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【書評】遅読家のための読書術 #ビジネス書を楽しもう

2020.12.05

はじめに

せーのでございます。

誰にも知らせずまったり始めている「ビジネス書」アドベントカレンダー、本日は5日目です。

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本日は印南敦史著「遅読家のための読書術」です。

遅読家のための読書術

私も何を隠そう遅読家です。小説などは毎日読み進めても2週間は当たり前、下手すれば数ヶ月かかります。
そんな私でもビジネス書だけなら一年で70冊程度は読めるようになったのは、ひとえにこの本のおかげと言ってもいいです。

この本は

  • なぜ読むのが遅いのか
  • なぜ読む時間が無いのか
  • なぜ読んでも忘れるのか

という章を通して、大人になってすっかり忙しくなってしまった私達が大きく勘違いしている「読書という概念」を指摘し、本を読む、というのはこんな感じだよ、という解決法を教えてくれます。
またそんな遅読家たちの夢でもある「多読」へのポイントを提示してくれます。その方法は「フローリーディング」と名付けられるのですが、これが出来るようになると本に対する向き合い方が変わります。最後には多読になった読者にむけて「本との出会い方・別れ方」までアドバイスしてくれるという、大変親切な本となっています。

今日はそんな超実践的な「読書術」をご紹介いたします。

読むのが遅いのは「熟読の呪縛」にかかっているから

まずこの本が指摘するのは「本は最初の1文字目から最後の1文字まで順番に読むもの」という私達の「本を読む」ということに対する思い込みについてです。
本を読むのが遅い人はたいていが「本に書いてあることを100%脳に写し取ろうとしている」のだそうです。

これは大変ムダなことで、読書の価値は「書かれていることの100%を写し取ることではなく、価値を感じられるような1%に出会うこと」なのです。
人間の性質上、本を一冊読んでも1週間も経てば数%覚えていれば良い方です。大事なのは1週間経っても忘れなかった内容の中に自分にとって大事なものがある、ということです。

そして大事なのは一冊の本の中に大事なことを1%見つけたら、10冊読むとそれが積み重なって10%のかたまりになる、ということです。
著者は、本を読むのが楽しくない、という人は、まだこのかたまりができていない状態で、それはレゴブロックで遊ぼうとしても持っているパーツが少なすぎるような状態、なのだそうです。もっとたくさんパーツを揃えていけば、そこから新しいものが組み上がっていく楽しさを体験することが出来るわけです。

確かにどんな趣味でも、たくさんの素材を味わうと、そこから自分の好みの傾向などがわかってきて、そこから自分でも気づかなかった考え方や物語が生み出されたりします。それは本でも同じこと、ということなのですが、どうしても本、となるとその一冊を「ちゃんと読まなきゃ」という気になって、なかなかそういう境地にまでたどり着いていなかったですね。

音楽を聞くように本を読む

著者は元音楽ライターという経歴を持っています。それを活かして「本を読むことは音楽を聴くことに似ている」と言います。

音楽を聞く時、全神経を集中して一音足りとも聞き逃さぬまい! と聞いている人は殆どいません。
大体の人が仕事や勉強をしながら、車を運転しながら、ソファで横になりながら、なんとなく流しています
なので初めて聞いた曲ではサビのメロディをなんとなく覚えている、という程度で、好きな曲でも「サビ前のここが好き」とか「このギターソロがいい」という、部分的な好みを覚えています。普段よく聞いている曲でも、実は裏に手拍子が隠れていた、という発見をすることもよくある話です。

音楽を聞くことは、曲を全て記憶することではなく、体の中に流して楽しむこと。それは読書でも同じ、と著者は言います。

本も一文字一文字追う必要はないのです。ざっと流し読んで、読後感に「面白かった」や「ドキドキした」が味わえればそれでいいのです。

そんな流し読みの手法を「フローリーディング」と言います。内容を覚えようとする読書を「ストック型」と定義し、その反対、流し読んだ結果残っている内容が大事、とする読書を「フロー型」と定義したのですね。

これはとても説得力がありますね。私も音楽が好きですが、すべての曲を「真剣に」聴くことはほとんどありません。自分のテンションを上げるために好きな曲を聞き、好奇心のみで新しい曲をSpotifyで漁ります。新しい曲でも気に入ったものでなければ1分位で飛ばしたり、逆にいいな、と思った曲はお気に入りに入れて、後でもう一回聞いたりします。
これと同じことを本でもやればいいんですね。そう考えると読書、というものが随分軽くなった気がします。

多読リズムは「同じ時間に読む」「早く読める本を読む」「昨日とは違う本を読む」

続けてこの本は「たくさんの本を読むコツ」を提示します。

まず本をたくさん読むのに重要なのは「本を読むことを習慣化すること」です。

出ましたね、「習慣化」。このアドベンドカレンダーを続けて読んで頂いてる方にはおなじみのワードです。
習慣化することで気持ちとは別に体が勝手に動くようになるのでたくさん本が読めるようになります。

では、本を読むことを習慣化するにはどうしたら良いでしょう。

それは「同じ時間」「同じシーン」「同じシチュエーション」に読むことです。
例えば朝食前の10分間、お風呂上がりの15分間、寝る前の30分間に本を読む、と決めてしまって毎日それをする。そのうち数週間もすると、本を読むのがご飯を食べたり歯を磨いたりするのと同じように当たり前のこととなる、というわけですね。
また本を読む場所も喫茶店のこの席、ベッドの上、ソファの右側など、本を読む場所を決めてしまうことによって、その時間にその場所に行くと本を読みたくなるようになります。トイレやお風呂のようなものですね。

さて、たくさん本を読むコツ、続いては「早く読める本を読む」です。

著者は本を大きく

  • そもそも読まなくていい本
  • 速く読む必要がない本
  • 速く読める本

の3つに分けています。「そもそも読まなくていい本」というのはなかなか厳しい言い方ですが、要は自分向きではない、ということですね。私で言えば恋愛小説のようなものでしょうか。
「速く読む必要がない本」と「速く読める本」の違いはなんでしょうか。これは人によってなかなか違うのですが、例えばストーリーのある小説やマンガなどは「速く読む必要がない本」になります。このような筋を追って楽しむタイプの本を速く読む、ということは映画を早送りで見るのと同じようなものだ、とこの本は言っています。

目安として充実した多読生活を送るには「速く読める本9 : 速く読む必要がない本1」の割合だそうです。ちなみに著者は月に60冊程読むそうなのですが、そのうち「速く読む必要がない本」は2〜3冊だそうです。速く読む必要がない本と速く読める本を同時に読み始めることも効果的だそうですよ。

最後は「昨日と違う本を読む」です。
フローリーディングの基本は「一日で1冊読み切る」ことです。これはつまり一冊を丁寧に最初から読んでると遅読家にとってはとても間に合わないわけです。
そんな時この本が勧めているのは「1日で味わえる価値だけに集中して、あとは別の日に読む」ということです。「10日間のダラダラ読みより60分のバラバラ読み」を意識すると、読書体験のクオリティはグッと高まります。

明日には別の本を読まなきゃいけない、となると人は集中します。これは仕事術でいう「デッドラインを決めて走り抜く」という考え方に近いと思います。そうやって読書密度を上げることにより効率的に大事な部分を吸い上げていくのが大事なんですね。

読書の内容を定着させるには1ライナーメモを取る

本を読むのは息を吸うのに似ているそうです。

つまり読んだものを読んだままにしておくとあるポイントを超えるとこれ以上は入ってこなくなる。
そこで「書き出す」という事が重要になってきます。むしろ意識的には「書くために読む」というスタンスでいいそうです。

ここで出てくるテクニックが「1ラインサンプリング」です。
これは気になった所、面白い、と思う所を1行くらいでまるごと書いてしまう、というものです。感想を書くのではなく、引用する、というところがポイントです。引用することで情報としての価値が高まります。自分が心を動かされた一文をサンプリングすることで、読み終えた時に「自分はどこが良いと思ったのか」という断片がノートに記されています。この断片がたくさん集まることで新しいものが出来上がる、まるでたくさんの曲のおいしい所をサンプリングしてリミックス曲を作るような作業を本でやってみる、ということです。

私もこの本を読んでからこの「1ラインサンプリング」をやるようにしています。

このブログを書くときにもこのサンプリングを参考に組み立てていったりします。

上手に読むには目的を持って目次と各章の冒頭を読む

4章「流し読みにもルールがある」以降では「読み方」に関するポイントがたくさん書かれています。
中でも使えそうなコツは「各章の冒頭はきっちり読む」「目次はきっちり読む」というものです。

本には「読み飛ばしてもいい場所」があり、そこをサクッと読み飛ばすようにして読んでいくと、テンポよく読めるようになります。
そんな「読み飛ばしてもいい場所」をこの本ではこのように定義しています。

  • 私はこういう経験をした、という自分語り
  • 理論の裏付けとなる個別の事例・体験談
  • 期待・危機を煽る過剰すぎる表現

あー、あるあるある、という感じです。確かに仕事術では各章とも最初に「こういう場合、こういう方法が有効です」から始まって「◯◯大学の研究によると男女60人に対して行われたこういう実験で」というような理論の補足や証明をして、「つまりこういう方法を取ることでこうなっていくと考えられます」でまとめる、といいうパターンがひじょうに多いです。そんな時は最初を読んだら真ん中はサクッと読んで最後を流し見る、というスピードで十分言いたいことは伝わりますね。

こういう読み方をするのに最も効率的なのが「目次を読んで自分が読みたい所だけを読む」「冒頭を読んで、大枠を把握したら後は流し読みする」という方法だそうです。
特にビジネス書では書き方のパターンは決まっているので、確かに目次を読めばだいたい欲しい情報がどこにあるかはわかります
読み方に緩急をつけることで「速く深く読む」ことができるようになります。

まとめ

ということで今日は「遅読家のための読書術」をご紹介しました。
実はご紹介した部分以外にもこの本は本の買い方、捨て方やマーカーを引くのはやめたほうが良い、など、多読生活をするための色々なポイントをアドバイスしています。ここは是非買って、確認してみてください。

本をたくさん読めるようになると、単純に考え方のベースとなる知識量が変わってきます。気持ち的にも随分違ってくるので、この本を読んで多読生活にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

遅読家のための読書術

それではまた明日、お会いしましょう。