マネージャーセルフ事前オンボーディング – マネージャー正式就任の半年前からやっていたこと
こんにちわ。従業員体験( EX )の向上がミッションのエンジニアリング統括室に所属しているてぃーびーです。
2023年1月からエンジニアリング統括室の室長に就任しました。マネジメントやっていき!
就任自体は半年前から予め聞いていて、前倒しできるマネジメント業務は前室長である大橋からどんどん巻き取っていたので、実質半年前からある程度はマネージャーの業務をやっていました。
マネージャーの業務を担当するのがはじめてということもあり、就任依頼を受けてから今日までやってきたことを整理することで、これから新任でマネージャーになる方の参考になれば幸いです。
なお、部門の中にグループがあり、グループの範囲のマネージャーを経て部門の責任者になるようなケースも多いように思います。私の場合は小規模部門ということもあり、いきなり部門の責任者になるので担当する責務が多めになります。グループマネージャーとの差分としては主に部門の組織運営や、部門方針を経営層や他部門の部長陣と握る部分などですね。
事前対応
まず、マネジメント業務の実施に先立って3つの動きをしました。
- インプット
- 想定業務の洗い出し
- 想定業務の答え合わせ
です。
インプット
マネジメントに関わる書籍やウェブの情報で、大枠でどのようなことを担当する必要があるのかをインプットしました。
今回マネージャー就任の依頼を受けてから改めて読んだのはハーバードビジネスレビューの「マネージャーの教科書」です。この本は以前に読了していたので、このタイミングに合わせて再読した形になります。
なお、いままでマネージャーこそ担当していませんでしたが、ウェブエンジニアから人事に転職する過程で人事業務の一環としてマネジメントに関わる書籍も多数読んでいました。また、前職時代も評価制度の改定・運用を担当しており、評価に関わるマネージャーたちの壁打ち役をすることも多かったため、マネジメントに関する知識についてはゼロからのスタートではありませんでした。
想定業務の洗い出し
インプットを元に、部門の責任者として必要と思われる業務を大枠で洗い出しました。
一旦、就任直後では必要なさそうなものも含めてすべて洗い出しています。
- 部門マネジメント
- 業務マネジメント
- コミュニケーション設計
- 予算管理
- リスクマネジメント
- 戦略マネジメント
- 方針策定
- 戦略策定
- 部内の人事戦略
- ピープルマネジメント
- 関係構築
- 人材開発
- 人事評価
- モチベート
- メンタルケア
- ステークホルダーマネジメント
実際はもう1階層ほど細かく洗い出しましたが、ここでは長くなるので省略しています。
想定業務の答え合わせ
洗い出した情報を元に、まず社外でVPoEをしている友人2名に答え合わせをさせてもらいました。Oさん、Kさん感謝です!
大枠、まとめた内容で過不足がないことを確認できました。こういったときに明らかに優秀だとわかっているVPoEの方2名に相談に乗ってもらえるのはありがたい限りです。
その後、前室長である大橋と内容をすり合わせ、齟齬がないことを確認できました。
実務でやったこと
マネージャー正式就任前の半年、先行してマネジメント業務を巻き取ってやってきたことをまとめます。
体制整備
方針策定
- 元々チームで話し合って以下を定めていたので追加の対応は無し
- MVVB
- 期中にValueの追加をしました。チームの定例でWhyを添えて提案。了承を得た上でValueを正式に追加しました
- ドッグフーディング - 自部門でドッグフーディングをすることで各部展開をしやすくしていく
- アジャイル人事 - アジャイルな組織開発を実践する
部門オンボーディング整備
新規のチームメンバーを迎えるタイミングで、既存のチームメンバーと一緒に整備しました。
RACI図で責務整理
チームメンバーそれぞれが個別のプロジェクトにフォーカスできるように責務を明確化しました。
定例設計
- スクラムイベント - 元々スクラムを導入していたので追加の対応は無し
- 定期1on1 - 前室長の大橋から引き継いでメンバーの1on1を担当しはじめました
- スポット1on1 - メンバーに困りごとが発生した場合の個別ケアを担当しました
- ES部連携定例 - 全社人事(ES部)との連携が重要なため定例を実施
タスクマネジメント
タスクマネジメントについては、マネージャー就任の話を頂く前から整備済みだったので特に変更なく、運用し続けています。
ただし、週次のレトロスペクティブからの改善要素があれば折り込みつつ実施しています。
特に直近は、元々スクラムマスターであるハヂメがPBI化以前のIssueを扱う仕組みを整えてくれたり、スクラムの運用改善の準備も整えてくれているところです。
- スクラムにおけるProduct Goals、Sprint Goals、Product Backlog、Sprint BacklogをNotionのデータベースで管理
- Product Backlogはテーブルビュー
- Sprint Backlogはかんばんビューで活用
- IssueをNotionのデータベースで管理
- PBI化する以前の課題を管理する場所。かんばんビュー
- 受け渡し管理
- 部外、社外とのやりとりで待ちになっているタスクを管理する場所。かんばんビュー
人材開発
パフォーマンス・マネジメント
継続的パフォーマンス・マネジメントを取り入れ始めました。詳しくはこちらを参照ください。
強みの強化
強みを活かした組織づくりをキーワードにしていることもあり、自分たち自身が強みを活かせるように、という目的で意図的な強みの強化を業務に組み込んでいます。
- 週1時間は強みの強化に使うこと
- 強みに関する情報は専用のページにまとめること
というルールで運用しています。
フィードバック強化
ポジティブ・フィードバックを強化しました。詳細は記事をご覧ください。
基礎知識学習の整備
従業員体験の向上を担う部門として必要となる基礎知識を学習コンテンツとしてメンバーに提供しはじめました。
現状整備済みなのは
です。整備途中なのは
です。
社内に限らず一般に役立つ内容ということもあり、ZennBookにして外部公開しています。
定期勉強会
チームのメンバーは元々はエンジニアであったり、スクラムマスターであったりで、組織・人事関連業務の背景を持っていません。
そのため、担当する業務はどれもはじめてのものばかりです。そこで、直近取り組む業務に深く関わる学習テーマを設定して週次の定期勉強会を開始しました。
ペアワーク
個別業務の引き継ぎ、知識・考え方の伝達の意味も兼ねて必要に応じてペアワークを実施しています。
部外向け対応
月次活動報告
マネージャー就任の話が出る前から実施していた施策。
私達の部門がどのような業務を行っているのかをお知らせするスライドを毎月末にお知らせしています。
閲覧必須ではないので全員に見ていただけているわけではありませんが、履歴から確認するとだいたい30〜50名程度に閲覧してもらえています。
OKR週報の開示
OKR週報という形でOKRの進行状況をSlackでシェアしています。
まとめ
マネージャー正式就任の半年前からやっていたことについてまとめました。
マネージャーオンボーディングが充実している場合、自分でここまで動かなくてもいいのかもしれません。
一方ですべての会社のすべての部門において、十分なマネージャーオンボーディングが整備されているとは限りません。
マネージャーになるということは「担当範囲をなんとかする」という責務を担うことになります。自分のオンボーディングについて、会社で未整備の部分があれば自分で「なんとかする」のもマネージャーとしての最初の仕事という捉え方もできそうです。