意見は分かれているが意見が同じケース

2023.09.01
こんにちわ。組織開発がミッションの人事グループ・組織開発室に所属しているてぃーびーです。
何を言っているんだお前は、と思うかもしれませんが「意見は分かれているが意見が同じケース」についてまとめます。

あるテーマに対してお互いが意見を出す場合に起こりうるパターン

あるテーマに関して2人がコミュニケーションをしています。
それぞれが意見を出した場合、意見が一致する場合と不一致の場合がありえます。
しかし、あくまでそれは表面上の話です。
実際に意見が一致したかどうかはもう1つ判定を増やす必要があります。
それは「テーマに関する前提理解が一致しているか?」です。
具体的には、以下のパターンがありえます。

テーマに対する前提理解が揃っている / 同じ意見になる

AさんがBさんに「このチームには心理的安全性があると思うか?」と伝えたとします。
  • Aさんは心理的安全性を正しく理解した上で、「ある」と答えます
  • Bさんも心理的安全性を正しく理解した上で、「ある」と答えます
このケースは、テーマに対する前提理解が揃っていて、答えも同じになるケースです。

テーマに対する前提理解が揃っている / 異なる意見になる

AさんがBさんに「このチームには心理的安全性があると思うか?」と伝えたとします。
  • Aさんは心理的安全性を正しく理解した上で、「ない」と答えます
  • Bさんも心理的安全性を正しく理解した上で、「ある」と答えます
このケースは、テーマに対する前提理解が揃っていて、チームの状態に対する意見が異なるケースです。
この場合は、なぜ意見が異なっているかを深掘りして認識合わせすることになります。

テーマに対する前提理解が揃っていない / 同じ意見になる - 一番怖いパターン

AさんがBさんに「このチームには心理的安全性があると思うか?」と伝えたとします。
  • Aさんは心理的安全性を正しく理解した上で、「ある」と答えます
  • Bさんも心理的安全性を誤って理解した上で、「ある」と答えます
    • Bさんは心理的安全性を単に「安心できる場」だと捉えている
このケースは、テーマに対する前提理解が異なっているが、チームの状態に対する意見が一致してしまうケースです。
本当は意見が異なるのに、意見が一致しているかのように物事が進んでしまう恐れがあります。

テーマに対する前提理解が揃っていない / 異なる意見になる

AさんがBさんに「このチームには心理的安全性があると思うか?」と伝えたとします。
  • Aさんは心理的安全性を正しく理解した上で、「ない」と答えます
  • Bさんも心理的安全性を誤って理解した上で、「ある」と答えます
    • ※Bさんは心理的安全性を単に「安心できる場」だと捉えている
このケースは、テーマに対する前提理解が異なっていて、さらにチームの状態に対する意見が一致してしまうケースです。
この場合、なぜ意見が異なっているかを深掘りして認識合わせすることになるのですが、やりとりをしていると途中で違和感を感じるはずです。
  • Aさんから見てBさんは何か前提が異なる話しをしていそうに聞こえる
  • Bさんから見てAさんは何か前提が異なる話しをしていそうに聞こえる
という感じです。どちらかが、前提の確認をすることで、Bさんが心理的安全性の意味を誤解していることが分かればようやく改めて意見を確認する前提が揃います。そして、前提を正しく認識できたあとにBさんの意見を改めて確認したら答えは「ない」になるかもしれません。
この場合、本来同じ意見を持っていたのに、「心理的安全性」という用語の理解が異なっているために意見がズレていたことになります。
つまり、「(前提がズレた状態で発言したお互いの)意見は分かれているが(前提を揃えたら実は)意見が同じケース」になるわけです。

まとめ

意見は分かれているが意見が同じケース」というテーマで、前提理解の一致と意見の一致に関するパターンを整理しました。
今回は用語の認識違いが原因でしたが、理解のズレを生む原因は様々にあります。
例えば、
  • バイアスによって極端にズレた解釈をする
  • 主語や目的語の省略によって誤解が発生する
  • お互いが持っている前提知識が異なり、理解がズレる
  • 聞き間違いによって別の単語と誤解する
  • 会話の内容をそのまま理解するのではなく、そこから連想した推測を元に前提理解を曲げてしまい、理解がズレる
などです。
このように、意見の不一致があった場合に、それは本当の不一致ではなく、前提のズレである可能性があります。
仮に、意見の不一致に対して攻撃的な指摘をしてしまったが、最終的に誤解であり、同じ意見だった、という出来事があったとします。この場合、相手目線だと「前提の不一致があっただけで、実際には意見が不一致だったわけでは無いにも関わらず責められた。なにこれ単なる責められ損じゃん」ということになります。こういった事態を防ぐ意味でも、意見の不一致時には
  • 前提の不一致の可能性を検討し、相手の前提を確認をする
  • 攻撃的に反論をしない
というのが大事になります。
※前提の不一致がなくてもむやみに攻撃的に反論しないほうがいいけど

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