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視覚障害があっても新型コロナワクチンの接種券番号を確認する方法を検討した

新型コロナワクチンを接種した経験から、予約方法が完全に視覚に頼っていると気づき、視覚障害当事者に伺うと困っている方が多いとのこと。 スマホアプリで解決する方法を丁寧に説明しています。これから接種される方のお役に立てればと思います。
2021.07.03

はじめに

この記事の執筆時点では、日本国内で新型コロナのワクチン接種が全国的に進められています。先日、大阪市民の私にも接種券が届き、大規模会場の予約方法を調べていました。

私が調べた範囲では、ワクチン接種の予約の方法には以下の3つがありました。

  1. Web予約
  2. コールセンターに電話して予約
  3. メールまたはFAX予約(聴覚障害があるなどで他の手段での予約が難しい場合)

このうち、Web予約と電話予約には

  • 接種券番号
  • (大規模会場では)市町村コード

の2つが必要でした。

この番号とコードは、自分に郵送されてきた接種券を 目で見て 把握する必要がありました。

私は、先日無事に1回目の接種を終えたのですが、視覚に障害がある方は、この方法ではお困りなのではないかと考えました。

そこで知り合いの視覚障害当事者に状況を伺ったところ、その方はヘルパーさんに代読を依頼することができたそうです。しかし、視覚障害者のメーリングリスト等では、困っているという声が全国から寄せられている、とのことでした。

一部報道では、自治体によっては点字ラベルまたは音声コードUni-Voiceが封筒に付与されているようです。しかしながら、視覚障害者で点字が使えると回答したのは1割程度とする調査があること、Uni-Voiceも全ての市町村で利用されてはいないことから、より普遍的な方法の調査が必要と考えました。

そこで、新型コロナワクチンの接種を希望される方に向け、視覚に障害があっても接種券番号と市町村コードを読み取る方法を調べました。

1. 全体の流れ

接種券番号と市町村コードを読み取るには、大きく3つの作業が必要です。

  1. 自分に届いた封筒が、接種券が入ったものか判断する
  2. 接種券の入った封筒を開封し、その中から接種券を取り出す
  3. 接種券から自分の接種券番号と市町村コードを把握する

現在、接種券の配布は市町村単位で実施されているようですので、この記事では地域に依存しない情報を掲載するようにします。

全国の自治体における接種券の配布は、2020年12月25日に厚生労働省健康局健康課長からの通知である新型コロナウイルスワクチンに係る接種券等の印刷及び発送について(リンク先PDF)にてガイドラインが示されているようです。

これによると封筒は「235mm×120mm(長形3号)、または既存の封筒」と書かれています。また、中には数枚の用紙が封入され、表面にはセロファンの窓が1つつきます。これらの情報で、まずは接種券が入っていそうな封筒のあたりをつける必要があります。

2. Googleアプリで接種券の封筒を確認する方法

iOS版Android版のGoogleアプリに搭載の「Googleレンズ」を用いる方法を試してみました。

ここでは、iOS版について詳しくご説明します。

  1. Googleアプリを起動します。以下、VoiceOverを使っていると想定します。
  2. 「Google検索フィールド」にフォーカスがあたります。 
  3. 1つ右にスワイプすると「カメラ検索。ボタン」を発話されますのでダプルタップします。
  4. いくつかカーソルを移動して、「テキストキャプチャモード」と発話されたら、ダプルタップします。これで、ピントが合えばカメラが文字を認識してくれます。
  5. スマートフォンで封筒を撮影できる程度に離します。私が試した限りでは15cm以上は必要でした。
  6. VoiceOverカーソルを左右に移動して「テキストを撮影してコピーしてください」というボタンを探してダプルタップします。「カチリ」という音が出ます。
  7. VoiceOverカーソルを移動させると、「聴く」というボタンが現れますのでダプルタップします。ここで、誤って「検索」というボタンをダブルタップしてしまうと、封筒の宛先として記載されている自分の住所が検索されてしまうため注意します。
  8. 大阪市の場合は封筒に「新型コロナウイルスワクチン接種券在中」と書かれていました。その他の自治体でも「接種券」などの文字が記載されていないか聴いて確認します。大阪市の封筒の場合は、「大阪市保健所感染症対策課」という文字が最もフォントサイズが大きく、そちらが精度良く認識されましたので、その他の自治体でも担当する部署名がよく認識されることも考えられます。
  9. 場合によっては封筒の裏面を撮影している場合があるので、送付先の記載された表側も同様の手順で確認します。前記の厚生労働省の通知では、封筒にセロファンの窓が1つあると書かれているので、窓がある方が表面です。

3. 封筒の中から接種券を確認する方法

無事に接種券の入った封筒を開封できたら、次は同封されている数枚の用紙から接種券を探しあてて、接種券番号と市町村コードを探す必要があります。

先の厚生労働省の通知やWebでの検索から、封筒に同封されているのは、以下のような用紙です。

  1. 接種券
  2. 送付用紙
  3. 予診票(2枚)
  4. ワクチン接種についての説明書

このうち、めあての接種券は前記の厚生労働省の通知で糊加工、つまりシールであることが指定されていて、両端にはシールをはがすため数ミリの段差がついています。

また、接種券以外の同封用紙は、どれも折り畳まれて封入されているようなので、折り畳まれていない用紙が接種券である可能性が高いです。

4. 接種券の表と裏を確認する方法

基本的には、前述の封筒を確認する方法と同じくGoogleアプリのGoogleレンズ機能を使うのがよいかと思います。

注意点として、接種券にも自分の氏名、住所、生年月日が記載されているため、誤って「検索」ボタンをダブルタップしないようにします。

接種券の表面には大量の文字が記載されています。私の大阪市の接種券の裏側は文字が少なくQRコードがありました。

認識された文字の量が多い場合は接種券の表を撮影している、文字が少ない場合は裏を撮影していると判断するのがよさそうです。

また、前記の通りシールの表面が接種券ですので、短い端に段差がある方が表面になります。

5. 接種券から接種券番号と市町村コードを確認する方法

いやー、ようやく接種券の確認ですね。

前述の通り、接種券の表面には大量の文字があります。この中から接種券番号と市町村コードを探す必要があります...。そんなの、まるで干し草の中で縫い針を探すようなもの...かもしれないですね...。

細かい話をしますと、市町村コードについては、居住している市町村が開設している接種会場で接種される場合は不要と思われますが、接種券番号は必要ですね。

接種券番号は、これも繰り返し登場する厚生労働省の通知では算用数字10桁と決まっています。ただ、接種券にはOCR用に18桁の数値も4つ記載されているので、これも注意が必要です。

それでは、大阪市の接種券サンプル(リンク先PDF)をGoogleレンズで撮影したサンプル結果です。撮影の精度などによって、結果が異なる場合があります。また、これはサンプルなので接種券番号は「X---10---X」と記載されています。

接種
券
診察したが接種できない場合
新型コロナウイルスワクチン 予防接種済証 (臨時) Certificate of Vaccination for COVID-19
券種
1
予診のみ
1 08
接種年月日
271004
メーカー/Lot No.
種 2
ワクチン接種
回目
■請求先
大阪府大阪市
|券番号
X---10-- - X
氏名 MVVVVVVVVV 22∧∧∧∧∧∧∧∧∧M
請求先
大阪府大阪市
271004
券番号
氏
名 MVVVVVVVVV22∧∧∧∧∧∧∧∧∧M
2021
(シール貼付け)
月 日
接種場所
2 OB
2
2
回目
ワクチン接種
1
券種
予診のみ
2
B
接種年月日
メーカー/Lot No. (シール貼付け)
2021
月
日
請求先
大阪府大阪市
271004
券番号
氏名 MVVVVVVVVV 22∧∧∧∧∧∧∧∧∧M
請求先
大阪府大阪市
271004
券番号
X-l-10--- X
E & MVVVVVVVVV 2 2 ^^^A^A^A^^^^M
接種場所
氏名 MVVVVVVVVV 22∧∧∧∧∧∧∧∧∧M
22
-M
M
M
2 2 22
22
-M
EPIT M
-M
接種を受ける方へ
●シールをはがさずに、 台紙ごと接種場所へお持ちください。 ●右側の予防接種済証は接種が終わった後も大切に保管してください。
生年月日 XXXX年XX月XX日
大阪府大阪市長 松井 一郎

「券番号」の次に「X」から始まる文字が、この場合の券番号です。「券番号」の次に、数字が10桁あるようでしたら、それがあなたの接種券番号であると思われます。

次に市町村コードですが、これは「総務省全国地方公共団体コード6桁」と呼ばれます。一覧は全国地方公共団体コードのページで「都道府県コード及び市区町村コード(令和元年5月1日更新)」のExcelファイルで確認ができます。先のGoogleレンズのサンプルは、大阪市ですので市町村コードは「271004」になっています。

6. その他の手段

ここまで、新型コロナワクチンの接種予約に必要という理由で、Googleレンズを使った接種券番号の確認方法をご説明してきました。

機械学習を使ったアプリケーションと読み上げの組み合わせにより、視覚に障害があっても助けを借りずに接種券番号を確認できる可能性が高まっています。

しかし、やはり重要な情報のため、晴眼者にも確認してほしいというニーズもあると思います。

いくつかの接種会場では、接種券が届く前でも予約できるよう、仮の接種券番号で予約ができ、接種券が届いたら実際の接種券番号を伝えて情報を更新する運用が可能なところがあるようです。

もし、そのような運用が可能であれば、そうした固定された接種券番号で予約されて受付で接種券番号の確認を依頼するか、コールセンター等に電話でご相談されるのがよいかと考えます。