クラスメソッドのえらい人(横田聡&佐々木大輔)にブログについて色々聞いてみた – DevelopersIO ブロガー達に色々聞いてみた Advent Calendar 2021

2021.12.25

当エントリは『DevelopersIO 著者のみんなに色々聞いてみた Advent Calendar 2021』25日目のエントリです。

当エントリでは、今年2021年のアドベントカレンダー企画として、『クラスメソッドのえらい人(横田聡&佐々木大輔)に、ブログについて色々聞いてみた』内容をお届けしたいと思います。

目次

 

インタビューした人

今回の(一人)アドベントカレンダー企画をやるにあたり、事前にアンケートを社内メンバーに対して募りました。アンケート設問の中には「この人にこういうことを聞いてみたい」というものも含めていたのですが、その中に

経営陣へ「記事を書くことが評価においてどの程度のウェイトを持っているのか」を聞いてみたい

といったものを含めたものが幾つかありました。

であれば、思い切ってこの辺含めて色々聞いてみよう!ということでインタビューをセッティングし、実施した次第です。

なお、インタビューに際してはインタビュアーとして私の他に下記記事でもお話を伺った"DevelopersIO編集長"、鵜飼さんにも同席頂きました。今回の記事はこの4人でお送りしたいと思います。

お話を伺った人はこちらの二人。ブログに関する過去の記事などについても合わせて記載しておきます。

横田 聡

(7:36からDevelopersIOに関する会話があります)

佐々木 大輔

 

インタビュー本編

 

#1. 経営陣として「ブログ・情報発信」をどう評価しているか

しんや:
まずは1つ目の質問から。これは先に挙げたように、アンケートの回答として挙がっていたものでもあります。ブログを書くことを、経営陣としてはどのようにみて、評価しているのか...といった部分についてお聞かせ頂ければと思います。
横田:
その辺りについては、以前Webメディアのインタビューでもお答えしていますね。確か、枌谷さんと一緒に出たMarketeer.jpだったかな?

『ブログを書いたから評価が上がります』とか、何ていうんですかね、単純にそういうものではない...と思っています。給与とか評価が上がるのは、"結果的にそうなった"のであって、「XX本書きました。給与上げてください」というものではないですね。
昼礼(※1)とかでも言っているんですけれども、「書ける環境がある」というのがまず1つ、他社とは違うところかなと思っています。「業務時間中でも書いて良いですよ」という。それを機会として捉えて、自身の成長に繋げる、市場から見た時の個人の価値を上げるチャンスだと捉えて(ブログを書いてみたら)いかがでしょうか、と。それが結果的に会社の売上にも貢献出来るのならばWin-Winですね、と。読者の方も助かりますよ、と。ならやるしか無いっしょ!という感じで始めているものなので、1本書いたら幾ら、というものでは無いです。
(※1)昼礼
クラスメソッドで毎週月曜のお昼に行われているイベント。Zoomで開催。
30分の時間枠の中で、横田さんが伝えたいことをトピック毎に話すスタイル。
佐々木:
そうですね。ここは横田さんの考えとブレることは無いんですけれども、僕自体はブログは「自己研鑽の場」というか、自分自身で学んだことをアウトプットして自分のスキルアップに繋げていくものであって、ブログを書いたから売上増に直結するというものでもなくて、評価という軸で言うと、定量的な評価の中で、JDとかでブログの本数とかも(人によっては)入っているかなとは思うんですけれども、カルチャー(CLP)を体現しているかどうかを見る、アウトプット出来ているよねっていうのを見るために評価軸として入っているだけであって、人事考課に直結する訳ではない...というのは変わらないと思うんですよね。
 
ただ、昔と比べて、昔はブログはみんなが自分で学習して書くものだったんですけれども、反面現状で言うとセールスとかマーケティングの観点でブログが活用されているのは事実としてあります。ただしそこは評価ではなく、別途「CLP賞」(※2)みたいなものであったりとか、イベントがあった時のレポートを書いてくれたら、最後打ち上げで(会社の金で)飲みましょう!みたいな形での還元をしているので、直接的に給与とかへの反映はしていないものの、営業・マーケティングへの貢献については別の形で評価・反映をしている...というのは現状あると思います。
(※2)CLP賞
3ヶ月毎に全社イベントとして行われる『四半期報告会』の中で、クラスメソッドのカルチャー(CLP)を体現していると評価された人やチーム等に対して贈られる。『カルチャーを体現している』ことが基準となるので、ブログ以外にも様々な活動・人・チームが対象となることがある。
クラスメソッドのカルチャー|クラスメソッド株式会社
横田:
基本的には、私からすると「やらない、っていう選択肢は無い」と思ってて、要はカルチャーの体現でもあるし、「お金要らないからやらない」っていう選択肢も本当は嫌なんですよ。かといって、書かない人に対して給料下げる、ということもやっていません。「じゃ書かなくても良いや」と思う人も中にはいるかもしれませんが、それはカルチャーには沿っていないかな、とは思います。
鵜飼:
クラスメソッドに於いては、以前とはカルチャー(CLP)による指針の策定・評価や反映といいう部分が新たに出来てきた、というのが変化の1つではありますね。
佐々木:
そうですね。ブログを書くというのは手段であって、目的では無いんですよね。あくまで過程なので、書き続けた結果として技術を身に着けて、仕事に活かすのが目標であって、ブログを書くこと=手段が評価に繋がるかと言われると繋がりません...という感じですね。
横田:
だから、(ブログで無くても)イベント登壇とかでも良いんですよね。Zennに書いても良いし、DevelopersIOに書いても良いし、学習した成果をアウトプットしてそれがみんなに届いていて、良いサイクルが回っているかどうかっていうのは結構大事なポイントかなって思っています。
佐々木:
そういう意味では、イベント登壇も評価には繋がっていないですからね。例えばマーケティング部から登壇依頼があって登壇するような流れの場合も、マーケ側から裏で部長とかに「登壇してもらったんで...」みたいなことはあるかも知れませんが、イベント登壇も基本的にはエンジニアの中での自己研鑽の一環としてやっているものなので、イベント登壇を年間10個やったので評価してください、というのにはならない、というのはどの部もだいたい同じような感じなのかな、と思います。
横田:
コミュニティの運営に参加したので給料上げてください!というのは無いでしょ?(笑)
しんや:
そうですね、確かに。
横田:
それはやりたくてやっているんだよね。
しんや:
イベントに登壇することで何らか案件とかに繋がることはあるかも知れませんが、直結するかと言われると...というのはありますね。
鵜飼:
ただ一方で、ブログを沢山書いている、アウトプットしているというのは、マネージャー陣から見て「おっ、あの人最近ブログ書いてるね」みたいに、良い形で目立って見えてくる、みたいなのはあるのでしょうか。
横田:
あります。
佐々木:
はい、それは勿論あります。
横田:
そもそも、情報発信をすることによって「周りの人が、その人が何が出来るのかが分かる」ので、チャンスのボールがめちゃめちゃ回って来やすいです。これって良く成功者の本とかにも書いてあるんですが、みんな等しくボールが回ってくるんだけど、そもそもそのボールを掴んでいないとか、そういうのって多いんですよ。
 
なので、その人が「私こういうことをやっています」というのを日々アウトプットしてると、周りの人達は「彼はこの部分の専門家だ」「ここについては相談しようかな」という風に、常に何かをやろうとした時にその人の名前とか顔が浮かぶんですよ。それだけでチャンスがめちゃめちゃ回ってくるんですよ。結果的に社会的な評価も上がるし、社内での評価も上がるし、ぐるっと回って多分給料が上がります。だって、頼りになる人だから。
佐々木:
新規事業をやろう!と思った時に、じゃあ誰かにお願いしたい、巻き込みたいってなった時にはそれに関するブログを書いてくれている人が一番巻き込みやすいですよね。横田さんが新しいことをやろうと思った時に、CAFE(※3)もそうだしZenn(※4)もそうだし、やろうと思ったときに手伝ってくれる人!ってなった時に全くブログを書いてない人に手伝ってもらおう、とはならなくて、CAFEであれば機械学習系のアウトプットをしている人に(横田さんとしては)まずお願いしたくなるし、Zennの時もWebのフロントからバックエンドまで一通り出来る人、って考えたらまずはブログでその辺りを書いてくれている人達にお願いしたくなる、という。
(※3)CAFE(= DevelopersIO CAFE(デベロッパーズ・アイオー・カフェ))
クラスメソッドが運営している「完全キャッシュレス、レジレス、ウォークスルー体験、来店前オーダー」の新型カフェ。様々な体験を最新の技術とサービスで実現するために日々改善を繰り返している場でもある。
DevelopersIO CAFE | クラスメソッド
完全キャッシュレス、レジレス、ウォークスルー体験、来店前オーダーの新型カフェを秋葉原にオープン〜待ち時間ゼロによるストレスフリーな顧客体験と、スタッフ負担ゼロによる顧客サービス注力を実現〜 | クラスメソッド - Developers.IO CAFE これまでとこれから - Speaker Deck
(※4)Zenn
エンジニアのための情報共有コミュニティサービス。
2021年02月にクラスメソッドによる買収を締結、サービス代表者の石川 俊平(catnose)氏もクラスメソッドにジョイン。クラスメソッドのリソースを活用して、ユーザーサポートや機能強化等のより良い顧客サービスの提供を目指している。
Zenn|エンジニアのための情報共有コミュニティ
クラスメソッド、技術情報共有サービス「Zenn」の買収に関する契約を締結〜誰かのために、自分のために知見を共有するプラットフォームの開発を加速〜 | クラスメソッド
そういう意味では、新しいこととか面白そうなことについて情報発信している人がアサインされやすい、近道であるということは間違いなく言えると思います。
鵜飼:
チームや部署内であれば「この人はこういうことが出来る」というのも幾らか把握出来てたりもしますが、それこそ部署とかが異なってくるとそもそも「あの人は何が出来る人なんだろう」というのは中々見えてこないですよね。
佐々木:
分かんないですよね〜。
僕個人で言えば、以前はAWS事業本部に在籍していたし、現在はアラ括(※5)にいるのでその辺りであれば把握しているんですけど、DA(データアナリティクス事業本部)とかCX(CX事業本部)でいくと、ぶっちゃけブログを書いている人の情報でしか把握出来てないですよね。
情報発信していない人とか、個人的に接点のない人とかの情報って、Proflly(※6)をみれば多少なりは分かるかもしれないですが、ぶっちゃけブログの方が分かる、というのはあると思います。
(※5)アラ括
アライアンス統括部の主な社内での略称。パートナーアライアンス製品(サービス)を扱う。
(※6)Proflly(プロフリー)
クラスメソッド株式会社が開発・展開している「社員のスキルや資格、興味・関心を見える化し、社内共有できるWebツール」。
Proflly【プロフリー】一人ひとりの強み・人となりを可視化するプロフィールビュアー|クラスメソッド
横田:
あの、凄く厳しい言い方をすると「(情報発信がなされていないと)存在そのものが薄くなっちゃう」んですよね。(一同頷く)
毎日会って仕事をする者同士であれば当然認識していますと。どんな性格でどんな仕事っぷりで、何をしているのかもわかるし。あと、飲み会とか部活とか、そういったカルチャーや趣味の活動とか、仕事の後の懇親会とかも、その人の「人となり」が分かるので良いと思うんですよ。
でもそれって半径5mとか本当、狭い範囲での話になってしまうんですよね。それが、佐々木さんが言ったみたいに「違う部署とか、仕事で関わったことがない人が何をしてるのかは分からない」というところに繋がるのかなと思います。
そういった意味でも、社内外への情報発信ってすごい大事だなって思います。
しんや:
そう考えるとDevelopersIOって「社内に向けてのメディア」でもありますよね。
横田:
私、エンジニアの人となりとか技術的な興味ってだいたいブログで把握してます。
鵜飼:
マーコムイベントでのスカウト活動とかも確かにその側面はありますね。
横田:
だってさ、しんやさんが今何やってるか、って本当にブログじゃないと分かんないもん(笑)
しんや:
(笑) まぁ、物理で会えていた時期であればそれなりに情報共有とか、会話の中で出来てましたけどね。確かに今のこの状況では...。
横田:
たまに会ってね、飯食いながら「今何してるの?」みたいな会話は出来るけど、ちょっとこう、勤務地が違うとかタイムゾーンや生活スタイルが違うとかってなると、ほぼほぼ関わらないまま3年経って5年経って10年経って...みたいになっちゃうじゃないですか。実は相性バッチリ!みたいな出会いになるかもしれないのに、お互いを知らないまま、すれ違いのままで終わっちゃうのってすごい勿体無いなぁって思います。

 

#2. 横田さん&佐々木さんのこれまでの「ブログ&情報発信」遍歴

しんや:
次の質問に移ります。これはいちブロガーとしてお答え頂ければと思います。
御二方はブログや情報発信について、好きor嫌い、得意or苦手、どちらの側にいると考えておられますか?
横田:
私は元々文章とか書くの、全然得意じゃなかったです。ですし、一番ラクなのは適当に喋ったことをライターさんが綺麗に書いてくれるのが、最高の体験なんですけどね。
技術ブログを書き始めたのは自分のメモ代わりってのもありますし、あとやっぱり、ね、やってみて動いた、出来た、で終わっちゃうとうろ覚えのままなんですよね。それを翌日再現しようとしても、記録として残してないので出来ない。なので、自分用の完全再現手順書を作る、みたいなのが技術ブログで書く時に気を付けていること、です。
自分がぶつかった問題って、多分周りに100人くらい、同じような人達もぶつかっているんだろうなってイメージをしながら「僕がこのブログを書かなかったらその100人の作業が1〜2日止まるんだろうなぁ」といいうのをイメージしながら書いてます。僕のブログを完全手順書として見てくれると、同じところで止まらずにスーッとコマンド打っていくと最後まで進められますよ、次に進めますよ、っていうのが出来ると良いなぁって思いながら書いてます。
なので、これが売上幾らになる、みたいなことは直接的にはあんまり考えていなくて、一人でも多くの読者さんのちょっとした「つまずき」を解決する一助になればいいなぁ...と思って書いていました。
しんや:
ブログを書くこと自体は仕事をするようになってからですか?
横田:
創業時は「はてな」でブログ書いてましたね。その時はFlexとかJavaの記事を書いてました。本当に簡単な内容で、その代わり完全な手順書の形で書いてました。
(※下記は"Flexの記事を書いていた"時代の取材記事。当記事内で言及されている諸々の考え方・指針などはこの頃から変わっていないことがわかります)
横田聡――ブログから始まった巨大コミュニティ「FxUG」 - @IT自分戦略研究所
佐々木:
僕は文章を書くのが好きなほうでした。遡ると、インターネットが始まって個人ホームページが流行った時に自分のホームページを作ったり、小説を書いてたりしてました(一同爆笑)
横田:
ちょっとその黒歴史、発掘したいよね(笑)
佐々木:
いやもう勘弁してくださいマジで!(笑)
 
 
技術ブログの話でいくと、僕としては「勉強会ブーム」が2005年から2010年くらいに掛けて起きていた時、その当時で僕は20代後半に重なってて。その時は勉強会とかコミュニティがすごい”濃い”ところしかなくて、2005年前後くらいから各言語や環境のコミュニティが国内で出来るようになってきて、あとjava-jaとかもそうですし、Rubyコミュニティとかが出来てきた時に僕も勉強会に参加したりとか、自分で勉強会を立ち上げたりしてたんですけれども、当時の勉強会ブームのときって「ブログを書くまでが勉強会」っていうフレーズがあって、勉強会のレポートをちゃんと書きましょうとか、勉強会で発表したこともブログにしましょう、っていうのが(当時は)割と普通だったんですよね。
 
なんで、僕も参加した勉強会は自分のブログにレポートを書いていたし、その後に自分で試したものも自分のブログに書いてたりしてました。勉強会コミュニティに参加していた、っていうのがアウトプットをする切っ掛けだったなぁと思っています。当時は登壇とかもしていました。
しんや:
勉強会レポートに関しては私も佐々木さんと同じような道を辿っていました。遡ると、横田さんに初遭遇した時のブログも現在まだ残っています。
横田:
あれ、何のイベントだったっけ?
しんや:
DevLOVEのイベントですね。外苑前のオラクル青山センターで開催されたやつです。(※7)
(※7)DevLOVEのイベント
2011年12月10日に開催された「DevLOVE HangarFlight -Snow Barrage-」を指す。
著者本人的にはこのイベントが横田さんとの初接近遭遇だったため、個人的には感慨深い出来事ではありました。
12月10日 DevLOVE HangarFlight - Snow Barrage -(東京都)
『DevLOVE HangarFlight -Snow Barrage-』に参加してきた #devlove #devlove1210
横田:
だから、アウトプットもそうだし、コミュニティに参加するのもそうだし、登壇者じゃなくても運営を手伝うのもそうだし、「接点」を増やして貢献していくっていう活動が必ずプラスになるっていうのって、多分僕もしんやさんも佐々木さんも染み付いていると思うんですよね。
佐々木:
ですね〜、コミュニティ出身ってのはあるかなと思います。その頃お付き合いしてた人達が色んな会社で偉くなっていて、そこからお仕事を頂くというようなのもあるので。
横田:
うん、あるある。
鵜飼:
横田さんにお聞きしたいんですけど、そもそも書くこと、アウトプット自体の好き嫌い・得意不得意でいうとどうなんですか?
横田:
いや、めっちゃ不得意ですよ。(一同驚く)
 
だから、僕勉強会のレポートとかってあんま書いたこと無いんですよ。何でかっていうと、だいたい参加すると僕て会場の後片付けしたりとか、懇親会の企画や調整をしたりとか、裏方・運営とかをやってたってのもあります。スーパーマン的なことって一切無くて、みんな得意なこと苦手なこと、デコボコしてるんでじゃあ得意なところでどう貢献していくか、みたいな感じで考えてやってはいました。
しんや:
横田さんの口から「苦手だった」という言葉が出てくるとは思いませんでした。
横田:
いやいやいや苦手苦手。プログラミングも苦手意識あるし、文字を書くのも苦手意識あるし、得意なのは「お客様と仲良く話す」とかですけど、でもそれくらいですよ。
 
現状クラスメソッドが上手くいってるのって、僕が一番じゃないからだと思っています。
例えば僕が技術で一番詳しいと思ってやっていたらエンジニアとひたすらバトっていたと思うんです。「俺が正しい!」みたいに。マネージメントスキルもセールススキルも、あらゆるスキルにおいて自分よりも秀でた人達が周りにいる、という中でじゃあ自分はその中でどこに貢献出来ますか?が人によってはブログかもしれないし、マネージメントスキルかも、セールススキルかも、エンジニアリングスキルかもしれないし...というもんかなと思っています。

 

#3. 経営陣としてブログを書く時に気を付けていること

しんや:
経営陣としてブログを書く時に気を付けていることは何かありますでしょうか。
横田:
これも色々なところで言ってますけど、基本「ディスらない」。やっぱりその、僕Twitterとかの匿名文化ってあまり好きではないんですよね。
強い言葉で製品やサービスを責めるのって、リスペクトが無くてあんま好きじゃないなぁってのがあって。だからこそ、DevelopersIO自体は実名じゃなくても良いんですけど、自分達がやるメディアを作る時にはそういった強い言葉で否定するようなこととか、戦うようなものだったり、穿った見方をするようなことはやめよう、と思ってやっています。なので、DevelopersIOの記事でそういうのを見掛けた時には「直してください」と(個別にDMする等して)声を掛けることもあります。
佐々木:
ディスらないのは勿論そうですが、元々エンジニアの立場でブログを書いてたときは「躊躇しない」というのがありました。誰かが書いているかもしれない、同じようなことをしている人が居るかもしれない...というのは考えずに「思い付いたら全部書く」というようにしていました。
例えばマニュアルとか見てその手順通りにやれば出来ることを、画像付きで丁寧に書くというのって、マニュアルでも十分なのかもしれないけど、マニュアル以上に丁寧に書いてやるぞ!って思ったらそれは普通にアウトプットして、人によっては「そんなマニュアル見れば分かることをあえてブログで書く必要無いじゃん」と思う人もいるかもしれないけど、そこには僕なりのエッセンスを足しているんで、全然気にせず書いていましたね。誰かに躊躇して書くのってあんまり意味ねーなって思ってて、自分が書きたかったら全部書く、というのをやってましたね。
今は、最近マネジメントとか会社の方針とかをブログで書くという機会も増えていますが、評価が分かれそうな内容とかはDevelopersIOには書かないようにしています。「僕はこう思っているんだけど、他の人はこうは思わないだろう」というような、場合によっては炎上しそうな話のものについては、最近は個人ブログの方に書くようにしてます。会社としてもこれは信念を持ってアウトプット出来るな、と判断したものはDevelopersIOに書く、という使い分けをしています。
横田:
大人になったね...(しみじみ
佐々木:
そんなこと言わないでくださいよ!(笑)

 

#4. 基調講演リアルタイムレポートの"裏側"

しんや:
4つ目の質問です。これは佐々木さんのみへの質問となります。内容的にもピンポイントな感じのものになるのですが、個人的に気になっていたので聞かせてください。
以前、佐々木さんがAWS re:Inventで基調講演レポートを「リアルタイムで」「セッション終了時には出来上がっている形で」書き上げていらして、その時の状況は私も現地にいたので見ていたんですけど、あのクオリティであの早さで書き上げるのって本当凄いな...!と当時驚いた記憶があります。

(佐々木さんが手掛けた「リアルタイムレポート」は以下)

当時について、思い出して頂きながらどんな感じでやってたのか、みたいなのを聞かせて頂ければと。
佐々木:
あれはね〜、めっちゃ大変だったんですよ(笑)
基本的にはテンプレートは事前に用意していたので、あとは残っている部分を書き埋めていくんですが、当時、現地基調講演会場の設備としては「日本語音声」が聴けるようになっていたんですね。ただ日本語通訳の精度って開催年によって違っていて、技術用語を直訳する人とか結構居るんです(笑)
英語の方を聴かないってわけには行かないので、片耳で英語を聴きながらもう片耳で日本語通訳も聴いて、ミックスしながら...かつ、聴いた内容をそのまま書くと絶対に長くなってしまうので、パーッと聴いて頭の中で短い文章に落とし込む作業をしながらその要約文を書いていく...ってのをやっていくんですね。
 
現地の回線状況って結構貧弱だったりするので、そのままDevelopersIOのプラットフォーム上で(下書きとして)書くと途中で通信が切れちゃったりするんです。なのでメモ帳にガーッとかいてある程度書き溜めた文章のかたまりを貼り付けて、公開&更新ボタンを押下する...というのをひたすら繰り返していました。(※8)
(※8)めっちゃ大変だった
リアルタイムレポートには「画像」も差し込まれていますが、この時の画像は佐々木さん以外の「画像・写真を撮る"別働隊"」が適宜情報を取得・提供していました。エントリの形としては"佐々木さん執筆"になりますが、実際はイベント参戦チームの皆で作り上げたレポートになる訳ですね。でも画像部分の話を抜きにしても、佐々木さんのレポートテキスト執筆術は本当に凄い、の一言に尽きます。
横田:
基調講演って、新サービスもボコボコ出るじゃないですか。佐々木さんの両脇に10人くらい仲間がスタンバってて、新サービスがポーンって出た瞬間に「あ、そのサービス私書きます!」って手を挙げて、そのサービスに関するリリース・速報記事を書く...というのをやってたんですよね。現地で。
なので、例えば基調講演セッション内で20個位サービスがポコポコ出てくると、その20個のネタを皆で取り合うっていうのをやってましたね。
佐々木:
"苦行だった"的なことをさっき言いましたけど、基調講演でのサービス発表ってAWS re:Inventの中で一番楽しい瞬間でもあるんですよね。サービスがどんどん出てきて「俺がやる〜!」「私書きます〜!」みたいな。ブログを書きまくるあの瞬間が一番好きです。
横田:
ちょっとテンション下がるのが、「次のクォータでプレビューが出ます」みたいな、名前だけで出てきて使えないのかいっ!触りたいのに〜!ってなりますね(笑)
しんや:
佐々木さんがやっていたようなこと、新たに受け継ぐ人とかが出てきて欲しいものですね。
佐々木:
そうですね、誰かチャレンジして欲しいですね。

 

#5. 執筆のモチベーションと方向性

しんや:
今でも書かなければ、書きたい...という思いはあるものなのでしょうか?
横田:
書きたいとは思っていますし、時々書いていますね。技術的なネタもありますし、ビジネス的なネタもあります。良い感じ、タイミングで「あ、これは書いたほうが良いかな」というもの、最近だとStripeのやつとか、Rustのやつとか書きましたね。

RustからWebAssembly (wasm)を生成してJavaScriptとブリッジ通信してみる | DevelopersIO
Stripe Billingによる定額支払い時の手数料と消費税を再確認する | DevelopersIO

決して深くやっているわけでは無く、表面的なものではあるんですけど、表面的なものであっても、日本語で探してポーンと出てきていないようなものについては丁寧に日本語の記事で書いて出すようにしていますね。
佐々木:
書きたいと言えば書きたいです。僕も出来ればテックなことをやりたいので、たまに時間があれば書くこともありますけど、今やっぱりどちらかというとロールですね。僕がガツガツとテクニカルなことをやるよりは、エンジニアのメンバーにその辺をやってもらって、僕は事業とか組織のこととかを考えたほうが、会社としての効率が良いのは理解しています。自分が時間を割くのはテックではなくて組織側・事業側のほうかなと思っていて、そういう感じで意識的に(技術側へのリソース配分は)止めてますね。

テレワークでも100%パフォーマンスを出すための企業カルチャーの作り方 | DevelopersIO
クラスメソッドのテレワークを支える仕組みをご紹介します | DevelopersIO
実践的360度評価導入マニュアル | DevelopersIO
社内コミュニケーションを盛り上げる活動「褒めそやすっ!」について | DevelopersIO
「完全テレワークを実現した企業のカルチャーを支えるSlack活用実践事例」という話をしました | DevelopersIO
海外カンファレンスに毎年社員100名を送り込む会社の英語研修制度をご紹介します | DevelopersIO
「ケーススタディで学ぶ企業運営〜クラスメソッドの新型コロナ対応〜」という話をしました #devio2020 | DevelopersIO

僕は今、技術的なところでいうと横田さんよりも勉強はしていなくて、勉強するレイヤー、分野を技術ではなくてセールス・マーケティング・一般教養のような方面に切り替えているので、それもあって技術的なアウトプットは少なくなった、というのはありますね。

 

#6. お客様との会話で挙がる"ブログ話"

鵜飼:
お客様との商談や打ち合わせの中で、DevelopersIOやブログの話になることってあるのでしょうか。その際ってどういう話をされたりするんですか?
横田:
「いつも助かっています」という感謝から入って頂けるお客様が殆どですね。具体的にこのテーマが、というのはあんまりない気がしています。AWSに限らず、あらゆる面で。
いつ書いてるんですか?あれって何なんですか?みたいに、驚きを以て宇宙人との遭遇みたいな感じで...いうのもありますね(笑)
佐々木:
僕自身は今、直接お客様と会話することって以前に比べると減っているんですけど、CTOとかCEOとか、マーケティング責任者の方々と話す機会が多いですね。
そこでは「どうやって書かせているんですか?」というのは良く聞かれます。「うちのメンバー、全然ブログを書かないんですけど、どうやって書かせているんですか?」と。「書いたらお金とかもらえるんですか?」とかは良く聞かれます。
そこに対しては冒頭でも言ったように「えー、書いてもお金を上げるわけではないし、評価もしてません」というような返答をしてますね。書くことをノルマにしたり強制したりするわけではなくて、書くことが普通である、というカルチャーを作らないとダメですよ、という話はそういう場でよくしてますね。
横田:
「書けば書くだけ、自身の価値が上がる」というのは目に見ているので、そういった行動を自然と出来るようなカルチャーや場を作っていく感じですね。
しんや:
ブログを書くことで良い循環が発生し、結果自分の評価が上がるという「成功体験」をしているかいないか、出来る環境にあるかというのも「ブログを書く、情報発信をするというカルチャー」の醸成に影響してくるような気もします。その辺を何らか体験させてあげられると、その人に関しては自然と情報発信をしてくれるようになるのかなと。
横田:
成功体験って本人がしないといけないよね。周りが無理やり演出するものでは無いので、そこに早く気付いて欲しいなぁとは思います。
佐々木:
機会は沢山作れているのかなと思います。シンプルな成功体験だと「バズる」とか「アウトプットを褒められる」とか。うちのイベント登壇とか、自由に書けるブログだとか、沢山アウトプットする機会があるじゃないですか。それを上手く使った時に、成功体験に繋がっていくというのはあるかなと、あと数も必要なので、どれだけ根気良く続けられるのかなというのはありますね。

 

#7. いちブロガーとしてブログを書くときに気を付けていること

しんや:
先程は「経営陣として」の意見をお聞きしましたが、そこを外して1人のブログ執筆者として、読みやすいだったり、バズらせるために何か気を付けている、考えていることなどはありますでしょうか?
横田:
まず、バズることを狙って書かないですね。自分と同じ問題に直面している人が、1人いれば良いって考えています。1人の人が読んで「良かったな」って思ってもらえれば僕はそれで大満足です。
ただ、書こうとした時に「あー、これはバズるなー」って感じること、ネタはあります。ある程度読者層が多かったり、ネタの訴求度的に来る!みたいな。でもそれは狙ってはやらないですね。狙ってやると外れるんで(笑)
佐々木:
バズるバズらないでいうと僕も横田さんと一緒の考えです。前述の通り「とにかく書く」が僕のポリシーなので、バズらないから書かないという選択肢も無いし、バズらせようと思って下手に細工することも無いですね。
「読みやすい」という点でいうと、ブログの記事を書く時には「結果として何を伝えたいのか」は意識しています。横田さんが言ってた「手順書」的な内容であれば挿絵とかも丁寧に加工したものを使いますし、イベントレポートの場合だと、その内容で何を伝えたかったのかを明確にしますし、ポエムであればそのポエムの結論をちゃんと伝えたい、というようなことを考えて書いています。
横田:
同意です。読んでいて「えっ、ここで終わり?」というブログがあったりしますが、あれって書いている人の頭の中ではすごい問題解決しているんですよね。でもそれが伝わるコンテンツとしては途中で終わっちゃってるんですよ。そこはやっぱり、読者のことを考えて何を伝えたいのか、何を解決したいのか、コンテンツとして完結させていくというのが必要かなと思います。この辺は訓練というか慣れの問題ですね。
佐々木:
レポート記事の場合でも、僕は箇条書きスタイルでも全然良いと思うんですよ。箇条書きの中で、何個か重要であろうポイントを太字にするだけでも、「ここ見てほしいんだよね!」というところを赤字にする良いと思うんです。ただバーッっと箇条書きのものが並んでいるだけだと「ふーん」で流し見されて終わってしまう。割と僕はその辺意識しながらやるようにはしています。
横田:
感想は「まとめ」の部分、最後に書くようにしてますね。
佐々木:
あー、僕もそうですね。自分の意見としての感想ですよね。
横田:
ボディの部分は極力事実を書いていくんですよ。これやったらこうなります、の繰り返し。で、最後に「こういうことをやりたかったんですけど、今回実現できました。」みたいな。

 

#8. DevelopersIOの"将来の姿"

しんや:
今後、DevelopersIOはこのような立ち位置を目指している、こういう感じの在り方でありたい...というような思いやビジョン等はありますでしょうか?
横田:
今は特にそういうのは無いですね。
本数とかPVとかって、分かりやすい数字で定量的に評価出来るから取り敢えず上を目指そうぜ、くらいのものでしかなくて、達成したからどうだ、というのはぶっちゃけ無いんですよ。結局その活動を通じて書いてる社員達が レベルアップして、お客様が喜んでくれて、問題解決につながる、そこのサイクルの最大化なんですね、やりたいことは。なので目安でしかないです。
1本でも多くの記事が読者の人達の課題解決に繋がると良いな、っていうのが根底にあるもので、数字自体はそこまで重要じゃないと思っています。
佐々木:
今ってサービス運営会社の技術ブログって質がいいものがどんどん出ているじゃないですか。メルカリさんとかDMMさんとか。DeNAさんもそうですね。自社でサービス運営しているからこそ出せる、内容的にも"重厚"なブログとかっていうのは読み応えもあるし、すごく面白いなと思うんですよね。
一方でDevelopersIOって、企業の社員が書いているブログとしては特殊な立ち位置にあると思っています。うちみたいな新技術とか新しい機能とかをバンバン検証しまくるぜ、ってのをブログにしている会社ってほぼ無いなとは思っていて、そういう意味では今後も、雑多で良いのでとにかく皆で書き続ける、っていうことが出来ていければ良いんじゃないかな、と思います。

 

#9. 過去のエントリで印象に残っているブログ

しんや:
DevelopersIOは10年間、3万本超のブログをアウトプットしてきた訳ですけれども(※9)、これまでのエントリの中で印象深い、面白いなーというようなものって何か思い浮かびますでしょうか。
(※9)3万本
2021年10月19日に累計投稿本数3万本を達成していました。
【祝】DevelopersIO のブログ掲載記事が3万本を突破しました!!! | DevelopersIO
横田:
今パッと思い付くのがあまりないんですが、たまにお遊びな記事が上がるじゃないですか。「たまに」というのが良いんですよね。全部それだとただのおふざけになってしまう。いつも真面目な記事が挙がるなかで、突然「おっ?」というようなものが出てくるのが、クラメソっぽくていいなと思っています。
佐々木:
面白いものでいうと、やっぱり森永くんの「シアトルのカニ」ですね。

僕個人的には、今のDevelopersIOを見ていて「いや〜、みんな真面目だなー」と思ってる部分もあったりします。全く関係無いことを書くのも良くないなと思ってはいるものの、何か技術で面白いことを書いてみせるのは全然良いと思ってるんですね。
シアトルのカニの件も、あれはAWS re:inventでの道中のネタをブログにしたもので、他の技術ネタやシアトルのAWS本社(当時)に行ってきたというブログと合わせる形で出ていたので、流れとしては面白かったというのもあります。なんで、たまにそういう、技術だけではない話のブログとかが 何かしら挙がってきても良いのかな、出てきても良いのにな、とは思っています。

 

#10. クロージング

しんや:
そろそろインタビューの時間も終わりに近付いて参りました。
佐々木:
あっ、あとこれ個人的に言いたいなと思ってることを言わせて欲しいんですけど、DevelopersIOの技術イベント、年次イベントとしてやっているものがあるじゃないですか。この前Decade もやりましたけど、今あの、懸念では無いんですけど、すごくマーケティング寄りなイベントになっちゃったなーとは思っていて、昔ってあれってエンジニアの手弁当でやっていたんですよね。

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(過去開催されたイベント「DevelopersIO」の開催・参加レポート一覧はこちら)

エンジニアが自分たちで喋る場を作りたいから、イベントやろうぜってなって、最初東京でやってた時に「東京で面白そうなことやってるので地方でもやりてぇわこれ」ってDevelopersIO Sapporoを札幌オフィスのメンバーで勝手に立ち上げて告知とか集客とか当日の運営とかも地元のエンジニアメンバー達でやったんですね。それが大阪でもやり、福岡でもやり...って各地方のエンジニア達がしゃべりたいから喋れる場を作る、というのがDevelopersIOの根底にはあったような気がしています。
現状マーケ部がやってくれているのはありがたいですし、これはこれでマーケティングイベントとして高い効果を挙げているので是非続けたいです。
 
(イベントとしてのDevelopersIOは)元々はエンジニアが自分たちで作るイベントだったんだよ、というのはエンジニアメンバー皆さんに意識しておいて欲しいなぁと思っていて、登壇だったり運営だったりというのもマーケ部の方々にお任せではなくて僕らが作り上げていく、僕らのイベントでやっていこう、という意識を全員でもってあの場に向かっていって欲しいなと思っています。最近そこがちょっと薄れているなと思っていて、ちょっと気になっています。全員でやるんだという思いを持って欲しいなって思っています。
しんや&鵜飼:
なるほど。本日はお話させて頂き、ありがとうございました!
佐々木:
ありがとうございました!
横田:
ありがとうございました!

 

まとめ

という訳で、『DevelopersIO 著者のみんなに色々聞いてみた Advent Calendar 2021』25日目のエントリ横田さんと佐々木さん(クラスメソッドのえらい人)へのブログに関するインタビュー記事の紹介でした。

(一人)アドベントカレンダーの企画としては本日25日目の当エントリを以て終了となります。アンケートやインタビューを経て、クラスメソッドでブログを書いている著者の皆さんがどういうことを考えてどういう風に日々の執筆活動を行っているか、様々な視点・切り口なものがあることを今回の取り組みで知ることが出来て有意義なものとなりました。読者及びDevelopersIOの皆さんも、この企画の中の何かが日々のブログ執筆活動の参考になりましたら幸いです。

最後に、当企画に御協力頂いた皆様、ありがとうございました!!