジタルトランスフォーメーションを描いています。

CPG業界のチャレンジは、SKU爆発・短サイクル化・各国規制対応など、ほぼ全ての製造業に共通するものです。Siemensはこれを起点に、「データ統合 → 標準化 → ソフトウェアディファインド → AI」の4レイヤーで提案構造を組み立てていました。45分のガイドツアーでデータ統合からカスタマイズシューズの自動設計まで一気通貫で見せてくる、密度の高いブースでした。

ツアー中盤で大きなインパクトがあったのが、ピックアンドプレイスのデモエリアでした。

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ロボットがオレンジ(みかん)を掴んでピックする様子を、インラインのビジュアルインスペクションを使って制御していたのですが、ここでの説明で印象的だったのが、「シーメンスのPLCがマルチベンダーのロボットを束ねる」という思想でした。現場には様々なロボットメーカーの機器が存在しますが、ベースになっているのはPROFINET協会が定めるロボットコントロール規格で、PROFINET経由で特定のコマンドを叩くと、メーカーが違っても同じ枠組みで動作可能という構造です。

PLCエンジニアリング環境(TIA Portal)にIndustrial Copilotを乗せて、仕様書 → プログラム雛形 → エラーフィードバックの流れを支援したり、バーチャルコミッショニングで実機なしの試運転を完了させたり、というデモも展示されていました。物理ラインを動かす前に大半のバグを潰せる世界が、本当に手の届くところまで来ています。

ツアーの締めが、Innovation Hubのカスタマイズシューズのデモでした。

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来場者の足型をその場で実演スキャンして、エージェンティックAIがCADソフトNXに「この人のソールを設計して」と指示を投げる。NXのCopilotが足の形にフィットするソール形状を自動生成して、そのまま製造工程に流れる、という構成です。説明員が履いていた靴がまさにそのカスタマイズソールで、コンセプト展示ではなく実用フェーズに入っている。「自律型工場」の解はエージェンティックAIにある、というSiemensの世界観が凝縮された展示でした。

SAP

SAPブースは、サプライチェーン一気通貫のオーケストレーションを、ブース全体で表現していました。

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題材はジンジャーショット(エナジードリンク)。複数の仮想企業を横断するシナリオで、コントロールセンターからパッケージング機、ヒューマノイドロボットと構内物流、4足歩行ロボットによる設備保全、サプライヤー企業のCNCとの企業間連携、PLM領域まで、ERP・MES・Business Network・PLMをSAPフルスタックで束ねた絵姿です。ブースを左から右へ歩くと、サプライチェーンの上流から下流を自然に辿る動線になっていました。

ブース入り口のOperations and Insightsが圧巻でした。

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2拠点工場(ミキシング側/パッケージング側)を一元監視するダッシュボードに、外部シグナルを取り込んでAIがアラート化する。地図上のピンに「Asian Shipment Delayed」というアラートがあり、Criticalというランクが自動付与されている。人間が情報をかき集めて「これクリティカルだ」と判断していたところを、AIがデータベース横断で自動的に優先順位を可視化する構造でした。財務(売上・利益)と現場KPI(OEE・在庫)が同じ画面に統合されているのも印象的です。

このブースでの私にとっての一番の発見が、「SAPはMESもやっている」 ということでした。

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20年前に買収して、ずっとオンプレで提供してきたMESを、いまクラウドMESとしてSAP Digital Manufacturingというブランドで展開しているそうです。ドイツUhlmannの本物のパッケージング機が動いていて、S/4HANAからMESに製造指図が下りてきて、実機が動いて、進捗がOEEとしてリアルタイムでERPに戻ってくる。通信規格はOPC UAで標準化されており、ERP・MES・実機のデータ連携が目の前で動いている状態で見られました。「SAP=ERPだけの会社」というイメージが、60分のブースツアーで完全に上書きされる体験でした。

現場の設備保全のエリアでは、フィジカルAIが4足ロボットと組み合わさって展示されていました。

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ミキシング設備に異常傾向が出たら、AIエージェントが判断して4足ロボットに「行って外観検査して」と指示を出す。ロボットが現地に行ってカメラで撮影し、過去データと照合して異常判定する。必要に応じてメンテナンスオーダーを自動発行する、という流れです。アテンドいただいたSAPジャパンの方が繰り返し言っていたのが、「指示の受け手は人でもロボットでもいい」 という設計思想。日本の製造業の人手不足対策にも、そのまま使える考え方だと感じました。

4社の方向性が根本的にはそろいつつあるように感じる

4社のブースを一通り回って、改めて俯瞰したときに私が感じたのは、世界を代表する巨大ベンダー4社の方向性がそろいつつある、ということでした。

  • 製造業のあらゆる領域(プロダクションチェーン、サプライチェーン、エンジニアリングチェーン)に対して、未来を見せようとする強い意志がある
  • 自社だけでは出来ない部分は、積極的にパートナーの機器やソフトウェアと連携している
  • その統合手法の核となる技術が、間違いなくAIエージェント

1社だけが新しい未来を予言しているのなら、それは1社の戦略です。しかし4社が、しかも世界最大の見本市で、同じ未来を描いている。これは個別ベンダーの話ではなく、製造業AIという業界全体が次の段階に入った、ということだと受け止めました。

AI活用の現実的な方向性

ここまで巨大企業のデカい話ばかりしてきましたが、聞いている側からすると、「我々はどこから取組むのが良いのか?」 と感じる方も多いはずです。

ここからはセッションの後半パートとして、「現実的にどこから着手するか」を、AWS re:Invent 2024〜2025の潮流と、AI Readyという考え方、そして実際の顧客事例から整理していきます。

AWS re:Inventにおけるインダストリーブースの流れ

AWS re:Invent 2024から2025にかけて、データ活用のアプローチがはっきり変わりました。「集約型から分散連携型へ」 という変化です。

  • 2024年(DWH集約・可視化): データを全て意味づけし、物理的な一つのデータソースに集約する方向性
  • 2025年(エージェントによる連携): データを必ずしも一箇所に集めるだけでなく、エージェントに「どのデータがどこにあるか」を教えることで、分散したデータソース(サイロ化されたデータ)をAIが横断的に活用するアプローチ

生成AI・Agentic AIの進歩で、製造業のデータ活用の可能性が急拡大しています。一方で、「AI Ready」な基盤がないと恩恵を受けられないのも事実。今こそ、今後を見据えた取組を始めるタイミングです。

AI Readyの3要素

AI Readyとは、以下の3要素がすべて揃った状態を指します。

  • アクセス可能(Accessible): サイロ化されていない、必要なときにアクセスできる
  • 統合済み(Integrated): 異なるソースのデータが関連付けられている
  • 品質担保(Quality): 正確性・鮮度が担保され、メタデータが整備されている

これらの要件が満たされていれば、AI Readyと言えます。整備された業務フローで管理されたExcelであっても、AI Readyなデータソースとなりうる、というのが今のAIの強みです。

顧客事例:株式会社ロッテ様

私が登壇でいつもご紹介させていただいているのが、株式会社ロッテ様の浦和工場における取組です。

工場の設備データを「PLC Data To Cloud」で可視化し、アジャイル開発により内製化のノウハウを獲得していただいた事例で、得られた成果は以下の通りです。

  • 紙帳票の約50%を電子化
  • 設備1台単位での生産性評価が可能に
  • 温度異常を瞬時に検知するアラーム機能とスマホへのオンコール
  • 現場作業者が複数設備対応や別業務に時間配分可能に

成功要因として、私が強く感じているのは次の4点です。

  • 小さく始める: ガーナチョコレート1ラインから開始
  • 現場との協働: IT部門と工場担当者とオペレーターでスクラムチームを組成
  • 内製化を見据える: ノウハウ習得を並行で推進
  • 迅速な意思決定: プロダクトオーナーの元、不確実性を許容し完璧を求めない

このプロジェクトは最初からAI活用を目指していたわけではなく、設備稼働の見える化と異常アラート、帳票記録の省力化の取組の過程で、将来的なAI活用の土台が自然にできていきました。

ミニマムで始めた先にあるAI活用への未来展望

ロッテ様の事例のように、現場で蓄積されてきたデータの先に、どのようなAI活用が見えてくるかを整理したのが下記です。

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蓄積されたデータ AI活用テーマ 期待される価値
PLC稼働データ(振動・電流・温度) 設備の予知保全/突発故障の予兆検知 計画保全でコスト削減
温度データ × 生産パラメータ 品質予測・異常検知/「いつもと違う」早期検知 品質向上・歩留まり改善
設備パラメータ × 品質実績 生産条件の最適化/品質が最安定する条件をデータで導出 品質安定化・条件の標準化
生産実績 × 季節変動 需要予測と生産計画/季節商品の生産計画精緻化 在庫最適化・機会損失防止
電子化帳票 × 作業記録 現場ナレッジ活用/生成AIによるナレッジ検索 ベテラン知見の組織知化

最初の一手で蓄積されたデータが、次のAI活用テーマの起点になっていく。スマートファクトリーは一足飛びではなく、こうした段階的なステップで価値を積み上げていくものです。

取組むときに意識しておきたい方向性

セッションの中で、よく頂く質問への私のスタンスをひとつ紹介しました。

Q: 日本の製造業は全体最適を意識せず各部門の個別最適だから、結局無駄になると言われている。ものづくり白書にもそう書いてあった。やはりトップダウンでの改革が絶対必要なのか?

これに対する私の答えは、

A: 全体最適だろうが個別最適だろうが、無駄になるものは単に 「現場の課題を解決していない」 から。ハードルも高くなるので別に全体最適にこだわらなくても良いのでは?

というものです。

小さく始めて大きく育てる

AI Readyなデータ基盤を作ること自体は手段に過ぎません。現場が本当に価値を感じているかが重要であり、それが全てのプロジェクトの推進要素になります。

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「スコープを絞る → 現場に触ってもらう → フィードバックを得る → 方向を修正する → 横展開」というサイクルを回し、現場のフィードバックを羅針盤にする。プロジェクトが大きくなればなるほど、この方向性の修正が難しくなります。

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「方向を修正する」フェーズでは、コストが高い(時間がかかる、お金がかかる、都度ベンダー見積もりが必要、自社で対応できない)ものの導入は、将来的に足かせになる可能性があるので要注意、という点も合わせてお伝えしました。

取組の方向性としての結論

セッションでお伝えした結論は、以下になります。

個別最適だろうがなんだろうが、それが本当に現場の役に立つものであればミニマムでも良いのでどんどん導入し、修正を繰り返していくのが良い。それが未来のAI Readyな製造業を作っていくと感じています。

巨大ベンダー4社が描く未来は壮大ですが、その壮大さに圧倒されて思考停止してしまうのではなく、現場の課題を起点にミニマムで一歩を踏み出すことが、結果的に未来のAI Readyな製造業に繋がる、ということです。

最後に「ハノーバーメッセへの現地参加のお誘い」

セッションの最後に、会期中ずっと思っていたことをお伝えしました。

「我々は、顧客と来るべきだった」

ハノーバーメッセでの刺激を受けて、毎日ビールを飲みながら、あれやこれや製造業の未来をチームで語り合っていたのですが、その熱量や視点の広がりは、現地で同じ空気を吸わないと共有しきれないと、強く感じました。ブログでもセッションでも、伝えられるのはあくまで一部です。

「ハノーバーメッセ2027、是非ご一緒しましょう!」

製造業のAI活用、これから本当に重要なトピックになっていきます。世界の動きを肌で感じる場として、ハノーバーメッセは間違いなく価値があるので、ご興味のある方はぜひ。クラスメソッドとしても、お客様と一緒に行く動き方を作っていきたいと考えています。

それでは今日はこのへんで。濱田孝治(ハマコー)でした。

関連資料

ハノーバーメッセ2026の現地レポートは、本記事を含めて以下のシリーズとしてDevelopersIOで順次公開しています。本記事で触れた各ブースの詳細についても、それぞれの個別記事にまとまっています。

その他の関連リンク


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過去に支援してきた生成AIの支援実績100+を元にホワイトペーパーを作成しました。御社が抱えている課題のうち、どれが解決できて、どのようなサービスが受けられるのか?4つのフェーズに分けてまとめています。どうぞお気軽にご覧ください。

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