Amazon QuickSight 2024年 アップデートまとめ
いわさです。
この記事は AWS Analytics Advent Calendar 2024 の 16 日目の記事です。
今年も Amazon QuickSight には様々なアップデートがありましたね!
ここ数年年末に 1 年間のアップデートを振り返ったまとめを行っておりまして、折角アドベントカレンダーの機会を頂いたので今年も振り返りをしてみたいと思います。
過去振り返りは以下です。
ざっくり言うと、2022 年は Paginated Reports や IaC 機能が登場したり、セキュリティ周りなどの管理機能が充実し始めました。
2023 年には IAM Identity Center の統合や各 UI の刷新が始まりました。あとは Q in QuickSight がプレビューで登場し「QuickSight Q と何が違うんだ...!?」と混乱を招きましたね。
さて、今年はどのようなアップデートがあったのでしょうか。
アップデート一覧
公式アナウンスあり
AWS 公式のアップデートアナウンスは「What's New with AWS」で行われています。
こちらから「QuickSight」の関連性が高そうなアップデートを拾ってみたところ、全部で 33 件ありました。
多くの記事は DevelopersIO でもブログ記事となっていましたのでリンクを一緒に紹介します。気になったアップデートがあれば是非見てみてください。
公式アナウンスなし
また、QuickSight では上記の「What's New with AWS」でアナウンスされないアップデートがいくつかあったりするのをご存知ですか。
AWS CLI だったり、公式ドキュメントの変更履歴でだけ確認出来るアップデートがあったりします。
探してみたところ以下あたりは一応拾っておいても良さそうなところです。
発行日 | タイトル |
---|---|
2024/03/25 | Generative BI プレビューにオプトインされている Amazon QuickSight ユーザーは、Q ペインを使用して関連するすべての Generative BI 機能にアクセスできるようになりました |
2024/05/02 | QuickSight Admin は、アカウント全体の SPICE キャパシティ使用量と残りのサイズのラベルを QuickSight 作成者に対して非表示にすることができるようになりました |
2024/08/23 | QuickSight デベロッパーは、Amazon QuickSight Embedding SDK (バージョン 2.8.0 以降) を使用して、埋め込みダッシュボードのリーダーが埋め込みダッシュボードのビューへの共有可能なリンクを受信および配信できるようにすることができるようになりました |
2024/09/27 | QuickSight Author は、カレンダー、相対日付ピッカー、または複数選択のドロップダウンコントロールに [適用] ボタンを追加できるようになりました |
抑えておくべきアップデート
で、上記に全部目を通して頂いても良いのですが、さらっとハイライト程度でチェックしたいという人も多いと思います。
インパクトが大きかったり、あるいは今後の動向に注目したいアップデートを中心にまとめます。
料金が変わる
re:Invent 2023 で Amazon Q in QuickSight がプレビューで発表されたのですが、2024 年 4 月に GA となりました。
Q の利用にあたって「プロ」ロールという概念が追加されまして、料金単価が異なるのですが日本ではまだ Q in QuickSight があまり使えないということもあってそこまで注目を浴びていません。
問題なのが、従来の閲覧者(リーダー)ロールの料金が変わる点です。Q と関係ないのですがサラッと変更されています。
旧料金は「 1 リーダー最大 5 USD だが 0.3 USD 刻みの従量課金」でしたが、新料金は「1 リーダー固定 3 USD」に変更されています。
新しく QuickSight を使い始めた方は新料金が適用されていますが、以前から使っていた方も 2025 年 5 月 1 日から新料金が適用されます」
利用状況によっては安くなる人もいるのですが、かなり料金が高くなる人もいそうです。
料金シミュレーション結果をまとめていますので参考にしてください。
低頻度な利用ユーザーの棚卸しを推奨します。
利用状況の分析やユーザーメンテナンス方法については次の記事が参考になると思います。
分析・ダッシュボードで前まで出来なかったことが出来るように
今年一年でビジュアルの表現力がかなり上がりました。
様々な細かいアップデートがありましたが、特に Highcharts 対応がすごいです。もう実質なんでもやろうと思ったら出来るのではというかんじがします。
ただ、Highcharts 対応しようとすると必要スキルも大きく変わりそうなので、Highcharts ありきで導入しないほうが良い気はします。
自由度は上がりますが、QuickSight の手軽さがなくなってしまうような気もするので、どうしてもカスタマイズせざるを得ない場合の選択肢として考えておくのが良さそうです。
あとはブランドテーマの設定がついに出来るようになったので、「QuickSight 感を無くしたい」という要望に去年までよりも対応しやすくなりました。
パフォーマンス向上、クォータの緩和は引き続きされている
QuickSight は継続的にパフォーマンス改善に取り組み続けられています。
QuickSight の中心的なコンポーネントである SPICE には様々なクォータが存在するので意識しておく必要があります。
2018 年に東京リージョンで QuickSight が GA となった時は 25 GB が上限でしたが、それから毎年上限が緩和されており現在では 10 億行あるいは 1 TB が上限です。
この大容量のデータを取り扱うので、SPICE 上限以外にも様々な制限や課題が生じることがあります。
2023 年には並列取り込み処理が改善され、SPICE の取り込みパフォーマンスが最大 4 倍に向上されました。
今年は JOIN 句を使った場合の上限サイズについても緩和されました。
また、ユーザーインターフェース側でもローディングの仕組みなどが改善され、データサイズが問題でユーザー体験上の問題が生じないようなアップデートがいくつか追加されています。
以前は無理だったセキュリティ要件を満たせるようになってるかも
セキュリティ周りの機能でいうと、一番大きいのは PrivateLink 対応です。
これまでの QuickSight はパブリックアクセスで利用することが前提で、追加のセキュリティ対策が必要な場合、従来は IdP でセキュリティ設定したり、あるいは QuickSight 側で IP アドレス制限をするところまでが可能でした。
PrivateLink 対応によって、Direct Connect や VPN など、オンプレミスからプライベート通信でのみ QuickSight を利用させたい。という要件にも対応することが出来るようになりました。
これ出来るなら QuickSight 採用ありかも。という方もいると思うので、是非検討してみてください。
おまけ:リージョン拡張
アップデートと言ってもまぁ良いと思いますが、今年は QuickSight の利用リージョンが結構拡張されました。
- QuickSight 本体の利用可能リージョン拡大
- 中国(北京)リージョン
- ミラノ(イタリア)
- チューリッヒ(スイス)
- ケープタウン(南アフリカ)
- ジャカルタ(インドネシア)
- Amazon Q in QuickSight(プレビュー版含む)の展開
以下のリージョンで新たに利用可能になりました:
- 欧州:フランクフルト、アイルランド、ロンドン
- アジアパシフィック:シドニー、ムンバイ
- 南米:サンパウロ
- カナダ:中部
残念ながら日本リージョンでの Q in QuickSight サポートや日本語対応はまだですが、より多くの地域で QuickSight および Q in QuickSight が使えるようなってきています。
積極的に投資されている雰囲気を感じます。来年は日本リージョン&日本語対応を期待したいところです。
さいごに
本日は Amazon QuickSight 2024年 アップデートまとめということで整理してみました。
ここ 1 ~ 2 年で QuickSight のユーザーインターフェースが新しくなったり、料金体系が変わってきたりしており、QuickSight が従来のものから様々な点でリニューアルされている印象を受けており、進化しているなぁと感じます。
一方で、料金体系の変更に伴って割高になるユーザーがいたり、スタンダードエディションが選びにくくなるような変更もされており、ユーザーが無意識のうちに不利益を被らないような情報発信や提案が必要だなと感じる場面も増えてきました。引き続きアップデートをキャッチアップしていきたいですね。