
10月8日開催のTwilio SIGNAL Tokyo 2026に参加してきました
こんにちは、昴です。
10月8日に行われたTwilio SIGNAL Tokyo 2026に参加してきました!今回はこちらのイベントの概要・内容を見ていきたいと思います。
イベントについて
Twilio SIGNAL Tokyo 2026は、Twilioの年次カンファレンス「SIGNAL」の日本開催となるイベントで、今回が日本での初開催となります。AI時代のカスタマーエンゲージメントをテーマに、TwilioのCEOによる基調講演や、Twilioを活用されている企業様によるパネルディスカッション、プロダクトセッションなどが行われました。
- 時間 16:30~18:30
- 場所 グランドハイアット東京
セッションについて
CEO基調講演:カスタマーエンゲージメントの未来
Twilio CEOが、2026年の最重要テーマである「Agentic AI(自律型AI)」と最新ロードマップを公開します。
TwilioのCEOであるKhozema Shipchandler氏からのセッションとなります。
最近はさまざまな場面でAIの活用が求められていますが、それに伴ってカスタマーエクスペリエンス(顧客体験)に対する基準も上がってきているとのことです。私も業務でコンタクトセンター周りの課題をお伺いすることがありますが、AIを活用した顧客体験に対する期待値は、以前よりも高くなっていると感じています。また、2029年までに多くの企業で約10億ものAIエージェントが導入されると予想されており、その多くは人と対話するものになるとのことです。こうした中で、Twilioは次世代のカスタマーエクスペリエンスを支える立ち位置にあり、今年は次世代のTwilioプラットフォームも発表されています。
特別基調講演:国家規模で進めるデジタルトランスフォーメーション
日本初のデジタル大臣である平井卓也氏をお迎えし、本セッションでは、レガシーシステムからの脱却の重要性、高齢化社会において誰もが利用しやすい行政サービスの構築、そしてクラウドコミュニケーション、AI、マイナンバーカードを活用した、能動的で安全、かつシームレスな「Society 5.0」の実現についてお話しいただきます。
日本初のデジタル大臣である平井卓也氏からのセッションとなります。
インターネットはリスクがありながらも利便性の方がはるかに大きかったことで世界中に広がってきましたが、AIについては一歩間違えると利便性とリスクが釣り合ってしまうのではないか、というお話がありました。だからこそ「守るべきものは何か」「目指す世界観は何か」「そのためにどんな手段を選ぶか」をはっきりさせることが大事で、Twilioは目指す世界観が明確だと話されていました。また、AIとの関わり方は「ヒューマン・イン・ザ・ループ」ではなく「ヒューマン・イン・ザ・リード」であるべきとのことです。AIの処理の中に人が確認役として入るだけではなく、犬のリードのように人が手綱を握って、AIに何を任せるのか、誰が責任を持つのかを人が決めていくイメージと解釈しました。
サイバーセキュリティについても国として非常に悩ましい課題になっていて、これからは信頼できるものを選んでいく必要があるとのことです。誰でも自由に使えるというインターネットの良さはそのままに、安心して使える仕組みを整えていくうえで、Twilioのようなインフラが必要になるというお話もありました。最後には、国民の権利やプライバシーなど守るべきものはしっかり守りつつ、それ以外のルールはAIを導入しながら柔軟に見直していくという考え方が紹介され、リスクは大きいけれどチャンスはその何倍もある、と締めくくられていました。AIの導入も結局はトライアンドエラーで、使っていく中でコツをつかんでいくものなのかなと感じました。
私が業務の中で特に意識することが多いのがUXですが、UXの観点で考えると、「ここは人の方がいい」「ここはAIの方がいい」「ここは両方がいい」というのが、使っていく中で見えてくるのかなと思います。
成長を支えるCX基盤:日本企業が進める顧客体験のモダナイゼーション
全日本空輸株式会社様、エキサイト株式会社様、イタンジ株式会社様によるパネルディスカッションとなります。業界はそれぞれ違いますが、どの会社もその業界ならではの課題があり、そこに柔軟性の高いTwilioがうまくはまっているのが面白いと感じたセッションでした。
全日本空輸株式会社様では、1日に約850便を運航しており、通常で1日10万人以上、ピーク期には15万人以上のお客様が利用されているとのことです。現在はTwilioでSMSやメールを配信していて、予約完了の通知や出発24時間前のオンラインチェックインの案内など、1人のお客様に何度も通知を送っているそうです。導入前は、欠航や遅延といった運航のイレギュラー時に情報を確実に届けられず、事情を知らないまま空港に来てしまうお客様がいたことが課題だったとのこと。また、予約や運航、マーケティングなどのシステムがそれぞれで配信を行っていたため、新しいことを始めるのに数か月から数年かかってしまう状況だったそうです。
エキサイト株式会社様では、電話占いサービスで占い師と利用者をつなぐ通話基盤としてTwilioを利用されています。電話の仕組みを一から作るのはアプリケーション開発者にとって難しいため、APIを使うことが前提だったとのことです。以前のシステムでは初期投資が必要で、利用者が増えるたびに設備を増設する必要がありましたが、従量課金のTwilioに切り替えたことで年間のコストを従来の約30%に抑え、切り替え後の2年間で約1.8億円のコスト削減につながったそうです。
イタンジ株式会社様では、Twilioが日本に入ってきた2014年ごろから利用されています。不動産業界には、物件がまだ空いているかを不動産会社同士が電話で確認し合う「物件確認」という業務があり、これを自動化するシステムを最初のプロダクトとして作られたとのことです。ピーク時には月間約50万コールの物件確認をこのシステムで処理しており、1件あたり1分から1分半かかる確認業務を削減できたとのこと。電話応対を嫌がる不動産会社の担当者の負担も減らせたそうです。
最後に会場へのアドバイスとして、全日本空輸株式会社様からは、世界の事例を取り入れながら、信頼できるサービスを活用してできることから小さく始めていくのが大事というお話がありました。エキサイト株式会社様からは、TwilioはAPIの拡張性が高くドキュメントも充実しているので、何も知らなくてもすぐに開発を始められるとのことで、旧基盤から作り直した際もエンジニア1人で約2か月でプロトタイプを作れたそうです。イタンジ株式会社様からは、社内で「UIをなくせ」と話しているというお話がありました。アプリをダウンロードさせて使い方を強制するのではなく、電話やメールなど普段使っているチャネルでやりたいことができて、裏側はAIに任せる形を目指しているとのことです。
UXで一番嫌なのは何かを強制されること、というお話には非常に共感しました。使い方を覚えなければいけない時点でユーザーには負担がかかっているので、普段使っている電話やメールで完結するのが一番いいのかなと思います。
ボイスAIとテレフォニーDX:次世代カスタマーエンゲージメントの実現
株式会社AI Shift様、モビルス株式会社様、株式会社IVRy様によるパネルディスカッションとなります。3社ともボイスAIを自社の製品として提供しています。株式会社AI Shift様からは、コールセンターの人手不足は昔から言われているものの、AIへの置き換えはなかなか進んでいないというお話がありました。日本は超高齢社会で、日本語を使う国も日本しかないため、海外のAIをそのまま持ってくるのではなく、日本市場に合わせたローカライズが大事とのことです。
AI化の見通しについては、モビルス株式会社様は4年ほどで呼量の80%、株式会社IVRy様は10年で5割から7割、株式会社AI Shift様はまず全体の40%ほどを3年で実現したいとのことでした。また、モビルス株式会社様と株式会社IVRy様は人が関わる部分は残るという考えで、株式会社AI Shift様は当面はハイブリッドとしつつも、声だけでAIが完結する未来を目指しているそうです。
Twilioについては、モビルス株式会社様は電話回線などの通信の部分をTwilioに丸ごと任せて、自社はAIや管理画面などのアプリケーション側の開発に集中しているとのことです。音声は何があっても止められないので、安定して動いて、利用が増えてもしっかりスケールしてくれる点が非常にありがたいそうです。株式会社IVRy様も、電話の部分をTwilioに任せられたことでアプリやAIの開発に集中でき、累計約7万アカウントまで成長できたとのことでした。
日本語ならではの難しさについては、私も業務の中で実感することが多いです。プロダクトによっては日本語の文字起こしや、少し話はそれますが感情分析などは、まだ難しいと感じる部分があります。
プロダクトセッション:Twilio Conversation Relayで実現するVoice AI
Twilioのエンジニア陣が、最新AI機能を組み合わせたソリューションを、その場で構築する圧倒的なライブデモ。複雑なワークフローが数分で形になる「開発のスピード感」と、明日から自社で活用できる「手触り感のあるイノベーション」の瞬間を、ぜひその目で目撃してください。
デモでは、夜中に水漏れが起きたという想定で、電話とLINEを組み合わせてAIが対応する様子が紹介されました。このデモは、Twilio ConversationsとConversationRelayを使って作られているとのことです。Twilio Conversationsは、Conversation Orchestrator、Conversation Memory、Conversation Intelligence、Agent Connectの4つの機能で構成されています。Conversation Orchestratorは、電話やLINEなどのやり取りを1つの会話として扱う機能です。Conversation Memoryはお客様の情報や会話の状態を保持し、Conversation Intelligenceは会話の内容をリアルタイムに分析します。Agent Connectは、自社のAIエージェントをTwilioにつなぐための仕組みになります。
そして、今回のセッションのメインとなるのがConversationRelayです。ConversationRelayは、通話の音声の文字起こし、LLMでの回答の生成、生成した回答の読み上げまでを、まとめてやってくれる機能になります。音声まわりの処理を自分たちで作り込まなくてもよいので、AIとのやり取りの部分の開発に集中できます。
続いて、株式会社うるる様の事例紹介となります。電話代行サービスのfondeskと、クラウド型IVRのfondesk IVRを提供されており、4人の兼務メンバーから始まって、今では7,500社以上に利用されているとのことです。電話回線の専門知識を持つメンバーがいない中でも、Twilioを基盤にすることで初期投資なしで開発できたそうです。今年の春にはfondesk IVRにAIが対応する「AIオペレーター」を追加しており、ConversationRelayを使って1人で約2週間で開発されたとのこと。音声の文字起こしやLLMとのやり取り、音声合成などを一から作ろうとすると、かなりのコストと時間がかかってしまうそうです。今後はConversation IntelligenceやConversation Memoryを使って、過去の着信履歴なども踏まえた応答に取り組んでいきたいとのことです。
ConversationRelayがあれば、音声AIでできることや、やってみたいことがもっと広がりそうだなと思いました。
まとめ
今回は10月8日に参加したTwilio SIGNAL Tokyo 2026について見ていきました。今後のTwilioのイベントにも参加し、アップデートを継続的にキャッチアップしていきたいです。









