AWS Media Servicesの2018年を振り返ってみる

AWS Media Servicesの2018年を振り返ってみる

AWS Media Blogに投稿されていた「What Was New from AWS Elemental in 2018」のエントリをもとに、AWS Media Servicesの2018年を振り返ってみました。
Clock Icon2018.12.31

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はじめに

清水です。2018年も残すところわずかとなりましたが、AWS Media BlogにAWS Media Servicesの2018年を振り返った素晴らしいエントリが投稿されていました。

本エントリではこちらのBlogをもとに、本Developers.IOに投稿されたエントリへのリンクもまとめながら、AWS Media Servicesの2018年を振り返ってみたいと思います。AWS Media Services自体は昨年2017年のre:Inventで発表された新サービス群であり、その後2018年としては新サービスこそ1つのリリースにとどまりましたが、既存のサービスにも数多くの、また大幅な機能アップデートがなされ大変エキサイティングな年でした。

AWS Elemental MediaConnectのリリース

まず大きなアップデートとして挙げられるのが、新サービスAWS Elemental MediaConnectのリリースです。re:Invent 2018期間中の現地時間2018/11/27(火)に発表されました。私はAWS News Blogでリリースを知ったのですが、re:Invent Exporホールで行われていたAWS Lanchpadで発表されていたようです。現在も以下Twitchのサイトでイベントのアーカイブを視聴することができます。

Developers.IOにも関連エントリが公開されています。

10個のハイライトでまとめるAWS Media Servicesの機能アップデート

AWS Elemental MediaConnectのリリース以外にも、これまでの5つのサービス、AWS Elemental MediaConvert、AWS Elemental MediaLive、AWS Elemental MediaPackage、AWS Elemental MediaStore、AWS Elemental MediaTailorそれぞれにいくつものアップデートがなされました。各サービスで利用可能なリージョンが増えたことも大きなアップデートのひとつです。特に日本では、2018/1末にAWS Elemental MediaLiveが東京リージョンで利用可能になり、さらに2018/02/08にはAWS Elemental MediaStore、AWS Elemental MediaTailorも東京リージョンに加わり、Media五兄弟が揃い踏みしたのが大きなニュースだったかと思います。その後2018/11末のAWS Elemental MediaConnectは、リリース時から東京リージョンで利用可能でした。これは嬉しかったですね。

続いて、AWS Media Servicesの機能アップデートを10個のハイライトで振り返ってみます。

1. AWS Elemental MediaConvertでベーシック階層の価格体系が追加

ブロードキャストグレードの機能を備えたファイルベースの動画変換サービスであるAWS Elemental MediaConvetにベーシック階層と呼ばれる低価格の価格体系が追加されました。シンプルなWeb配信のユースケースを対象としたコーデックなどが条件となりますが、これまでよりも安価にトランスコーディングを行うことができるようになりました。

2. AWS Elemental MediaConvertとAWS Elemental MediaLiveがQVBR方式のエンコーディングに対応

最新の動画ビットレート指定方式であるQVBR(Quality-Defined Variable Bitrate)にAWS Elemental MediaConvertとライブ動画処理サービスであるAWS Elemental MediaLiveが対応しました。QVBR方式を使うことでこれまでと同じファイル容量でより高画質なエンコーディング結果が得られ、また同じ画質であればより少ないファイル容量/ビットレート量となり、ネットワーク転送やストレージの削減が期待できます。

3. AWS Elemental MediaConvertでリザーブドキューが利用可能に

AWS Elemental MediaConvertでこれまでのOn-Demandの利用料金体の他、リザーブドの料金体系Reserve Transcode Slots (RTS)が追加されました。AWS Elemental MediaConvertのキューの使用を年間契約することでOn-Demandよりも安価にトランスコーディングができます。購入したスロットでは同時にひとつの変換ジョブが実行できるので、あらかじめ決められた定量のトランスコードジョブを実行するときはぜひ購入したいプランですね。

4. AWS Elemental MediaLiveでRTMP/RTMPS形式の出力に対応

AWS Elemental MediaLiveにRTMP/RTMPS形式の出力オプションが追加されました。RTMP/RTMPSはYouTube LiveやFacebook、Twitchなどライブストリームを送信するための推奨プロトコルです。このサポートによりAWS Elemental MediaLiveをハブのように使い、AWS Media Servicesでサービスを行いながら、別のライブ配信プラットフォームへも映像伝送することが容易になりました。

5. AWS Elemental MediaLiveでスケジュールアクションに対応

AWS Elemental MediaLiveでプレイアウトシステムのようなスケジュールに基づいた入力ソースの変更ができるようになりました。タイムコードに基づいたスケジュールによってオーバーレイ画像を表示/非表示にすること、またライブチャネルのインプットスイッチングを行う機能などが追加されています。またライブソースの他にビデオファイルをインプットとして使用する機能も追加されています。

6. AWS Elemental MediaLiveとAWS Elemental MediaPackageでライブ配信時の冗長構成がよりシンプルに

ジャストインタイムパッケージングサービスであるAWS Elemental MediaPackageで冗長入力に対応しました。これまでは障害などが発生した際に2つのEndpointをPlayer側などで切り替える必要がありましたが、このアップデートでAWS Elemental MediaPackageが自動的に入力ストリームを切り替えるようになり、参照するEndpointやマニフェストファイルを切り替える必要がなくなりました。またAWS Elemental MediaLiveではタイムコードを利用したパイプラインの同期が可能になりました。これら両方の機能を組み合わせて使用することで、ライブチャンネルをシームレスにフェイルオーバーすることが可能になりました。

7. AWS Elemental MediaLiveでリザーブドプランが利用可能に

AWS Elemental MediaLiveでこれまでのOn-Demandの料金体系のほか、長期契約することでより安価に利用できるリザーブドプランが利用可能になり、またAWSマネージメントコンソールやAPI経由での利用が可能になりました。12ヶ月間の使用契約で毎月支払いを行うかたちで、On-Demandの料金体系よりも最大で75%の割引が可能になるとのことです。AWS Elemental MediaLiveを一定量使用する予定があればぜひ検討したいプランですね。

8. AWS Elemental MediaPackageとAWS Elemental MediaTailorでマルチピリオドDASHをサポート

AWS Elemental MediaPackageでこれまでのApple HLS(含むCMAF HLS)、Microsoft Smooth Streaming、ISO-DASHに加えて、マルチピリオド MPEG DASHもサポートしました。またこれに続き、コンテンツのパーソナライズと収益化のためのサービスであるAWS Elemental MediaTailorでもマルチピリオドMPEG DASHのサポートが追加されました。これにより、より広い範囲の再生デバイスにパーソナライズされた動的広告挿入が可能になります。

9. AWS Elemental MediaTailorがVPAIDをサポート

AWS Elemental MediaTailorがVideo Player-Ad Interface Definition (VPAID)をサポートしました。VPAIDによりよりインタラクティブな動画広告が可能になり、また収益化のための視聴統計情報も取得可能です。AWS Elemental MediaTailorを使用してVASTを使用したサーバーサイドの広告と、VPAIDを使用したクライアントサイドの広告が同じストリームで配信できます。AWS Elemental MediaTailorはまた、Video Multiple Ad Playlist(VMAP)もサポートしています。

10. AWS Elemental MediaStoreの機能アップデート

これまでAWS Elemental MediaStoreについては一言も触れていませんでしたが、メディア向けに最適化されたストレージサービスであり、Amazon S3よりも整合性の強いストレージでもあるAWS Elemental MediaStoreにも機能アップデートがありました。重要なアップデートのひとつはオブジェクトサイズの上限が25MBに拡張されたことです。これにより一貫性のある品質と視聴体験を提供しながら、より高いビットレートのコンテンツ、4K Ultra High Definition (UHD)のライブ配信をサポートすることができます。同じく重要なアップデートとして、オブジェクト削除のためのライフサイクルポリシーが設定できるようになりました。

まとめ

AWS Media Blogに投稿されていたWhat Was New from AWS Elemental in 2018の投稿をもとに、AWS Media Servicesの2018年を振り返ってみました。個人的に2018年はAWS Media Servicesに注目し、機能アップデートがあればブログに書くようにしていたのですが、改めてまとめてみるとたくさんのアップデートがあったなぁとしみじみ感じます。またいくつか取りこぼしていたアップデートがあったり、アップデートは確認できていてもそれがいったいどのように嬉しいのか?理解が不十分のものもあったなぁと。そのためこの年末のAWS Media Servicesの振り返りは大変貴重な機会になりました。2019年も引き続き、AWS Media Servicesの新機能、機能アップデートに注目していきたいと思います。2018年よりもたくさんアップデートされるといいな!

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