Amazon Connect Customerでコンタクトセンターの運用状況を自然言語で確認できるマネージャー支援機能がプレビュー提供されました
はじめに
Amazon Connect Customerで、コンタクトセンターの運用状況を自然言語で確認できる、AIを活用したマネージャー支援機能がプレビューとして発表されました。
Amazon Connect Customerの管理画面では、本機能は「Connect アシスタント - プレビュー」と表示されます。本記事では、以降「Connect アシスタント」と表記します。
AWSのアップデート情報では、エージェントのスケジュール、セルフサービスエクスペリエンス、パフォーマンス評価など、150以上のメトリクスと、その履歴データを自然言語で照会できると説明されています。
また、サービスレベル目標を達成できない可能性があるキューの特定や、復旧策の推奨にも対応すると案内されています。
2026年8月19日時点では、Amazon Connect Customerのリリースノートにも本機能の概要が掲載されています。
一方で、2026年8月19日時点で確認した範囲では、利用できるメトリクス、必要な権限、操作方法、制限事項などを説明した、本機能専用のAWSドキュメントは見当たりませんでした。
そのため、本記事では、What’s Newとリリースノートに記載された概要に加えて、実際の画面とConnect アシスタントの回答をもとに、現時点で確認できた範囲を整理します。
Amazon Connect Customerの管理画面を確認したところ、Connect アシスタントが表示されていたため、実際に以下を確認しました。
- Connect アシスタントで確認できること、確認できないこと
- 過去の期間を指定して運用メトリクスを比較できるか
- 月ごとの問い合わせ内容を分析できるか
- Contact Lensのコンタクトカテゴリを参照できるか
結論
今回の検証では、Connect アシスタントは、Amazon Connect Customerのダッシュボード、リアルタイムメトリクス、履歴メトリクスなどで確認できる情報を、自然言語で集計、比較する機能として利用できました。
例えば、以下のような情報を確認できます。
- コンタクト数、放棄数
- 平均処理時間
- キュー別、チャネル別の実績
- エージェントの対応状況
- 過去期間との比較
- Contact Lensのコンタクトカテゴリ別集計
一方で、今回の検証では、各コンタクトの文字起こし本文を横断して、その内容を分類、要約する動作は確認できませんでした。
そのため、以下の2つは区別する必要があります。
| 確認したいこと | 今回の検証結果 |
|---|---|
| 7月と8月の問い合わせ件数や平均処理時間はどうだったか | 運用メトリクスとして確認できた |
| 7月と8月はどのような内容の問い合わせが多かったか | 文字起こし本文を使った自由な分析は確認できなかった |
| 7月から8月に増加したキューやチャネルはどれか | 運用メトリクスとして確認できた |
| 7月から8月に増加した具体的な問い合わせ理由は何か | Contact Lensのカテゴリを事前に設定していない場合は難しい |
つまり、Connect アシスタントは、運用メトリクスを確認するための会話型アシスタントであり、文字起こし全体を横断して問い合わせ内容を自由に分析する機能ではありません。
問い合わせ内容の傾向を確認したい場合は、Contact Lensで「料金」「解約」「操作方法」「障害」などのコンタクトカテゴリを事前に設定し、その分類結果をConnect アシスタントから集計する方法が候補になります。
Connect アシスタントを確認する
Amazon Connect Customer管理画面の右側に「Connect アシスタント - プレビュー」が表示されました。

Amazon Connect Customer管理画面に表示されたConnect アシスタント - プレビュー
初期画面には、以下のプロンプトが表示されました。
- コンタクトセンターを監視
- キューのパフォーマンスをチェック
- エージェントの対応状況を追跡する
例えば、「キューのパフォーマンスをチェック」では、現在キューで待機しているコンタクト数や最長待機時間を確認できます。
「エージェントの対応状況を追跡する」では、対応可能、対応中、勤務中など、エージェントの状態別人数を確認できます。
初期画面のプロンプトからも、コンタクトセンターのリアルタイム監視や運用メトリクスの確認が主な用途であることが分かります。
確認できること
Connect アシスタントに、確認できることを質問しました。

Connect アシスタントに確認できることを質問した結果
回答では、主に以下の情報を確認できると説明されました。
- 対応件数、放棄件数、転送件数
- 平均対応時間、平均保留時間、平均後処理時間
- サービスレベル
- 平均応答速度
- キューに入った件数、最長待ち時間
- エージェントのステータス別人数
- スケジュール順守率
- パフォーマンス評価スコア
- Contact Lensのコンタクトカテゴリ別件数
- 期間、チャネル、キュー、エージェントによる絞り込み
- 前期間との比較やランキング
- サービスレベルに影響する指標の確認
これらは、Amazon Connect Customerのダッシュボード、リアルタイムメトリクス、履歴メトリクスなどで扱われる情報と重なります。
Connect アシスタントの利点は、これらの情報を複数の画面から個別に確認するのではなく、自然言語で質問し、まとめて比較できる点にあると感じました。
Amazon Connect Customerのダッシュボードでは、リアルタイムおよび履歴メトリクスを利用して、コンタクトセンターのパフォーマンスを確認できます。
確認できないこと
続けて、Connect アシスタントに確認できないことを質問しました。

Connect アシスタントに確認できないことを質問した結果
回答では、主に以下が対象外と説明されました。
- 通話やチャットの文字起こし本文の閲覧
- 録音、録画の再生
- 顧客の発言や意図の把握
- 特定キーワードを含む会話の検索
- 個別コンタクトのコメントやメモの参照
- キューやエージェントなどの作成、編集、削除
- コンタクトフローの編集、デプロイ
- CSV、Excel、PDFなどのレポートファイルの生成
- Amazon Connect Customer外のデータ参照
- 長期需要予測や、データから確認できない根本原因の推定
この回答はConnect アシスタント自身が生成したものであり、公開ドキュメントに記載された正式な機能仕様ではありません。質問の表現や利用者の権限、蓄積されているデータによって、回答範囲が変わる可能性があります。
ただし、後述する検証でも、文字起こし本文ではなく、チャネルやキューなどの運用メトリクスが分析されました。
7月と8月の問い合わせを分析してみる
以下のように問い合わせました。
問い合わせ種別分析をしてほしい。7月と8月
結果は以下です。

2026年7月と8月の問い合わせ種別分析を依頼した結果
今回の検証では、以下の期間が比較されました。
- 2026年7月1日から7月31日
- 2026年8月1日から8月19日13時46分まで
回答では、チャネル別、キュー別の対応件数、放棄件数、平均処理時間が比較されました。
また、コンタクトが集中した日の抽出や、集計期間の違いを考慮した日割り比較も行われました。
複数の運用メトリクスをまとめて取得し、期間差を考慮して説明してくれる点は便利です。
一方で、依頼した「問い合わせ種別」は、問い合わせ内容ではなく、VOICE、CHATなどのチャネルやキューとして分析されました。
文字起こしを使った問い合わせ内容の分析は確認できなかった
筆者が「問い合わせ種別」として確認したかったのは、以下のような問い合わせ内容です。
- 料金
- 解約
- 操作方法
- 障害、不具合
- 契約変更
- 苦情、不満
しかし、Connect アシスタントが分析したのは、主に以下の情報でした。
- VOICE、CHATなどのチャネル
- コンタクトを処理したキュー
- 対応件数、放棄件数
- 平均処理時間
- 日別のコンタクト数
つまり、今回の回答は問い合わせ内容の分析ではなく、コンタクト実績のディメンション別分析です。
今回の検証では、文字起こし本文を横断して、以下のような分析を行う動作は確認できませんでした。
- どのような内容の問い合わせが多かったか
- 前月から増えた問い合わせ理由は何か
- 新しい問い合わせテーマが発生したか
- 顧客が不満を感じている主な理由は何か
- 問い合わせが増加した原因は何か
例えば、以下の質問は、運用メトリクスを参照すれば回答できます。
7月と8月の問い合わせ件数や平均処理時間を比較してください
8月にコンタクト数が最も多かったキューを教えてください
一方、以下の質問に回答するには、各コンタクトの文字起こし本文を確認し、会話内容を横断的に分類する必要があります。
7月と8月では、どのような内容の問い合わせが多かったか教えてください
7月から8月に新しく増えた問い合わせ理由を教えてください
今回の検証では、このような自由度の高い分析は確認できませんでした。
したがって、Connect アシスタントは、ダッシュボード、リアルタイムメトリクス、履歴メトリクスなどで確認できる情報を、自然言語で集計、比較する機能と捉えるのが分かりやすいです。
問い合わせ内容はContact Lensカテゴリで集計できる
文字起こし本文を直接分析できない一方で、Contact Lensによってあらかじめ付与されたコンタクトカテゴリは参照できました。
以下のように問い合わせました。
今月はどのような問い合わせが多かったか
結果は以下です。

2026年8月のコンタクトカテゴリを確認した結果
今回の検証では、2026年8月1日から8月19日までのコンタクトカテゴリとして、以下が表示されました。
| コンタクトカテゴリ | 対応件数 | 平均処理時間 |
|---|---|---|
AutoEvaluationRule-PostCall |
7件 | 40秒 |
この結果から、Connect アシスタントは、Contact Lensによってコンタクトへ付与されたカテゴリを参照し、カテゴリ別の対応件数や平均処理時間を集計できることが確認できました。
ただし、今回表示された AutoEvaluationRule-PostCall は、名称から自動評価ルールに関連するカテゴリと考えられ、問い合わせ内容を表すカテゴリではありません。
問い合わせ内容を月別に集計したい場合は、Contact Lensで、例えば以下のようなコンタクトカテゴリを事前に設定する方法がよさそうです。
| コンタクトカテゴリ | 分類対象の例 |
|---|---|
| 料金・請求 | 料金、請求額、支払い方法 |
| 解約 | 解約、退会、契約終了 |
| 操作方法 | 製品やサービスの利用方法 |
| 障害・不具合 | 接続エラー、正常に動作しない問題 |
Contact Lensでは、特定の単語やフレーズ、または自然言語で記述した条件をもとにコンタクトを分類できます。
カテゴリがコンタクトへ付与されていれば、Connect アシスタントに以下のように質問できる可能性があります。
7月と8月の問い合わせを、Contact Lensのコンタクトカテゴリ別に比較してください
会話内容の分類はContact Lensが行い、Connect アシスタントは分類済みのカテゴリを集計、比較します。
そのため、この方法は、料金や解約など、事前に定義した問い合わせ理由の件数や推移を継続的に確認する用途に向いています。
一方、Contact Lensのカテゴリを設定しても、Connect アシスタントが文字起こし全体を自由に読み、新しい問い合わせテーマをその場で発見するわけではありません。
事前に想定していなかった問い合わせテーマの発見や、顧客の発言内容をもとにした自由な原因分析には、別の分析方法が必要です。
なお、新しく作成したカテゴリルールは、作成後に発生したコンタクトへ適用されます。保存済みの過去の会話には遡って適用できないため、月次比較を行う場合は、早めにカテゴリを設定してデータを蓄積する必要があります。
まとめ
Amazon Connect Customerで、AIを活用したマネージャー支援機能がプレビューとして提供されました。
今回の検証では、ダッシュボード、リアルタイムメトリクス、履歴メトリクスなどの情報を、自然言語で集計、比較できました。一方、文字起こし本文を横断し、問い合わせ内容を自由に分類、要約する動作は確認できませんでした。
問い合わせ内容の月次傾向を確認する場合は、Contact Lensで問い合わせカテゴリを事前に設定し、その分類結果をConnect アシスタントから集計する方法がよさそうです。
ただし、この方法で分析できるのは、事前に定義した問い合わせ理由です。想定していなかった新しい問い合わせテーマの発見や、顧客の発言内容をもとにした自由な分析には向いていない点に注意が必要です。








