ドイツの日系SMEが Personio を導入してみた ― 【第4回】組織権限・従業員データほか、バックオフィス全体像

ドイツの日系SMEが Personio を導入してみた ― 【第4回】組織権限・従業員データほか、バックオフィス全体像

Personio 導入シリーズの最終回では、組織・権限設定と従業員データ管理を深掘りしつつ、On-/Offboarding、給与管理、分析機能などバックオフィスで活用している機能にも触れます。ドイツ日系企業の小規模拠点で実際に運用しているスタック構成をご紹介します。
2026.08.11

ベルリンから伊藤です。

クラスメソッド・ヨーロッパ(ドイツ法人)では、従業員16名となったのを機に、勤怠・人事システムを Timetac から Personio へ乗り換えました。このシリーズでは、その導入で得た知見を機能ごとに「やってみた」として紹介しています。

これまで、勤怠・休暇、自動化、書類作成といった Personio の主要機能で、どう業務を効率化してきたかを見てきました。

最終回となる本記事では、まずこれらの機能の土台となる組織・権限(Permission Roles)と従業員データを深掘りし、 On-/Offboarding・Salary & Compensation・Analysis といった機能も簡潔に紹介します。最後に、私たちが欧州拠点のバックオフィス全体をどんなスタックで回しているかの全体像に触れて締めます。

組織・権限

このシリーズで紹介してきた「承認の届け先」や「誰がどのデータを見られるか」を支えているのが、組織構造と権限(Permission Roles)の設計です。

  • Department で部門を区切る
  • 各社員の Supervisor を設定して上下の階層を作る
  • 権限は Role に対して設定し、その Role を個別社員・部門・特定属性などへ柔軟にアサイン

Role では、どのメニューのどのセクションを、誰の分まで、閲覧のみ/変更申請/編集可といった粒度で制御できます。
一般社員・HR・マネージャー・外部会計事務所などで権限ロールを作成し、複数のロールを加算式でユーザにアサインして見える範囲を柔軟にデザインします。

personio-permissions-all-employee

例えば、従業員データのセクションごとに以下のように権限を分けた運用ができます。

セクション 項目 全社員の権限 HRの権限
重要な公開データ 名前、メールアドレス、勤務地、就労時間など Propose Self + View All
→自身のデータを閲覧・変更申請、かつ全員分を閲覧可
Edit All
→全員分を編集可
任意の公開データ LinkedIn, 言語、趣味など Edit Self + View All
→自身のデータを編集、かつ全員分を閲覧可
追加権限なし
重要な非公開データ 住所、銀行口座、ビザ期限など Propose Self
→自身のデータを閲覧・変更申請可
Edit All
→全員分を編集可

💡 変更申請されたものは、第3回で紹介した承認フローを通ります。

Timetac よりかなり細かく設定できる分、初期の設計とセットアップは少し骨の折れる作業ですが、ここを作り込むほど Personio の各機能が生きてきます。

従業員データ

構成と管理

各社員には「Personal Information」があり、 Personio のシステムデフォルトで必須の属性項目、DATEV 連携/給与計算に必須の属性項目に加えて、自由にカスタム項目を追加した従業員データ管理ができます。

前述の通り閲覧・編集などの権限はセクションごとに分けられるため、ユースケースに合わせて項目追加・セクション分けが可能です。

personio-personal-info

データ変更時には毎回 Effective date(変更を適用する日)を指定するので、例えば来月から労働時間が変更となる場合など、どの項目でも未来の変更を設定しておくことができるのはとても実用的です。

過去データは誰がいつ変更したかすべて History に履歴が残るため、監査の面でも安心です。

他機能との連携

構成した従業員データは Personio の様々な機能と連携できるため、人事業務を集約する上で強い土台になります。

弊社では次のように他機能と連携しています。

  • Automations(承認WF/自動処理)→第3回
    • 入社予定日など日付データを基準にしたリマインダー作成
    • 特定データの変更時に動く承認WFや自動通知
    • 居住国など特定属性の社員にフィルタした自動処理
  • Documents(人事書類)→第3回
    • テンプレから書類作成時にデータの自動入力
  • Payroll(給与計算レポート)→第1回
    • 必要なデータを給与レポートとして DATEV 連携→変更データの一覧が自動的に給与レポートに含まれる
  • Analytics(分析)→後述
    • 特定項目の変更履歴を作成
    • 部門など特定属性の社員にグループ/フィルタした実働時間のレポート作成

以前は、給与振込先の銀行口座などが変わるたびに外部会計士へ手動で連絡していましたが、それが不要となりました。

さらに、ビザ(就労許可)の期限や緊急連絡先といったデータもここで管理できるようになり、ビザの失効前に HR へ自動通知する仕組みまで Personio 内で作れています。

取り扱いの難しい機密情報から簡単な情報まで、適切な権限をデザインしながら Personio に集約することで運用負荷が大きく減った上に、作業漏れや漏洩などのミス防止にも繋がっています。

その他の主要機能

そのほかに、ここまでで触れていない機能を簡潔に紹介します。

On-/Offboarding

入社・退社時チェックリストのタスク管理機能です。リストにはステップごとに担当者と Hire date を起点とした期限を設定し、ステップにタスクアイテムを作成する設計です。

弊社では、以下のような入社チェックリストを作成しました。

personio-onboarding-list

各ステップ内で実行したタスクアイテムをチェックしていくと、リスト画面の進捗ステータスに反映されます。

personio-onboarding-step-items

チェックリストのテンプレは複数作成でき、社員によって異なるリストを適用できます。

使いやすさ、画面の洗練さなどタスク管理としては他ツールに劣る面もありますが、Personio 上で管理した Hire date や担当者をそのまま使えて、かつ担当者へのタスクの自動アサイン・期限の自動リマインドが Persono の通知ボックスに集約できるのは大きな利点です。

Salary & Compensation

給与・報酬情報を履歴付きで管理でき、昇給や手当の変更も記録として残せます。これは外部会計事務所の DATEV に渡すマスターデータにもなります。

また、週労働時間の変更に応じて月固定給与を自動換算できます。
週労働時間は、例えば

  • フルタイム雇用した社員が育休後に週30時間へ → 30h/40h(75%)
  • 勤務時間外で会社支援のトレーニングを受けるため減給せずに週32時間へ → 32h/32h(100%)

のように設定することができます。

前者の例で、フルタイム時の月固定給与を 5000 としたテストユーザーの給与画面が次のとおりです。

personio-salary-compensation

重要な給与額の手計算が不要となり、変更内容はそのまま DATEV 給与レポートに連携される、実際に活用している機能です。

Analytics

人員数・離職・休暇・勤怠など Personio で管理するデータをレポートで可視化できます。

現時点ではカスタム計算列の追加といった高度な分析はできず、既存データの表示にとどまります。それでも、特定社員の労働時間記録の集計や、残有給日数をエクスポートして会計事務所へ提出する用途には十分使えます。

personio-analysis-report

上の画面では、従業員に割り当てたコストセンターの比率(%)と、その月の契約上の労働時間・実働時間の合計を表示しており、社内のレポート値として使われています。

💡 閲覧できるデータ
Analytics 機能への編集権限があっても、レポートで取得できるのは各データの権限設定によります。また、別のユーザが作成したレポートを共有する際、共有設定に応じて、本来そのデータへの権限がないユーザでもレポート内容を閲覧することができます。
→ 例えば、一般社員は自由にレポート作成できるが給与データは取得できない、HRは給与一覧レポートが作成できる、HRからの共有により一般社員でもそのレポートで給与データを閲覧できる、といったロジックです。

Personio Assistant

ここまでの機能紹介で「複雑そうで運用回せそうにない...」と思った方、ご安心ください!
Personio には画面内に Assistant というかなり精度の高い AI アシスタントがあります。

そもそも Personio はドキュメンテーションが充実しています。特定機能の深掘りにドキュメント読み込みが効果的なこともありますが、

  • この機能で具体的に⚪︎⚪︎のような設定はできるか
  • 想定した挙動にならないのはなぜか
  • 自社のユースケースではどこをどう設定すべきか

などの質問では AI の強みが発揮できます。

精度の高さは公開ドキュメントによる効果が大きいため外部 AI ツールでも代用可能ですが、困った時にすぐ画面内で聞ける、AI対応できない場合にそのまま人間サポートへ問い合わせできる、さらに、簡単な Analytics レポート作成やデータ取得までできる点で、かなり有用だと思います。

画面では左メニュー一覧の「Assistant」をクリックして開きます。

personio-assistant-analytics

この例では本来 Analytics レポートで作成するような従業員データをアドホックで一覧化してもらいました。

弊社バックオフィススタックの全体像

Personio の導入前は、人事業務が複数ツールに分散したり手作業だったりで煩雑化・属人化し、組織として制御しきれていませんでした。

バックオフィスでは現在も複数のツールを併用していますが、人事機能は Personio に集約しつつ、人事に関係しない範囲は切り分けて、それぞれ得意なツールを使う運用を心がけています。

領域 ツール 具体的な役割
勤怠・従業員データ・給与報告・人事書類 Personio 人事業務のハブ
ナレッジ・手順書 Notion ランブック、業務フローの文書化
アーカイブ SharePoint 法定保存・コンプライアンス資料の保管
人事を除くバックオフィス定型業務 BO 用 Outlook カレンダー → Slack 自動通知 タスク管理・自動通知
人事を除くバックオフィス非定型業務 Notion (DBタスクリスト) タスク管理・経緯まとめ
コミュニケーション Slack 詳細やイレギュラーの連絡
会計・経費 DATEV UO・Qonto など 請求書管理・明細の連携

Personio の Marketplace には外部連携が豊富に用意されているので、今後も見直しながら、より良い連携があればシステム改善に努めたいと思います。

おわりに

日系の小規模拠点でも、ツールを適切に組み合わせれば、少人数のバックオフィスでもスケールする運用が作れます。私たちは Personio の導入により、人事関連業務を大幅に改善することができました。

本シリーズでは自社で Personio 設計・運用をした知見から、Personio の機能と弊社が解決した課題をご紹介しました。少しでも同じような状況の SME に参考になれば幸いです。


クラスメソッド・ヨーロッパでは、欧州拠点のバックオフィス運用・システム選定を、自社の実運用知見をもとにご支援しています。お気軽にご相談ください。

https://www.classmethod.de

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