(レポート) [ユーザー事例に学ぶ ~モバイルファーストが切り拓くマーケティング戦略~] 1to1コミュニケーションによる集客への挑戦 ~どうお客様の気持ちに寄り添うか~
はじめに
こんにちは。深澤です。 11月25日に東京品川で開催された「ユーザー事例に学ぶ ~モバイルファーストが切り拓くマーケティング戦略~」 の セッション「1to1コミュニケーションによる集客への挑戦 ~どうお客様の気持ちに寄り添うか~ 」 についてレポートしたいと思います。
講師
株式会社すかいらーく マーケティング本部 デジタルマーケティンググループ ディレクター 小林 克明氏です。
セッション概要
日々無数の情報に触れる消費者にリアルの店舗へ足を向けてもらうために「何を」「どんな媒体で」「どのように」コミュニケーションするべきなのか?データ分析による理性的な理解と、心に響かせるための情緒的なエッセンス、2つを混ぜ合わせて試みる、すかいらーくの集客戦略をお話しします。
すかいらーく株式会社についての概要
- 「ひとりでも多くのお客様に、安くておいしい料理を、気持ちの良いサービスで、清潔な店舗で、味わっていただく」というミッションを掲げている
- ガスト、バーミヤン、ジョナサン、夢庵などのレストランを展開している
- すかいらーくのロゴ(ひばり)の意味 創業の地”ひばりが丘” すかいらーく(Skylark)=ひばり
レポート
講師:小林克明さんの経歴
- バングラデシュ大使館で2年ほど勤務
- 全くデジタルではない
- マーケティングリサーチの会社 シノベイト(現イプソス入社)
- 途上国に行く事が多かった
- その後すかいらーく入社
- すかいらーくは 2006年上場廃止 - 2014年再上場
- アプリ/メルマガ/HPの企画・運営、マーケティングPR、デジタル広告を担当
- デジタルマーケティングに於いて分析、ABテスト、プロモーションなど行う
- 部署の目標: 「デジタルコミュニケーションを中心とした手法により客数Upに貢献すること」
すかいらーくについて
- 全3000店舗程度
- 世界最大規模のレストランチェーン
- 去年2015年 過去最高益を出している
マーケティングとデジタル
- TVCMと新聞折込チラシを主要なコミュニケーション手段としてきたが、特に新聞折込チラシは一昔前よりも効果のある範囲が狭く高年齢層寄りになっている
- オトクーポンは10-40代を中心としたよりファンな層へのメールサービス
- Webなどのデジタル広告は10-30代のライト層へ
アプリ
- ガスト 877万 /バーミヤン 97万 /ジョナサン 36万 (2016年10月末時点)
- 店舗が強いので、DL数は店舗の頑張りで数を取れる
- モバイルファーストの肝
- データ分析によるロジカルな理解
- クラスメソッドとすかいらーく
- 最初に分析環境を構築した
- 次にスケーラブルなアプリを構築した
- 現在はすかいらーくのデジタルマーケティングに於いて根幹を担っている
- アプリは明確に効果を出してる
- Push&クーポンで年間2000万件弱の回収
- 顧客との接点という意味で強い
- ABテストの切り口 Who/What/When/Where/How
- 誰に何のPush通知/クーポンを出す?というのが大きい
- 要素
- セグメンテーション
- 性別、居住地、年代、行動ログからの傾向など
- 割引率
- 配信時間帯
- 来店から離れた方へのフォローアップ
- Geofenceによる地域分け
- セグメンテーション
- 要素
- フェアメニューの告知などは一斉通知してることが多かった
- フェアメニューをいかに売るか
- しかし実際は1割程度しか食べない
- なのでそんなに送っても大きな効果は期待できない
- ターゲットを絞った結果、回収率が跳ねるメニューがあった
- 例えば山盛りポテトは若者に大きく刺さる
- 要らないクーポンを投げ続けてもゴミアプリ扱いされるだけ
- フェアメニューをいかに売るか
- 時間帯による違い
- 誰に何時に送ればよい?
- 人によって違う、同じ人でもタイミングによって違う
- という答えも出たりするが、そんな事を行っている
- 誰に何のPush通知/クーポンを出す?というのが大きい
- ファミリーレストラン
- Wikipediaより
ファミリーレストランは家族連れに対応した業態ともされ、その料理の幅は老若男女に添ったものが提供される。また、多くの客に同時進行で食事が供されるように、広い店内が特徴的である。料理の価格帯は概ね大衆的で、質と量共に低価格で満腹感が得られる傾向が強い。
ちなみに明確な定義は存在せず、例えばマーケティング調査会社の富士経済によれば以下のような定義が存在する。
客単価=500~2,000円
注文から料理提供までの時間=3分以上(これより短い場合はファストフード)
座席数が80席以上
- 時間帯別の来店数
- 朝 年配
- ランチ 女性
- ディナー 若者
- 立地によっても全然違う
- なのにフェアを皆に送る理由は?‥
- 全然来る人の傾向は違う。
- 作業場
- 社交場
- 御飯食べる
- 友人/仲間と集まる
- Push通知一通は山ほどある情報のうちの一つ
- なので本当に興味のあるものしか反応しない
- もっとゴリゴリやりたい
- もっとデータが欲しい
- モバイルTカードを導入
- Tポイントのリッチなデータが使える
- ゴリゴリやると 企業目線が強くなる
- 男性に肉を送りたくなるが、意外と女性がガッツリ肉を食べていたりする
- 子供向けコンテンツをよく見た大人にひたすらキッズクーポンを送られた時の気持ちって‥
- 時間帯のテストで夜に送って反応がよくても寝て起きたら忘れるのでは?
- データを見る -> 顧客目線でみよう
- 文言を変える
- 商品名を入れちゃうと効果が薄い
- (あの商品が‥とか)
- ひたすら商品名を隠したPush送ったらどうなる??
- 年配の方はストレートな表現と煽り系と同じくらいの効果
- 商品名を入れちゃうと効果が薄い
- データとかなんとか色々やってきたが、カスタマージャーニーというところに戻ってきている
- ファミレスは食事だけじゃない
- 美味しいだけじゃない、楽しいとか笑ったなどを求めている
- データベースを見てても分からないところ
- デジタル広告Youtube
- TVCMと全然別
- 2つ試した。通常当社として訴求したい内容にWeb的な面白い要素を足したものとWeb向けの面白い要素中心で社内の従来の考え方からは外れるもの(商品が殆どでてこない)
- 後者の方が倍くらい視聴が多い。ガストという検索数も伸びた
- "楽しい"、というきっかけ
- 消費者はストーリーを求めている
- データ分析によるロジカルな解析 と 情状的なエッセンス
- どちらも重要
- どうやってお客さんの気持ちにデジタルで寄り添うかがトライ
まとめ
POSデータの分析から始まったデジタルな可視化を皮切りにアプリを開発してからの施策でのABテストなど、色々と試行錯誤されていました。
結果、デジタルな数値から可視化できる部分も大事だが、それとは別に顧客の気持ちや何を求めてレストランに来店しているのかなどアナログな部分も大事にしていくという両軸に戻ってきた、というところが特に印象的でした。
デジタルなマーケティング施策をこれから始めようと、又はもっとやりたいという事業会社様に大きな共感とヒントがあったのではないでしょうか。
本イベントの他セッションレポート
オープニングセッション | Omni-Channel時代のマーケティング戦略 ~お客様と時間を共有し、絆を深めるEngagement Commerce~ | オイシックス株式会社 執行役員 統合マーケティング部 部長 奥谷 孝司氏 | こちら |
ユーザー様事例① | 1to1コミュニケーションによる集客への挑戦 ~どうお客様の気持ちに寄り添うか~ | 株式会社すかいらーく マーケティング本部 デジタルマーケティンググループ ディレクター 小林 克明氏 | 本記事 |
ユーザー様事例② | パーソナルデバイスでの「データvs体験型消費」の関係 | スターバックス コーヒー ジャパン 株式会社 デジタル戦略本部 デジタルマーケティング部 部長 長見 明氏 | こちら |
デモンストレーション | オムニチャネルを見据えたモバイルアプリについて | クラスメソッド株式会社 代表取締役 横田 聡 | こちら |