プレゼンはなんのためにやるのか?澤円さんの「マイクロソフト 伝説マネジャーの世界№1プレゼン術」でITエンジニアのプレゼンを考える

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プレゼンってなんのためにやるんですかね?

今度、上のイベントでコンテナ周辺話題についてプレゼンするんですが、改めてプレゼン内容について考え込んでいる自分がいました。

  • 技術的知識の共有かね?
  • ググれば出てくることのまとめでええの?
  • 困ったことや経験の共有?
  • 本当は資料に残せないようなぶっちゃけトークのほうがうけるの?
  • hogehoge,fugafuga

クラスメソッドに入社以来、社内外含めてプレゼンする機会は複数あったわけですが、改めて岡山のイベントに向けて頭の中を整理したくて読んだのが、この「マイクロソフト 伝説マネジャーの世界№1プレゼン術」。いろんな学びがぎょーさんありました。

このエントリでは、「エンジニアが技術プレゼンをするとき、気をつけたほうが良いこと。自分に足りないこと」を、著書の内容を引用しながら自分なりにまとめていこうと思います。主観強めで。

著書紹介

マイクロソフト伝説マネジャーの 世界№1プレゼン術 | 澤 円 |本 | 通販 | Amazon

著者は、エンジニア界隈で知らない人はいないでしょう、澤円さん(@madoka510)

書籍目次

以下目次は、Amazonのページから引用しています。

  • 第1章 なぜ、私はプレゼンで世界トップになれたのか? ――伝わるプレゼンの大原則
    • エンジニアとしては異例の「Chairman`s Award」受賞!
    • 「相手から引き出したい行動」は明確になっているか?
  • 第2章 すべてのプレゼンは「ビジョン作り」から始まる ――プレゼンは目的ではなく手段
    • 優れたプレゼンターが「共通して語っているもの」
    • オーディエンスをプロファイリングする
  • 第3章 いいプレゼンほど人に言いふらしたくなる ――1人歩きするプレゼンの「核」のつくり方
    • 優れたプレゼンには「心に残る核」が含まれている!
    • 「自分」ではなく「聴き手」が主語になっているか?
  • 第4章 構成・ストーリーを作るために知っておくべき「基礎の基礎」――いいプレゼンをするまでの下準備
    • プレゼンターは「顔のない聴衆」に向かって話してはいけない
    • プレゼンターが陥る「わかっているつもり」「理解しているつもり」
  • 第5章 聴き手の興味が飛躍的にアップする「構成&スライド作り」――プレゼン資料をつくるための実践テクニック
    • 数字は一人歩きさせやすい!
    • スライドの役割は「情報」ではなく「イメージ」の共有
  • 第6章 ここで差がつく「話し方」の極意 ――誰も知らない「本番」テクニック
    • 自分なりの「基本姿勢」を決めてしまう

以下、書籍の内容でハマコー的に響いたところを中心に引用しながら、まとめていきます。

「プレゼンのゴールとは?外せない核とは?」

一番の核心部分です。様々に考え方ありますが、本書では以下で定義されています。

1. 聴いた人がハッピーになる
2. 聴いた人から行動(決断を引き出す)
3. 聴いた内容を他人に言いふらしたくなる

一貫して「聴いた人」が主語になっているのが、最大のポイント。つまりは「自分の知識を伝えること」「自分の思いを誤解なく伝えること」という、自分視点の観点ではないということですね。

自分的には、2番の「聴いた人から行動(決断を引き出す)」が一番重要で、ここを軸をぶらさずに考え続けることが、筋の通ったプレゼンを構成する最大の秘訣だと思ってます。

カンファレンスなどで登壇したときに、だいたい45分程度の枠で話して理解していただける技術的知識なんて、量としては大したことないんですよね。普段ITエンジニアとして仕事してたら「45分であの技術を習得しよう!」ということに対する無理さ加減はよく分かるかと思います。

技術要素の話を一切しないわけではないのですが、そういった話をしながらも、最後に聴衆が「おお、そうか、エエ話聴いたな。あそこらへんの技術から現場に導入してみよ!」という気持ちを起こさせるようなプレゼンが良いんだろうなと、改めて感じました。

「優れたプレゼンターが共通して語っているのは、ハッピーな未来」

これ、すっごい参考になります。「ハッピーな未来」なんて単語を聞くと凄い大げさなものを想像してしまいますが、エンジニアプレゼンであれば、もっとシンプルなものでも十分伝わると思います。

  • 今日伝えるCI/CD手法を取り入れれば、ビルド〜デプロイの時間を5分の1に短縮できます
  • 今日伝えるIaCの推進で同じインフラ環境を複製する手間が10分の1になって、さらにインフラの同一性がコードで担保されます

冒頭でここが明確になっているプレゼンは凄い真剣に聞くことができるんですよね。前のめりになります。こういうプレゼンは、それを聞くことによるメリットが提示されているので、話している内容を自分ごととして捉えやすくなるのは実感してます。

相手を主軸としてプレゼンをするという方針であれば、超絶わかりやすく「あなたが今日このプレゼンを聞くことによるメリット」を提示するのは、相手の興味を引きつけるためでも、プレゼンの目的を絞るためでも、非常に重要でわかりやすいメソッドだと思います。

「聞く人が自分事として捉えてもらえるよう、一般論に終始しない」

「この講演を聴けばITに詳しくなる」「これからの時代、ITは大事ですよ」と一般論を述べたところで、「そりゃぁそうでしょうね…」とは思ってくれるでしょうが、所詮それは他人事。しかし、「この講演を聴けば孫に喜ばれる」と言われたら、印象は一気に変わり、自分事になるでしょう。

ITエンジニアとして技術プレゼンをするときは、扱っているものが抽象的で実態として捉えにくいものが多いので、どうしても一般論が多くなりがちだと思います。例えば時間が短縮されることも表現方法もいろいろありますね。

  • 「業務時間が効率化できます!」
  • 「ビルド時間が半分になります!」
  • 「ビルド時間が半分になって、機能開発を2倍できます!」
  • 「定時で上がって、ジムで筋トレできます!」

最終的にその技術を使って、あなたの現場がいかによくなるのか?あなたがどれだけうれしいのか?ユーザーにどう喜んでもらえる可能性があるのか?という部分を明確に伝えることで、自分ごととして興味をもってプレゼンを感じてもらえることができると思います。

「自分ではなく聴き手を主語とする」

しばらく前ですが、プレゼンを聴いていて「なんだこれ…」と思ったことがありました。

あるテクノロジーの運用を簡単にするツールの話だったのですが、それが販売されておらずオープンなものでもない自社製ツールで、そのツールのコマンド体系や機能の話をつらつらとされている間に「え、これ、聴いてる人になんか意味有るの?」と感じたのをよく覚えています。

もちろん自社製ツールの話であったとしても、そのツールを作った意図や背景や課題などを抽象化して、聴衆に共有してくれればまだ学びがあったのですが、基本「自分の組織、自分のツール」の話で進んでいたので、聞くのが非常につらくなったんですね。

おそらくプレゼンターに自慢やドヤァ的な意図は皆無だったかと思うのですが、そういう「聴いている人に役立つ目線」がない進行は、聴衆の興味を遠ざける大きな原因になるので、むちゃくちゃ気をつけるべき点なんだろうなぁと思った次第です。

「10人にインタビューすれば、プレゼンは10倍よくなる!」

あなたはプレゼンの構成を考えるにあたり、どれだけの人にインタビューをしているでしょうか?ネットで調べるなど、手元にある資料だけで構成を考えているうちは、やはり大きな説得力は生まれません。

聴き手に対して、心に響くメリットやハッピーな未来を提示するためには、その聴き手のことをちゃんと知らないといけません。当たり前の話なんですが、案外ここがずれていることもありがちだなぁと自戒を込めて考えます。

例えば「コンテナ導入してみよう!」というテーマでプレゼンするのであれば、いわゆるコンテナを導入することのポータビリティとかの教科書的な話をするよりは、コンテナ導入を検討しながらも二の足を踏んでいるユーザーの、実際に導入にあたって苦労していること、不安な点などを伝えたほうがよりリアルになるかと思います。

自分はAWS事業本部コンサル部所属という立場上、AWSやコンテナの導入を検討しているお客様の生の声を聞くことが非常に多いです。業種もステージも本当に様々あるので、その中ででてきた「生の声」「現場ならではの痛み」というところは、もっとプレゼンの中で赤裸々に喋っても良いのかなと。

プレゼンする時に、あらかじめ聴きての層にマッチする人と話す機会があれば、いろいろ話を聴いてみるとプレゼンのネタがより具体的になって良いと思います。

「プレゼンターがスクリーンを見て話すのはおかしい」

おかしい、おかしいですよね。わかっちゃいるけど、これやってしまうんですよね。ある程度は慣れだと思うんですが、極力意識して、聴衆を見ながらプレゼンしたいものです。

「ジョークとは決死の覚悟で言うものではない!」

プレゼンにおいて、ジョークとは決死の覚悟で言うものではありません。新人のお笑い芸人ではないのですから、思い切って勝負のギャグを言う必要などまったくありません。

プレゼンでどれだけ滑っても心が折れない特殊な人も一部いますが、そんな人は例外。ぶっちゃけプレゼンに決死の覚悟でジョークを入れるのはやめておけと。

これも非常によくわかるし、経験あります。「ここ、ここやで、ここで俺は会場を爆笑の渦に巻き込むんや!」と肩肘張って準備したときほど滑ります。まぁキレイにすべるというよりは、肩に力が入り過ぎながらしゃべることで、「あぁ、この人、がんばってウケ狙いにきたんだなぁ。がんばってるなぁ。うん、がんばってる」と聴衆に余計な心配をさせることになるんですよね。なんの地獄だこれ。

「一部の人がクスッと笑ってくれればいいな」というくらいの軽いジョークが適切です。

なので、最近は自分もネタっぽい要素いれるにしても、あくまでおまけ程度で全スルーでも痛くない程度のものにするようにしてます。もし、プレゼンのジョーク周辺で迷っている人は、これぐらいの気持ちのほうが、自分も緊張しないし聴いている方も安心してきけるので良いんじゃないでしょうか。

まとめ「必ず自分のプレゼンを改めて見直すきっかけになる良書」

書籍全般の内容としては、そもそもエンジニアのプレゼンを想定したものではないです。なので、プレゼンの目的も「知識の共有」ではなく「相手の行動のきっかけ」という点で一貫してます。

恐らく、「ITエンジニアとしてのプレゼンのやり方」を直接的に求めてこの本を読むと、肩透かしを食うというか、直接活かせそうな部分が少ないと感じるかもしれません。ただ、あえて「プレゼンテーションとはなにか?」ということを再考して見つめ直すには、「スライドの作り方」や「プレゼンの話し方」というテクニック中心の本よりも、プレゼンテーションをメタ的に捉えることができるこういう本のほうが、応用がきいて良いと思います。

自分のプレゼンが煮詰まっているなぁとか、もうちょっと別の視点で自分のプレゼンを見直してみたいと考えているITエンジニアには、参考になる点が多々あるかと思いますので、一度てにとってみてはいかがでしょうか。

マイクロソフト伝説マネジャーの 世界№1プレゼン術 | 澤 円 |本 | 通販 | Amazon

今度の岡山のイベント(【4/6(土)岡山】AWS最新技術の祭典Developers.IO 2019 at 岡山城を開催します! | DevelopersIO)では、ハマコーの進化したプレゼンが聴けることでしょう!ワッショイ!

それでは、今日はこのへんで。濱田(@hamako9999)でした。

自分のプレゼンで一番テーマが一貫してたと感じる例

初めて会社説明会でしゃべる(しかも大阪開催!)ということで、気張って作ったスライドです。このプレゼンでは一貫して「AWS事業部に応募してもらう」ということをゴールに、一エンジニアとしてクラスメソッドのAWS事業部で働くことのメリットをハッピーな未来と位置づけて、ストーリーとスライドを組み立てました。

ぶっちゃけこのときの実際の応募は芳しくなかった(><)のですが、目的がはっきりしたプレゼンだったなとは思ってます。

参考図書「もういっちょ、おすすめのプレゼン本はある?」

あります。自分は、こちらの本もバイブルです。澤さんと同じマイクロソフトの西脇さん(@waki)のこちら。

新エバンジェリスト養成講座 | 西脇資哲 |本 | 通販 | Amazon

これは、通年開催されている「新エバンジェリスト養成講座/企業のIT、経営、ビジネスをつなぐ情報サイト EnterpriseZine」を受講したときに、その圧倒的なパフォーマンスと説得力に感銘を受けて購入した本です。

講座自体もそれなりのお値段はしますが、「プレゼンテーションとはなにか?」「立ち居振る舞いで気をつけなければいけない点は何か?」「最悪な喋り方、なめらかな喋り方」を、目の前で実践してもらうむちゃくちゃ有用な講座なので、気になる方は、講座も一緒に受けてみると良いと思います。

参考図書「スライドのデザインについて具体的に学ぶには?」

プレゼンの考え方を把握した後、実際にスライドを作るときに参考になるのがこちらの本。

一生使える見やすい資料のデザイン入門 | 森重湧太 | 実践経営・リーダーシップ | Kindleストア | Amazon

Kindle Unlimitedで無料だと知ったときから、ずーっと愛読してます。シンプルかつわかりやすく見やすいスライドを作るコツが満載なので、オススメです。