キャリア支援 – 定まったキャリアを日々進めるための支援
2024.01.20
こんにちわ。組織開発がミッションの人事グループ・組織開発室に所属しているてぃーびーです。
仕事において、事業成果のために必要なこととは別に働く本人にとっての意義が重要になります。
人は、自分の内側にある動機、つまり内発的動機がある方がモチベーションが高く、長続きしやすくなります。
例えば、目標を設定するにしても単に事業成果のために必要かどうかだけではなく、そこへの取り組みが個人が仕事で大切にしたいことや、キャリアの目標とどう連動するかが重なっているからこそ目標へのコミットが強くなります。
部下やメンティーとなるメンバーのキャリアの支援をする立場の人が、この状態を実現するにあたって3つのステップがあります。
- メンバー個人のミッションステートメントを決めるための支援
- キャリアの選択肢を知り、方向性を決めるための支援
- 定まったキャリアを日々進めるための支援
です。今回は「定まったキャリアを日々進めるための支援」について整理します。
前提
- メンバー個人のミッションステートメントを決めるための支援でキャリアの軸となる指針を定める
- キャリアの選択肢を知り、方向性を決めるための支援でキャリアの選択肢を定める
まで進み、方向性が定まっていることが今回の前提となります。
なお、キャリアの進展のための支援に関する話題なので、キャリアを進展させることに興味がないメンバーの支援は対象外となります。
定まったキャリアを日々進めるための支援
メンバーがキャリアの選択肢を定めたら、次のステップはそこに向けて日々進むための支援になります。
キャリアの日々進めるための支援としては以下のようなものがあります。
- 次のステップの選定
- 次のステップで必要な能力、経験の整理
- 次のステップで必要な能力を伸ばし、経験を獲得する支援
- 進展と成長の定期的な確認によるモチベート
ここで、2軸のキャリアパスをそれぞれ整理します。
1. 次のステップの選定
キャリアに対する認識として
- A. 具体的に目指す方向が決まっている
- B. 大まかに重視したい観点のみが決まっている
- C. 目指す方向も、重視したい観点も決まっていない
という3種類がありえます。
どの状態だとしても、まず次の一手としてどのような役割・職種・責務を経験するかを選択します。
例えば、Bのタイプで
- 専門家としてスキルを伸ばしてより大きな価値を生み出すことを重視している
- マネジメントには興味がない
- 現時点で、いち担当者としての業務については習熟度が高く、大抵の仕事に対応できる
- 何かをリードするような役割・責務は未経験
という状態だとします。
この場合、次のステップの例として
- プロジェクトやチームの技術をリードしたり、横断課題の解決を推進する役割・責務を担当する
- 技術を元により大きな事業価値を生み出すような「技術」x「ビジネス」を組み合わせた成果を出せる役割・責務を担当する
などの選択肢がありえるでしょう。
社内で選択可能な選択肢について、本人のミッションステートメントを踏まえつつ、選択肢を決定します。
2. 次のステップで必要な能力、経験の整理
次のステップを選択したら、そこで十分なパフォーマンスを発揮するために必要な能力やそれを身につけるために必要な経験の場を整理します。
先程の例で「プロジェクトやチームの技術をリードしたり、横断課題の解決を推進する役割・責務を担当する」を選択したとします。
この場合、いち担当者時代には経験が薄く、今後身につける要素として
- チームリーディング
- チームの課題管理
- 課題選定
などがありえるでしょう。そして、これらを身につけるための経験の場として何が必要かを整理します。
例えば、小規模タスクフォースのリーダーを担当することで、チームリーディングやチームの課題管理の初歩を経験できます。
3. 次のステップで必要な能力を伸ばし、経験を獲得する支援
次のステップに必要な能力、経験が整理できたら、実際にその経験を積みつつ能力を伸ばしていくための支援をします。
大枠の流れとしては
- 能力を伸ばすために必要となる経験の場を提供するための機会の提供をする
- 経験前の事前インプットや経験後のふりかえりを通して能力の成長の確認や、障壁解消の支援のための壁打ち役をする
の繰り返しです。
4. 進展と成長の定期的な確認によるモチベート
ステップアップのための取り組みは、今まで取り組んだことがないこと、できなかったことに対する取り組みのため消耗しやすい面があります。
そのため、継続して取り組めるように意欲を高める支援ができると理想です。
具体的には
- 成長や成果につながる前向きな行動ができていることへの承認をすること
- 成長した部分の自覚を促すこと
- 今まで出せなかった成果を出せるようになったことの自覚を促すこと
などです。
補足
- 個人のキャリアは一つとして同じものは無いため、個別の対応が必要です
- キャリアの進展に対する自走力は人それぞれです。人によって概ね本人に任せていても大丈夫な場合もあれば、手厚く支援が必要な場合もあるでしょう
- メンバーのキャリアはメンバー自身の人生です。サポートする立場であるあなたの理想やあるべき論を押し付けないようにする必要があります
- 経験を積む場合、できるだけ小さなステップアップを繰り返すとうまくいきやすい
まとめ
「定まったキャリアを日々進めるための支援」について整理しました。
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