【書評】言葉を減らせば文章はわかりやすくなる #ビジネス書を楽しもう

2020.12.21

この記事は公開されてから1年以上経過しています。情報が古い可能性がありますので、ご注意ください。

はじめに

せーのでございます。

誰にも知らせずまったり始めている「ビジネス書」アドベントカレンダー、本日は18日目です。

バックナンバー


本日は山口謠司著「言葉を減らせば文章は分かりやすくなる」です。

クラメソにジョインしていると「ブログを書く」というのは必須科目となります。
いくつかブログを書いていると陥りやすくなるのは「長いブログの方がすごい」という錯覚です。
技術的な要素を沢山入れると、ブログの分量自体は長くなります。書いてる側からすれば、読むべき内容が沢山あるのだから、長いブログの方が詳しいでしょ、役に立つでしょ、と思うわけです。ピンポイントで書いたワンテーマのブログを自虐を込めて「小ネタ」なんて言ったりもします。私もよくします。

今回ご紹介する「言葉を減らせば文章は分かりやすくなる」の著者は日本を代表する日本語の専門家で、日本語に関する著作も数多く、ベストセラーに入るものも沢山あります。そんな先生が「ものを伝える書き方とは」というテーマで書かれた本がこれです。

今回はこの本になぞらえて、私もなるべく短い文章でご紹介出来るようにがんばります。

書くことが明確に決まっていないと長くなる

この本では文章がうまく書けない理由を「そもそも書くべきことがしっかり決まっていないから」と指摘します。

そして書きたい内容を明確にするには「2つの軸を頭の中で立て、その軸が交差する所を見つける」と良いそうです。

例えば洋服がほしいときには「シャツ」の軸と「ブランド」の軸を設定すれば欲しいシャツが明確になります。 このブログで言えば「文章を短くする方法」と「仕事で役に立つ内容」の交差するところが、このブログの「書きたい所」となるわけですね。

ただ、この考えに慣れるにはある程度の訓練が必要なのだそうです。まずは「書きたいことを書きたいだけ書く」、その後に

  • 同じことを何度も言っていないか
  • 文と文の流れはスムーズか
  • 不必要な情報は入っていないか
  • 論旨は明快か
  • スムーズに速く読めるか

に気をつけて推敲していくと短く、読みやすい文章に段々なっていく、とのことです。

基本となる文章の「型」

文章が多くならないためには、文章を減らすテクニックより前に「文章量そのものが多くならないように型に当てはめる」事が基本となります。
型を知らずに文章を書き始める原因の一つは「型を知らずにダラダラ書いてしまうから」。では、その型とはどういうものでしょう。

  • 一文には一要素しか入れない
  • 5W1H
  • 「結論」「根拠」「具体例」のバランス
  • 結論から書く
  • 「起承転結」ではなく「結起結承結結」で書く
  • 主語と述語を近づける

5W1Hや「結論から書く」というのはよく聞く話です。「主語と述語を近づける」というのは

「この企画書は、市場の動向と、コンテンツの面白さ、売上見込額、ターゲットの四要素が盛り込まれている。」

「この企画書は、四要素が盛り込まれている。市場の動向、コンテンツの面白さ、売上見込額、ターゲットだ。」

という書き方のことです。まず概論を示して、そこから内部を紹介すると読みてに伝わりやすいんですね。

言葉の削り方

この本は大半がこの「文章の削り方」に集中しています。今回はそこから特に目を引く「削り方」をご紹介します。

「方」「かどうか」「ような」

これらは文章を書いてる側の迷いや情報を詳しく伝えたいというクセが原因なので、削ってしまって構わないそうです。

「販売促進で広告を出すかどうか悩んでいます」

「販売促進で広告を出すか悩んでいます」

「成果を阻害するような要因には、目を背けたくなります」

「成果を阻害する要因には、目を背けたくなります」

意味の重複

例えば「まだ未定」は「未定」でよく、「まず最初に」は「最初に」で良いわけです。このように「頭痛が痛い」的な言葉の重複は削るべきです。
また一つの文に同じような意味があれば削ってしまうとスッキリします。

「私がほっとしたのは、納期が間に合って安心したからです」

「私は、納期が間に合って安心しました」

無意味な接続詞

これは私もよくやってしまいます。「ですので」「しかし」「一方」「なぜなら」という接続詞は文章をつなぐ上で大事だと考えがちですが、削ってしまっても問題ないことがよくあるそうです。

「ある日、ある男の目の前でウサギが木の根に躓いて転がります。そこで、男はしめたとウサギを捕まえて食べました。そして、翌日から男は畑を耕すのをやめて、ウサギが来に躓くのをひたすら待ち続けました。けれども、ウサギは一匹もやって来ず、男は待ちぼうけすることになりました。」

「ある日、ある男の目の前でウサギが木の根に躓いて転がります。男はしめたとウサギを捕まえて食べました。翌日から男は畑を耕すのをやめて、ウサギが来に躓くのをひたすら待ち続けました。けれども、ウサギは一匹もやって来ず、男は待ちぼうけすることになりました。」

「という」「ている」「ていく」

無意識に使う言葉遣いに気がつければ、カットできる可能性があります。

「きちんと相手に伝えなければ、会話というものは成立しません」→「きちんと相手に伝えなければ、会話は成立しません」
「マーケティングを担当している人は、顧客情報を大切にしています。」→「マーケティングを担当する人は、顧客情報を大切にします。」
「クリエイター同士が協力していくことで、成果は最大化します」→「クリエイター同士が協力することで、成果は最大化します」

婉曲表現、例外を匂わせる

いわゆる「かもしれない」「〜と言われている」「だろう」「のようだ」「らしい」「と考えられる」といったものです。可能性を考え出すと別の選択肢に含みを残したくなりますが、読みやすさを考えると言い切ったほうが良いです。

「スマホに読書の時間を奪われている、と世論調査も結論を導いたようですし、本を読まない人たちの中には時間がなくてという声も少なくありません。」

「スマホに読書の時間を奪われている、と世論調査も結論を導きました。本を読まない人たちの中には時間がなくてという声もあります。」

「原則として日本語では、語頭に濁った音、濁音を置くのを避けると言われています。」

「日本語では、語頭に濁った音、濁音を置くのを避けます。」

要約力をつけ文章を再構築する

文章を短く、わかりやすくするためにこの本では「要約力」を磨くことを勧めています。
自分で書いた文章を見直して要点を確認できると、不必要な情報を削除したり、再構築したりできます。そんな要約力を鍛えるために、この本ではこんな方法を紹介しています。

  • 本の一章を40字にまとめる
  • 新書の文章を写して音読する
  • 社説を読んで構成を学ぶ

プロの構成を参考にしながら、実際に要約してみることで「無駄な部分を省く」テクニックを学んでいくわけですね。

まとめ

以上、今日は「言葉を減らせば文章は分かりやすくなる」をご紹介しました。

なるべく要点を取り出して短くまとめてみました。実際まとめてみて思うのは「伝わりやすい文書と面白い文書は似て非なるもの」ということです。
もちろん文章を書く上で読みやすさは大事です。余計な表現や冗長なものは削ったほうがスッキリします。ですが、文章を面白くするには読むテンポや抑揚も大切だと思います

例えばこの本に則ると上の

「もちろん文章を書く上で読みやすさは大事です。余計な表現や冗長なものは削ったほうがスッキリします。」

のうち「読みやすさが大事」という内容と「余計な表現や冗長なものは削ったほうがスッキリする」という表現は重複しているので、後半を丸々カットすべき、となります。ですが、この一文があることで私が「読みやすいことが大事なことは重々わかってるけども」という気持ちはより伝わると思います。

何事も大事なのはバランスで、報告書でも無い限りは文の個性も大切に扱いたい、というのが今回の私の結論でした(ちなみにこの文は頭につけていた「つまり、」を削除しました。)。

それではまた明日、お会いしましょう。