メンバーのためのキャリアパスの可視化

メンバーのためのキャリアパスの可視化

Clock Icon2023.12.20

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こんにちわ。組織開発がミッションの人事グループ・組織開発室に所属しているてぃーびーです。
所属する従業員にとって、会社の活動は事業成果を目指す活動の場であり、自分のキャリアを実現していく場でもあります。
従業員にとって、今いる環境でどのようなキャリアの進展につながる経験が得られるかは、継続して在籍するかどうかを判断するにあたって大事な関心ごとの一つです。
この記事では、メンバーのキャリアの相談にのる立場のマネージャーが、メンバーにキャリアパスを提示し、キャリアの相談にのるために必要な要素をまとめます。
変化の激しい昨今において、職種特有の情報は現場の人間のほうが把握しやすいはずです。そのため、人事評価制度とセットで定義されるような等級やロール(例えばマネジメントとスペシャリストなど)などについては全社の仕組みとして人事が整備し、個別の職種単位のキャリアパスについては、現場の関連職種のマネジメントに関わる人達が集まって作り、メンテナンスするのが理想です。

前提

キャリアの進展を望まず、現状維持を選択したいと考えている方については、この記事の検討対象外とします。
なお、キャリアの進展を望むか、望まないかは個人の自由であり、特に現状維持を選ぶことを否定する意図はありません。

縦横のキャリア進展

キャリアの進展には大まかに分けて縦のキャリア進展横のキャリア進展があります。

縦のキャリア進展

縦のキャリア進展は、責任範囲が広がり、より大きな役割を担当するような進展です。
例えば
  • サポートが必要なジュニアな担当者から、1人で完結できる一人前の担当者へ
  • 一人前の担当者から、一定領域をリードする小規模リーダーへ
  • 小規模リーダーから更に大きな領域を牽引する中規模リーダーへ
    • 組織・ビジネス・人をリードするマネージャーの場合もあれば、専門領域をリードする専門家の場合もあり
  • 中規模リーダーから事業、部門、大きな領域などを牽引する大規模リーダーへ
  • 大規模リーダーから全社の戦略、方針を担う経営者へ
などのようなものです。
これらは、グレードがあがったり、給与が大きくあがるような進展です。

横のキャリア進展

横のキャリア進展は、責任範囲や役割は現状のままで、様々な領域の経験値を蓄えるような進展です。
例えば
  • アプリエンジニアがインフラエンジニアの経験を積む
  • フロントエンジニアがデザイナーの経験を積む
  • インサイドセールスがフィールドセールスの経験を積む
  • SMBの営業がEnterpriseの営業経験を積む
などです。これらは、会社におけるグレードはそのままで給与が小さくあがるか、場合によっては特に変化しないようなような進展です。一方で、縦のキャリア進展の前提にはある程度横のキャリア進展をしておく必要があります。
なお、どの程度横に広げる必要があるかは、所属会社や職種によります。

キャリアパスの経験範囲

キャリアパスには「自社で経験できるキャリアパス」と「自社に限らないキャリアパス」があります。

自社で経験できるキャリアパス

自社で経験できるキャリアパスは、所属会社で選択可能な役割や職種の範囲のキャリアパスです。
自社で経験できる役割・職種は既存のものもあれば、新設するものもあります。
柔軟度が高い企業であれば、自ら売り込んで新たな役割を提案できる場合もあります。

自社に限らないキャリアパス

自社に限らないキャリアパスは、所属会社を問わず経験できるキャリアパスです。
人によっては1社で必要な経験が得られる場合もあれば、複数の会社をまたがなければ必要な経験機会を得ることが難しい場合もありえます。
例えば、人事データ分析のエキスパートを志している人がいて、現在の所属企業では該当する役割・職種は存在しない場合、まずは自社のデータ分析事業の部門でデータエンジニアとしてデータ分析の経験を積み上げ、次の転職で人事データ分析の担当を必要としている会社に転職する選択肢がありえます。

キャリアパスの整理方法

以上の内容を踏まえ、キャリアパスの整理方法をまとめます。
  1. 自社に限らないキャリアパスをまとめる
  2. 自社で経験できるキャリアパスをまとめる

自社に限らないキャリアパスをまとめる

自社に限らないキャリアパスを整理する場合、人・書籍・ウェブなどから対象職種に関わる情報を拾い集めるとよいでしょう。
あまりにニッチなものは省き、ある程度主流として選択可能な部分を取捨選択して集めた情報をまとめます。
整理する際は
  • 職種名
  • 職種が担当する主な役割や責務
  • 複数の職種がキャリアのステップとして上下関係にある場合、その関係性
  • 大まかな給与相場
などを可能な範囲でまとめます。

自社で経験できるキャリアパスをまとめる

自社で経験できるキャリアパスを整理する場合、2軸でまとめる要素があります。
1軸目は職種についてです。職種については、任意の職種のキャリアとして縦横に選択可能しうる選択肢を整理します。
例えば、クラスメソッドのAWS事業本部のコンサルティング部の場合、クラウドインフラエンジニアとしての縦のキャリアとして
  • AWSエンジニア
  • ソリューションアーキテクト(SA)
  • エキスパートソリューションアーキテクト(ESA)
というキャリアパスが整備してあります。
また、仮にクラウドインフラの領域をある程度経験したエンジニアがアプリエンジニアやデータエンジニアに転身するケースは横のキャリアになります。
これらを整理する場合、社内の人・社内文書・求人票などから情報を拾い集めるとよいでしょう。
2軸目は人事評価制度の等級制度でグレードが定義されている場合、その内容自体が社内での縦のキャリアパスの1つの情報源になります。これらの情報が未整備の場合、社内でどのようなステップアップがありえるのか1から整理する必要があります。

キャリアパスの整備例

私は人事における組織開発室の責任者として、メンバーのために以下の情報を整理しました。

キャリアの選択肢の調査

まず、自社に限らないキャリア、自社で経験できるキャリアについて必要な情報を調査しました。
自社に限らないキャリア、元々どのような職種があるか、大枠で把握していたのであまり手間はかかりませんでした。
自社で経験できるキャリアについても人事で見渡せる範囲は元々把握していたのでほぼ手間はかかりませんでした。
逆に、対象職種に関する世の中全般の情報についてあまり知らない場合は、調査の時間はもっと必要だったでしょうし、自社においてその職種が他部門にまたがって存在しているような場合、各部の情報を拾い集める必要があったでしょう。

キャリアの選択肢の文書化

人事領域にどのような職種があり、どのような内容のものかを文書化しました。
  • 職種名
  • 職種の説明
について1職種ずつまとめました。
例えば
  • 職種名
    • 組織開発担当
  • 職種の説明
    • 組織開発担当は、組織のパフォーマンスと効果性を向上させるための戦略的な取り組みを担当します。組織の構造や文化、プロセス、リーダーシップなどを分析し、改善や変革を促進する役割を担います
のような内容です。
また、各職種についてが現在自社で存在する職種かどうかの情報も添えました。裏を返すと、現在自社で存在しない職種の情報も提供しています。例えば、世の中には人事領域にHRBPの職種がありますが、現状のクラスメソッドには存在しません。

縦のキャリアに関する補足情報の文書化

全社共通の縦のキャリアに関する情報は、人事評価制度における等級制度の説明でサポートできます。
それに加え、自部門の職種をベースに内容を詳細化した縦のキャリアに関する情報を整備しました。
具体的には組織開発の専門家のロールとして
  • Junior Organization Development Engineer
  • Organization Development Engineer
  • Senior Organization Development Engineer
  • Master Organization Development Engineer
という階段を用意しました。各ロールが社内のどのグレードと対応するかを紐づけて整理しました。
詳細が気になる場合、こちらを参照ください。

キャリアパスの事例の整備

キャリアパスを縦横どのようなパターンで進んでいくのかについて、ありえそうなものを数例用意しました。
この際、あまりにレアなキャリアステップを選んだ例よりは、主要なパターンにフォーカスするのがよいでしょう。

まとめ

メンバーのためのキャリアパスの可視化についてまとめました。
キャリアは従業員の未来に関わるものであり、キャリアの進展に重きを置く従業員にとっては重要なモチベート要素です。未来について語り合うのは楽しいものです。
キャリアパスの可視化は一度時間を作って整備すれば、長く活用できるものですし、採用にも影響する要素です。
それほど膨大な時間を要する取り組みでもない割に有効な取り組みなので、おすすめです。特に最近はChatGPTの存在もあるため、調査したり、文面の素案をまとめる際に効率を上げることもできます。
なお、クラスメソッド内部の関係者で部内の各職種に関わるキャリアパスの情報を整理したいので私に協力してもらいたい、ということであればお声がけください。

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