
最近の私の学習方法について #devio2026 大阪で話しました
製造ビジネステクノロジー部のかずえです。
2026年9月29日に開催されたDevelopersIO 2026 Osaka Day2にて、「AI時代のエンジニアの学習方法」というタイトルで登壇いたしました。お越しくださった皆様、ありがとうございました!
本記事はその登壇内容をブログ向けに再構成したものです。内容は2026年9月時点のものです。
1年前の登壇の続きの話です
私は1年前のDevelopersIO 2025 Osakaでも、「AI駆動開発に我々Webエンジニアはどう向き合うべきか」という内容で登壇しました。
当時もAI駆動開発はとても注目されていて、世間や同僚もいろいろ試して「すごい」と言っている中、私はプロジェクトの都合でなかなか始められていませんでした。そのモヤモヤをどうすればいいのか、という話です。
その中で「どう向き合うべきか」をいくつか書いたのですが、今回はとくにスキルアップやAIを学習に使うという部分を、実際にどんなふうにやっているのかご紹介します。 (とはいえそこまですごいことをやっているわけではないので、期待値は低めで読んでいただければと思います🙇♂️)
自分の理解が最大のボトルネックである
このテーマを選んだのは、ここにずっと課題感を持っているからです。
社会人になってから、「自分の理解が最大のボトルネックである」という感覚がずっとあります。世の中にはすでに便利なツールやサービスやノウハウがたくさんあります。でも、私が仕事で価値を出せるのは、その中で私が知っているものだけです。私がスキルアップしない限り、新しい価値は提供できません。当たり前といえば当たり前の話ですが…
そして、AIが注目され出したここ1〜2年で、この傾向はさらに強まったと感じています。
これまでは単に「自分が知らないことはできない」だけでした。ところが今は、AIが自分の知らないことまで提案してくれます。その結果、「自分が分かっていない」ということが露呈しやすくなりました。AIの提案がいくらあっても、お客様に提供できるのは、そのうち自分が理解できたものだけです。
労力は外注できるが、能力は外注できない
t_wadaさん(和田卓人さん)のXのポストです。生成AIをテーマにしたパネルディスカッションでの発言を切り取ったものだそうです。
AIを使って仕事をするということを、とても分かりやすく表している言葉だと思います。
※ 以下、t_wadaさんではなく私の解釈です。
- 時間のかかる作業(労力)は、AIが爆速でやってくれるようになった。例えばコーディング
- 一方、自分のスキルや知識を使って判断する仕事(能力)は外注できない。AIは責任を持ってくれないので、自分でやるしかない
- しかも、AIが労力の部分を爆速で仕上げてくるので、そのアウトプットの良し悪しを確認する「能力を使う仕事」の量も増えている
もう1つ厄介なのが、これまでは労力をかける仕事の中で能力を磨いていた側面もあるという点です。コーディングがその最たる例で、実際にコードを書くことで言語の書き方や、良いコード・悪いコードを見分ける審美眼が培われていきました。この機会が、AIに任せることで無くなりつつあります。能力を磨くことを、これまでより意識的に、別の方法でやらないといけなくなっているわけです。
AIで仕事が楽になったかというとそうではなく、スピードアップして密度が上がった、というのが私の実感です。スキルアップは今まで以上に重要になっていると考えています。
では、どうやって能力を伸ばす学習をするか。ここからは私が実際にやっていることを2つの切り口でご紹介します。
Gemini Notebook の Studio、とくに音声解説はいいぞ

1つ目のおすすめツールはGemini Notebookです。Googleが提供しているAIサービスで、少し前まではNotebookLMという名前でした。2026年7月にGemini Notebookへ改名されています。
簡単にRAGが作れるWebサービスだと思っていただければよいと思います。以下が画面例です。

左側にWebページやPDF、Googleドライブ上のファイルなどのソースを入れると、真ん中のチャット欄で、そのソースの知識のみを使って答えてくれるAIが出来上がります。
ただ、チャットだけで使うのはもったいないと思っています。今回注目していただきたいのは、画面右側の「Studio」です。これが勉強にとても役立ちます。

音声解説
私がとくに好きなのが「音声解説」です。

ソースに入れたトピックについて、男女2人の声で話すポッドキャストを作成してくれる機能です。良いと思っている点は次のとおりです。
- まったく知らない分野の初手として非常に有用
- 知らない分野のドキュメントを読み始めるより、全体像が入りやすい。現実世界の比喩を使って説明してくれることも多く、ざっくり理解するのに向いている
- 知らない分野は文字だと読む手が止まりがちですが、会話は止まらずに流れていきます
- 目と手が空く
- 普段は勉強に充てられない時間を、勉強の時間に変えられる
私は通勤に往復で約2.5時間かかるのですが、その一部を音声解説に使って、最初の知識を仕入れています。あとは子どもの寝かしつけの時間です。小さいお子さんを寝かしつけたことのある方は分かっていただけると思うのですが、あの時間は本当に虚無です。あの時間も勉強に充てられるので、愛用しています。
音声解説はカスタマイズもできます。形式・言語・長さ・焦点を当てる内容などを選べますが、私が触るのは基本的に形式だけです。

- 詳細: メインで使っている形式。ソースの量にもよりますが、20分くらいのポッドキャストになることが多く、かなり詳しく説明してくれる
- 議論: たまに使う形式。男女が違う意見を戦わせる会話になることが多く、「こういう視点もあるのか」と学べる
凝ったカスタマイズ指示も試したことがあるのですが、形式を選ぶだけで十分だと感じています。
クイズ
次におすすめなのがクイズです。その名のとおり、ソースからクイズを作ってくれます。4択の設問を生成し、正解・不正解と簡単な解説も出してくれます。
※ 最近のアップデートで、4択形式以外の形式、例えば空欄を埋める方式、複数選択式なども生成できるようになりました

便利なのが、設問の左下にある「説明」ボタンです。押すとチャット欄にその設問の解説依頼が自動で入力され、答えてくれます。「なぜ間違えたのか」をすぐに深掘りできるので、非常に便利です。

レポート(ブログ投稿)
もう1つが「レポート」です。文章を作成してくれる機能で、テンプレートの中から一番右の「ブログ投稿」を選ぶと、かなり読みやすい文章が生成されます。音声解説の文字版のような感覚で、サクッと概要を掴みたいときに使えます。

私はノートブックを作ったら、まず音声解説とブログ投稿のレポートを同時に作ります。耳だけ空いているときは音声解説、読める時間があるときはブログ投稿、と使い分けています。
使っている/使っていない機能
Studioには他にもいろいろな機能があります。自分の使い方に合ったかどうかで整理すると、次のようになりました。人によって合う・合わないは違うと思うので、試す順番の参考にしていただければと思います。
| 機能 | 頻度 | 自分の使い方に合ったか |
|---|---|---|
| 音声解説 | ◎ 毎日 | 初手の学習に最適。移動時間を学習に変えられる |
| レポート(ブログ投稿) | ○ | 音声解説のテキスト版として概要を掴む |
| クイズ | ○ たまに | 有用。解説をそのままチャットに流せる。ただ難易度や文章量を調節できず、資格試験の勉強には不向きだった |
| フラッシュカード | △ | 便利そうだが、クイズで足りると思ってしまう |
| マインドマップ | × | 作ってはみるが、結局ほとんど見ない |
| インフォグラフィック・動画解説・スライド | × | 情報量が多いだけで、理解には繋がらなかった |
NotebookLM Web Importer
Gemini Notebookを使うなら、あわせて使っていただきたいのが「NotebookLM Web Importer」というChrome拡張機能です。今見ているWebページをすぐノートブックに追加できるので、ソースの登録がとても捗ります。

AIに問わせろ。答えるのは自分
2つ目の切り口は、AIとの付き合い方です。
「AIを学習に使いましょう」と言っても、「解説して」と頼んだら長い文章がバーッと出てきて、読むのが辛くなった経験はないでしょうか。学習に使うには少しコツがいると思っていて、いま私が試行錯誤していることをご紹介します。
いつ「理解」できるのか
まず、「理解した」とはどういう状態かをあらためて考えます。
分かった「気」になるのは簡単です。AIの要約を読む、ドキュメントを読み返す、線を引く。基本は「読む」ですね。でも、それだけでは頭に残りません。認知科学ではこれを能力の錯覚と呼ぶそうです。
そうじゃなくて、理解が形作られるのは、自分の頭から引き出したときです。説明しようとして詰まる、問われて答えられない。引き出そうとすると、意外とできないものです。その瞬間に初めて「まだ分かっていない」ことが分かり、そこからさらに学ぶことで理解が深まります。
外国語の単語を覚える実験で、覚えたあとに読み直しを繰り返しても1週間後の成績は変わらなかった一方、思い出すテストを繰り返すと成績が大きく上がった、という研究もあります(Karpicke & Roediger, 2008)。
そこで、読んだあとに引き出す機会を意識的に作る必要があります。AIを使ったやり方を3つご紹介します。
①自分の理解を書き出し、添削させる
AIに「これを説明して」と頼むのではなく、「自分はこう理解した。合ってる?」と自分の言葉で書いて、AIに添削してもらう方法です。私はGemini Notebookのチャット欄でやることが多いです。
書こうとした瞬間に、自分の理解があやふやなところが露呈します。書けない箇所 = 分かっていない箇所がはっきり見えるので、効果は大きいです。人は説明を書かせると、自分の理解度の自己評価が下がる(=説明する前は分かったつもりになっている)ことが知られています。
- Rozenblit & Keil (2002) "The misunderstood limits of folk science: an illusion of explanatory depth"
ただ正直なところ、白紙から書き始めるのが面倒で、私自身たまにしかやれていません。書く代わりに音声入力でしゃべる、というのは今後試したいと思っています。
もう少しライトにやる方法が、次の2つです。
②Claude の /learn スキル
Claudeには、Anthropic公式の「learn」というスキルがあります。「教えて」と頼んだときの教え方が変わるスキルです。
- 一度に全部説明せず、少しずつ教えてくれる
- 毎ターン質問を1つ返してくるので、自分が答える番が必ず来る
- 自分の言葉で説明し返せたところで「理解できた」と区切ってくれる
AIに何かを聞いて長文が返ってきて「やってられへんわ」となることがありますが、learnスキルを使うとそうならず、ちょっとずつ教えてくれます。しかも質問を織り交ぜてくるので、答えるために頭を使わざるを得ず、結果的に理解が深まります。
Claude DesktopやWeb版Claudeの「カスタマイズ」から辿り、「learn」で検索すると見つかります。


※ ターミナル(CLI)から利用するにはひと手間かかります。が、Claude Codeに訊けば教えてくれます。
以下は、データベースのテーブル定義をレビューしていたときにlearnスキルを使ったセッションの一部です。うっすら黄色くなっているところが私の入力、それ以外がClaudeの返答です。ちょっとだけ説明して、質問を返す。これを繰り返しながら少しずつ理解を深めていく様子が伝わればと思います。

スキルの中身は英文だけなのですが、一部を訳すと次のようになっています。「毎回一歩だけ前に進む」ことが書かれていて、これが「少しずつ教えてくれる」の正体です。

③grilling で作りながら学ぶ
3つ目はgrillingです。Matt Pocock氏のgrill-meスキルと言ったほうが通じるかもしれません。skills.sh上のインストール数が120万(2026年9月時点)を超える有名なスキルです。現在のgrill-meは、中身が「grillingスキルを呼ぶ」だけのものになっていて、本体はgrillingスキルに移っています。
計画やアイデアをAIに質問攻めにさせるスキルです。質問に答えていくことで、アウトプットが洗練されていきます。決めるのはあくまで自分です。
正直、学習そのものに使ったことはありません。登壇資料やブログなど、何かアウトプットを作るときに使っています。grillingを通すとAIから結構手厳しい質問が飛んでくるので、自分の考えや理解が浅かったことに気づけます。結果として、作ること自体が学習になるという体験が得られました。
実際、今回の登壇もgrillingで壁打ちしながら作りました。そのときに出てきた質問がこちらです。

Q1、Q2…と10個ほど出てきて、足りなければさらに追加で出てきます。1つずつ答えながら考えを深められるので、アウトプットの質も上がりますし、その過程で自分の理解も深まります。
なお、同氏の /grill-with-docs も良いらしいのですが、私は未検証です。オススメしているブログエントリを貼っておきます。
まとめ
- 課題: 自分の理解が最大のボトルネックである。AIが自分の知らないことまで提案してくるようになり、この課題はより露呈しやすくなった
- 労力は外注できるが、能力は外注できない。だから、理解をスピードアップしたい
- Gemini NotebookのStudio、とくに音声解説はいいぞ。まったく知らない分野の初手に最適で、通勤や寝かしつけの時間などを学習に変えられる
- AIに答えさせるな、問わせろ。答えるのは自分
- 自分の理解を書き出して、AIに添削させる
- Claudeの/learnスキルで、少しずつ教わりながら答える
- grillingで質問攻めにされながら、作ること自体を学習にする
音声解説も/learnスキルも、試すだけならすぐ始められます。まずは次に勉強したいテーマで1つノートブックを作って、音声解説を聴いてみてください。
参考
- AI駆動開発に我々Webエンジニアはどう向き合うべきか | DevelopersIO
- t_wada on X(2024-11-22)
- NotebookLM is now Gemini Notebook - Google Blog
- Karpicke & Roediger (2008) "The Critical Importance of Retrieval for Learning" Science 319
- Rozenblit & Keil (2002) "The misunderstood limits of folk science: an illusion of explanatory depth"
- mattpocock/skills - grill-me
- My 'Grill Me' Skill Went Viral - AI Hero
- grill-me - skills.sh
- NotebookLM Web Importer - Chrome ウェブストア
- grillをちょっと楽にする|impactaky
- AIに丸投げしないで理解するためのAI開発手法(2026年8月現在)
- AIを5本同時に走らせても、俺の脳みそは1個しかない
- Xユーザーのiwashi / Yoshimasa Iwaseさん: 「今年になってから個人的に使っている勉強方法。 ・動画、音声、書籍、論文などを使ってインプットする。ここはかなりAIをたくさん使う。 ・AIの使い方はそれだけかなり量が多いので詳細は割愛するが、例えば自分が学ぶだけの専用のWebサイトを量産することもある ・音声作成はNotebookLM多め」 / X
- Haruki Yano / Haruma-Kさん: 「AIとコードの間の仲介役になってはいけない、という記事 https://t.co/R5NgqhEq3l ・AIを活用することでコードの作成や変更を自動化し...」 / X
- Takuto Wadaさん: 「明日の講演資料に収まらず割愛したページを供養します」 / X
- claude-plugins-community/eli5 at main · anthropics/claude-plugins-community · GitHub
- mosa / 榎本さん: 「AI時代の3か条 理解は外注できない 判断は外注できない 責任は外注できない」 / X
- 【神AI × 神活用】天才が考えるGoogleの『NotebookLM』の活用術が目から鱗すぎたので紹介します【全人類必見】
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- ソクラテス式質問法 | 名古屋大学 Mirai Education Project
- 熊井悠(くまいゆう) | ランスティアさん: 「AIのモデル性能が上がったことで、逆に自分自身の知識・経験習得にかける時間を増やした。」 / X
- 理解を手放さない - Shin x Blog
- 自分が詳しくない領域でAIを使う #プロヒス2026 - Speaker Deck
- iwashi / Yoshimasa Iwaseさん: 「良い記事だと思った。AI時代に勝ち残るのは自ら現実に直面して打ちのめされる人だ、という主張。」 / X
- 負債のメタファと2026年 / Debt Metaphor in Agentic Engineering Age 202609 Edition - Speaker Deck









