
クラスメソッド データアナリティクス通信(AWSデータ分析編) – 2026年7月号
クラウド事業本部コンサルティング部の石川です。2026年6月のAWSデータ分析関連のアップデート情報をお届けします。今月は、Amazon Quick が自律エージェントとマルチデータセット分析を発表し、AWS Glue Data Catalog がセマンティック検索(プレビュー)に対応、Amazon S3 がオブジェクトにビジネスコンテキストを付与できる Annotations を追加しました。自然言語・エージェントによる分析、Spark Connect を使った対話的な開発体験、セマンティックなデータ発見が同時に進んだ月です。他にもアップデートがあるので紹介します!
Amazon SageMaker Unified Studio
新機能・アップデート
2026/06/03 - Amazon SageMaker Unified Studio now supports notebook scheduling
Amazon SageMaker Unified Studio で、ノートブックのスケジュール実行・パラメータ化・オーケストレーションをノートブックのインターフェースから直接行えるようになりました。外部のオーケストレーション基盤を用意せずに、日次レポートやデータ品質チェック、モデルの再学習といった定期ワークロードを自動化でき、実験から本番運用へスムーズに移行できます。
2026/06/03 - Amazon SageMaker Unified Studio now supports a localized experience in twelve languages
Amazon SageMaker Unified Studio の UI が日本語を含む 12 言語のローカライズに対応しました。対応言語は英語、中国語(簡体字・繁体字)、フランス語、ドイツ語、インドネシア語、イタリア語、日本語、韓国語、ポルトガル語(ブラジル)、スペイン語、トルコ語です。ブラウザ設定からの自動検出と、プロフィール設定での手動選択の両方に対応しています。
2026/06/09 - Amazon SageMaker Unified Studio Notebooks now support EMR Serverless
Amazon SageMaker Unified Studio のノートブックが、Apache Spark Connect を介した Amazon EMR Serverless をサポートしました。ノートブックのセル内で PySpark や Spark SQL を EMR Serverless の Spark アプリケーション上で実行でき、サイドパネルから Spark ランタイムを選択できます。事前初期化容量による高速なセッション開始、統合された Spark UI でのモニタリング、VPC 接続、コード生成のための SageMaker Data Agent 連携などが利用できます。
Amazon SageMaker Data Agent
新機能・アップデート
2026/06/03 - Amazon SageMaker Data Agent now supports conversation history
SageMaker Unified Studio で利用できる Amazon SageMaker Data Agent が、会話履歴に対応しました。過去の会話、エージェントが生成したコード、トラブルシューティングのやり取りを後から呼び出せるため、分析セッションをまたいで作業の連続性を保てます。
2026/06/04 - Amazon SageMaker Data Agent integrates business context into conversations
Amazon SageMaker Data Agent が SageMaker Catalog のビジネスコンテキストやメタデータと統合されました。用語集・カスタムメタデータフォーム・アセットの概要・README などを検索し、技術的なテーブル名ではなく業務用語からデータを発見して、より正確な SQL や Python コードを生成できます。Collibra・Atlan・Alation から同期したビジネスコンテキストも活用できます。
Amazon DataZone
新機能・アップデート
APIの変更点
2026/06/15 - Amazon DataZone - 1 new methods
Amazon DataZone でリネージイベントを削除できるようになりました。不要になったデータリネージのイベントをクリーンアップできます。
Amazon Redshift
新機能・アップデート
2026/06/08 - Amazon Redshift reduces manual snapshot cost for Serverless and RG instances
Amazon Redshift Serverless および RG インスタンスの手動スナップショットに、新しい課金モデルが導入されました。個々のスナップショットの合計サイズではなく、スナップショット間で共有される一意のデータブロック単位でストレージ量を計測します。これにより、複数のスナップショットを保持する場合の重複分が二重課金されなくなり、バックアップ頻度や保持期間を増やしてもコストを抑えられます。全AWS商用リージョンおよび GovCloud リージョンで利用可能です。
2026/06/25 - Amazon Redshift adds Reserved Instance upfront pricing options for RG instances
Amazon Redshift の RG インスタンス向けに、リザーブドインスタンス(RI)の「全額前払い(All Upfront)」「一部前払い(Partial Upfront)」という支払いオプションが追加されました。これまで RG インスタンスの RI は前払いなし(No Upfront)のみの提供でしたが、今回のアップデートにより、1年または3年契約でも前払い方式を選択できるようになりました。全額前払いは契約分をまとめて開始時に支払うことで割引率が最大化され、一部前払いは初回にまとまった額を支払い、残りを低額な月額で分割します。前払いなしと合わせて3つの支払いパターンから、キャッシュフローの都合に応じてコンピューティングコストを最適化できるようになりました。
AWS Glue
新機能・アップデート
2026/06/17 - AWS Glue Data Catalog now supports business context and semantic search (Preview)
AWS Glue Data Catalog が、ビジネスコンテキストとセマンティック検索(プレビュー)に対応しました。技術的なメタデータと並べてビジネスコンテキストをインデックス化することで、新しい Glue Search API を使い「意味」でデータを検索できます。テーブルを構造だけでなく、用語集の用語や説明的なメタデータといったビジネス上の意味からも見つけられます。MCP 対応の AI エージェントからの利用にも対応しています。提供リージョンは米国東部・米国西部・欧州(アイルランド)です。
2026/06/17 - AWS Glue Interactive Sessions now support Spark Connect for interactive workloads
AWS Glue の Interactive Sessions が Apache Spark Connect に対応しました。Amazon SageMaker Unified Studio のマネージドノートブックや、Jupyter・Visual Studio Code などお好みの環境から、クラスター管理なしで Glue のサーバーレス基盤上で Spark アプリケーションを開発・実行できます。アドホックなデータ探索、ステップ単位の反復的なデバッグ、本番投入前の PySpark ジョブの段階的な開発に活用できます。東京を含む複数リージョンで利用可能です。
APIの変更点
2026/06/04 - AWS Glue - 2 new 3 updated methods
AWS Glue Interactive Sessions が Apache Spark Connect をサポートしました。gRPC 経由でのリモート Spark 実行が可能になり、GetSessionEndpoint と GetDashboardUrl の API が追加されました。CreateSession が SPARK_CONNECT セッションタイプを受け付けます。
2026/06/12 - AWS Glue - 6 updated methods
GetTable で Apache Iceberg テーブルのメタデータを取得できるようになりました。新しい AttributesToGet パラメータに LATEST_ICEBERG_METADATA を指定すると、スキーマ・パーティション仕様・ソート順・テーブルプロパティをレスポンスで受け取れます。
2026/06/17 - AWS Glue - 28 new methods
AWS Glue の検索・発見(Search and Discovery)がサポートされました。Data Catalog のテーブルなどのアセットを検索し、ビジネスコンテキストや用語集の用語で拡充できます。
2026/06/19 - AWS Glue - 1 new 4 updated methods
全文検索とフィルタで Data Catalog のアセットを発見する SearchAssets オペレーションが追加されました。あわせて Glossary Terms と Attachment API の命名が整理されています。
2026/06/29 - AWS Glue - 1 new methods
既存の AWS Glue Data Catalog アセットにビジネス名と説明を設定する UpdateAsset オペレーションが追加されました。
AWS Lake Formation
新機能・アップデート
2026/06/12 - Access Amazon S3 data files directly using AWS Lake Formation permissions
AWS Lake Formation のアクセス許可を使って、登録済みの S3 ロケーションのデータファイルに、Amazon EMR 上の Apache Spark ジョブから直接読み書きできるようになりました。S3 ロケーションアクセス向けの Lake Formation クレデンシャルベンディングは、EMR リリースラベル 7.13 以降、Boto3 1.42.29 以降、AWS SDK for Java 2.41.32 以降、AWS CLI 2.33.1 以降で利用できます。S3 バケットポリシーを個別に管理することなく、テーブル単位の細かなアクセス制御を Lake Formation 側で維持できます。
Amazon QuickSight
新機能・アップデート
2026/06/01 - Amazon Quick now supports VPC connectivity for MCP connections
Amazon Quick が、Model Context Protocol(MCP)サーバーへの VPC 接続をサポートしました。プライベートにホストした MCP サーバーを、インターネットに公開することなく Amazon VPC 経由で Quick に接続できます。
2026/06/11 - Amazon Quick now integrates with Snowflake Cortex AI
Amazon Quick が Model Context Protocol を通じて Snowflake Cortex AI と統合されました。自然言語で Snowflake のデータやドキュメントに問い合わせたり、複数ステップのワークフローを自動化したりできます。Cortex Analyst による構造化データ分析、Cortex Search によるドキュメントからのインサイト取得、Quick Spaces に蓄積した社内ナレッジと組み合わせた回答などが可能です。
2026/06/16 - Amazon Quick expands integrations with new connectors for Adobe, Figma, WhatsApp, and more
Amazon Quick が Adobe、Figma、WhatsApp など 16 種類の新しいコネクタを追加しました。生産性・デザイン・分析・データ基盤・コミュニケーションなど、チームが普段使うツールを数分でワークスペースに追加し、Quick Flows・Chat・Spaces に組み込めます。
2026/06/17 - Amazon Quick announces autonomous agents, multi-dataset analytics, and redesigned activity feed
Amazon Quick が、自律エージェント・マルチデータセット分析・刷新されたアクティビティフィードを発表しました。自律エージェントでは、タスクを自然言語で指示し、ステップごとの承認から目標ベースの広い裁量まで、自律レベルを細かく設定できます。マルチデータセット分析では、Snowflake やリレーショナルデータベースを含む複数のデータソースを自然言語で横断的にクエリできます。
APIの変更点
2026/06/01 - Amazon QuickSight - 22 new methods
Amazon QuickSight の Spaces・Agents・Flows の公開 API が追加されました。Spaces API はキュレーションされたリソースコレクションの管理、Agents API は Spaces を活用する AI エージェントのライフサイクル制御、Flows API は自動化ワークフローの CRUDL API を提供します。
2026/06/05 - Amazon QuickSight - 8 new methods
Knowledge Base API と Index Capacity API のサポートが追加されました。
Amazon OpenSearch Service
新機能・アップデート
2026/06/10 - Amazon OpenSearch Service launches MCP Apps for agentic observability
Amazon OpenSearch Service が MCP Apps に対応し、Claude Desktop や VS Code などの対応エージェント型 IDE から、オブザーバビリティのワークフローを直接利用できるようになりました。ローカル環境の AI エージェントが、OpenSearch のドメイン・コレクションや Amazon Managed Service for Prometheus に保存されたログ・トレース・メトリクス・アラートを使ってインシデントを調査できます。対話の中で可視化、根本原因分析、分散トレースの探索までを行えます。
2026/06/23 - Amazon OpenSearch Service now offers AI-assisted migrations
Amazon OpenSearch Service の Migration Assistant に、AI支援によるマイグレーション体験が追加されました。自己管理の Apache Solr、Elasticsearch、OpenSearch を OpenSearch Serverless やマネージドクラスターへ移行する作業を簡素化します。Solr についてはライブトラフィックのキャプチャとリプレイにも対応しています。
APIの変更点
2026/06/17 - Amazon OpenSearch Service - 1 updated methods
UpdateApplication API を使って、既存の OpenSearch アプリケーションに IAM Identity Center のオプションを構成できるようになりました。
2026/06/19 - Amazon OpenSearch Service - 4 new methods
データソースのアタッチメント API が追加されました。OpenSearch Service ドメインや OpenSearch Serverless コレクションを、OpenSearch アプリケーションにアタッチ/デタッチできます。
Amazon OpenSearch Serverless
新機能・アップデート
2026/06/08 - Amazon OpenSearch Serverless が Agentic Search をサポートするようになりました
Agentic Search では「800ドル未満の東京行きフライトを検索する」「今月の電子機器カテゴリで最も売れている製品を表示する」のように、探したいものを説明するだけで済みます。システムがユーザーの意図を解釈して最適な検索戦略を計画し、適切な DSL クエリを生成、推論内容のわかりやすい説明とともに結果を返してくれます。裏側では LLM を搭載した組み込みの QueryPlanningTool が自然言語を DSL に変換し、適切なツールをオーケストレーションして結果を取得しています。設定やカスタマイズは API または OpenSearch Dashboards から可能で、OpenSearch UI ではエージェントの作成と検索実行をガイド付きで進められます。
Amazon EMR
新機能・アップデート
2026/06/09 - Announcing Spark Connect on Amazon EMR Serverless
Amazon EMR Serverless(EMRリリース 7.13 / Apache Spark 3.5.6 以降)で Apache Spark Connect がサポートされました。VS Code や Jupyter などお好みのローカル環境から Spark アプリケーションを構築・デバッグしながら、フルスケールの Spark 処理を EMR Serverless 上で実行できます。クライアントとサーバーを分離することで、対話的なアドホック分析や反復的なデバッグがしやすくなります。
APIの変更点
2026/06/04 - Amazon EMR - 5 new 4 updated methods
Amazon EMR on EC2 で Spark Connect の対話型セッションがサポートされました。StartSession / GetSession / GetSessionEndpoint / ListSessions / TerminateSession の各 API が追加され、RunJobFlow と DescribeCluster に sessionEnabled フィールドが追加されています。
2026/06/05 - EMR Serverless - 4 updated methods
アプリケーションが起動中(started)の状態でも、最大容量(maximumCapacity)やカスタムフィールドを更新できるようになりました。実行中のジョブを止めずに容量を調整できます。
Amazon MSK
新機能・アップデート
APIの変更点
2026/06/22 - Managed Streaming for Kafka - 2 updated methods
Amazon MSK Replicator が、外部の Apache Kafka クラスターへの接続時に mTLS(相互TLS)認証をサポートしました。クライアント認証に相互TLSを要求するクラスターからのデータレプリケーションが可能になります(MSK Express ブローカーへのレプリケーション時に対応)。
Amazon MWAA
新機能・アップデート
2026/06/11 - Amazon MWAA Serverless now supports Amazon EventBridge notifications
Amazon MWAA Serverless が、ワークフローとタスクの状態変化イベントを Amazon EventBridge に送信できるようになりました。ワークフローの開始・実行中・成功・失敗や、タスクのスケジュール・成功・失敗・リトライ待ちといった状態遷移をイベント駆動で扱えます。本番ワークフローの失敗時にアラートを発報したり、上流ワークフローの成功時に依存パイプラインを再開したりといった自動化が、カスタムのポーリングなしで実現できます。Amazon MWAA Serverless が提供されている全リージョンで利用可能です。
Amazon S3
新機能・アップデート
2026/06/16 - Amazon S3 adds annotations to provide AI agents and analytics tools with context for data discovery
Amazon S3 が Annotations(アノテーション)に対応しました。JSON・XML・YAML 形式で、オブジェクトに直接ビジネスコンテキストを付与できるメタデータ機能です。アノテーションはオブジェクトと同じ耐久性・整合性を持ち、コピーやレプリケーションでオブジェクトとともに移動し、オブジェクト削除時に一緒に削除されます。S3 Metadata と統合することで、Apache Iceberg テーブルとして Amazon Athena からクエリでき、AI エージェントや分析ツールがデータを見つけ・活用するためのコンテキストになります。AWS 中国リージョンを含む全リージョンで利用可能です。
APIの変更点
2026/06/16 - Amazon Simple Storage Service - 5 new 7 updated methods
アノテーション機能のサポートが追加されました。1 オブジェクトあたり最大 1,000 個(各最大 1MB)のアノテーションを付与でき、作成・取得・一覧・削除を行う新しい API が提供されます。S3 Metadata でのアノテーションテーブルの設定にも対応しています。
Amazon S3 Vectors
新機能・アップデート
2026/06/16 - Amazon S3 Vectors now supports up to 10,000 similarity search results per query
Amazon S3 Vectors が、1 クエリあたり最大 10,000 件の類似検索結果を返せるようになりました。従来の上限から 100 倍の拡大です。リランキング・集計・重複排除といった追加処理を行う多段の検索パイプラインで特に有用です。S3 Vectors が提供されている全リージョンで利用可能です。
2026/06/16 - Amazon S3 Vectors reduces query charges by up to 80% for large vector indexes
Amazon S3 Vectors において、1,000 万を超えるベクトルを持つインデックスに対するクエリ処理料金(data processed の料金)が、最大 80% 削減されました。大規模な AI・RAG・セマンティック検索ワークロードを運用している方にとって、ランニングコストをさらに引き下げられる嬉しいアップデートです。しかもアプリケーション側の変更は不要で、自動的に適用されます。
APIの変更点
2026/06/16 - Amazon S3 Vectors - 1 updated methods
QueryVectors がページネーションに対応し、1 クエリあたり最大 10,000 件の結果を返せるようになりました。
最後に
2026年6月は、データ分析の各サービスで「エージェント・自然言語」と「対話的な開発体験」という2つのトレンドが重なった月でした。Amazon Quick の自律エージェントとマルチデータセット分析、SageMaker Data Agent のビジネスコンテキスト連携、AWS Glue Data Catalog のセマンティック検索(プレビュー)など、業務用語や自然言語でデータを探し・分析する流れが一段と加速しています。あわせて、AWS Glue・Amazon EMR・SageMaker Unified Studio で Apache Spark Connect への対応が広がり、ローカルIDEやノートブックからサーバーレス基盤上の Spark を対話的に扱えるようになりました。Amazon Redshift の Graviton ベース RG インスタンスや手動スナップショットの増分課金など、価格性能・コスト最適化の改善も継続しています。
気になるアップデートがあれば、ぜひ試してみてください。この記事がどなたかのお役に立てば幸いです。










