NVIDIA が配る Agent Skills の使い方と探し方を整理してみた

NVIDIA が配る Agent Skills の使い方と探し方を整理してみた

NVIDIA のサービスやドキュメントの多さに迷う人向けに、公式 Agent Skills の中身と使い方を紹介します。製品名を出さずに目的だけを伝えても、finder は Omniverse や NeMo RL の skill を選んで推薦しました。Claude Code への入れ方と入れる前の確認もまとめます。
2026.11.03

はじめに

こんにちは、クラスメソッド製造ビジネステクノロジー部の森茂です。

NVIDIA のソフトウェアは製品の数が多く、ドキュメントも製品ごとのサイトに分かれています。DGX Spark の上で NeMo や RAG Blueprint、Omniverse まわりを試そうとすると、どの製品のどのページから読めばよいかの見当を付けるだけでも手間がかかります。版の更新も速いので、コーディングエージェントに手順を頼んでも、モデルが学習した時点の知識で古いオプション名を答えることがあります。

NVIDIA は、こうした製品ごとの使い方を Agent Skills にまとめて build.nvidia.com で配っています。skill にはエージェントが読む手順と、参照すべき公式ドキュメントの場所が書かれています。入れておけば、エージェントに目的を伝えるだけで、合う製品の手順とドキュメントまで案内してもらえます。

https://build.nvidia.com/skills

以前、VSS(Video Search and Summarization)の skills を紹介したときは、VSS の repo に入っている 10 個だけを見ていました。いまのカタログには 431 本が並び、2026 年 10 月末には DGX Spark 用の skill も加わりました。

https://dev.classmethod.jp/articles/dgx-spark-vss-agent-skills-everyday/

(2026-05-16 時点の記事です)

この記事では、カタログの全体像と DGX Spark、RAG、RL、Omniverse の skill の中身、skill を探す skill である nvidia-skill-finder、Claude Code への入れ方を紹介します。入れる前の確認と更新の追い方も最後にまとめます。NVIDIA のサービスやドキュメントの多さに迷っている人に刺さるといいなと思っています。

NVIDIA Agent Skills とは何者か

NVIDIA Agent Skills は、エージェントに NVIDIA のソフトウェアの使い方を教える手順書の集まりです。中身は Agent Skills 仕様 に沿った SKILL.md のフォルダなので、Claude Code、Codex、Cursor など仕様に対応したエージェントで読めます。

カタログの実体は GitHub の NVIDIA/skills で、README には次のように書かれています。

This repository is a catalog: skills are maintained in their respective product repos, and mirrored here daily via an automated sync pipeline.

skill の本体は cuOpt、RAG Blueprint、DGX Spark などの製品チームがそれぞれの repo で保守していて、NVIDIA/skills へ毎日同期されます。skill の更新も、その製品チームの repo で行われます。build.nvidia.com/skills はこのカタログの一覧ページで、skills.sh でも同じカタログを一覧で見られます。Claude Code などの plugin marketplace には、カタログから skill を探す finder が載っています。

製品 repo から NVIDIA/skills を経て Claude Code に入るまでの流れ
製品チームの repo にある skill が NVIDIA/skills に毎日同期され、検査と署名を受けてカタログになる。Claude Code へは npx skills add で個別に入れるか、finder だけを含む plugin で入れる。

同期の段階で、次の付属物が揃っていない skill はカタログに載りません。

ファイル 中身
SKILL.md エージェントが読む手順
skill-card.md 所有者、ライセンス、用途、既知のリスク、評価結果のカード
skill.oms.sig skill のフォルダ全体に対する NVIDIA の署名
evals/ と BENCHMARK.md 評価データと、評価結果のレポート

skill-card には、skill を入れない素の状態との比較も載っています。dgx-spark-skills の場合、Claude Code での正答率(Correctness)は 76.4% から 97.3% に上がったと公表されています。課題の達成度(Effectiveness)も 59.6% から 89.9% に上がっています。NVIDIA が 22 課題を 1 回ずつ流した評価なので、手元で同じ数字が出るとは限りません。それでも、ドキュメントを読ませずに頼んだ場合との差を数字で示しているのは、入れるかどうかを決める材料として助かりますね。

431 本のカタログは 22 の分野に分かれている

npx skills add nvidia/skills --list を実行すると、カタログの repo を取得して 431 本の名前と説明文を一覧にします。build.nvidia.com/skills の一覧では 430 本で、1 本ずれていました。2026 年 3 月の最初のリリース(v0.1.0)は cuOpt や TensorRT-LLM などの 24 本だったので、7 か月あまりで 18 倍になっています。

skills.sh 向けの分類ファイル skills.sh.json では、431 本が 22 の分野に分かれています。

分野 本数 分野 本数
Agentic AI 26 Data Science 8
Physical AI 48 Training AI 73
Robotics 14 Inference AI 30
Robotics Simulation 7 Decision Optimization 8
Vision AI 79 GPU Development 34
Conversational AI 8 Quantum Computing 2
Simulation and Modeling 10 Infrastructure 18
AV Simulation 1 AI Factory 5
In-Vehicle Computing 1 AI Storage 3
Digital Twins 1 Networking 51
Cybersecurity 1 Gaming 3

本数が多いのは Vision AI と Training AI、Networking です。Vision AI は 79 本のうち 52 本が TAO の skill で、Networking は 51 本のうち 50 本が DOCA の skill でした。

DGX Spark、RAG、RL、Omniverse の skill を中身から見る

skill の SKILL.md を読むと、どれも「依頼の内容を見て、読むべき手順書やドキュメントに振り分ける」作りになっています。人がドキュメントのサイトを行き来する代わりに、エージェントがこの振り分けに沿って動くわけです。自分がよく触る 4 つの分野で中身を見ていきます。

DGX Spark は入口 1 本から 7 つの手順に分かれる

dgx-spark-skills(0.1.5)は DGX Spark と GB10 搭載機のための skill で、入口は 1 本です。依頼の内容に応じて、中にある 7 つの手順書のどれかを読みに行きます。

こんな依頼のとき 読みに行く手順書
機種や CPU、メモリ、ディスクを確かめたい identify-spark-system
OTA 更新、ドライバー、ネットワーク、コンテナの不調 troubleshoot-spark
症状が既知の問題に当たるか調べたい known-spark-issues
手順付きの作例(playbook)を探したい reference-spark-playbooks
NVIDIA Sync でリモート接続やクラスタを組みたい use-sync
Field Diagnostics でハードウェアを診断したい run-spark-diagnostics
フォーラムを探す、サポートに出す情報をまとめたい get-spark-support

SKILL.md の末尾には 8 つの公式ページが並んでいます。ハードウェアの概要、移植ガイド、NGC の DGX Spark コレクション、リリースノート、既知の問題、更新ガイド、build.nvidia.com/spark の playbook、認定機の一覧です。DGX Spark のドキュメントを探すときに人が開くページが、そのまま参照先として書かれている形です。

面白いのは、版番号や回避策を skill に書き込まないと明記している点です。

Use the current NVIDIA release notes and Known Issues instead of embedding version numbers or issue workarounds here.

skill 自体が古くなるのを避けて、その時点の公式ページを読むように作ってあります。ASUS Ascent GX10 や Dell Pro Max with GB10 などの GB10 搭載機も対象に含めています。Apache Spark のような同名の別物は対象外と書いてあるのも細かいところですね。診断やログの収集、端末を変える操作は、実行前に許可を取るよう決められています。

RAG は構築から評価と負荷試験まで揃う

RAG まわりは、RAG Blueprint を動かす skill と、その前後を受け持つ skill に分かれています。

skill 受け持つこと
rag-blueprint RAG Blueprint の構築、機能の切り替え、不調の調査、停止(Docker、Helm、ライブラリの各構成)
nemo-retriever NeMo Retriever 26.8.1 の CLI で PDF や Office 文書、音声、動画を取り込んで検索する
rag-eval RAGAS で回答の品質を評価する
rag-perf aiperf で応答時間とスループットを測る

rag-blueprint(2.6.0)は依頼を 4 つに振り分けます。構築なら references/deploy.md、不調なら troubleshoot.md、停止なら shutdown.md を読み、設定の変更は SKILL.md の中の手順で進めます。GPU の要件は repo の docs/support-matrix.md を読むよう指示されていて、どの構成にどの GPU が要るかを人が調べる必要はありません。

方針もはっきりしています。GPU、VRAM、ドライバー、ポート、NGC の API キーなど、コマンドで確かめられることは聞かずに確かめ、ユーザーに尋ねるのは API キーの入力やデータの削除の確認だけ、という作りです。RAG を作りたい人が NIM やコンテナの構成を先に覚えなくても、エージェントが手順書に沿って進めてくれます。

rag-blueprint の frontmatter には allowed-tools として docker ps や kubectl get などの読み取り系コマンドが並んでいます。Claude Code の文書によると、この指定は制限ではなく、skill を呼んだターンでそのコマンドを確認なしで実行してよいという事前許可です。並んでいるのは読み取り系だけですが、入れる前に見ておきたい箇所です。

RL は実験の進め方と実行環境で分かれる

NeMo RL の skill は、実験の進め方を受け持つものと、実行環境ごとの作法を受け持つものに分かれています。

nemo-rl-auto-research は、GRPO などのレシピで仮説を立てて実験を回す手順です。git の状態を確かめてから実験用の branch を切り、レシピと関連するコード、docs/ を読んでからベースラインを先に走らせます。結果は TSV の台帳に記録し、止める条件(実験の本数、締め切り、目標の指標)を数字に置き換えて監視します。止める条件を指定しなければ、ベースラインと低リスクの実験 3 本までで結果をまとめ、続けるかを尋ねて止まります。

実行環境は、この skill が状況を見て振り分けます。手元に GPU があればそこで動かします。Kubernetes なら launch-nemo-rl(nrl-k8s で RayCluster を立てて起動と監視をする手順)、Brev なら nemo-rl-brev-etiquette(ディスクの使い分けと秘密情報の扱い)を読みに行きます。GPU を大きく使う実行や branch の作成は、事前にユーザーの承認を取る決まりです。

1 つ注意があります。NeMo Gym の skill は最初のリリースには入っていましたが、いまのカタログにはありません。add-benchmark などの 13 本は NVIDIA-NeMo/Gym の repo の .agents/skills/ に置かれているので、Gym を使う場合はそちらを見る必要があります。

Omniverse は CAD から USD への長い工程を受け持つ

omniverse-cad-to-simready(0.2.0)は、CAD データをシミュレーションで使える SimReady な USD にするまでの工程をまとめて受け持ちます。最初に環境を確かめる preflight を走らせ、そのあと USD への変換、最低限の検証、Content Agents による材質と物理特性の割り当て、SimReady の規約への適合、検証、必要ならプレビューの描画を経て、最終的な USD のパスとレポートを出します。

工程ごとの手順書は references/ に分かれていて、上流のツールの版は upstream-versions.lock.json に固定されています。Omniverse のどのツールをどの版で組み合わせるかを人が調べなくても、skill が決めた組み合わせで進められます。前提は Docker と NVIDIA Container Toolkit、GPU、Python 3.12 と、材質の割り当てに使うモデル提供元の API キーです。

ほかに、重い USD を診断する omniverse-usd-performance-tuning(0.4.1)があり、読み込みが遅い、メモリを食う、FPS が出ないといった症状を扱います。USD の共同作業と版管理には omniverse-content-services があります。

ほかの分野の主な skill

4 つの分野以外にも、NVIDIA の主な製品には skill が揃っています。本数は名前の接頭辞で数えたものです。

製品 本数 代表的な skill できること
cuOpt 7 cuopt-numerical-optimization-api LP、MILP、QP を cuOpt で解く
cuDF 1 accelerated-computing-cudf pandas の処理を GPU の DataFrame に載せる
Nemotron 6 nemotron-customize データの整形、SFT、RL、評価を学習パイプラインに組む
Data Designer 1 data-designer 合成データの生成パイプラインを作る
Dynamo 4 dynamo-recipe-runner Kubernetes 向けの推論レシピを選んで展開する
DeepStream 6 deepstream-generate-pipeline 映像推論の GStreamer パイプラインを組む
VSS 1 vss-build-vision-ai 検出、検索、要約などの映像機能をエージェントに足す
Jetson 38 jetson-build-source BSP のカーネルやデバイスツリーを作り直す
Holoscan 8 holoscan-install-container Holoscan SDK の開発コンテナを入れて確かめる
CUDA-Q 2 cudaq-guide 量子計算のシミュレーションとカーネルの書き方
BioNeMo の NIM 11 boltz2-nim タンパク質の構造予測などを NIM で動かす

Claude Code への入れ方は 3 通りある

Claude Code に入れる経路は、npx skills で個別に入れる方法、plugin として入れる方法、フォルダを手でコピーする方法の 3 つです。入るものと更新の仕組みが違うので、先に表で並べておきます。

入れ方 入るもの 置き場所 更新
npx skills add nvidia/skills 選んだ skill project の .claude/skills/、--global なら ~/.claude/skills/ npx skills update
plugin nvidia-skills finder の 1 本 Claude Code の plugin marketplace の更新に追従
手でコピー 選んだ skill 任意の skills フォルダ 対象外

npx skills で入れる

NVIDIA が案内している基本の方法です。skills は vercel-labs の CLI で、v1.5.16 以上が必要です。1.5.15 以前は Claude Code の .claude/skills/ にリンクを作らないため、ファイルは入っても Claude Code から見えないと公式文書に書かれています。今回は 1.7.6 に固定して試しました。

npx -y skills@1.7.6 add nvidia/skills --list
npx -y skills@1.7.6 add nvidia/skills --skill nvidia-skill-finder --agent claude-code --yes

既定は project 単位の導入で、実行したディレクトリの .claude/skills/ に skill のフォルダがコピーされます。あわせて project 直下に skills-lock.json ができ、出所と内容のハッシュが記録されます。

npx skills add の出力(抜粋)
◇  Security Risk Assessments
│                       Gen               Socket            Snyk
│  nvidia-skill-finder  Safe              0 alerts          Med Risk
│
◇  Installed 1 skill
│  ✓ nvidia-skill-finder (copied)
│    → ~/works/tmp/nvidia-skills-trial/.claude/skills/nvidia-skill-finder
│
└  Done!  Review skills before use; they run with full agent permissions.

導入時には skills.sh 側の 3 種類のセキュリティ評価が表示され、最後に「skill はエージェントの全権限で動くので、使う前に読んでください」という注意が出ます。

--skill に渡すのはフォルダ名ではなく SKILL.md の name: です。ほとんどは同じですが、たとえばフォルダ ovnewton-usage の name は using-ovnewton でした。npx skills add nvidia/skills --list の一覧は name で並んでいるので、そこからコピーすれば迷いません。

Claude Code の中からこの CLI を実行すると、CLI がエージェントを検出して確認の対話を省き、非対話で入れます。エージェントに導入を頼む場合は、--global を付けるかどうかを依頼の側で決めておくと安心です。

plugin で入れる

plugin の nvidia-skills には finder の 1 本だけが入っています。Claude Code の公式 marketplace に載っているほか、NVIDIA/skills の repo 自体も marketplace として追加できます。

# Claude Code の公式 marketplace から入れる
claude plugin install nvidia-skills@claude-plugins-official --scope project

# NVIDIA の repo を marketplace として追加して入れる
claude plugin marketplace add NVIDIA/skills
claude plugin install nvidia-skills@nvidia-official --scope project

どちらも同じ plugin ですが、版が違いました。公式 marketplace の側は NVIDIA/skills の 2026-10-15 の commit に固定されていて 1.4.0、NVIDIA の repo から入れると 1.4.1 です。今回は CLI で実行しましたが、対話画面の /plugin からも同じ操作ができます。

finder だけを配る理由は、plugin の README に書かれています。

Shipping only the finder keeps the plugin small: every skill in the skills/ catalog stays reachable without loading each SKILL.md into the agent's context on install.

claude plugin details で見ると、finder が毎回のセッションに足すのは約 276 トークン、呼び出したときに読むのは約 2.9k トークンでした。431 本の名前と説明文を合計すると約 17.6 万文字(英語)あるので、全部を入れずに finder 経由で必要な分だけ入れる設計は理にかなっています。

手でコピーする

Node.js が使えない環境向けに、skill のフォルダを ~/.claude/skills/ などへ手でコピーする方法も案内されています。ただし公式文書には「Manual installs do not participate in npx skills update」とあり、更新の仕組みからは外れます。どう外れるかは最後の章で確かめます。

Codex の場合は --agent codex で入り、Codex は .agents/skills/ を直接読みます。こちらは公式文書の記載で、今回は試していません。

nvidia-skill-finder に目的を伝えて探してもらう

nvidia-skill-finder は、NVIDIA 関連の依頼を受けたときにカタログから合う skill を探して推薦する skill です。SKILL.md によると、ユーザーが skill を頼まなくても NVIDIA の製品やハードウェアに関わる依頼なら起動します。動きは次の順です。

  1. 合う skill が導入済みなら、その skill に任せる
  2. npx skills add nvidia/skills --list で最新のカタログを引く。CLI が使えなければ GitHub や build.nvidia.com を読む
  3. 合う skill を最大 3 本、理由、導入コマンド、最初の依頼文と一緒に推薦する
  4. 導入は承認を得てから行う

カタログに無い名前を作らないことも明記されています。

Do not fabricate catalog entries or guess at skill names.

実際の推薦を見るため、finder だけを入れた空の project で、4 分野の依頼を claude -p に 1 回ずつ投げました。個人の skill と CLAUDE.md の影響を外すため、--setting-sources project と環境変数 CLAUDE_CODE_DISABLE_CLAUDE_MDS=1 を付けています。依頼文には skill という語を入れていません。

依頼 推薦された skill(順)
DGX Spark の OS と GPU ドライバーを確かめ、既知の問題を調べたい dgx-spark-skills
社内の PDF に答える質問応答を NVIDIA の GPU と NIM で立てたい rag-blueprint、nemo-retriever、rag-eval
NeMo RL で GRPO の学習を回したい nemo-rl-auto-research、launch-nemo-rl、nemo-rl-brev-etiquette
工場設備の CAD を Omniverse で使える USD にしたい omniverse-cad-to-simready、omniverse-usd-performance-tuning、omniverse-content-services

4 本とも finder が自分から起動し、npx skills add nvidia/skills --list でカタログを引いてから推薦しました。最後はどれもインストールしてよいかを尋ねて止まり、承認なしに入れることはありませんでした。DGX Spark の依頼には、入れた後の最初の依頼文として「DGX Spark の OS バージョン、カーネル、GPU ドライバー、CUDA のバージョンを確認して、既知の問題に該当するものがないかチェックして」という例が付いていました。1 回あたり 45〜65 秒、API の定価に換算すると 0.26〜0.28 USD です。推薦は 1 回ずつの結果なので、回によって順番や本数が変わる可能性はあります。

製品名を知らない人でも使えるかを見るため、目的だけを書いて NVIDIA の製品名を出さない依頼も 3 本、finder だけを入れた別の空の project で投げました。

依頼(製品名なし) 推薦された skill(順)
社内の PDF マニュアルに答えるチャットボットを、手元の GPU マシンで動かしたい jetson-llm-serve、nemo-retriever、rag-blueprint
工場設備の 3D CAD から、ロボットのシミュレーションで使える 3D モデルを作りたい omniverse-cad-to-simready、physical-ai-physics-selection、omniverse-usd-performance-tuning
小さな言語モデルを強化学習で鍛えて、数学の問題を解けるようにしたい(GPU は使える) nemo-rl-auto-research、jetson-llm-serve

3 本とも finder が起動しました。CAD の依頼には NVIDIA も GPU も書いていませんが、Omniverse で SimReady な USD を作る skill が 1 番目に来ています。Omniverse という名前を知らなくても、目的から NVIDIA のどの製品で進めるかを finder が選んでくれたことになります。

PDF の依頼で Jetson 用の LLM 配信の skill が 1 番目に来たのは、試した機械が Jetson で、finder が実行環境の情報からそれを読み取ったためです。手元の機械に合わせて skill を選び直しているのは、地味にありがたいですね。強化学習の依頼では、Hugging Face TRL で小さく試す方法を含む一般的な進め方を先に答え、そのあとに NeMo RL の skill を挙げました。NVIDIA の製品だけに寄せず、目的に合う道筋の 1 つとして示している点も、使う側としては安心できます。

一点気をつけたいのは、推薦される導入コマンドが --global --yes 付きだったことです。そのまま承認すると、その skill はすべての project で読まれます。今回は --global を外して、推薦された dgx-spark-skills と rag-blueprint を project 単位で入れました。

名前の似た skill に、vercel-labs の find-skills があります。こちらは skills.sh 全体を npx skills find で検索する汎用の skill で、NVIDIA のカタログに絞った finder とは別物です。finder も NVIDIA のカタログで見つからないときは npx skills find を提案するので、2 つは役割が分かれています。

入れる前に署名とスキャンで確かめる

skill はエージェントの権限で動くので、入れる前に 2 つ確かめておくと安心です。

1 つ目は署名です。カタログの skill にはすべて NVIDIA の署名 skill.oms.sig が付いていて、model-signing で検証できます。ただし署名の文書が「Signing does not prove a skill is safe.」と書くとおり、分かるのは中身が NVIDIA の公開したものと同じかどうかまでです。

uv venv .venv-signing
uv pip install --python .venv-signing/bin/python model-signing pyopenssl
curl -fsSL -o nv-agent-root-cert.pem \
  https://raw.githubusercontent.com/NVIDIA/skills/main/nv-agent-root-cert.pem

SKILL_DIR=.claude/skills/dgx-spark-skills
.venv-signing/bin/model_signing verify certificate "$SKILL_DIR" \
  --signature "$SKILL_DIR/skill.oms.sig" \
  --certificate_chain nv-agent-root-cert.pem

入れた 3 本とも Verification succeeded で、SKILL.md に 1 行足すとハッシュの不一致で失敗しました。手順で 2 か所つまずいた点だけ書いておきます。model-signing(1.1.1)だけを入れると No module named 'OpenSSL' で CLI が起動しないので、pyopenssl を一緒に入れます。オプション名は README のアンダースコア表記 --certificate_chain が正しく、署名の文書にあるハイフン表記は No such option になりました。

2 つ目は中身のスキャンです。NVIDIA は skill 用のスキャナー SkillSpector を公開しています。v2.13.3 の静的解析(--no-llm)を当てると、finder は 41/100 の CAUTION、dgx-spark-skills は 100/100 の DO_NOT_INSTALL でした。NVIDIA が署名した skill に、NVIDIA のスキャナーが「入れるな」を出したことになります。

中身を見ると、HIGH の 18 件は APT の署名鍵の keyring という語や、「既存のファイルを上書きしない」という禁止の文、署名ファイルの Base64 に反応したものでした。一方、sudo の 29 件は実際に端末を変える操作で、ファームウェア設定画面への再起動(sudo systemctl reboot --firmware-setup)などが含まれます。手順書の側では許可を得てから実行する前提になっています。点数で合否を決めるより、指摘された場所を読んで、端末を変える手順がどこにあるかを把握する使い方が現実的かなと思っています。

手で入れた skill は更新の対象にならない

README は、カタログの skill が増えるだけでなく、改訂、改名、統合されることも前提にしています。

New skills land continuously, and existing ones are revised, renamed, or consolidated as the catalog evolves.

npx skills で入れた skill は、list、check、update で管理できます。

npx -y skills@1.7.6 list
npx -y skills@1.7.6 check
npx -y skills@1.7.6 update

ここで、手でコピーした skill がどう扱われるかを確かめました。自分の作業用 repo には、2026 年 6 月に NemoClaw の repo から手でコピーした nemoclaw-user-* が 10 本残っています。いまのカタログに NemoClaw の skill は nemoclaw-user-guide の 1 本しかありません。手元の 10 本のうち nemoclaw-user-overview を試験用の project にコピーして、list と check を実行した結果です。

npx skills list と check の出力(抜粋)
nemoclaw-user-overview ~/works/tmp/nvidia-skills-trial/.claude/skills/nemoclaw-user-overview
  Agents: Claude Code  Source: untracked
nvidia-skill-finder    ~/works/tmp/nvidia-skills-trial/.claude/skills/nvidia-skill-finder
  Agents: Claude Code  Source: nvidia/skills

Checking 3 skill(s)…
✓ All project skills are up to date

list では出所が untracked と表示され、check は skills-lock.json に記録された 3 本だけを調べて「すべて最新」と答えました。カタログから消えた skill が残っていても、手で入れたものは check の結果に出てきません。README によると、npx skills update を対話で実行すれば、上流で削除や統合された skill を知らせて古いコピーの削除を提案してくれます。ただしそれも、CLI が記録している skill に限った話です。

手でコピーした skill がある場合は、npx skills add で入れ直して管理下に置くのが確実です。

まとめ

NVIDIA の公式 Agent Skills は、2026-11-03 時点で 431 本、22 分野のカタログになっていました。中身を読むと、どの skill も依頼を見て手順書と公式ドキュメントに振り分ける作りです。DGX Spark なら 7 つの手順と 8 つの公式ページ、RAG なら構築から評価と負荷試験までを受け持っています。finder を入れておけば、製品名を出さずに目的だけを伝えても、7 本の依頼すべてで 1〜3 本の skill を推薦し、入れる前に承認を求めました。NVIDIA のサービスやドキュメントの多さに迷ったら、まず finder を入れて目的を伝えるところから始めるのが近道かなと思っています。

入れるときは npx skills を基本にして、推薦の --global を付けるかは自分で決めます。署名で分かるのは配布物の同一性までです。SkillSpector の静的解析は署名済みの skill にも DO_NOT_INSTALL を出すので、指摘の場所を読んで端末を変える手順を把握しておくのが現実的です。今回は診断やデプロイといった skill の手順そのものは動かしていないので、推薦された skill が実機でどこまで案内してくれるかは、別の機会に確かめたいところです。

参考リンク


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