
AWS Product Lifecycleページの登場と注意点について
しばたです。
先日AWSからいくつかのサービス終了アナウンスに併せて過去のサービス終了をまとめた「AWS Product Lifecycle」というWEBページが公開されました。
AWS Product Lifecycle
公開された「AWS Product Lifecycle」ページはこちらになります。
各AWSサービス公式サイトと同じデザインのページで、直近のサービス終了に関するまとめと過去のアナウンス(Blog)がまとめられています。
いい感じですね。
今後AWSのサービス終了についてはこちらから情報収集を行うとよいでしょう。
注意点
便利なページですがいくつか気になる点もありました。
1. 2024年以前のサービス終了情報が無い
ページを公開したタイミングの都合でしょうが2024年以前の情報がありませんでした。
また、2024年の情報も完全に網羅されているわけではなく、2024年以降にAWS Blogで何らかの記事が公開されたものだけ集められている様です。
例を挙げると2024年前半に終了したサービスのうちAmazon WorkDocsは記載されているもののAWS OpsWorksやAmazon Honeycodeに関する情報はありませんでした。
2. プロダクト単位でのサポート終了情報が無い
AWS Product Lifecycleという名前なのですが、現在ある情報はあくまでもAWSサービスレベルのものであり、たとえばAmazon RDSのサポート終了情報やAWS Lambdaランタイムのライフサイクルといったソフトウェアレベルの情報はありません。
これらの情報はこれまで通り各サービス毎のドキュメントを探す必要があります。
- RDS for Db2 : Amazon RDS でサポートされている Db2 のマイナーバージョン
- RDS for MariaDB : Amazon RDS でサポートされている MariaDB のマイナーバージョン
- RDS for Microsoft SQL Server : Amazon RDS での Microsoft SQL Server バージョン
- RDS for MySQL : Amazon RDS での MySQL のバージョン
- RDS for Oracle : Amazon RDS for Oracle
- RDS for PostgreSQL : 利用可能な PostgreSQL データベースのバージョン
- Aurora MySQL : Amazon Aurora MySQL のデータベースエンジンの更新
- Aurora PostgreSQL : Amazon Aurora PostgreSQL のデータベースエンジンの更新
- AWS Lambda : ランタイムのサポート
こちらは今後参照できる情報が増えることを期待したいですね。
3. サービス改名は含まれていない
このページはあくまでもサービス終了にフォーカスしているためサービス名の改名履歴は記載されていません。
たとえば今回終了予定となったAmazon Pinpointは過去に一部機能がAWS End User Messagingに分離・改名されておりこちらは終了せず継続利用可能です。
単純にサービス終了といってもこの様なコンテキストを含むことがあり、AWS Product Lifecycleのページ単体では読み取れない部分もあるので注意が必要です。
補足 : サービス改名履歴
ちなみに私が把握しているだけで以下のサービスが改名されています。
時期 | 旧名称 | 新名称 | 特記事項 |
---|---|---|---|
2025年2月17日 | AWS Chatbot | Amazon Q Developer | Amazon Q Developerへの吸収統合 |
2024年10月 | AWS Application Composer | AWS Infrastructure Composer | |
2024年10月 | NICE DCV | Amazon DCV | DCV 2024.0-17979 より改名。同時にプロトコルのWSPもDCVに改名 |
2024年7月 | Amazon Pinpoint の一部 | AWS End User Messaging | 機能の分離と同時に改名 |
2024年7月頃 | Amazon ElastiCache for Redis | Amazon ElastiCache with Redis OSS compatibility | 公式なアナウンスは無し |
2024年7月頃 | Amazon MemoryDB for Redis | Amazon MemoryDB | 公式なアナウンスは無し |
2024年5月 | Amazon WorkSpaces Web | Amazon WorkSpaces Secure Browser | |
2024年4月 | Amazon CodeWhisperer | Amazon Q Developer | |
2024年3月 | AWS CodeStar Connections | AWS CodeConnections | 名称だけでなくAPIも変更 |
2024年2月 | Amazon Kinesis Data Firehose | Amazon Data Firehose | |
2023年9月 | Amazon Kinesis Data Analytics | Amazon Managed Service for Apache Flink | Amazon Kinesis Data Analytics for XXXのサービスは改名されず |
2023年8月 | Amazon Omics | AWS HealthOmics | |
2022年9月 | AWS Certificate Manager Private Certificate Authority | AWS Private Certificate Authority | |
2022年7月 | AWS Single Sign-On (AWS SSO) | AWS IAM Identity Center | |
2020年7月 | TSO Logic | AWS Migration Evaluator | AWS統合による改名 |
2017年11月 | Amazon EC2 Systems Manager | AWS Systems Manager | |
2016年12月 | Amazon EC2 Simple System Manager (SSM) | Amazon EC2 Systems Manager | |
2015年1月 | Amazon Zocalo | Amazon WorkDocs |
おまけ1. DevelopersIOでも紹介したサービス終了一覧
DevelopersIOでも以下の記事でAWSのサービス終了を紹介しています。
おまけ2. AWS Product Lifecycleに載っていないサービス終了一覧
現時点でAWS Product Lifecycleに無いサービス終了情報について私の調査した範囲で列記しておきます。
(一部AWSサービスと言えないものものありますが...)
AWS Product Lifecycleの情報と併せてご利用ください。
2026年終了 (予定)
AWS App Mesh
AWS App Meshは2026年9月30日でサービス終了予定です。
Amazon Chime (※Amazon Chime SDKは対象外)
2026年2月20日にAmazon Chimeがサービス終了する予定です。
Amazon Chime SDKは対象外で継続利用可能です。
2025年終了 (予定含む)
[未確定] AWS DeepRacer
2024年9月のDeepRacer League終了アナウンス時点で「2025年12月にDeepRacerのマネジメントコンソールアクセスを不可にする」旨の記述がありました。
While the AWS DeepRacer League will no longer be a globally hosted competition by AWS in 2025, you can continue to access the AWS DeepRacer service for training, evaluation, and community racing on the AWS Management Console until December 2025.
ただし、本記事公開時点(2025年5月21日)においてAWS DeepRacerの終了はまだ確定していません。
Amazon ECR Basic Scan (CLIAR)
Amazon ECRの基本スキャンのうち旧バージョン(CLIAR)のサポートが2025年10月1日で終了する予定です。
AWSとしては現行バージョン(AWS_NATIVE)の利用を推奨しています。
AWS WAF Classic (v1)
旧バージョンとなるAWS WAF Classic (v1)は2025年9月30日にサービス終了予定です。
現行バージョンであるAWS WAF v2に移行してください。
Amazon Lex V1
旧バージョンとなるAmazon Lex V1は2025年9月15日にサービス終了予定です。
現行バージョンであるAmazon Lex V2に移行してください。
Amazon FinSpace Dataset Browser
Amazon FinSpaceのうちDataset Browserの機能が2023年11月29日より新規作成不可となり、最終的に2025年3月26日をもって終了済みです。
Amazon FinSpace Dataset Browser will reach end of life on March 26, 2025. Customers using the Amazon FinSpace with Managed kdb Insights will not be affected.
東京リージョンのAZ apne1-az3
2025年2月28日をもって終了済みです。
秘密の質問 (security challenge questions)
2025年1月5日をもってすべてのアカウントで非サポートになっています。
2024年終了
CloudEndure Migration (のうちGovCloud等の残リージョン)
CloudEndure Migrationは2022年に主要リージョンで終了済みだが、GovCloud、中国リージョン、Outpostsにおいては2024年11月30日まで利用可能となっていました。
2024年11月30日をもってCloudEndure Migrationが完全終了しています。
AWS Snowcone (HDD, SSD) と Snowball Edge Storage optimized 80TBモデル
こちらの記事でまとめた通り、AWS Snowcone全モデルとSnowball Edgeの旧モデルが2024年11月12日をもって廃止されました。
AWS Application Cost Profiler
2024年9月30日でサービス終了ずみです。
AWS Backup Storage
謎サービスであるAWS Backup Storageが2024年6月ごろにひっそり終了しています。
AWS Snowmobile
2024年4月の報道でAWS Snowmobileが廃止されていたことが明らかにされています。
具体的な終了時期は不明です。
AWS IoT 1-Click
2024年12月16日にサービス終了ずみです。
AWS will discontinue AWS IoT 1-Click service on December 16, 2024. For more information, see AWS IoT 1-Click end-of-life FAQs. For additional support, visit AWS support center
Amazon Nimble Studio
2024年10月22日にサービス終了済みです。
AWS CodeStar
2024年7月31日にサービス終了ずみです。
ちなみにAWS CodeStar Connectionsは影響を受けずAWS CodeConnectionsに改名されています。
AWS OpsWorks
各機能が順次廃止され最終的に2024年5月26日にサービス終了ずみです。
- AWS OpsWorks Stacks → 2024年5月26日廃止
- AWS OpsWorks for Chef Automate → 2024年5月5日廃止
- AWS OpsWorks for Puppet Enterprise → 2024年3月31日廃止
Amazon Elastic Inference
2024年4月~2024年6月中旬ごろにサービスを終了していた模様です。
Amazon Honeycode (Beta)
2024年4月30日をもってサービス終了ずみです。
CloudEndure Disaster Recovery
後継サービスとなるAWS Elastic Disaster Recoveryの登場により2024年3月31日をもってGovCloudおよび中国リージョン以外でのサービスを終了しています。
AWS IoT RoboRunner
具体的なサービス終了時期は不明ですが、2024年3月20日にはサービス終了ずみです。
AWS DeepLens
2024年1月31日をもってサービス終了ずみです。
Q: 終了日 (EOL) 以降、私の AWS DeepLens リソースはどうなりますか?
2024 年 1 月 31 日以降、AWS DeepLens のモデル、プロジェクト、デバイス情報への参照は、AWS DeepLens サービスからすべて削除されます。AWS コンソールから AWS DeepLens サービスを検出またはアクセスできなくなり、AWS DeepLens API を呼び出すアプリケーションも動作しなくなります。
2023年終了
Amazon GameSparks (Preview)
2023年3月よりプレビュー提供されてましたが、2023年10月1日に正式に廃止されアクセス不能となっています。
Starting October 1, 2022, access to the GameSparks console will no longer be available. All existing games running on the platform and game data will need to be migrated before this date to avoid impacts to game development and player connectivity.
2023年11月にAWS CLI (Ver.2.13.28)からもコマンドが削除されています。
Amazon WorkSpaces Application Manager (Amazon WAM)
2022年9月にサービス終了のアナウンスがあり2023年9月1日をもってサービス終了ずみです。
ちなみにAmazon WAMは東京リージョン非サポートのまま終了となりました。
EC2-Classic
2006年に開始された原初のEC2となるEC2-Classicですが、2021年7月に終了が予告され何度かの延長を経て2023年8月23日に完全終了しています。
Update (August 23, 2023) – The retirement announced in this blog post is now complete. There are no more EC2 instances running with EC2-Classic networking.
AWS Simple Monthly Calculator
2020年に最初のアナウンスがされ最終的に2023年4月30日をもって廃止ずみです。
AWS Server Migration Service
2022年1月より新規ジョブの作成不可、2023年3月31日をもってサービス終了ずみです。
AWS Application Migration Serviceが後継となります。
AWS IoT EduKit
2023年3月6日をもってAWSとしてのサポートを終了しています。
当時のアナウンスを引用すると以下の通りです。
2023 年 3 月 6 日をもって、AWS は AWS IoT EduKit のサポートを終了しました。AWS IoT EduKit のリファレンスハードウェアキットは、製造パートナーの M5Stack Technology Co., Ltd. によって製造および販売されており、今後も関心のあるユーザーにはキットと関連ソフトウェアとサポートが引き続き提供されます。
Alexa for Business
2022年5月に利用顧客に通知が行われ、その後2023年5月31日をもってサービス終了ずみです。
公開ドキュメントは現存していない模様です。[1]
Amazon Sumerian
リリースブログの更新によれば2022年5月18日より新規受付を中止し、2023年2月21日をもってサービス終了しています。
Update May 18, 2022 – Amazon Sumerian is no longer available to new customers. Existing customers’ Sumerian data will be available until February 21, 2023.
日本語のサービスページがまだ現存しており、ここにも
Amazon Sumerian のサービスは、新規のお客様の受付を終了しています。2023 年 2 月 21 日以降、既存のお客様のシーンはご利用いただけません。そのため、既存のシーンを新しい Babylon.js-AWS エクスペリエンスに移行し、AWS Amplify ホスティング などのサービスを使用してウェブアプリケーションを公開することをお勧めします。
の記述が残されています。
2022年終了
CloudEndure Migration
後継サービスとなるAWS Application Migration Serviceの登場により2022年12月30日をもってGovCloudおよび中国リージョン以外のリージョンでのサービスを終了しています。
前述の通り2024年にGovCloudおよび中国リージョンでのサービスも終了済みです。
AWS IoT Things Graph
2022年にAWS IoT TwinMakerが登場したことにより2022年11月9日をもってサービスが移行されています。
Update November 9, 2022 – AWS IoT Things Graph has been transitioned to AWS IoT TwinMaker. To learn more, please visit the AWS IoT TwinMaker page here. In an effort to ensure a great experience, expired links in this post have also been updated or removed.
Alexaランキング (alexa.com)
AWSではなくAmazonの話ですが、WEBサイトのアクセス分析を提供していたalexa.comが2022年5月1日でサービスを終了しています。
Amazon WorkLink
公開アナウンスなどは無かったのですが、2022年4月20日ごろに突如アクセスできなくなりサービスページやマネジメントコンソールがAmazon WorkSpaces Secure Browser(当時はAmazon WorkSpaces Web)にリダイレクトする様になりました。
Amazon Macie Classic
現行のMacie (macie2)が2020年に登場した後、2022年3月ごろに正式に廃止された模様です。
正式な時期は不明なのですが、2022年3月9日には確実に廃止ずみです。
- api-change:
macie
: Amazon Macie Classic (macie) has been discontinued and is no longer available. A new Amazon Macie (macie2) is now available with significant design improvements and additional features.
- AWS CLI Ver.2.4.24のリリースノートより
2021年以前・時期不明
AWS Mobile Hub
2019年か2021年にAWS Amplifyに統合されています。
Amazon Lumberyard
厳密な廃止日は不明ですが2021年7月に後継となるOpen 3D Engine (O3DE)を立ち上げています。
Amazon Lumberyard の提供は終了しました。Lumberyard の Apache ライセンスの後継である Open 3D Engine (O3DE) をお勧めします。
GitHubリポジトリは2022年10月4日にアーカイブされています。
最後に
以上となります。
おまけで個人的に集めていたサービス終了情報も載せたのでこれでほとんどのサービス終了はカバーできているはずです。
どの様なサービスもいずれは終わるものなので終了の案内だけで一喜一憂せず都度適切な対応を実施していくのが良いでしょう。
内容は公開できませんが当時の通知のアーカイブは手元にあります ↩︎