ビジネスの象徴を創造するデザイン!コーポレートロゴ制作の舞台裏 〜クラスメソッドロゴリデザイン2023〜

ビジネスの象徴を創造するデザイン!コーポレートロゴ制作の舞台裏 〜クラスメソッドロゴリデザイン2023〜

クラスメソッド入社後、多岐にわたるロゴ制作の経験を積みました。2017年にはクラスメソッド株式会社のコーポレートロゴのリデザインを手掛け、そして2022年にも再びリデザインプロジェクトに参画しました。制作過程をご紹介します。
Clock Icon2023.06.27

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こんにちは。CXデザイナー事業本部のスギヤマです。普段はモバイルアプリケーションやLINEアプリケーション開発に携わっております。

今回は、2022年春から2023年にかけて行われた新しい会社のロゴ(コーポレートロゴ/CIロゴ)の制作プロジェクトに参加した経緯についてお話ししたいと思います。

 

これまでスギヤマがクラスメソッド内で制作してきたロゴの一部。左上からプリズマティクス株式会社、アノテーション株式会社、ネクストモード株式会社、ブログDevelopers IO、Developers IO CAFE、AWS支援クラスメソッドメンバーズ、アンダースコア株式会社、インサイトウォッチ、オプスウィッチ、パスレジ、カスタマーストーリーシリーズ、DevIOイベントロゴ2017、2018、2019、部署をイメージした家紋シリーズ「部紋」。

クラスメソッド株式会社 第6代目ロゴについて

クラスメソッド第六代目ロゴ

 

第五代目から第六代目へ

ロゴのコンセプト

プレスリリースはこちら

クラスメソッド、コーポレートロゴをリニューアル〜設立20周年を機に「顧客を成功に導くチケット」をイメージ〜

新しいロゴのコンセプトは「顧客を成功に導くチケット」です。 どんなに時代が変わっても、クラスメソッドが提供したい価値は「ビジネスの課題をテクノロジーで解決する」ことです。課題解決に向けて選択肢や可能性を提示する私たちと、望むままにどこへでも行けるチケットを重ねて、イメージを膨らませました。 右上の小さな切れ込みと滑らかな曲線、遠目でも判読しやすく可読性の高いロゴタイプには、「顧客視点と、いつでも相談できる親しみやすさ」というクラスメソッドとしてあるべき姿勢が込められています。

ブランドページ

株式会社ベイジ様 制作のブランドページはこちら

https://classmethod.jp/m/brand/

ブランドサイトのトップより

プロジェクト全体の流れ

プロジェクト・メンバーの4名

 

2017年の際は私一人で全てを進行しましたが、今回は株式会社ベイジ様から発起人・プロジェクトマネージャーとして枌谷さん、そしてデザイナーとして池田さん(紹介ページ:https://baigie.me/company/staff/ikeda/)がアサインされ、私はクラスメソッド、つまり社内からの目線を持ったデザイナーとしてアサインがなされました。プロジェクトの後半では、小瀧さん(ブログページ:https://dev.classmethod.jp/author/kotaki-kazumasa/)にもアドバイスをいただくことができました。

枌谷さんと池田さんを中心に、プロジェクトの課題抽出や事前調査・分析が行われました。情報共有の後、池田さんとスギヤマが1ヶ月程をかけて最初のプレゼンテーションを行いましたが、社内外からの意見を集めても方向性が確定しませんでした。その後、2回目のプレゼンテーションが行われましたが、まだ結論が出ず、決裁者であるクラスメソッド取締役社長、横田さん(ブログページ:https://dev.classmethod.jp/author/akari7/)との対面のミーティングが設定されました。その場でイメージを再確認し、池田さんはガイドラインやリブランディングの方向性を決定し、スギヤマはロゴの再制作を担当しました。その後、小瀧さんにシンボル化をご対応いただきました。

以上の流れでプロジェクトがまとまりました。今回はスギヤマの担当した領域を中心に当時の流れを振り返ってみます。

ロゴデザインの分析プロセス

課題の抽出

そもそもなぜこの2022年のタイミングでコーポレートロゴの変更という大きなリブランディングが計画されたのでしょうか。

以下は2022年3月ごろ、リブランディングプロジェクトの発起人・マネージャーである枌谷さんが社内に共有をしてくださった内容を要約したものです。

問題点:イベントや広報活動のためのビジュアルアイデンティティが統一されていない。デザイナーの負担増加と外部パートナーへの依頼にかかる負荷の増加。時間と経済的なコストの無駄。

ロゴ変更の動機:現行のロゴやビジュアルが機能的な要件を満たさなくなった。事業の多角化・多様化に伴い、現行のロゴやビジュアルが適切でなくなった。

目標:適切なロゴとビジュアルアイデンティティを作りたい。

今後の取り組み:2030年以降の展開を踏まえ、ロゴとビジュアルアイデンティティを議論する。耐久性のあるブランドロゴとアイデンティティを共有の意志を持って作成する。売上への直接的な影響はほとんどないが、コスト最適化やインターナルブランディングなどの理由から企業がロゴに投資することは一般的。長期的に使用できる耐久性のあるブランドロゴとアイデンティティを目指す。

事前調査・分析

共有された資料の一部 ロゴの種類別(Produced by ベイジ)

最初の取り組みとして、株式会社ベイジ様から、リブランディングプロジェクトについて社内共有が行われました。2022年4月、最初のミーティングでは、なぜブランディングが必要なのか、ブランドの本質とは何か、そしてロゴの役割について共有されました。上記「課題の抽出」で述べられた内容です。

 

共有された資料の一部 ビジネス要件の定義(Produced by ベイジ)大きく表示する

 

5月2度めのミーティングでは、視覚化のアプローチを中心に社内外のアンケート実施要項などが伝えられました。一般的にブランディングに関する活動が、広く開かれるのは稀有な試みです。そして6月3度目のミーティングでは、アンケート結果の内容と方向性の確認が行われました。

 

共有された資料の一部 社内外で行われたアンケートとその結果(Produced by ベイジ)大きく表示する

 

デザイナーたちはこれらの分析や要件を前提とし制作に取り組むことになります。

ロゴデザインの制作1回目

制作は大きく3回行われました。まずは1回目。両デザイナーがこれまでの前提条件を踏まえた上でアイデアを持ち寄ります。ここではスギヤマの行った作業をご紹介します。

イメージマップの作成とグルーピング

私がまず最初にやったことは「大量のロゴマークのインプット」と「イメージマップの作成」でした。

 

「クラスメソッド」の言葉から派生させたイメージマップ

 

特にイメージマップの作成は、これまでの調査や個人的なヒアリングなどを通して出てきたキーワードから他デザイナーとブレストをすることでも、イメージを拡散していきました。そこで出てきたイメージを大きく7つのグループに分け、7案の方向性をまずは探ることにしました。

  • 1)賢い先生。学校や学園・教室に人が集まるイメージ
  • 2)人々の先頭に立ち技術を先導する旗を振りひとびとを励ますイメージ
  • 3)技術は魔法。知識を蓄えた偉大な魔法使いのイメージ
  • 4)暗闇を光で照らし勇敢に道を切り開くイメージ
  • 5)さまざまな道具を使いこなしさまざまな力を発揮するイメージ
  • 6)遠い光に手を伸ばす飽くなき知識と探求のイメージ
  • 7)未知の大地を闊歩する知を求め試練を楽しむイメージ

手書きのスケッチ

1回目のプレゼンテーション

イメージマップでグルーピングした7案をもとに作成したロゴデザインの一部

 

モックアップにはめ込むことで耐久性をチェックする

 

上記プレゼンテーションの後社内Slackでアンケートを募り、社員の意見なども取り入れました。しかし決裁者の納得感を得ることができず、最終決定には至りませんでした。したがって、両デザイナー共、もう一度ゼロベースから制作を試みることになります。

ロゴデザインの制作2回目

2回目の発表では、より決裁者に近い人員のみが参加する比較的クローズドな場が設けられました。またそれぞれのデザイナーがプレゼンテーションをするのではなく、マネージャーが取りまとめ、制作者を伏せる形で発表されました。

もう一度ゼロベースから

さらっと「もう一度ゼロベースから」と書きましたが、これは大変な仕事でした。一度限界までアイデアを出し切ってから、もう一度アイデアを出さなくてはいけない。それもこれまでの前提条件を踏まえて。さらに、私は2017年に一度コーポレートロゴを作成しているのです。かつて自分が作ったロゴデザイン、正解を新しいアイデアによって更に良い今の時代にあったものを作らなくてはいけない。これは大変な課題でした。

私は、無数のアイデアの残骸を作りながら、アイデアのヒントは「これまでのフィードバック」にしかないと考えました。一般論や技術論はあまり効果がありません。クラスメソッドのユニークさをどうやって形にすればいいのか。社内の様々な方に直接お話を伺い、ヒントを集めました。

その上で自分なりに出したイメージワードは

  • 知識と貢献が結びつき、続いていく(=すべての人々の創造活動に貢献し続ける)
    • 知識 = 技術の知識、ビジネスの知識、半歩先の技術の
    • 貢献=お客様の成長に貢献する

というものです。「すべての人々の創造活動に貢献し続ける」はクラスメソッドの基本理念であり、ここをアイデアの起点にすることにしました。

 

スギヤマサイドの制作風景の一部。小さな変化も含めると数百案以上は作成した

 

2回目のプレゼンテーション

A、B、C案とその他の案

 

上記のような「貢献」と「知識」をテーマに制作物を提出しました。しかしなお決裁者の納得感を得ることができず、最終決定には至りませんでした。

 

これまでに両デザイナーが提出したアイデアをカテゴリごとに分けたもの

ロゴデザインの制作3回目

二回のプレゼンテーションが終了しましたが、このような形のプレゼンテーションを繰り返すことで、ロゴの制作を完遂させるのは難しいのではないか、ということで、対面でのミーティングが設定されました。

 

 有名書体の並列。決裁者がイメージの近いものを残し、近くないものは赤く塗りつぶした資料

 

私はミーティングの前に二つの資料を準備しました。

①上記の塗りつぶし資料において、印象を言語化した資料

IT系ユニコーン企業世界上位100のロゴタイプを抽出し、カテゴリごとに仕分け。もとになったであろう書体を解明。加工の手順を言語化した資料

 

①印象を言語化した資料

 

①の資料を用意した理由は決裁者の印象、つまり無意識のイメージを言語化し、法則性を見出す必要があると考えたからです。NGの範囲をより正確に見極め、OKの範囲を探るための資料です。

 

②上位100社の中から特にロゴタイプに特徴があるものを抽出した。ロゴマークとロゴタイプの構成は、今回避ける(横に長くなり、他企業と並んだときに小さくなってしまう課題があった)という前提があったため

 

②Discord Inc.のサービス「Discord」のロゴ。元となるロゴはあくまでも推測だが、どこが似ていてどこが似ていないのか、どんな印象を持つのか、そのデザインの加工の意図、思惑を探っていく

 

②は世界のトレンドとロゴデザインの傾向。そしてこちらも決裁者の印象を明確にするための資料です。弊社の現在の企業規模や背景を考慮し、対象をIT系ユニコーン企業上位100位のロゴタイプにしぼりました。ひとつひとつロゴタイプを抽出し、近い書体を探し出します。そしてその書体に対しどのような加工を行っているのか。1から作成しているのであればどうしてこの書体に似ているのか、といった部分をひとつひとつ言語化していきました。

基本イメージの決定

数時間の対面ミーティングを経て、以下の内容が決定しました。

 

話し合いの中で決定した方向性

 

ミーティング中に制作したアイデア

 

情緒要件とデザイン要件

 

ベース書体も決定しました

 

方向性が決定し、以上の条件を満たすブラッシュアップを進めていくことになります。

収束調整

ロゴの制作を開始しました。スギヤマにとっては今プロジェクトで三度目の制作となります。

 

ロゴタイプの変化

 

書体をブラッシュアップをする中で上記のように変化を遂げていきました。ぱっと見るとすべて同じ形に見えるかもしれませんが、たとえば左の列の一番下は全体が少し長めだったり、右列の一番上の、小文字のaがすこし形が変わっていたりとさまざまに手が加えられ、提案と改良が繰り返されています。最終案までどういった過程を経たのか、ざっくりと振り返っていきたいと思います。

チケットを表現する外枠や切れ込みの変化

チケットのざっくりとした方向性がきまってから、それぞれ切り込みの深さ、外枠の丸み、切れ込みの位置について検討しました。

切れ込みの深さは60度、90度、120度など、方向性の違いを確認しています。同様に外枠の丸みも10pt,20pt,30ptなど切りのいい比率でまずは検討しました。切れ込みの位置はたとえばOの上に置くことで意味をもたせられないか、といったことや、前へ置いたときの意味、後ろにおいたときの意味付けなども考慮しながら検討しました。

書体のルール。「c」「e」「o」を基準として整形をしていく

チケット周りの方向性をきめるのと並行して、書体の整形についても考慮しました。Univiaの書体には俵のような図形・カーブが印象的に繰り返し使用されています。たとえば、OはCEによく似ています。このようにOを基準としたころんとしたルール、LやKやHなど直線的なルール、SやMなど曲線が目立つルール、BやDやPやQやGといったOから展開されたルールなど、グルーピングをしました。その後、それぞれの書体の作りを整理していきました。

Oの書体を徐々に変化させ、それを他の書体にも展開する

基準をOとさだめ、そのOの書体を徐々に変形させているところです。Bは角を丸くしたもの、Cは左右をけずってほっそりさせたもの、DはBからさらにほっそりさせたもの、となります。微妙な違いですが、これを展開すると書体を並べたときの印象がぐっと異なってきます。

このOのルールを先程グルーピングした各書体に展開していきました。こちらは細かくアドバイスをいただきながらすすめました。

A案はある程度整形が済んだものです。下はA案に先程のOの形の変形を展開させたものです。微妙な差ですが全体的に上よりも下のほうが丸みを帯びた印象です。丸くすると、ぱっとみたときに親しみやすさもありますが、少し鈍い印象も受けます。この微妙な作業は、この全体の印象を調整していくものとなります。

こちらはさらに工程が進んだ状態ですが、下のロゴは上に比べてだいぶやせてほっそりとしています。全体的なロゴの幅も随分狭まっています。しかしほっそりした分、少し痩せてたよりない雰囲気もあります。安心・安定な雰囲気は薄れてしまいました

このように、何度か印刷として出力し確認、比較してはブラッシュアップを繰り返し、現在の形になりました。当初の情緒要件にあった、安心感のある優しい印象、楽しい印象をもっていただければ嬉しいです。

シンボルマークへの展開

シンボル化の提案

 

ロゴタイプは様々な状況で使用されるため、簡略化されたシンボルの表示が欠かせません。こちらはもともと提案していたものですが「もう一歩踏み込んだ見せ方ができないか」というリクエストをいただき、後日アドバイザーによって改良がなされました。

シンボルマークはSNSのアイコンなどさまざまな場所で使用される

そして完成へ

多くの曲線は同じルールで構成されている

 

クラスメソッド第六代目ロゴ

さいごに

改めて、制作の途中でご協力をいただいた皆様に、心から感謝申し上げます。多くのスタッフの方々に途中経過でフィードバックをいただきました。それは社員の皆さんが会社と仕事に真摯に向き合っている姿勢を知る機会ともなりました。

ブランディングは広範な領域であり、ロゴ制作はその一部に過ぎません。しかし、クラスメソッドという会社に対して、社員、お客様、まだクラスメソッドを知らない方、さまざまな人にポジティブな印象を持っていただきたい、その課題を解決する一助として、このような大きな変化のタイミングでプロジェクトに関われたことを嬉しく思っています。今回の新しいロゴに、愛着を持っていただけると嬉しいです。自身も制作物を我が子のように思っています。

また、クラスメソッドという組織に属し、これまで多くのロゴ制作に携わらせていただけたことにも感謝しています。私はいつもデザイナーとして、依頼者のイメージを顕現できる瞬間に喜びを感じます。依頼者が言語化できない課題や、もやもやとしたイメージを引き出し、アイデアを具体化することが仕事だと考え、その過程にやりがいを見出しています。

これからもお客様やユーザーの課題解決に貢献できるよう、デザイナーとしてさらなる研鑽を積んでいきます。

 

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